農業農村工学会論文集
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83 巻 , 6 号
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研究論文
  • 井谷 昌功, 藤田 信夫, 横田 木綿, 有吉 充, 毛利 栄征, 河端 俊典
    2015 年 83 巻 6 号 p. I_177-I_183
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/11/14
    ジャーナル フリー
    液状化地盤に埋設されたパイプラインの挙動は未解明な現象が多く, 液状化時の耐震設計手法を体系的に確立するには至っていない.圧力管路の曲管部では, その屈曲角度と内圧の大きさに応じたスラスト力が作用し, 曲管背面の受働土圧を抵抗力として曲管が安定するように設計されるが, 液状化時にその抵抗力が減少することまでは考慮されていない.本研究では, 液状化を模擬した地盤中で継手構造管路を対象とした水平載荷実験を実施し, 曲管部を含む管路の力学的挙動を検証した.その結果, 液状化時には管路の水平抵抗力が大きく減少し, 水平変位量が大きくなることが明らかとなった.さらに, 液状化地盤に埋設されたパイプラインを梁要素とばね要素でモデル化した数値解析を行い, 水平載荷時の管路挙動が実験結果と概ね合致することを確認した.
  • 西田 和弘, 宇尾 卓也, 吉田 修一郎, 塚口 直史
    2015 年 83 巻 6 号 p. I_185-I_194
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/11/14
    ジャーナル フリー
    異なる灌漑条件(灌漑水量・水尻の堰板高さ・時間帯)の下で冷水掛流し灌漑試験を行い, 灌漑条件の違いが水田の水温形成に及ぼす影響を調べた.低温の灌漑水の流入による水温冷却効果は, 昼間掛流し灌漑, 夜間掛流し灌漑ともに, 水口付近で大きいが, 水口から離れるにつれ小さくなった.この効果は, 同一堰板高さの下では灌漑水量が多いほど, 同一流量の下では堰板高さが低いほど増加した.また, 同一灌漑水量・堰板高さの下では, 夜間掛流し灌漑の方が昼間掛流し灌漑よりも, 冷却効果は大きかった.一方, 低温の灌漑水が流入していない地点の水温(灌漑水が到達するまでの水温)は, 水深の違いにより温度変化が異なり, 水温上昇過程にある昼間の水温は水深が深いほど, 水温低下過程にある夜間の水温は水深が浅いほど, 低温となった.
  • 森 充広, 浅野 勇, 渡嘉敷 勝, 川上 昭彦, 川邉 翔平
    2015 年 83 巻 6 号 p. I_195-I_205
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/12/12
    ジャーナル フリー
    覆工背面に空洞を有する水路トンネルの破壊時の変形挙動を明らかにするために, 覆工をモルタル, 周辺地盤を低強度モルタルで模擬し, 鉛直荷重を作用させる模型実験を行った.覆工背面の空洞の範囲を変えた供試体を作製し, 実験中の覆工のひずみ, 内空断面の変位を計測するとともに, 周辺地盤の挙動をデジタル画像相関法により観測した.覆工背面に空洞がない場合と空洞範囲が45°の場合には, 鉛直荷重により覆工は上下に押しつぶされるように変形した.一方, 空洞範囲が90°の場合には, 変形が進むと地盤が覆工を内側に押し込むように挙動し, その結果, 水路トンネル内空断面は, 鉛直方向に拡大し, 水平方向に縮小するように変形した.
  • 藤原 洋一, 高瀬 恵次, 小倉 晃, 一恩 英二, 長野 峻介
    2015 年 83 巻 6 号 p. I_207-I_213
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/12/12
    ジャーナル フリー
    山岳域やアクセスの難しい森林地帯において積雪深を多地点で観測することを目的として, 雪温プロファイル計測による積雪深観測手法の実用的適用法について検討した.小型温度データロガー(温度ロガー)を地表面から20cm間隔に取り付けて温度変化を測定し, 各温度ロガーのデータが雪中の温度変化なのか空気中の温度変化なのかを判別することで積雪深を推定した.温度ロガーを取り付けたポールの材質, 色の違い, 支柱の有無による推定精度の違いはあまり見られなかった.2時間間隔で測定した1日12個の観測データの標準偏差が, 0.3°Cに収まっている場合は雪中, 超えている場合は空気中と判断する結果が良好であった.本手法による観測誤差は温度ロガーの設置間隔のおよそ75%であり, 従来の計測機器に比べ安価で頑健であることから多地点における積雪観測に有効である.
  • 兵頭 正浩, 石井 将幸, 佃 亮介, 緒方 英彦, 野中 資博
    2015 年 83 巻 6 号 p. I_215-I_220
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/12/12
    ジャーナル フリー
    老朽化が進行した管路に補修・補強工法を適用するためには, 埋設管(管体と周辺地盤)の現有耐力評価が必要となる.本文では, 埋設管の現有耐力を評価する手法として内面載荷法を提案する.内面載荷法は, 管内面から載荷し, 管体の変形量を測定するものである.本手法は, 管体の荷重―変形量の関係を明らかにすることで, 劣化程度, 特にひび割れの有無を評価するものである.実験対象は, とう性管である硬質塩化ビニル管(PVC管)を用いた.実験はひび割れを想定した切込みの溝を付与したPVC管で実施した.その結果, 弾性域において, 溝の有無および深さによって荷重―変形量の傾きに違いが生じることを確認した.また併せて, 円周方向における溝の発生位置の影響についても考察することができた.さらに, 荷重―変形量の関係は, 管体の管軸方向によって異なることを明らかにした.
研究報文
  • 矢田谷 健一, 泉 完, 東 信行, 丸居 篤
    2015 年 83 巻 6 号 p. II_121-II_126
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/11/14
    ジャーナル フリー
    稚魚期のドジョウを主な対象とし, 自然河川水を用いて流速を系統的に変化させた遊泳実験を行い, ドジョウ稚魚の遊泳速度と遊泳時間の関係および流速と遊泳距離の関係について検討した.結果を以下に示す.1)体長4cm台のドジョウの遊泳速度と遊泳時間の関係を表す実験式を得た.2)体長4cm台のドジョウの遊泳時間は, 同程度の流速条件における体長5cm以上の個体の遊泳時間に比べて短かった.3)体長4cm台のドジョウの遊泳可能な限界流速は, 43~55cm・s-1であった.4)体長4cm台のドジョウを対象として魚道設計を行う際に, 流れ場の流速を30cm・s-1もしくは40cm・s-1程度とする場合は, 必要通過距離をそれぞれ30cm以下, 10cm以下とすることで多くの個体が遡上可能になると考えられた.
  • 河原 行弘, 星野 敏, 渡邉 紹裕
    2015 年 83 巻 6 号 p. II_127-II_134
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/12/12
    ジャーナル フリー
    農業農村総合開発事業は貧困削減のための重要な事業の一つと認識されている.しかし効果的な事業内容や実施制度が明確に示されてなく, 円借款による開発支援は広く行き渡っていない.フィリピン政府は, 円借款により貧困削減のために農地改革インフラ支援事業を実施している.この事業を基に, 貧困削減のための農業農村総合開発の効果的実施制度を明らかにした.全国に点在する多くの貧困農村を改善するには, 多くの開発対象農村を一括して, 各農村に必要な開発計画を総合的に実施する小規模農業農村総合開発が効果的である.そしてこの事業は柔軟な事業実施, 簡便かつ標準的な施設の多用, 維持管理に主眼を置いた事業実施, 中央政府と地元との事業分担等の制度を取り入れる必要がある.また事業計画書の作成, 審査も開発ポテンシャルより貧困改善に視点を置いて行うことが重要である.
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