農業土木学会論文集
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1978 巻, 75 号
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  • 粘土質土壌の土粒子表面物性に関する研究 (I)
    矢沢 正士
    1978 年 1978 巻 75 号 p. 1-7,a1
    発行日: 1978/06/25
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
    粘土質土壌の土粒子表面物性の一側面としての,水蒸気吸着法によるいわゆるH2O比表面積について,各種土壌別(非火山灰下層土,火山灰表土,火山灰下層土)の特徴,CECや吸着カチオン種との関連,コンシステンシー限界との対応関係などについて実験的な検討を行った。
    得られた結果は次のように要約される。
    1.脱水過程のH2O比表面積を平均的にみると,火山灰表土で最も大きく200~320m2/gであり,次いで火山灰下層土150~340m2/g,非火山灰下層土は最も小さく70~160m2/9であった。脱水過程と吸湿過程のH2O比表面積の減少率は,非火山灰下層土では約30%の値を示すのに対し,火山灰土壌の表土と下層土はともに50%前後の値を示し,火山灰土壌の水蒸気吸着のヒステリシスは大であった。
    2.H2O比表面積とSchofield法によるCECとの関係において,非火山灰下層土と火山灰表土ではほぼ直線関係が認められたのに対して,火山灰下層土では一定の関係は認められなかった。
    3.単一カチオン吸着土としてのNa土とCa土の水蒸気吸着特性を比較すると,非火山灰下層土では吸着カチオン依存性が存在するのに対し,火山灰表土と下層土はほとんど変化は認められず,土粒子のカチオン吸着基の質的差異の反映とみなされる。
    4.土・水系の力学的転移点としてのコンシステンシー限界とH2O比表面積の関係において,LL,PL,SLについては,H2O比表面積とほぼ直線関係が存在するが,水中沈定容積については,土粒子の荷電特性とH2O比表面積の両者が関与している。
    謝辞 本研究の実験の一部を担当した北海道大学農学部土質改善学教室専攻生の大沢正人君に感謝の意を表する。
  • 萩原 守, 竹中 肇
    1978 年 1978 巻 75 号 p. 8-11,a1
    発行日: 1978/06/25
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
    電気泳動易動度の測定から,風乾がアロフェン土壌の弱酸域における陽性コロイド的性格を促進させること,pF4.8の水分状態においても,この傾向が現われ始め,アロフェン土壌の非晶質成分の一部はpF4.8においてすでに変質していることを指摘した。
  • 土壌内における熱と水分の移動に関する研究 (II)
    新庄 彬
    1978 年 1978 巻 75 号 p. 12-19,a1
    発行日: 1978/06/25
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
    以上,熱と水分の移動に関する問題として半無限土壌体が仮定できる条件の場合に対して解析的に取扱ってみた。
    はじめの部分では水分拡散係数として実測値を用いるだけでなく,実測値に種々の定数を乗じその各場合についても水分量分布の計算値と測定値との比較を行い,その中で最適と考えられる場合の拡散係数を最小自乗の原理を適用して選択し,それを土壌面蒸発があるときの問題に適用,解析した。
    得られた結果を以下に要約する。
    i)土壌面密閉の場合の水分量分布の測定値と計算値とを比較した結果,とくに土壌表層付近の水分量変化(脱水過程)が深層部(吸水過程)のそれに比して大きいために水分拡散係数として実測値より小さい場合のものを適用すれば両春はよく一致する傾向にあった。
    ii)i)の結果は前報の結果すなわち吸水過程の水分拡散係数は脱水過程のそれより大であるという結果とも一致するものである。
    iii)土壌面蒸発があるときの水分量分布の測定値と計算値とはよい一致をみた.
    iv)土壌表層付近の水分が吸着水の領域になるとdh/dwの項が存在することを確かめ,(17)式中の補正係数ε1とε2とのオーダを比べた結果,ε2はε1の1/10以下であると推定した。
    v)水分量分布に及ぼす温度項の影響を評価し,土壌深層部における水分増加(初期水分量以上の)については温度差による水蒸気移動項を考慮しなければ説明がつかないことを指摘した。
    vi)温度分布の測定値と計算値とはよい一致をみた。このことは熱伝導係数が乾燥密度の3乗にほぼ比例することの妥当性を推定するものである。
  • ライシメーターに充テンした黒ノッポ (火山灰) 土壌と磐田原 (洪積) 土壌の比較
    粕淵 辰昭
    1978 年 1978 巻 75 号 p. 20-25,a1
    発行日: 1978/06/25
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
    土壌の水・熱収支に及ぼす土壌の物理的性質の影響を定量的に把握するため,ライシメーターに充てんした2種類の土壌について,地下水位一定の裸地条件で水・熱収支を測定した。熱伝導率が小さく,透水係数の大きい黒ノッポ(火山灰)土壌では,予測される以上に地中熱流量は小さかった。他方,熱伝導率が大きく,透水係数の小さい磐田原(洪積)土壌では,土壌の熱的性質を強く反映して,地中熱流量は大きかった。
  • 畑地カンガイにおける降雨の有効利用に関する研究 (III)
    矢部 勝彦
    1978 年 1978 巻 75 号 p. 26-32,a1
    発行日: 1978/06/25
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
    畑地カンガイにおける降雨の有効利用に関して,カンガイ土層深の5cmの違いがカンガイ水量で約7mmにも相当することから,カンガイ土層深-カンガイ開始決定土層深をそれぞれ10~10cm,10~20cm,15~20cm,15~30cmおよび20~30cmに設定して試験を行い,降雨の利用状況および水の利用状況について土壌水分の変動状況と水収支等の結果から,これら各種カンガイ水の適用方法の優劣ならびに規制要因等が明らかにできた。
  • 山本 太平, 長 智男
    1978 年 1978 巻 75 号 p. 33-40,a1
    発行日: 1978/06/25
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
    トリクル法は,従来の散水および地表法に比べて,すぐれた特徴を有するので,乾燥地域に適したカンガイ方式として最近急速に世界中に発展しつりある。本研究は,トリクル法が日本の砂丘地において顕著な効果を期待することができることに着目した。砂丘地のハウス内の条件下で,トリクル法と散水法の研究を行い,根群域内における土壌水分分布,蒸発散量,適用効率などについて比較検討し,トリクル法の利点を明らかにした。
  • 農地排水計画における単位図の統計的作成法 (II)
    望月 由三
    1978 年 1978 巻 75 号 p. 41-46,a1
    発行日: 1978/06/25
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
    透水性の異なる多数の流域で,人工降雨試験により表面流戯の起る条件を定量的に朗らかにした。これにより従来,流出係数は一連の連続降雨の累加量によって決定されていたものを,単位時間ごとの降雨強度によって決定する方法を明らかにした。また単位図法による流出解析で,流域特性別に直接流出強度を算定する式を提案した。
  • 高橋 強, Bishay G. BISHAY, 長堀 金造
    1978 年 1978 巻 75 号 p. 47-53,a1
    発行日: 1978/06/25
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
    暗キョの排水口は排水路水位よりも高い位置になければならないが,必ずしもこの条件は満たされておらず,排水口が水没していることが多い。本報ではこのような場合における地下水面の挙動を明らかにすることを目的として,まず,理論的解析を行ってから,児島湾干拓地において行われた現地試験の結果と比較検討した。また,このような場合の地下水面形やその低下速度に与える影響についても合せて検討を加えた。
  • タン液循環式水耕栽培組織に関する研究 (II)
    村上 康蔵, 黒目 修弘
    1978 年 1978 巻 75 号 p. 54-61,a2
    発行日: 1978/06/25
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
    栽培槽における経過時間と給液量,越流液深,排液量,排液器のセキ幅,欠口高等との水理関係式を導出するとともに,排液器の越流係数を決定するため単独栽培槽を用いて給液量,セキ幅および欠口高の実用的な範囲で36通りの越流実験を行った。得られた水理式より栽培槽側壁高,排液器のセキ幅および欠口高の合理的設計が可能となる。また栽培槽の計算排液ハイドログラフは,排液管断面,貯液槽容量の合理的計算の基礎となる。
  • 凍結・融解土の特性に関する研究 (IV)
    長沢 徹明, 梅田 安治
    1978 年 1978 巻 75 号 p. 62-67,a2
    発行日: 1978/06/25
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
    土に対する凍結融解作用の影響を検討するため一軸圧縮試験を行った結果,いくつかの與味深い知見が得られた。凍結融解土の強さは0~-10℃で非常に低下するが,風乾土の場合はこの効果がみられない。この強さの低下量は供試体の乾燥密度に関係なく一定の傾向にあり,含水比をファクターにとるとある点でピークを示す。また,粒度が粗くなるほど低下量は小さくなり,圧縮破壊時のヒズミは凍結融解土で大きくなる傾向にある。
  • 吉田 昭治
    1978 年 1978 巻 75 号 p. 68-75,a2
    発行日: 1978/06/25
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
    土の変形挙動にとって最も特徴的なダイレタンシーを偏差応力による体積ヒズミであると定義し,土は本質的に異方性体として扱う必要がある,ということを原理的に示した。この異方性の他に変形の非線形性,圧縮性などを考慮して応カーヒズミ関係の定式化を試みた。この理論的予測と平均応カー定三軸試験結果や平均応力と偏差応力がともに連続的に変化する側圧一定試験結果との比較において,ともによく一致することを確かめた。
  • 最適設計過程としての斜面安定解析 (2)
    長谷川 高士
    1978 年 1978 巻 75 号 p. 76-80,a2
    発行日: 1978/06/25
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
    前論文で提示した方法の斜面最適設計への適用法を示した。まず,斜面の最適設計なるものの定義について考察し,施工費は斜面の切盛に比例すると仮定できるものとした。こうすれば,施工費の増減は斜面角度の増減と対応して起ると見なせる。その結果,安全性の限界に向かう設計平面上での移動が,基本的には施工費の最適に向かうものとなる。以上に基づき,任意設計段階で斜面のもつ安全率の余裕を消去する逐次過程を構成した。
  • 1978 年 1978 巻 75 号 p. 80
    発行日: 1978年
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
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