農業農村工学会論文集
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研究論文
  • 鈴木 麻里子, 齊藤 裕仁, 松家 武樹, 松下 晴彦, 井上 一哉
    2020 年 88 巻 2 号 p. I_179-I_184
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/08/05
    ジャーナル 認証あり

    砕石製造過程の濁水処理に伴い発生する脱水ケーキは,大部分が利用されず埋立て処分されている.処分場の残余容量逼迫の緩和および有限な天然資源の確保を図るためにも,砕石脱水ケーキの有効利用が望まれている.そこで本研究では,粘結性に優れる砕石脱水ケーキを遮水材などの土質材料へ利用することを想定し,物理試験や力学試験を実施するとともに土工用粘性土などと比較した.その結果,砕石脱水ケーキは粘性土と大きく異なる性質を有し,特に締め固めた土の一般的な力学的性質と一致しなかった.ゆえに,砕石脱水ケーキは,従来の土質材料の管理手法では扱えない可能性が示唆された.また,砕石脱水ケーキの強度増加には,含水比の低減や粒度調整が有効であり,特に含水比の低減が効果的であることが明らかとなった.

  • 伊藤 浩三, 藤井 三志郎, 丸山 利輔
    2020 年 88 巻 2 号 p. I_185-I_191
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/08/25
    ジャーナル 認証あり

    これまで流域面積雨量は, 地点雨量の観測と情報処理によって推定されてきたが, 山地流域においては観測地点が少なく推定精度に問題があった.現在, 公表されているレーダーアメダス解析雨量(正式名称「解析雨量」)は降水量を面的に把握するため, 流域面積雨量の推定に適していると思われる.本論文は, 手取川山地流域を対象に, 水収支法によって解析雨量の推定精度を検討した.すなわち, 流域蒸発散量と流域流出高が正しいとすれば, 水収支差は通年において約607mm(流域面積雨量に対する水収支差の割合-17.2%)と解析雨量による流域面積雨量は過小な値となったが, 降雪・積雪・融雪の影響がほとんどない夏期(6月下旬~10月中旬)では, 約49mm(4.7%)の収支差で, 推定精度が高いことが示された.以上のことから, 冬期を除いて, 解析雨量は流域面積雨量を正確に推定できることが示された.

  • 加藤 諭, 八木沢 康衛, 川邉 翔平, 緒方 英彦
    2020 年 88 巻 2 号 p. I_193-I_201
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/09/05
    ジャーナル フリー

    現地で行う付着強度試験では,40 mm角形治具を設置し,コンクリートカッタで切込みを行う.しかし,カッタの刃形と治具形状の関係から治具辺長より長く井桁状に切る必要があるため,試験時および試験補修時の作業性,試験補修後の景観性に難点を有する.この解決案として著者らは,円形治具を設置し,コアドリルで切込みを行う試験方法を,現地で行う無機系補修材の付着強度試験方法として提案している.本論では,角形治具と円形治具を用いた付着強度試験を行い,角形治具に対する円形治具の優位性について検討した.その結果,両治具には応力分布に違いがあることが推察され,強度の低い材料で円形治具の付着強度は角形治具より大きくなることがわかった.そして,付着強度試験には,角形治具と同等かつばらつきの小さい付着強度が得られる直径45 mm円形治具が適切であることを明らかにした.

  • 中野 拓治, 治多 伸介, 山岡 賢
    2020 年 88 巻 2 号 p. I_203-I_212
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/09/05
    ジャーナル フリー

    本研究は,生物膜法の農業集落排水処理水について,供用施設(22施設)のデータに基づき,灌漑利用の観点からみたISOガイドラインの水質基準の達成状況を調査し,望ましい運転管理を考察した.処理水のBODとSSの濃度には,接触ばっ気槽の流入水濃度,水量負荷,及び,ばっ気強度が関与し,処理水のBODは通常の運転管理でカテゴリーCをほぼ満足している.ばっ気強度を3m3∙m‐3∙h‐1程度とし,接触ばっ気槽流入水のBOD濃度を30mg∙L-1程度に管理すれば,処理水質はカテゴリーBを確保できる可能性が高いものの,カテゴリーAにするためには,より高いばっ気強度での運転や清掃・堆積汚泥引抜き頻度の増加が必要である.大腸菌群数は,処理水中に残留塩素濃度が0.1mg∙L-1検出されればカテゴリーBを達成できる可能性が高く,灌漑利用には残留塩素濃度への注意が重要である.

  • ― 農業用フィルダムへの適用 ―
    西村 眞一, 西山 竜朗, 平松 研, 千家 正照
    2020 年 88 巻 2 号 p. I_213-I_218
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/09/24
    ジャーナル 認証あり

    農業用フィルダムのレベル2地震動の耐震照査ではニューマーク法が用いられるようになってきている.ニューマーク法は想定される円弧すべり土塊において,円弧中心における土塊の起動モーメントと抵抗モーメントより角加速度を算定し,地震加速度データの時間ステップごとにすべり変位を求めているが,すべり変位により土塊重心が低下し起動モーメントの値が小さくなることは考慮されていない.そこで,本研究ではニューマーク法の計算において,想定されるすべり土塊に滑動が生じた場合には滑動後のすべり土塊のスライスを再分割し,起動モーメントと抵抗モーメントを再計算することで最終的なすべり変位を算定した.その結果,再分割を行った場合ではすべり変位が大きくなるにしたがい起動モーメントの減少が大きくなり,再分割の有無で最終的なすべり変位に大きく差が生じることが分かった.

  • ― 山形県の紅花文化を事例として ―
    谷 悠一郎, 落合 基継, 橋本 禅
    2020 年 88 巻 2 号 p. I_219-I_230
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/09/24
    ジャーナル 認証あり

    本研究では山形県の紅花の利用によって形作られてきた文化を対象とし,文化の実践の地域愛着への寄与について検討した.その結果,現在の紅花文化は農産物としての栽培だけでなく,観賞用の植栽や料理への利用のように日常的な利用がなされることがわかった.また,本地域での地域愛着は5つの因子によって構成される.文化の実践の地域愛着への寄与について共分散構造分析を実施して検討したところ,紅花の料理への利用や地域行事への参加頻度が地域愛着に寄与することが示唆された.一方,紅花の栽培や植栽は栽培者の意識の違いなどもあり統計的には地域愛着を醸成する可能性を持つが,モデルとしては直接的に寄与しないことが示唆された.その一方で収益を目的とした文化実践は地域愛着に寄与せずむしろ低下させうることも明らかとなった.

  • 上田 達己, 遠藤 和子, 國光 洋二, 沖山 充, 徳永 澄憲, 石川 良文
    2020 年 88 巻 2 号 p. I_231-I_241
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/09/24
    ジャーナル フリー

    本研究は,後方連関効果による生産誘発額,付加価値誘発額,温室効果ガス排出量で表す経済波及効果を,多面的機能支払交付金(多面交付金)と農業農村整備事業の間で,および多面交付金の地区間で比較検討した.多面交付金活動に取り組む3地区から収集した支出データと,水路工(開水路)を抽出した農業土木事業投入調査を用いて,地域間産業連関分析と地域シェア法により,市町村・都道府県レベルでの経済波及効果を計測した.結果として,多面交付金と農業農村整備事業の間で,中間投入財の構成や自地域からの調達率に大きな違いがあること,多面交付金のほうが生産誘発効果の自地域への波及割合が大きく,温室効果ガス排出量が小さい傾向にあることが明らかとなった.さらに,多面交付金の地区間でも,活動内容の多様性を反映して,経済波及効果や自地域への波及割合の違いが観察された.

  • 馬場 慎一
    2020 年 88 巻 2 号 p. I_243-I_251
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/10/14
    ジャーナル フリー

    水制工として江戸期に設置された加納猿尾は,犬山扇状地を流れる一級河川木曽川の急流部に現存する猿尾であり,木曽川の猿尾の中で群を抜いて長大な石猿尾で現在も役目を果たしている.本研究では,この加納猿尾について,文献・資料などを基に河川災害の発生から猿尾の設置に至る歴史的経緯を調べると共に,石猿尾の全国調査データを使用して農業土木遺産的価値について考察を加えた.その結果,加納猿尾は江戸初期設置の石猿尾として,現役で日本最大級の水刎ね水制工であることが明らかになった.

  • 有田 博之
    2020 年 88 巻 2 号 p. I_253-I_259
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/10/14
    ジャーナル フリー

    わが国農業は大きな転換点にあり,農業技術の変化のほか,第二次世界大戦後に農地改革で創出された自作農体制の持続の困難化等に対応して,圃場整備方式にもこれに対応できる新たな技術観が求められている.圃場整備方式は歴史的概念であり,時代変化に対する農家による耕地条件の適応過程である.本論では,これに立ち向かう基点として戦後の混迷期に新たな技術観を提示した新沢嘉芽統・小出 進の「耕地の区画整理」をとりあげ,今後の圃場整備技術の課題整理を目的として以下の構成で論じる.①「耕地の区画整理」で提示された技術及び手法・方法論の特徴を明らかにし,②そこにおける技術観の意義・課題について論じるとともに,③圃場整備の新たな技術枠組みについて考察する.

  • ― 茨城県の水田パイプライン灌漑地区における事例調査 ―
    人見 忠良, 中矢 哲郎, 進藤 惣治, 樽屋 啓之
    2020 年 88 巻 2 号 p. I_261-I_269
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/10/14
    ジャーナル 認証あり

    本研究では,土地改良区職員による水利施設管理の労力を定量的に実測・評価することを目的として,水田パイプライン灌漑地区における施設の分布状況,施設管理時の作業内容,作業量および移動量を把握した.職員が管理する167箇所の水利施設における1日当たりの平均作業回数は17回/dであり,平均作業時間は1.5h/dであった.職員が最も多くの作業量を要した施設はポンプ配水施設であり,全作業量の約5割を占めた.一方,全作業内容の中では配水調整に最も多くの作業量を要しており,この作業は1回当たりの作業時間が短く,作業回数が多い特徴を有していた.このため,調査対象の土地改良区において施設管理の省力化を図るためには,ポンプ配水施設等における配水調整の作業量の抑制が有効であることが明らかにされた.

  • ― 愛媛県西条市を事例として ―
    武山 絵美, 才野 友輝, 俊野 沙希
    2020 年 88 巻 2 号 p. I_271-I_279
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/11/28
    ジャーナル フリー

    本研究は,愛媛県西条市の線引き廃止後の旧市街化調整区域(現:都市計画区域内白地)を対象に,宅地転用の住宅種,転用位置,および農業サイドのゾーニングとの関係性に着目して,線引き廃止から数年経過した後にも継続する宅地転用における住宅種別の転用傾向の違いを明らかにするとともに,住宅種と開発者・農地所有者のニーズの関連性を考察した.その結果,建売住宅と共同住宅への転用では面積集積と位置選定が重要であり,条件合意等に一定期間を要した後に転用に至ったと考えられた.旧市街化区域(現:用途地域)周辺に農振白地が存在したことにより,商業性の高い住宅種を選択的に誘導し,同住宅種による周辺農村部での無秩序な開発を抑制することにつながったと考えられる.一方,一般住宅への転用では,潜在的な開発ニーズに対し,転用位置の選択は農地所有者の意向が優先する可能性が見いだされた.

  • ― 石川県・手取川扇状地での事例 ―
    吉本 周平, 土原 健雄, 白旗 克志, 石田 聡
    2020 年 88 巻 2 号 p. I_281-I_294
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/11/28
    ジャーナル フリー

    扇端部小河川への地下水流出の実態を流量観測やラドン・水温などの測定によって明らかにした.河床から流出する地下水は,その水質が扇端部の自噴井や揚水井としてみられる地下水のものと異なることから,自噴井や揚水井をもたらす地下水とは異なる流動経路や涵養源による地下水の影響を受けていると推定された.自記水温観測では河川の上下流で水温差が開く現象がみられ,断続的な地下水流出が推定された.相互相関解析から,夏期にはまとまった降水から地下水流出まで約2–3日の短い時間スケールのプロセスがあり,一方で冬期には周囲の水田の湿潤状態が持続的な地下水流出に寄与していると推定された.以上から,扇端部小河川への地下水流出は,自噴井をもたらす広域の地下水流動とは異なる局所的な水文過程によるものであり,降水だけでなく周囲の水田の水管理が関与しうると考えられた.

  • 光安 麻里恵, 浪平 篤, 吉田 修一郎
    2020 年 88 巻 2 号 p. I_295-I_302
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/11/28
    ジャーナル 認証あり

    小規模灌漑ポンプを対象とした回転速度制御について,モデル化したパイプラインシステムの水理解析をもとに検討を行った.水道分野で適用事例のある末端圧力一定制御の演算方式を水田灌漑に適用する場合の目標圧力曲線の設定方法とそれを用いたポンプの制御方法を提案し,評価を行った.モデル化したシステムを対象に回転速度制御の種々の方式について配水性と水動力を算定し,末端圧力一定制御で4点ある末端全てを実測した場合に配水性が最も高くなることを明らかにした.演算方式は,配水性,水動力ともに末端全てを実測した場合にわずかに劣るものの,1点や2点を実測した場合よりも配水性は優位であり,計画運転点での稼働よりも水動力を約4割まで下げることができ,全点監視が難しい場合は利点があると考えられる.

研究報文
  • 浅野 勇, 石神 暁郎, 森 充広, 川上 昭彦, 川邉 翔平
    2020 年 88 巻 2 号 p. II_35-II_47
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/07/14
    ジャーナル フリー

    凍結融解試験後のモルタル供試体の水流摩耗試験を行い,凍結融解作用がモルタルの耐摩耗性に与える影響を調べた.AE剤を添加した供試体の水中凍結融解試験後の相対動弾性係数は90%以上を保持しており凍結融解による劣化の程度は小さい.一方,AE剤を添加しない供試体の水中凍結融解試験後の相対動弾性係数は打設面で40%未満,底面では70~80%,中心部では80~90%となり,打設面の相対動弾性係数が最小となった.このように部位により大きな差が生じた.AE剤の添加によりモルタル供試体の耐凍害性は著しく向上した.凍結融解試験前の供試体の平均摩耗深さは,水セメント比が小さく表層品質が緻密であるものほど小さい.凍結融解試験後の供試体の平均摩耗深さは,凍結融解作用により供試体表層の相対動弾性係数が低下し組織の脆弱化が大きなものほど大きい.

  • 松田 展也, 森 丈久
    2020 年 88 巻 2 号 p. II_49-II_58
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/07/28
    ジャーナル フリー

    農業用水路の目地補修工法には,施工の容易さや経済性の観点から1成分形シーリング材を使用した目地充填工法が多く採用されている.しかし,1成分形シーリング材は背面水の影響によって施工後早期に膨れや破断,漏水といった変状が生じることがある.本研究では,水路用のシーリング材を対象に,硬化確認試験と背面から水圧を作用させる耐水圧試験を実施し,若材齢シーリング材に発生する変状が止水性に及ぼす影響について評価した.その結果,各シーリング材は0℃の低温下では23℃よりも1~2週間程度強度発現が遅くなった.また,作用水圧が0.02MPaよりも高くなると1成分形および2成分形シーリング材は風船状の膨れや破断が発生し,止水性が低下する傾向を示した.一方,硬化速度が速い3成分形シーリング材は水圧による変形に対して抵抗性が高いことが分かった.

  • 吉永 育生, 嶺田 拓也, 山岡 賢, 渡部 恵司
    2020 年 88 巻 2 号 p. II_59-II_63
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/08/25
    ジャーナル 認証あり

    山形県寒河江市の二ノ堰用水路で繁茂する水草の適切な除去時期について検討した.対象とした用水路は,水温上昇の目的で水深が浅く,流速が遅い.48箇所の調査点を有する4区画を準備し,8月上旬と9月中旬にジェット水流で水草を除去した差異を比較検討した.8月の除去は,9月に水路横の歩道から目視観察すると効果は限定的であったものの,群落高は水面に到達することなく,景観上の問題を引き起こすことはなかった.9月の除去は,10月の群落高をかなり小さく抑える効果を有していた.このため,除去作業の初回は群落高が水面に到達する前の8月上旬,2回目は9月中旬が目安であり,群落の生長が遅ければ2回目の除去作業は不要と考えられる.

  • 塚本 康貴, 唐 星児
    2020 年 88 巻 2 号 p. II_65-II_73
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/09/24
    ジャーナル 認証あり

    北海道の水田地帯に整備されている暗渠清掃用施設「集中管理孔」を,ダイズならびに秋まきコムギへの地下灌漑として利用する方法を検討した.ダイズ,秋まきコムギの吸水量が多い時期に,根域の土壌水分張力が-31 kPa以下になった時点で設定水位を地表下 30 cmとし,設定水位到達から1日後に排水する方法で地下灌漑を行った結果,生育量および子実重が増加し地下灌漑の効果が認められた.また土壌水分張力の観測データを用いて降雨後や地下灌漑後に,再び根域の土壌水分張力が-31 kPa以下の乾燥状態に至るまでの日数を算出した.その結果を用いて,ダイズでは10日,秋まきコムギでは15日以上,日単位で継続した期間に生じた総降水量が20 mm以上となる降雨がない場合に地下灌漑を実施するという判断手法を提案した.

  • 廣瀬 裕一, 齋藤 仁藏, 國賀 武
    2020 年 88 巻 2 号 p. II_75-II_86
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/10/14
    ジャーナル 認証あり

    高品質果実の省力的安定生産を可能とする方法として開発されたマルドリ方式を利用してカンキツを生産する生産者を対象に,評価グリッド法を用いたインタビュー調査によって,マルドリ方式の導入に対する選好性評価および非選好性評価の決定要因を抽出した.選好性評価を決定する主な理由は,労働負荷の軽減や生産する果実の高品質化であった.このことから生産者もマルドリ方式は高品質果実の省力的安定生産を可能とする技術と評価していることを明らかにした.他方,非選好性評価を決定する主な理由は,施設設置の際に生ずる問題や利用上の問題,トラブルに対する不安感,マニュアルがないこと等であり,これらが今後のマルドリ方式の利用を促進する際に解決すべき問題と考えられる.

  • 森 洋, 朝倉 紀樹
    2020 年 88 巻 2 号 p. II_87-II_93
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/11/01
    ジャーナル 認証あり

    青森県内にあるため池堤体の材料強度特性【内部摩擦角(φ),粘着力(c)】等を,在来型一面せん断試験(DST)と現場ベーンコーンせん断試験(VCST)で検討した.ため池堤体材料の主な物理的性質【自然含水比(ω),細粒分含有率(Fc),乾燥密度(γd)】から,堤体盛土の多くはため池周辺部の地盤材料を利用して築堤されてきたことが想像できる.DST結果では,垂直応力(σv)の増加に伴って,せん断応力比(τ/σv)は0.5付近に収束し,垂直変位量の多くは圧縮側へ変位する傾向にあった.VCSTでは,τ/σvのバラツキが大きく,現状での試験結果の精度には問題があると考えられる.DSTの内部摩擦角(φd)とVCSTの内部摩擦角(φv)による相関性は見受けられなかったが,DSTの粘着力(cd)はVCSTの粘着力(cv)と比較して全体的に大きかった.また,Fc/ωに対するφd × γdの相関性が一定程度確認できた.

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