香川県内の調整池型ため池(以下,O池)を対象に,再現期間10年程度の2回の降雨イベントにおける水管理の実施状況を明らかにするとともに,洪水貯留効果を検討した.両対象降雨イベントにおいて,O池は周辺河川の最高水位発生時刻を含む時間帯に洪水流を貯留し,その影響度合いは直下流の河川流量からみて小さくなかったと考えられる.特にため池上流河川の水位に2度のピークがみられた2022年9月の降雨イベントにおいて,1度目のピークの時刻前後に貯水池取入口のゲートが閉鎖され当該時間帯のため池への洪水流入量が抑えられたことは,後続する2度目のピーク時(最高水位発生時刻)を含む降雨継続時間を通じた空き容量維持に寄与したといえる.
本研究は,ゾーニング形式の異なる各種フィルダムの小型振動台模型実験結果を,ひずみ軟化モデルを用いた静的・動的弾塑性有限要素解析で比較・検討した.ゾーニング形式の異なる6ケースでの円弧すべり計算と静的弾塑性有限要素解析から得られる限界水平震度は一致する傾向にあるが,ゾーニング形式によっては円弧すべり計算による円弧すべり面形状と解析による最大せん断ひずみ分布が異なる場合もあった.また,ゾーニング形式の異なる6ケースでの小型振動台模型実験による天端部での沈下挙動や破壊モード特性を,ひずみ軟化モデルを適用した動的弾塑性有限要素解析により再現できる可能性を示した.
ため池の防災工事等の集中的かつ計画的な推進を目的とした洪水吐のプレキャスト化では,斜面への部材の据付けを容易とするため放水路を階段状とすることが提案されている.階段状の放水路では流水のエネルギーが減勢されるため,減勢工の小規模化が期待される.そこで,通常の傾斜水路による放水路に対する減勢工と同程度の減勢効果を得るために必要となる階段状の放水路に対する減勢工の規模について,適用範囲が広いと考えられる副ダム型減勢工を対象として,水理模型実験によって検討した.その結果,本研究の条件では,副ダムの高さを傾斜水路による放水路に対する減勢工の設計値と同一とすれば,水叩きの長さは2/3程度に短縮できる可能性が高いことが確認された.
ナガイモ栽培では作物の地下茎の伸長特性に適合するよう畑地を耕起する必要があり,一般的にはトレンチャーを用いて植え溝が形成されている.本研究の目的は,黒ボク土のナガイモ圃場において,土壌水分動態と植え溝土壌の力学的挙動(ひずみゲージを利用)を観測することで,植え溝の穴落ち挙動への理解を深めることにある.筆者らは,降水量,土壌水分,植え溝内部のひずみを連続計測した.7月中旬の豪雨を受けて,植え溝の20 cm深ではステップ状のひずみが確認され,下位深度ではクリープ的なひずみが生じた.9月下旬の豪雨の後,20,40 cm深において,センサー部の凹凸形状が逆転するひずみ挙動が認められ,3週間後の10月中旬に80 cm深のひずみが急激に増加した.以上より,栽培期間中の植え溝土壌の塑性変形挙動が明らかになり,穴落ちのメカニズムを理解する上で有用であることが示された.
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