農業農村工学会論文集
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85 巻 , 2 号
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研究論文
  • 金山 素平, 工藤 基, 藤井 芽衣
    2017 年 85 巻 2 号 p. I_137-I_143
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/07/12
    ジャーナル フリー
    環境の保全や資源の有効利用等に対する社会的関心は全世界で高まっており,周辺環境に配慮した施工法・地盤改良工法等の技術開発が望まれている.本研究では,産業廃棄物であるカキ殻を有効利用するとともにリン酸を用いた土の固化処理について実験的に検討した.カラム試験において,溶液のCa2+およびPO43-濃度,pH,ECの測定結果から,カキ殻とリン酸水溶液が反応しリン酸カルシウム化合物が析出することを確認した.また,一軸圧縮試験結果と画像観察から,養生日数の増加に伴い供試体の強度が増加すること,析出したリン酸カルシウム化合物が供試体の強度増加に寄与することを確認した.カキ殻の質量混合比を1以上,養生日数を10日とした場合,供試体は目標強度100kN/m2以上の強度を示すことが分かった.
  • 東口 阿希子, 星野 敏, 橋本 禅, 鬼塚 健一郎
    2017 年 85 巻 2 号 p. I_145-I_157
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/08/08
    ジャーナル フリー
    集落ぐるみの獣害対策における住民の行動意図に着目し, 集合的防護動機モデルを援用することで, 男女それぞれの行動意図の規定要因を解明し, 有効な普及啓発方法について検討した. 滋賀県甲賀市で実施したアンケート調査により, 男性は侵入防止柵と追い払いに共通して, 脅威認知および効果性認知, 責任認知が行動意図の強い規定要因であると示された. 女性は侵入防止柵では脅威認知の影響が顕著に強く, 追い払いでは脅威認知と実行能力認知, 実行者割合認知が強い規定要因であった. また, イノシシの脅威認知およびサルによる自己への脅威認知が行動意図を強く規定するのに対し, シカの脅威認知やサルによる集落への脅威認知の規定力は小さいことが男女で共通していた. 男女それぞれについて行動意図の規定要因に適した情報提供を行うことで, 普及啓発の効果が向上すると考える.
  • 宮津 進, 吉川 夏樹, 阿部 聡
    2017 年 85 巻 2 号 p. I_159-I_167
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/08/08
    ジャーナル フリー
    本稿では, 既存の田んぼダムの落水量調整装置を機能一体型と機能分離型に分類し, 両者の長短を比較すると共に, 新潟県見附市で供用していた従来型のフリードレーンを用いた落水量調整装置の抱える問題を解消する新たな装置の開発の考え方を整理し, その機能を検証した. 落水量調整機能と田面水深管理機能を分離した機能分離型の落水量調整装置には, ①大規模降雨時の確実な機能発現, ②小規模降雨時の水管理作業への支障の回避, ③流出抑制量の安定性の3点において優位性があり, 田んぼダムの持続性確保に有効であることを示した. そこで, 当該地区で採用されていたフリードレーン方式の機能一体型落水量調整装置の構造を抜本的に見直し, 機能分離型の装置を新たに開発した. 計算によってその機能を評価した結果, 従来型と比較して機能性および持続性の向上がもたらされることが明らかになった.
  • 石川 奈緒, 千葉 啓子, 伊藤 歩, 海田 輝之
    2017 年 85 巻 2 号 p. I_169-I_175
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/09/05
    ジャーナル フリー
    インドやバングラデシュなどアジアの多くの国々では,ヒ素(As)に汚染された地下水を使用することによる慢性ヒ素中毒が深刻である.本研究では,発展途上国で利用できる低コストのAs 吸着剤として農畜産系副産物に着目し,もみ殻の燻炭と家畜の骨から作られる骨炭について,そのAs 吸着剤としての有用性を検討した.骨炭の方がもみ殻燻炭よりもAs 除去能は高く,また吸着剤から溶出する元素類についても飲用水として問題ない範囲であることが示唆されたことから,骨炭は低コストのAs 吸着剤として利用できる可能性が示された.また,炭の触媒機能により,通常As 除去処理で行われるAs(III)をAs(V)に酸化する処理が可能であることが示された.骨炭では,0.5 mg/L のAs(III)を吸着させた場合,固液比が0.075(3g : 40 mL)以上であれば,バングラデシュの飲用基準値(50 μg/L)まで液中のAs 濃度を低下できた.
  • 坂田 賢, 野坂 浩司, 田中 正, 建石 邦夫, 加藤 仁
    2017 年 85 巻 2 号 p. I_177-I_183
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/09/05
    ジャーナル フリー
    食料・農業・農村基本計画をはじめとする種々の政策目標の一つに,情報通信技術(ICT)を活用した水管理の省力化が挙げられている.一方,ICTを活用した水管理に対応した機器の開発は発展途上であり,省力化効果の検証はほとんど行われていない.本研究では携帯情報端末で稼働させられる自動給水機を設置した場合の効果について,耕作者の作業車両に装着した簡易型GPS記録装置で行動軌跡を収集することにより,慣行の水管理と作業効率を比較した.その結果,慣行と比較して自動給水機を利用した場合,1給水栓あたり,10aあたりの給水栓操作時間は,それぞれ27%,41%削減された.また,集約化された圃場水管理では,移動を含めた水管理時間全体に占める給水栓操作時間の割合は半分程度と大きく,給水栓操作時間を削減することによる水管理省力化の効果は大きいと考えられる.
  • 兵頭 正浩, 石井 将幸, 緒方 英彦, 岸本 圭司, 畑中 哲夫, 奥田 忠弘
    2017 年 85 巻 2 号 p. I_185-I_190
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/09/05
    ジャーナル フリー
    著者らは,埋設管の新たな耐力評価手法として内面載荷法を提案している.これまでの研究では,不とう性管であるRC管に内面載荷法を適用し,その有効性を確認してきた.しかし,その有効性はグラインダーによって溝を付与した供試管に対してであり,実際の荷重によるひび割れとは異なる.そこで本研究では,外圧試験機によって所定の荷重を与えた管に対して評価を実施した.また,製造業者の異なるRC管が採取データに与える影響についても併せて検討した.その結果,内面載荷法は,荷重-変形量の傾きでひび割れを検知でき,その断面内剛性は軸方向で異なることがわかった.一方,RC管は接合された状態で埋設されているが,接合による管口の拘束は,採取データへ影響しないことがわかった.最後に,RC管の製造業者によって,荷重-変形量の傾きは異なることを確認した.
  • 釘﨑 佑樹, 渡辺 晋生
    2017 年 85 巻 2 号 p. I_191-I_198
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/10/04
    ジャーナル フリー
    土壌凍結層融解時の土中水の再分布は,春先の農地の水分管理や河川の水質に影響を与える.しかし,凍土の融解については観察例が少なく,水分移動の理解や数値モデルの検討が遅れている.そこで,表層に凍結層を持つ土カラムの融解過程の温度・水分分布を詳細に観察し,その数値解析を既存の凍結モデルで試みた.結果,融解初期に地表から凍結層に流入した水はその場では凍結せず,ある程度流下した後に再凍結すること,融解中期までは下層の未凍土から凍結層への上向きの水分移動が継続すること,凍結層全層が0°C近傍になると凍結層内を融解水が流下することが明らかになった.また,既存の凍結モデルでは凍結と融解が系内で同時に生じ,水分移動量も大きくなりがちな融解過程の表現が難しいことが示された.今後の課題として水の再凍結遅延のモデル化と凍土の透水係数モデルの改良が考えられた.
  • 林田 洋一, 増川 晋, 田頭 秀和
    2017 年 85 巻 2 号 p. I_199-I_207
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/10/04
    ジャーナル フリー
    既設ダムの耐震性能照査の一環として実施される地震応答解析において,基礎岩盤の設定範囲および材料物性がダム堤体の応答特性に与える影響を検証した.その結果,堤体の加速度増幅率,加速度フーリエスペクトル比(天端/堤敷),一次卓越周波数は基礎岩盤の材料物性による影響を顕著に受けることが分かった.また,基礎岩盤の材料物性が同一であれば,堤体の一次卓越周波数は基礎岩盤の設定領域の影響を受けず,ほぼ同様の値となった.そのメカニズムは,堤体と基礎岩盤の相互作用に基づく堤体の振動性状に起因し,堤体の変形モードが基礎岩盤の設定範囲ではなく材料物性による影響を顕著に受けるためだと考えられる.また,基礎岩盤の応答特性は堤体の卓越周波数の影響を受けることから,モデル化領域の設定にあたっては,堤体と基礎岩盤の一次卓越周波数が近接しないよう設定することが重要である.
  • 花山 奨, 金谷 祐里, 安中 武幸
    2017 年 85 巻 2 号 p. I_209-I_214
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/10/14
    ジャーナル フリー
    土壌から田面水へのリン溶出など,田面水と土壌との間の物質移動に影響をおよぼす田面水のpH上昇は,土壌表面上の付着藻類の増殖にともなう光合成活動に依存する.本研究は,土壌中の窒素形態が土壌表面に発生する付着藻類の光合成による田面水のpH変化におよぼす影響を検討した.その結果,15℃において化学肥料を連用した水田の風乾表土に,硝酸カリウムを5gN/m2および10gN/m2添加して作成した疑似水田の田面水のpHは,それぞれ8.1および9.7にまで上昇した.一方,同風乾表土に尿素を5gN/m2および10gN/m2添加した場合,疑似水田の田面水のpHは,それぞれ7.3および7.5にまで上昇した.これらの結果から,アンモニア態窒素より硝酸態窒素が付着藻類の増殖を促し,光合成によるpH上昇に影響をおよぼす可能性が示された.
  • 長谷川 雄基, 小嶋 啓太, 佐藤 周之, 長束 勇
    原稿種別: 研究論文
    2017 年 85 巻 2 号 p. I_215-I_220
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/11/08
    ジャーナル フリー
    本研究では, 無機系材料の耐摩耗性の評価におけるサンドブラスト法の適用性を検討した.サンドブラストの基本的性能の評価として, 研磨材の粒径の差異が試験結果に及ぼす影響と試験時間の経過に伴う研磨能力の低下の有無を検証した.加えて, サンドブラスト法におけるモルタル供試体の表面形状, 質量減少量, 摩耗深さの経時変化を評価した.結果として, 材質が同じ研磨材を使用した場合, 研磨材の粒径の増大に伴い供試体の質量減少量は増加することが確認できた.一方, 本実験条件では, 試験時間840sまでは研磨能力は確実に低下しなかった.サンドブラスト法では, 試験時間の延伸に伴い結果のばらつきが拡大することが確認され, 試験時間10sと30sではばらつきの少ない結果が得られることが明らかとなった.サンドブラスト法の試験時間30sで得られる平均摩耗深さは, 水砂噴流摩耗試験の試験時間10hで得られる数値に相当することが確認された.
  • 遠藤 明, 伊藤 大雄, 加藤 幸, 加藤 千尋, 佐々木 長市
    原稿種別: 研究論文
    2017 年 85 巻 2 号 p. I_221-I_231
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/11/08
    ジャーナル フリー
    青森県津軽地域の灰色低地土リンゴ園を対象に, 積雪と融雪を勘案した上で, 土壌中の無機態窒素濃度の時空間的動態について有限要素法汎用ソルバーを用いることで数値解析的に把握し, 青森県内のリンゴ栽培における秋肥の必要性を検討した.NO3-Nの最大濃度を示す深さの進行速度(Δzt)に着目したところ, 積雪による降水の地表面貯留と融雪を考慮した場合は100~130cm/monthであり, 考慮しない場合の20~26cm/monthと比較して4~5倍程度速いことが推定された.以上のことから, 環境保全の推進ならびに環境負荷低減の視点より, 冬期における土壌水分移動の重要性が数値計算によって定量されたことを受け, 春先における融雪水の浸透を勘案した上で, 土壌間隙水のNO3-Nの挙動や窒素収支に関する議論を行う必要性が示された.
  • 大塚 芳嵩, 遠藤 和子, 國光 洋二
    原稿種別: 研究論文
    2017 年 85 巻 2 号 p. I_233-I_243
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/11/21
    ジャーナル フリー
    GISソフトウェアVIMSの試用実験を事例に, 土地改良区職員の技術受容に関する心理的プロセスを質的研究法により検討した.半構造化インタビューにより得られた発話を修正版グラウンデッド・セオリー・アプローチにより分析した結果, 技術受容に関する要因として, 〈土地改良区が抱える内的要因〉〈土地改良区の背景〉〈技術的要因〉〈開発者からの外的作用〉〈信頼関係〉の5つのカテゴリーが生成された.技術受容の仮説を検討した結果, 1次的要因として〈技術的要因〉, 2次的要因として〈開発者からの外的作用〉と〈土地改良区が抱える内的要因〉, これらの根底にある要因として〈土地改良区の背景〉があると考えられた.今後土地改良区において技術受容を促進するためには, 職員との〈信頼関係〉を構築し, 土地改良区の現状と課題を共有して協力関係を築くことが重要と考えられた.
  • 山下 良平, 中嶋 晋作
    原稿種別: 研究論文
    2017 年 85 巻 2 号 p. I_245-I_251
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/12/06
    ジャーナル フリー
    本研究では, 米生産の管理作業に付随する日常的な圃場巡回時間に関するシミュレーションを行う.今後も農地貸借による集積が進むと考えられる場合, 圃場の場所によっては圃場間移動時間による作業ロスが増す可能性があり, 経営計画を策定するうえで十分検討する必要がある.そこで, 担い手として農地集積の期待がかかる経営体を事例として, 段階的な経営拡大シナリオの下で, 最適な圃場巡回を行った場合の総移動距離と総移動時間の増加傾向を読み解く.シミュレーションの結果, ランダムに農地集積した場合には, 新規借入農地数に連動して増加する総移動距離の増加傾向は逓減する一方, 本シミュレーションの条件下では総移動時間は異なった増加パターンを示すことが明らかとなった.基礎的な分析であるが, 将来的な農地集積が進展した際に予想される状況に関する有用な知見が得られた.
  • 西田 和弘, 光安 麻里恵, 吉田 修一郎, 塩沢 昌
    2017 年 85 巻 2 号 p. I_253-I_263
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/12/19
    ジャーナル フリー
    2012, 2013年に石川県七ヶ用水4-1, 4-2号支線の用水を使用する6枚の水田において, 登熟期の水深, 水温, 地温変化を測定し, 圃場の水管理に伴う水深変化が水田水温・地温に与える影響を調べた.この結果を用いた重回帰分析により, 登熟期の水田水温(最高・最低水温)・水温の日振幅を, 水深, 気象条件, 初期水温, 出穂後の日数から予測する経験式(RMSE:0.49 ℃(最低水温), 0.81 ℃(最高水温))を作成した.これらの式より, 水深変化と, 最高水温・最低水温・水温の日振幅との関係を求めたところ, 平均水深1 cmの低下で, 最高水温・最低水温は, それぞれ, 0.01±0.10, 0.18±0.05 ℃低下, 水温の日振幅は0.16±0.12 ℃増加することがわかった.また, この結果と, 土壌中の熱伝導方程式を用いた解析により, 深さごとの地温振幅, および, 水深変化と地温振幅変化の関係の予測式を提示した.
研究報文
  • 矢田谷 健一, 泉 完, 東 信行, 丸居 篤
    2017 年 85 巻 2 号 p. II_53-II_59
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/07/12
    ジャーナル フリー
    魚道設計に資する底生魚の遊泳能力に関する知見を得ることを目的とし,河川遡上期の小型のウキゴリ類を対象に,腹鰭の吸盤による吸着が困難な高流速条件下における遊泳実験を行った.本実験結果から,底面吸着を行わないウキゴリ類の遊泳速度と遊泳時間の関係および流速と前進距離の関係について検討した.結果を以下に示す.1)体長3cm台のウキゴリ類の遊泳速度と遊泳時間の関係を表す実験式を得た.2)体長3cm台のウキゴリ類の遊泳能力をSAI値によって評価した結果,同程度の体サイズのシロウオ,ドジョウ,メダカに比べて,やや遊泳能力が高いことがわかった.3)体長3cm台のウキゴリ類が吸盤を利用せずに前進できる距離と流速の関係を明らかにした.流速83cm・s-1以下の条件では,67%以上の個体が50cm前進可能であった.
  • 門脇 勇樹, 久保田 由香, 佐貫 方城, 中田 和義
    2017 年 85 巻 2 号 p. II_61-II_70
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/08/08
    ジャーナル フリー
    環境配慮工法が施工された岡山県総社市の農業水路において魚類採捕と物理環境調査を実施し, 魚類の生息に重要な物理環境要因を特定した. 本研究では, 調査時期を魚類の活性状況の違いによって活動期と越冬期に区分し, 結果を比較した. 採捕された魚類の種数・個体数・多様度指数を目的変数, 水深・流速・沈水植物の植被率・河床材料を説明変数として重回帰分析を行った結果, 調査水路の魚類の生息に重要となる物理環境として, 活動期では水深多様度・最小流速・平均流速が, 越冬期では沈水植物の植被率・最大水深・平均流速が選択された. したがって, 農業水路の環境配慮区間における魚類の生息にとって重要な物理環境は, 魚類の活動期と越冬期とでは異なることが明らかとなった.
  • 瀬川 学, 丸山 利輔, 高瀬 恵次
    2017 年 85 巻 2 号 p. II_71-II_81
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/09/05
    ジャーナル フリー
    本研究は,末端排水路に流入する土地利用別の単位流出量をもとに,都市化に伴う流域流出量の変化について検討したものである.石川県の手取川扇状地を流れる倉部川流域約17.5km2を対象に,10分間降雨資料の得られる21降雨イベントについて分析した.その結果,宅地等の面積割合が1976年から2009年の間に,約23%から約48%に増加し,ピーク時の流域流出量は約2倍に増大していることが推定された.さらに,都市化に伴うハイドログラフの変化,調整池の設置によるピーク流出量の変化,単位流出量と推定流出量の関係を例示すると共に,合理式による洪水推定量と本方式による推定流出量の関係を論じた.また,本流域内に試験地を設定し,実測流量と推定流量を比較することにより本理論の正当性が検証された.
  • 奥田 幸夫, 藤巻 晴行, 北村 義信, 北川 巌
    2017 年 85 巻 2 号 p. II_83-II_90
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/09/05
    ジャーナル フリー
    ウズベキスタン国では乾燥気候下での過剰な灌漑,排水機能の低下などにより地下水位が上昇し,灌漑農地に二次的塩類集積が発生している.その対策として排水整備やリーチングが実施されているが,依然として塩分濃度が高い農地が見られる.リーチング後の浸透水を排除する技術には浅層暗渠排水があるが,コスト面の制約がある.日本で開発された穿孔暗渠機(カットドレーン)は低コストであるが,乾燥した土壌では,機械が浮き上がり,リーチング時などに発生する選択流により空洞部に崩落が見られる.本研究では,カットドレーンの施工に適した土壌水分状態を探り,選択流の発生抑制手法を試行し,効果を確認した.試験した地域の土壌条件では,土壌表面下0~20 cm,20~40 cmでそれぞれ含水比9~11%,12~15%が施工可否の境界となり,選択流は施工前の灌水により発生頻度が低下する.
  • 竹下 伸一, 大山 春香, 愛宕 夏帆
    2017 年 85 巻 2 号 p. II_91-II_96
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/10/04
    ジャーナル フリー
    本研究では,容器内の水の温度から日射量を推定する理科教材用の水温測定型簡易日射計に着目し,外気との熱交換を考慮することによる簡易日射計の汎用的な利用可能性を観測値を用いて検討した.観測は,宮崎大学農学部附属圃場内で2015年5月から9月まで実施した.観測結果から,時間積算日射量と受光部内水温の相関を確認し,近似式によって検討したところ,日出前の水温で基準化し,水温を上昇過程と下降過程に分け,受光面傾斜角を45度(宮崎市の場合:北緯31.8度)に設定すると最も汎用性が高く精度が良いことがわかった.加えて,本体が熱を持つことによる熱交換の影響を考慮すると精度が高まることがわかった.晴天日であれば,本手法による簡易日射計の測定精度は0.26MJm-2h-1と十分な精度を持ち,経時変化の把握も可能であった.
  • 藤山 宗, 伊藤 夕樹, 長野 浩一, 樽屋 啓之, 中田 達, 伊藤 祐二, 籾井 和朗
    原稿種別: 研究報文
    2017 年 85 巻 2 号 p. II_97-II_102
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/11/21
    ジャーナル フリー
    現地水路の粗度係数をレーザー変位計やデジタルカメラなどを用いて評価する既存の推定法は, 推定精度は高いものの, 一定の技術や経験を要すること, 湿潤および浸水状態の水路底版への適用が困難であることが利用上の課題として挙げられる.本研究では, 湿潤および浸水状態で容易かつ省力的に粗度係数を評価する粗度係数評価板を用いた推定手法を新たに提案し, その有効性を評価することを目的とする.自作した複数の評価板の中から, 骨材の露出条件の異なる4枚を選出し, 現地水路の粗度係数を評価した.評価板とレーザー変位計による粗度係数の差異は0.001であり, 側壁および底版を含めたコンクリート面に対し, 水分状態を問わず, 実務上精度よく評価できることがわかった.
  • 永井 茂, 田中 勉
    原稿種別: 研究報文
    2017 年 85 巻 2 号 p. II_103-II_111
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/11/21
    ジャーナル フリー
    矢板締切り地盤の浸透破壊に対する安定性を明らかにするため, 設計に用いられる基準類算定式の適合性及び安全率について考察を行った. そして, 基準類算定式において無視されることの多い上流側掘削残土が, 各種流れの条件における限界水頭差及び浸透破壊安全率にどのような影響を与えるかについて考察を行い次の結論を得た. ここで, 各種流れ条件とは単列矢板における二次元流(2D), 複列矢板内への二次元集中流(2DC), 三次元流(3D), 軸対称流(AXS)をいう.(1)「実質的な安全率」は, 掘削地盤の場合, 「基準類算定式に含まれる安全率」, 「設計安全率」, 及び, 「上流側掘削残土による安全率」を掛け合わせたものと定義できる.(2)基準類算定式は概ね合理的な結果を与えるものの, 地盤条件によっては浸透破壊安定性に関して危険となる場合もしくは過剰な安全率を与える場合がある.(3)上流側掘削残土の限界水頭差Hcに対する影響は大変大きい. その影響は, 各種流れの条件について, 2Dが最も大きく, 2DC, 3D, AXSと小さくなり, 3DとAXSはほぼ同等である.
  • 須永 吉昭, 松井 宏之, 大澤 和敏
    原稿種別: 研究報文
    2017 年 85 巻 2 号 p. II_113-II_119
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/12/06
    ジャーナル フリー
    宇都宮市の2地区の水田において, 灌漑期を通した用排水の水質調査を実施し, 懸濁物質およびその粒度分布の経時変化に関して, 次のことを明らかにした.用水に含まれる懸濁物質の粒度分布は灌漑期を通してあまり変化しない.その一方, 排水に含まれる懸濁物質の粒度分布は時間の経過とともに粒径の大きい側に遷移する傾向がある.代かきや田植えによる土壌攪乱により懸濁物質濃度が上昇するときには多くの細粒分が流出している.また, 無降雨時に用水中に含まれない細粒画分の懸濁物質が排出されている.さらに, 代かき田植え期とそれ以降の時期では濁水中に含まれる懸濁物質の粒度分布が異なるため, 同一の濁度-懸濁物質濃度式の適用は大きな推定誤差を生じさせる可能性が高い.
研究ノート
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