農業農村工学会論文集
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研究論文
  • 鈴木 麻里子, 松家 武樹, 横山 瑞海, 松下 晴彦
    2019 年 87 巻 2 号 p. I_143-I_148
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/07/19
    ジャーナル 認証あり

    コンクリート用骨材として用いられる砕石, 砕砂の製造は, 乾式と湿式の2種類に分類され, 乾式方法で製造する際には多量の砕石粉が副産される.砕石粉は2009年にJIS A 5041で規格化されているが, その利用法や比表面積に関する内容などが論じられていない.そこで本研究は, 製造方法の異なる砕砂2種類(乾式砕砂, 湿式砕砂)と比表面積の異なる3種類の砕石粉を組み合わせたモルタルを作製し, テーブルフロー試験により流動性を比較した.その結果, 砕石粉の比表面積の差異はモルタルの流動性に影響を及ぼし, 特に比表面積の大きな砕石粉は, モルタルの流動性を著しく低下させることが明らかとなった.砕石粉の比表面積を限定することで, JIS A 5005に定められている砕砂の微粒分量の最大9 %という上限値を緩和できる可能性が示唆された.

  • 岡島 賢治, 長岡 誠也, 伯耆 匠二, 伊藤 良栄, 近藤 雅秋
    2019 年 87 巻 2 号 p. I_149-I_157
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/07/19
    ジャーナル 認証あり

    三重県の宮川用水では末端の給水栓においてタイワンシジミによる閉塞問題が生じている.この閉塞問題対策として宮川用水土地改良区ではサイホン部での排泥操作による排出作業を行っている.本研究では途中で池を経由する国営1号幹線水路および池を経由しない国営2号幹線水路に着目し, 作成したタイワンシジミの成長曲線からパイプライン内のタイワンシジミの成長を考察した.その結果, 厳寒期を除く時期にタイワンシジミが再生産している可能性を示した.また, 排出作業時に採水して水質分析を行った.その結果, 経由池がクロロフィルa濃度, 溶存酸素濃度を上昇させる効果を有し, パイプライン内のタイワンシジミの生息に適した水質環境を供給していることを示した.また, パイプライン内にタイワンシジミが生息していることで灌漑期間半ばまで下流の全窒素, 全リン, CODが上昇することを示した.

  • 伊藤 浩三, 丸山 利輔
    2019 年 87 巻 2 号 p. I_159-I_167
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/07/19
    ジャーナル 認証あり

    蒸発散量の推定において異常値の新しい定義を提案するとともに, その定義を熱収支ボーエン比法(Bo法)に適用した結果について述べている.すなわち, 異常値を供給熱量(Rn-G)のα倍より大きい潜熱(lE)または顕熱(H)と定義する.その時のボーエン比(Bo)の範囲を異常な範囲とし, αごとに, 異常な範囲を数学的に示している.その結果, この異常値の定義はBoが-1の近傍で発生する異常値と等価であることを誘導している.また, 異常値の定義を実際の資料に適用した結果, ①灌漑計画や水資源計画に必要な月別蒸発散量を求めるためには, α=1.0∼3.0にとればよいこと, ②異常値の発生は, 昼間よりも夜間に多いというこれまでの知見を確認したこと, ③これまで提案されているBo法の異常値の範囲が, 本研究で提案した方法によって, 概略, 統一的に表現できること, を示している.

  • 丸山 利輔, 伊藤 浩三
    2019 年 87 巻 2 号 p. I_169-I_178
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/07/19
    ジャーナル 認証あり

    本研究は, 実測資料を逆解析法とBowen比法(BO法)及び渦相関法に適用し, 潜熱(lE)と顕熱(H)を求め, その特徴と問題点を検討したものである.いずれの方法にも先に提案した, 異常値の定義{α|Rn-G|<|H|, |lE|}を適用した資料に基づいて解析を試みた.その結果以下のことが示された.①作物生育期間では時間単位のlEHの変化は3方法(逆解析法ではα=1.0の場合)とも相互に極めてよく一致した.②3方法の中の任意の2方法の組み合わせにより日単位のlE 及びHを比較した結果, 年間でも作物生育期間でもlEについては相互によく一致した.③3方法の月別変化を比較したがα=1.0の場合には3者のlEは比較的よく一致した.④異常値の割合はBO法が最も多く, 逆解析法及び渦相関法は少なかった.⑤以上の結果, 水資源計画や灌漑計画に必要な月別蒸発散量は, 上記 3方法とも十分な精度で推定できる.

  • 多田 正和, 伊藤 邦夫, 齋藤 稔, 森 也寸志, 福桝 純平, 中田 和義
    2019 年 87 巻 2 号 p. I_179-I_187
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/07/19
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    ナゴヤダルマガエルの越冬場所に影響を及ぼす環境要因の解明を目的として, 岡山県倉敷市内で本種が高密度に生息する地区の慣行水田と休耕田の各1筆で野外調査を実施した.その結果, 越冬個体の大半(35個体中34個体)が休耕田で確認された.越冬個体の在/不在(1/0)を目的変数, 各コドラートのカバー率・草高・土壌pH・体積含水率・間隙率・土壌硬度を説明変数として一般化線形モデル(GLM)により解析した結果, 土壌硬度・カバー率・草高の二乗項が最良モデルで選択され, 土壌硬度には有意な負の効果が認められた.水田で本種の越冬場所を創出する上では, 土壌硬度と田面の植物の存在が重要になると考えられた.

  • 林 暁嵐, 瀬田 千夏, 吉田 貢士, 前田 滋哉, 黒田 久雄
    2019 年 87 巻 2 号 p. I_189-I_195
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/08/07
    ジャーナル フリー

    流入窒素濃度と温度から水田の窒素除去速度を推定する窒素除去式がある.本研究は,窒素除去速度の推定方法を窒素除去式の窒素除去係数の温度変数に着目して改良することを目的とした.調査圃場は関東地方の谷津田谷頭部に設置した浸透がない無植生の通年湛水水田で,2015年1月から約2年間の窒素除去速度調査を行った.温度変数を試験区水温,土壌深さ別地温(0~10cm),アメダス時間気温を用いた平均積算時間気温とし,窒素除去速度の各計算値と実測値の関係をR2値で評価した.その結果,土壌深さ10cm地点の地温と調査時刻から40時間前までの平均積算時間気温のR2値が高かった.さらに,温度補正係数D=1.3を導入すると,窒素除去速度を精度よく推定できることがわかった.

  • 石黒 覚, 山中 正善
    2019 年 87 巻 2 号 p. I_197-I_204
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/09/04
    ジャーナル 認証あり

    夏季のアスファルト舗装路面の高温は, 舗装の耐久性低下だけでなく都市部におけるヒートアイランド現象の一因ともいわれている.このため, 遮熱性舗装などの環境に配慮した舗装技術が求められている.本研究では, かき殻や廃瓦などのリサイクル材を細骨材に用いたジオポリマーモルタルを利用し, これらを開粒度アスファルト舗装表面の空隙に充填して遮熱性を付与する舗装工法を提案した.幾つかの試験舗装を施工して夏季の路面温度を測定し, 温度上昇に対する抑制効果を調べた.この結果, かき殻を細骨材としたジオポリマーモルタルを充填した場合において, 温度上昇抑制効果が最も大きく, 舗装路面の最高温度は密粒度アスファルト舗装に比べて約11℃低下した.

  • 有田 博之, 内川 義行
    2019 年 87 巻 2 号 p. I_205-I_210
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/10/03
    ジャーナル フリー

    東日本大震災の広域に亘る集落の津波被害に対する災害復旧の取り組みでは, 集落の高台移転等の大規模な地域対策が行われ, 土地利用の再編が進んだ点に特徴がある.復旧関連事業は, 開発用地として広大な農地を転用した.これらは, 土地利用の空間変化としてみれば, 住居用地が津波被害の回避を目的として位置移動したに過ぎない.農地は一連の土地利用変更の中で保全・補償される必要があるが, 現状では行われていない.新規開田の抑制方針が維持されているのが主因だが, 地域全体の土地利用を管理するという視点が欠落している.本論では, 農地の資源保全および土地利用管理の観点から, 災害復旧において, 一定の条件を満たす場合に開田を認める「選択的開田」を提案する.

  • 高瀬 恵次, 徳増 実
    2019 年 87 巻 2 号 p. I_211-I_218
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/10/03
    ジャーナル 認証あり

    地下水は貴重な水資源の1つであり, その保全と管理は重要な課題である.しかしながら, 地下水は地表面下の流れであるため, その流動特性や水収支構造を把握することは容易ではない.本研究では, 愛媛県西条平野を対象として, 地表領域, 中間帯領域および地下水帯領域からなる集中定数型水循環モデルを構築し, 同平野の水収支を解析した.まず, 降雨, 河川流量, 地下水位の観測値, 工業・生活・農業用地下水取水量に関する資料などに基づき基本となる水収支要素のデータを作成した.そして, それらをモデルに入力して地下水位の日変動を推定し, 実測地下水位の変動を再現するようにモデルパラメータを同定した.その結果, 計算地下水位と実測地下水位はよく一致し, 本モデルが同平野の水循環構造をよく表現していると判断された.

  • 西田 和弘, 塚口 直史, 柴田 里子, 吉田 修一郎, 塩沢 昌
    2019 年 87 巻 2 号 p. I_219-I_226
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/10/03
    ジャーナル フリー

    低温・低窒素濃度の灌漑水を用いた掛流し灌漑試験を実施し, 水稲の登熟期の掛流し灌漑が玄米タンパク質濃度および白未熟粒割合に与える影響を調べた.その結果, 掛流し灌漑実施水田では, 水口に近いほど玄米タンパク質濃度が低くなり, また, 玄米タンパク質濃度が低いほど白未熟粒割合は高くなった.これらのことから, 低温・低窒素濃度の灌漑水を用いた掛流し灌漑は, 稲の窒素吸収量を減少させる可能性があること, これにより米の外観品質を悪化させる可能性があることがわかった.掛流し灌漑による米の品質向上メカニズム, 最適な水管理法を明らかにするには, 従来考えられている水田・水稲の温度環境への影響だけでなく, 窒素環境への影響, 水田の窒素環境を介した米の外観品質への影響についても検討する必要があると考える.

研究報文
  • 坂田 寧代
    2019 年 87 巻 2 号 p. II_93-II_98
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/08/07
    ジャーナル フリー

    農村地域において復興過程でどのように社会関係が形成されたかという事例の蓄積は,防災減災対策の検討材料となるのみならず,縮減化する農村地域の価値を見直すことにもつながると考えられる.本報文では,2004年新潟県中越地震を契機として結成された山古志木籠ふるさと会を事例として,2016年度に実施した参与観察・聞取りをもとに,都市住民と協働した復興・振興モデルを示した.被災した家屋や小学校などが整備され,都市農村交流,集落連携,被災地間交流が生じた.これらを実現に導いたのは,組織運営の「自由さ」と関係者の「思い」であることが明らかになった.

  • 岡島 賢治, 長岡 誠也, 伯耆 匠二, 伊藤 良栄, 近藤 雅秋
    2019 年 87 巻 2 号 p. II_99-II_105
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/10/03
    ジャーナル フリー

    三重県宮川用水の末端給水栓においてタイワンシジミによる通水阻害の被害が報告されている.このような状況で, 先行研究で宮川用水国営1号幹線水路において, タイワンシジミが管の継手部の窪みに生息していることが報告された.これを受け, 本研究では, 被害報告が少なく, 流速, 管径といった条件の異なる宮川用水国営2号幹線水路で管内調査を行い, タイワンシジミの生息状況の分析などを行った.それらの結果を先行研究と比較するとともに, パイプラインの管勾配や継手部形状による生息数の違いなどを検討した.その結果, 被害報告の多寡によらず継手部で6,000個体/m2程度の高密度なタイワンシジミの生息が確認された.受口下流となる継手部は, タイワンシジミの堆積を抑制する形状となること, 管勾配が10°を超えるような継手部ではタイワンシジミが堆積しなくなることが分かった.

  • 竹村 武士, 森 淳, 渡部 恵司, 嶺田 拓也, 小出水 規行, 石﨑 周
    2019 年 87 巻 2 号 p. II_107-II_112
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/10/03
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    水田に生息するドジョウは鳥類等高次消費者の餌として重要で, その資源量は生態系保全上の関心事項である.著者らは既報で, 実験水田全体に設けた高密度な採捕定点, 採捕個体除去およびDeLuryまたはプログラムCAPTUREを適用した個体数推定実験を行い, 実用的推定値が得られたこと, 周縁部の採捕データのみからの推定に検討価値が認められたことを報告した.これを受け, 本研究では, 将来の一般利用に向け実験水田内に踏み入ることなく採捕可能な周縁部に2m間隔の採捕定点を設け, それによる個体数推定の可能性および更なる採捕定点数削減による省力的な簡易推定可能性を検討した.その結果, このような方法による個体数概数レベルの推定可能性が示唆された.

研究ノート
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