農業農村工学会論文集
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86 巻 , 1 号
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研究論文
  • 廣瀬 千佳子, 廣内 慎司, 堀野 治彦, 團 晴行, Charles ANTWI-BOASIAKO
    2018 年 86 巻 1 号 p. I_1-I_7
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/01/12
    ジャーナル フリー
    一般に途上国の水田域における小規模な水路は,現地の強度の大きい降雨や洪水によって侵食崩壊し,営農が妨げられることが多い.持続的な維持・管理のためには,水路構造物は農民が利用可能な技術と入手可能な材料で作られることが重要であり,木製の水路保護工はこの条件を満たす工法である.本論ではガーナ国を事例として,木製水路保護工の現地導入に向けた耐久性の評価を目的としている.現地サイトでの試験結果から,木製水路保護工の主な劣化要因はシロアリによる食害であると判断した.ロジスティック曲線を用いた劣化診断により,シロアリの影響を受けやすい幹線水路山側に面した水路側面における耐用期間は約12ヶ月,水路によって森林部から移動が分断されるためにシロアリの影響を受けにくい水路側面や支線水路において約28ヶ月と試算された.
  • 中野 拓治, 李 雨桐, 阿部 真己, 畑 恭子
    2018 年 86 巻 1 号 p. I_9-I_17
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/01/12
    ジャーナル フリー
    農業集落排水施設流入水について農業集落排水施設から得られた実測データに基づき,状態空間モデルの適用を通じて日水量負荷変動の把握と変動特性の抽出を試み,日水量負荷の変動要因について考察した.日流入水量はトレンド成分,季節変動成分,週間変動成分,及び降水による変動成分に分離されるとともに,状態空間モデル解析により日流入水量の有する周期的な変動特性や観測データと対応した特徴を抽出できることが確認できた.日水量負荷変動には,供用人口に対応して変動する水道使用量,降水量,流入人口動態,お盆・年末・年始のイベントに対応する流量変動が関与していることが示唆された.状態空間モデルによる解析は,季節変動成分の解釈や降水に伴う変動成分予測精度に課題が残るものの,農業集落排水施設の日流入水量の変動特性の把握には活用できるものと考えられる.
  • 兵頭 正浩, 大山 幸輝, 井川 秀樹, 石井 将幸, 下庄 里奈, 緒方 英彦
    2018 年 86 巻 1 号 p. I_19-I_25
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/01/23
    ジャーナル フリー

    本研究では, RC管の製品規格における変遷(規格強度の増加)が, 断面内剛性へ与える影響を評価した.また, RC管の製造方法は, 製造業者によって異なるため, 各社におけるRC管の断面内剛性およびひび割れ発生時の剛性低下特性を評価した.その結果, 旧JIS規格を想定したRC管の断面内剛性は, 現JIS規格を想定したRC管と比較して28%程度小さくなることがわかった.この要因は, 主に弾性係数の違いによるものと考えられた.また, 断面内剛性および剛性低下特性は, 各社によって異なることが明らかとなった.さらに, 管厚減少RC管の断面内剛性は, 健全管と比較して小さくなることを確認した.以上より, 供用中のRC管において機能診断等を実施する際には, 製造年度や製造業社などを考慮したうえで評価する必要があり, ひび割れの有無や管厚の減少は断面内剛性の指標となることがわかった.

  • 松田 展也, 宮村 和孝, 森 丈久
    2018 年 86 巻 1 号 p. I_27-I_34
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/02/21
    ジャーナル フリー

    全国の農業水利施設で機能保全対策が行われており,劣化した水路断面を修復するためにモルタル系補修材がよく用いられている.これらの補修材は,開水路などの,流水や流水中の砂によって摩耗した部位に使用されているが,落差工のように石礫の落下衝撃によって摩耗した水利構造物に対する適用事例は少なく,衝撃摩耗に対する耐久性評価が求められている.そこで,モルタル系補修材を落差工のような衝撃摩耗を受ける部位に使用した場合の耐久性を確認するため,石礫を模擬した鋼球を落下させる衝撃試験を行った.その結果,繊維補強セメントモルタル,ポリマーセメントモルタル,普通コンクリートの順に衝撃摩耗に対する耐久性が高いことが分かった.また,既存コンクリート上をモルタル系補修材で被覆する場合,厚さ30mmとすることで母材コンクリートへの保護効果が期待できることが分かった.

  • 佐藤 赳, 高橋 太郎, 合崎 英男, 山田 七絵, 中嶋 康博
    2018 年 86 巻 1 号 p. I_35-I_45
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/02/21
    ジャーナル フリー

    圃場分散は,多くの地域において農業の生産性を低下させると考えられているが,その十分な解決の方策は講じられていない.圃場分散の影響を正確に評価し,社会経済的な改善施策を検討するためには,圃場の位置や道路地図といった集落全体での地理情報と,各農家の実際の通作経路を把握することが望ましい.本研究では,GPSトラックデータを用いて圃場と農道および各農家の移動経路を判別し,農家の経路選択を評価する一連の新手法を開発した.その手法を重度の圃場分散に直面する中華人民共和国の農村に適用したところ,圃場分散が通作時間を増大させ,一部の農家は勾配の大きな経路を避け遠回りとなる経路を選択していたことが明らかになった.

  • 田中 健二, 瀬川 学, 藤原 洋一, 高瀬 恵次, 丸山 利輔, 長野 峻介
    2018 年 86 巻 1 号 p. I_47-I_54
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/02/21
    ジャーナル フリー

    石川県手取川上流において発生した大規模な土砂崩壊により,手取川では2015年から高濃度濁水が長期間にわたって発生し,下流扇状地の地下水水循環に影響が及ぶことが懸念されている.本研究では,濁水発生前後で水田減水深調査および河川流量観測を実施し,高濃度濁水が地下水涵養機能に及ぼす影響を調べた.その結果,濁水発生前後で水田からの浸透量は有意に減少し,河川からの伏流量は減少して伏流区間が狭まっており,水田土壌と河床に土砂が堆積して目詰まりを起こしていると考えられた.観測結果に基づいて地下水涵養量を概算すると,濁水発生前より水田からの涵養量は270 mm/year(36%)減少し,河川からの涵養量は591 mm/year(61%)減少した.さらに,扇状地全体の地下水涵養量は濁水発生前より861 mm/year(36%)減少し,この減少量は実際の地下水位低下量とおおよそ整合していた.

  • 弓削 こずえ, 濵田 耕佑, 阿南 光政, 濵上 邦彦, Jos C. Van DAM, Joop G. KROES
    2018 年 86 巻 1 号 p. I_55-I_62
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/03/16
    ジャーナル フリー

    本研究は干拓農地における水分ストレスのリスクを予測し,これを軽減するために灌漑スケジューリングを最適化することを目的とするものである.まず,SWAP(Soil Water Atmosphere Plant)モデルを導入し,複数の作物栽培を想定して干拓農地における年間を通じた土壌水分動態を予測するモデルを構築した.このモデルの妥当性を検証するために諫早湾中央干拓地内の作物圃場において調査を行った.本モデルによって計算した体積含水率は実測値を再現しており,本モデルの妥当性を確認することができた.このモデルによって求めた圧力水頭に応じて湿潤あるいは乾燥ストレスの発生状況を判断し,水分ストレスの度合いを定量的に評価した.渇水年を想定したシナリオの下で作物が受ける水分ストレスをシミュレートし,これを軽減するための灌水量および間断日数を提案した.

  • 小杉 重順, 石黒 宗秀
    2018 年 86 巻 1 号 p. I_63-I_70
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/04/03
    ジャーナル フリー

    カオリナイトのリン酸吸着量はなぜpHや支持電解質濃度により変化するのか,特になぜある特定のpHで吸着量が極大となるのか,その機構は十分明らかにはなっていない.本研究では,入来カオリナイトを試料とし,バッチ法により種々のpHと支持電解質(NaCl)濃度におけるリン酸イオン吸着量を測定した.リン酸吸着量は平衡リン酸濃度1mM以下の場合pH6で最大となり,pH4-6では支持電解質濃度が高い場合にリン酸吸着量が増加することを示した.競合ラングミュア吸着式によって表される簡略化した表面錯体モデルと測定ゼータ電位を用いた考察から,特徴的なカオリナイトのリン酸吸着反応には,吸着部位であるアルミノール基や溶液中のリン酸イオンに生じるプロトン化・脱プロトン化反応のほかに,pH変化やリン酸の吸着それ自体による吸着面の電位の変化が強く影響していることが明らかにされた.

  • 岡島 賢治, 西村 元輝, 長岡 誠也, 伊藤 良栄, 近藤 雅秋
    2018 年 86 巻 1 号 p. I_71-I_78
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/04/18
    ジャーナル フリー

    三重県の宮川用水末端の給水栓においてタイワンシジミによる閉塞問題が拡大している.本研究では,この閉塞問題対策として宮川用水土地改良区が行っている国営1号幹線水路明星1号排泥工の排泥操作の記録より,管内のタイワンシジミの排出状況を検討した.その結果,タイワンシジミは流速が早くなる代掻き,田植え期と中干し後の時期に移動している状況が明らかとなった.また,明星1号排泥工付近の内径2,000mmの管内調査より,タイワンシジミは継手部の段差などを生息の場としている状況が確認できた.管内調査で採取したタイワンシジミの生息調査より,12月のパイプライン内の継手部に存在する90%以上のタイワンシジミが6,000個体/m2程度の高密度で生息していた.また,掃流計算から,継手部では殻長20mm以上のタイワンシジミが複数年度生息している可能性が高いことが分かった.

  • 岡島 賢治, 長岡 誠也, 伊藤 良栄, Islam Mohammad RAIHANUL
    2018 年 86 巻 1 号 p. I_79-I_86
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/04/18
    ジャーナル フリー

    ストックマネジメントの推進によって,コンクリート製開水路の水理機能の評価において,粗度係数が重要な指標となっている.しかし,供用中の農業用開水路では,現地における流速と水深の測定による粗度係数の同定が,測定条件上,適用困難な場所も多い.そこで,開水路の側面の算術平均粗さから粗度係数を推定する研究が進められている.しかし,開水路には等間隔で目地が存在し,開水路の摩擦抵抗に影響を与える可能性がある.本研究では,粗さの異なる3種の模型水路実験により,開水路の目地開きが摩擦抵抗に与える影響を検討した.その結果,水面形において目地開き近傍で水深が低下し,目地と目地の中間付近で水深が回復する傾向が見られた.また,粗さの異なる3種の模型水路とも,1スパンの0~2.2%程度の目地開きの範囲では開水路の摩擦抵抗にほとんど影響を与えないことが確認できた.

  • 中野 拓治, 中村 真也, 松村 綾子, 高畑 陽, 崎濱 秀明, 大城 秀樹, 幸地 優作, 平田 英次
    2018 年 86 巻 1 号 p. I_87-I_94
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/04/18
    ジャーナル フリー

    沖縄本島北部に分布する国頭マージ土壌を用いて油汚染土壌の浄化室内試験を実施し,油汚染土壌の浄化方法の一つであるバイオレメディエーションを適用した場合の油分浄化特性と影響要因について考察した.その結果,含水比を適切に管理したうえで栄養塩を添加し,空気を通気することによって,酸性土壌である国頭マージ土壌であっても土中に存在する油分解菌によって油分が浄化されることを明らかにした.さらに,油汚染土壌内でのTPH除去作用が1次反応であると仮定して浄化効率を示すTPH除去速度係数を求め,栄養塩添加量,通気量,含水比を説明変数とする多変量解析を通じて,含水比がTPH浄化効率に与える影響が最も大きいことが確認された.

  • 有吉 充, 泉 明良, 河端 俊典
    2018 年 86 巻 1 号 p. I_95-I_103
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/05/12
    ジャーナル フリー

    硬質ポリ塩化ビニル管(VU)などの低剛性埋設管の内圧及び外圧に対する挙動を検討するため,模型実験を実施した.外圧によるVUの変形はモーメントだけではなく軸力によるものが大きく,中位から密な地盤(相対密度61%)に埋設したVUの地表面荷重150kPa時の軸力によるひずみ(軸ひずみ)は,モーメントによるひずみの40%発生した.異なる密度の地盤(相対密度61%及び39%)に埋設したVUの外圧により生じる軸ひずみは同程度で,地盤特性の影響をほとんど受けない.また,中位から密な地盤に埋設したVUの内圧により生じる軸ひずみは,地表面荷重0kPa時よりも150kPa時の方が10%以上小さく,地表面荷重が大きいほど減少することが分かった.さらに,VUよりも管厚の薄いダクト管を用いた模型実験の結果から,低剛性化が進むとそれらの傾向がより顕著になることが分かった.

  • 西田 和弘, 塚口 直史, 二宮 悠樹, 宇尾 卓也, 吉田 修一郎, 塩沢 昌
    2018 年 86 巻 1 号 p. I_105-I_115
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/06/01
    ジャーナル フリー

    石川県白山市の実際の水田を用いた掛流し灌漑試験により,夜間掛流し灌漑が,出穂後20日間の水田の平均水温・地温,および,米の外観品質に与える影響を調べた.結果,出穂後20日間の平均水温は,総灌漑水量が986mm,782mmの灌漑(1回あたりの灌漑水量123mm,78mm)で,それぞれ,水口で2.3℃,2.2℃,水田中央で2.2℃,0.8℃,平均気温と比べて低温となり,水尻では平均気温とほぼ同じであった.しかし,後者の灌漑条件では,水田中央までは慣行の水管理と比べて水温は低温となったが,それより遠方では高温となった.出穂後20日間の表層(深さ10cmまで)の平均地温は,平均水温とほぼ同じであり,深さによる違いはほとんど見られなかった.また,白未熟粒の割合は,高温年では掛流し灌漑によって慣行の水管理下の水田よりも減少したが,低温年では減少しなかった.

  • 大山 幸輝, 兵頭 正浩, 緒方 英彦, 石井 将幸
    2018 年 86 巻 1 号 p. I_117-I_127
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/06/01
    ジャーナル フリー

    内面載荷法は埋設管の耐力評価手法として提案されている.しかし,内面載荷法を実用化するためには,評価基準を設定する必要がある.評価基準を設定するためには,新設時の埋設管に対して内面載荷法を適用した際の挙動を適切に再現できる数値解析モデルを構築する必要がある.そこで,本研究では埋設管をモデル化する前段階として,地上部に静置した遠心力鉄筋コンクリート管に対する,3次元FEM解析の支持条件などについて検討した.その結果,支持条件としてはRC管下部にバネ支承を設定することで載荷中の応力状態が対称となった.さらに,現実的な弾性係数の算出を行うことで,RC管の軸方向の断面内剛性を再現できた.また,本モデルにより内面載荷法を適用したRC管には,必要以上の荷重を作用することで2方向の曲げひび割れが発生する可能性があることがわかった.

  • 遠藤 明, 虻川 雄介, 川崎 通夫, 加藤 千尋, 佐々木 長市
    2018 年 86 巻 1 号 p. I_129-I_137
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/06/20
    ジャーナル フリー

    本研究は,国営屏風山開拓建設事業により造成された青森県屏風山地域の大規模畑作圃場において,土壌水分移動の特徴とナガイモの塊茎障害発生との関係を明らかにすることを最終的な目標としている.この目標を受け,深暗渠が敷設された当地域の豊富工区と車力工区のナガイモ畑圃場(深度10,30,50,100および150 cm)に誘電式土壌水分計を埋設し,ナガイモ生育期間中における体積含水率をモニタリングした.また,圃場に敷設された深暗渠による土壌水の排水効果を検証するために,1次元方向および2次元方向の土壌水分移動に関する数値計算を行った.8月中旬頃の塊茎生育肥大期において,塊茎頂端部が位置すると予想される深度50 cmでは,降雨後の内部排水を受け過湿な土壌環境にはなかった.7月24~25日に生起した63 mmの降水に起因する体積含水率の増減挙動に着目したところ,透水性が比較的低い豊富工区においては余剰な土壌水が吸水渠に向かって確実に排水されることが数値計算により示された.

研究報文
  • 泉 完, 清水 秀成, 東 信行, 丸居 篤, 矢田谷 健一
    2018 年 86 巻 1 号 p. II_1-II_7
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/01/12
    ジャーナル フリー
    水田魚道を含む生態系に配慮した水路の設計に資するメダカの遊泳能力を明らかにすることを目的として,ミナミメダカの突進速度に関する実験を屋外で実施した.その結果,体長2cm台のメダカについて,1)突進遊泳速度は33cm・s-1(管内代表流速17cm・s-1)~58cm・s-1(管内代表流速32cm・s-1)で,平均体長の14~24倍・s-1に相当した.2)メダカは突進遊泳を繰り返して前進し,突進遊泳区間の瞬間遊泳速度の平均値は,突進遊泳速度の1.03倍でほぼ同じであることがわかった.また,瞬間遊泳速度で約5cmずつ前進することがわかった.3)管内代表流速が20~30cm・s-1台の流速条件では,65%以上の個体が30cmまでの距離を遊泳することがわかった.
  • 二木 重博, 西村 伸一, 珠玖 隆行, 柴田 俊文
    2018 年 86 巻 1 号 p. II_9-II_18
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/02/21
    ジャーナル フリー

    本研究では,地すべり変位量の将来予測を観測値に基づいて行う方法を構築しようとしている.数値解析法としては,弾粘塑性モデルに基づく有限要素法を用いており,地すべり土塊の二次元変位挙動の再現を試みている.また,変位観測値は,傾斜計による動態観測から得られる計測値を用いるものとする.この変位観測値から,地すべり面の有効内部摩擦角と流動性パラメータを同定し,変位予測に用いるが,パラメータの同定手法として,粒子フィルタを用いている.傾斜計から得られた計測データと解析による予測値は比較的よく一致し,変位予測解析によって,対策工としての排土工の効果を適切に推定することができた.

  • 髙木 強治, 向井 章恵, 田中 良和, 常住 直人
    2018 年 86 巻 1 号 p. II_19-II_26
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/03/16
    ジャーナル フリー

    本研究では,砂礫による摩耗で機能低下が懸念されるコンクリート農業水路において,その長寿命化に資する監視・診断技術として,パルス式ハイドロフォンによる砂礫質量の推定可能性を示す.これまでに定式化されている砂礫の粒径推定モデルは,逆問題として物理的,数学的な取り扱いが困難で,機械的な適用が実質的に不可能であったことから,実験結果に基づいて質量と音圧の関係を分析し,それらの不適切性を回避しうるモデル化手順を提案した.それに基づき,二つに区分した音圧クラスの観測パルス数から,砂礫の質量を二つのクラスに分級するモデルを作成したところ,質量分布のある砂礫集団に対して概ね良好な分級結果を示すことができた.

  • 森 洋
    2018 年 86 巻 1 号 p. II_27-II_32
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/04/03
    ジャーナル フリー

    不均一層から成る水平互層供試体の構成層数によるせん断強度特性の検討を,三軸圧縮試験を用いて,粘性土試料と砂質土試料の両方でそれぞれ行った.軟弱層と固い層で構成された粘性土の水平互層供試体でのペア数(互層数)が1の場合では,軟弱層での局所的な変状挙動等が顕著であったが,ペア数の増加と共にそれらの影響は小さくなり,軟弱層を想定した均一供試体のせん断強度特性に近似する傾向にあった.砂質土の水平互層供試体では,粘性土の水平互層供試体に比べて,1ペアによる不均一性の影響は小さく,緩詰め層と密詰め層を想定した各均一供試体間での中間的なせん断強度特性を示す傾向にあった.また,実験中の写真画像を組み合わせれば,比較的数が少ないひずみ算出用のターゲットを用いても,供試体内での最大せん断ひずみの集中過程を十分観測することが可能であった.

  • 王 鳳蘭, 乃田 啓吾, 伊藤 健吾, 大西 健夫, 千家 正照
    2018 年 86 巻 1 号 p. II_33-II_40
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/04/18
    ジャーナル フリー

    近年,原子力発電に替わる安全でクリーンなエネルギーとして再生可能エネルギーが注目されつつあり,その中でも,出力規模は小さいが技術面で実用的な小水力発電に対する関心が高まっている.本研究では,明治用水土地改良区が管理している頭首工から幹線用水路末端までの農業水利施設を対象にして小水力発電候補地としての潜在力と特徴を明らかにした.その結果,最大発電出力,年間発電量の平均値,月間発電量の最大値は,頭首工,工業分水工,チェック工の順に大きかった.また,工業分水工では,頭首工およびチェック工と比較して,灌漑期と非灌漑期の変動が大きいものの,毎年安定した発電量が期待できるという農業用水従属型の特徴を示した.さらに,現在は年に2回程度通水している排泥工に常時通水した場合,発電ポテンシャルの有効活用に加え,排水路や河川の水質改善に効果が期待された.

  • 髙木 強治, 向井 章恵, 田中 良和, 常住 直人
    2018 年 86 巻 1 号 p. II_41-II_45
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/06/01
    ジャーナル フリー

    ハイドロフォンを用いた砂礫質量の推定法を現地の農業水路で検証する.この推定法では砂礫質量を大小二つに分級するモデルを作成する.しかし種々の雑音発生が見込まれる現地では,同定に取得したデータをそのまま利用することが難しい.そこで,砂礫の衝突で得られるパルス数は,音圧を階級,パルス数を度数とするヒストグラムの単峰性確率分布で表されることを仮定し,モデル化に必要なデータを抽出した.また,現地への適用性を考慮して,対象砂礫の質量に関わらず,背景雑音と多重衝突雑音の混入が見込まれるデータを棄却してモデルを適用した.その結果,常時雑音の影響下にある現地でも,提案したモデルによる良好な質量分級が確認された.

  • 松田 亮二, 浪平 篤, 樽屋 啓之, 猪迫 耕二
    2018 年 86 巻 1 号 p. II_47-II_53
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/06/20
    ジャーナル フリー

    止水バンドは,突発的な漏水事故に対して応急対策として単体で用いられるだけでなく,予防保全的に対象区間の継手部に対し連続して複数個施工される場合もある.複数個の止水バンドが連続的に施工された場合には大きな損失水頭が発生する可能性があるが,これまでに損失水頭の評価方法は確立されていない.本研究では,厚さ3mmの止水バンド模型を用いた水理模型実験を行い複数個の止水バンド施工による損失水頭の評価方法を検討するとともに,単体での損失係数の推定法について検討を行った.その結果,複数個の止水バンドによる損失水頭は止水バンド単体での損失水頭を設置箇所の数だけ加算する方法によって求められること,実験から推定された止水バンド単体による損失係数は急縮・急拡の式を便宜的に組み合わせて算定した値より小さいことが示された.

研究ノート
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