火山灰土壌の不攪乱土の収縮挙動と土壌構造の関係を明らかにするため, 噴出源や土壌型を異にする数種の火山灰土壌を供試して実験的な検討を行った。得られた結果は, 次のように要約される。
1) 間隙比と含水比の関係で表示した収縮曲線の形態的特徴から, 不攪乱土の収縮タイプとして次の2種類が存在した.
I型: 構造収縮と残留収縮から構成され, 正規収縮は存在しない。
II型: 構造収縮, 正規収縮, 残留収縮から構成される。
2) 不撹乱土の収縮タイプは粘土含量により左右される傾向が認められ, 粘土含量が30%以下の試料でI型, 30%以上の試料でほぼII型を示した。
3) 不攪乱土の体積収縮率は, I型の収縮タイプの試料よりII型の試料で大きく, 粘土含量の影響が最も大きかった。
4) 不攪乱土と練返し土の収縮曲線を比較すると, すべての試料において不撹乱土の最終間隙比の値は練返し土のそれより大きく, これは不攪乱土に存在する土壌構造の影響とみなされた。
5) 不攪乱土の構造指標として採用した構造発達係数(不攪乱土の最終間隙比/練返し土の最終間隙比)を算出すると, 供試した火山灰士壌の値は非火山性土壌の値(前報)より大きく, 火山灰土壌では構造の発達が一般に良好である傾向が認められた。
6) 収縮挙動に基づき, 不攪乱土の間隙内容を構造性間隙, 収縮性間隙, 死間隙に分類した。
7) 構造性間隙量と構造発達係数の問には, ほぼ正の比例関係が認められた.
8) 構造性間隙量は有機物含量と密接に関連しており, 有機物含量の多い試料ほど土壌構造の発達が良好であることを明らかにした。
9) 構造発達係数と飽和透水係数, 重力水(pF1.6以下の水分量)の間には, いずれも密接な関連が認められた。
10) 構造性間隙量と保水性および収縮性間隙量の関係を検討することにより, 火山灰土壌の表層土と下層土の間隙構造の特徴を明らかにした。
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