農業土木学会論文集
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1988 巻, 135 号
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  • 輪換田の水移動に関する研究
    足立 一日出
    1988 年 1988 巻 135 号 p. 1-8,a1
    発行日: 1988/06/25
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
    耕盤を破砕した輪換田の浸透抑制方法として, 代かきのみに着目し, 室内実験結果を踏まえて, その浸透抑制のメカニズムと浸透抑制効果の評価法について検討した。その結果, 土壌の粘土含量によって, 浸透抑制のメカニズムが異なることを示した。すなわち, 粘土含量の多い土壌は, 代かき層直下の目詰まりが, また, 中位の土壌では, 撹梓層下部に形成される最も大きな乾燥密度が浸透抑制に重要な役割を果たす。そして粗な粒度の土壌では, 表層に沈積した粘土の層が浸透を減少させる。次に, 代かき層の粘土含量と代かき層の最も大きな動水勾配を用いた, 代かきによる浸透抑制効果の評価法を提案した。
  • 水田圃場の用水需要に関する実証的研究 (III)
    渡辺 紹裕, 丸山 利輔, 三野 徹
    1988 年 1988 巻 135 号 p. 9-15,a1
    発行日: 1988/06/25
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
    水田圃場における栽培管理用水量を, 滋賀県に設けた16筆の調査圃場において, 5ヵ年間高精度で実測した.その構成要素である掛流し水量と強制落水量を分離し, その量の全供給水量に対する割合を整理した。
    その結果, 栽培管理用水量は年平均で1.1mm/d(全供給水量の11%)であり, その多くが掛流し水量であることが示された。また, 生育期・圃場によってその量は大きく異なり, その変動の多くは, 地区の基本的な水管理と圃場・耕作者の条件によって説明することができた。一方, 示された栽培管理用水量の性格を考慮すると, 水田用水量計画においては, 現時点では, この量を独立して推定することは難しいと判断された。
  • 水田圃場の用水需要に関する実証的研究 (IV)
    渡辺 紹裕, 丸山 利輔, 三野 徹
    1988 年 1988 巻 135 号 p. 17-24,a1
    発行日: 1988/06/25
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
    水田圃場において, 降雨が流出せずに貯留されることを「降雨有効化」と定義し, 滋賀県に設けた17筆の調査圃場で5ヵ年間, その実態を高精度で実測した。延752降雨について有効雨量(有効化された雨量)と有効化率を求め, 圃場特性や降雨時の条件との関係を整理した。
    その結果, 有効化率については, 以下のことが示された。(1) 潅概期平均では64%であるが, 圃場による差が顕著であり, 生育期別でも変化している。(2) 透水性の高い圃場で大きいなど, 圃場の自然特性に強く規定されている。(3) 降雨時が非湛水状態であればとくに大きくなる。(4)平均的には, 有効雨量の上限は40mm程度で, 50mmまでの降雨の80%が有効化されている。
  • 農地侵食におけるリル生成ならびに発達機構に関する実証的研究 (I)
    高 文煥, 佐藤 晃一
    1988 年 1988 巻 135 号 p. 25-32,a1
    発行日: 1988/06/25
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
    農地造成地において, 作物栽培開始前まで裸地状態にて生じる侵食現象に対する調査および分析を行った。
    短期間に生じる侵食現象はリル侵食が主な侵食であり, リルの形態的な分布と規則性および降雨性による伸長などを調べた。次数化されたリル特性と侵食に対する寄与度の検討と構成要素などについて検討を行った。また, 斜面長を異にするプロットを設けて, リルの生成と発達, 侵食様相の区分, 侵食の割合などについて考察した。さらに, 地表面の高低変化により算定した侵食量とのUSLEによる同期間の土壌流亡予1測量を比較して, USLEが短期間土壌流亡量予測に適用できるかどうかについて検討した。
  • 橋本 昭洋, 佐藤 洋平, 丹羽 冨士雄
    1988 年 1988 巻 135 号 p. 33-39,a1
    発行日: 1988/06/25
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
    本研究は, 農林水産省の助成による(農村総合整備)モデル事業を国庫補助による農村整備政策の一例として取上げ, それが農村の生活環境整備およびその市町村格差是正に及ぼした効果を評価している。すなわち, 昭和51年および58年の2時点における全国農村の生活環境整備水準を幾つかの整備指標で測定し, それらをモデル事業の進ちょく状況による市町村タイプごとに統計的に比較`検討する。その結果, 両時点間の整備水準の向上度には, それにより, モデル事業は農村の生活環境整備に効果を有し, 市町村間の整備格差是正に有用であると結論している。
  • 接触曝気槽内DO濃度と脱リン
    西口 猛, 高橋 強, 治多 伸介
    1988 年 1988 巻 135 号 p. 41-47,a1
    発行日: 1988/06/25
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
    鉄製炉材接触曝気法は, 簡便・安価に高率のリン除去ができるが, 除去率が徐々に低下するという欠点がある。
    本研究ではその欠点を改善することを目的として, 曝気槽内のDO濃度と鉄イオン溶出特性, および鉄の腐食原因を明らかにするための実験を行った。その結果,(1)DO濃度が高い場合は, 酸素拡散による電気化学的腐食が起こり, 初期には高率のリン除去が行われるが, その後は徐々に低下すること,(2)DO濃度が低い場合は, 生物膜中の硫酸塩還元菌によるバクテリア腐食が起こり, 安定したリン除去が行われること, 等が明らかになり, 鉄製炉材接触曝気法には, DO濃度を低くしてバクテリア腐食を利用するのが有利であるという知見が得られた。
  • 中野 俊郎, 吉田 昭治
    1988 年 1988 巻 135 号 p. 49-56,a2
    発行日: 1988/06/25
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
    液性限界近傍の含水比で粘性土を練返したものを, 飽和度を高めるために脱気し, これを試作した型枠内で圧密し, 再現性のある供試体について等方圧縮試験および一連の平均主応カー定試験を行い, 異方・非線形変形係数を決定するのに必要な, 統一した5個のファクタを決定した。得られたこのファクタを用いた計算値は, 三主応力が異なる場合の粘性土の応カーひずみ関係をも, よく表すことができた。
  • 尾原 祐三, 森 富雄, 富樫 豊, 白石 幸久, 川本 兆万
    1988 年 1988 巻 135 号 p. 57-66,a2
    発行日: 1988/06/25
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
    約65mの幅の大規模な断層破砕帯を基礎に有するフィルダムを一つの事例として, FEM数値解析および模型実験による堤体の安全性や破砕帯・堅岩部における掘削形状を検討した。
    具体的には, 底面摩擦実験装置を用いて模型実験を行い, またFEMによる(増分法)非線形応力解析を行った。扱った掘削形状については, アバット取付部の位置を堅岩と破砕帯の境界にあわせるケースと, あわせないケースを考えた。本研究により,(1)破砕帯による堤体の沈下性状が解明され,(2)基礎岩盤の掘削について有利な形状が検討され,(3)破壊モードを明らかにするには模型実験が有効であることが確認された。
  • 大野 研, 近藤 武
    1988 年 1988 巻 135 号 p. 67-73,a2
    発行日: 1988/06/25
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
    ファジィ集合理論を土構造物内の浸透流問題に適用する試みを実施。透水係数が, 土の本質的な不確定性, 実験を行う人間による実験的不確定性, 実験結果と経験に基づいて透水係数を決定する人間に'よる不確定性等の多くの不確定要素を持つことは周知である。そこで, 透水係数をファジィ集合で表すことにより, 浸透流解析に不確定な透水係数を取入れることを考える。その不確定性の調査は, 土の測定についての技術者の判断についてのアンケートで行っている。その結果, ファジィ集合理論を適用した方が, 確定的な透水係数の値を用いるよりも, 合理的な土構造物の設計につながると結論した。
  • 中崎 昭人, 篠 和夫
    1988 年 1988 巻 135 号 p. 75-81,a2
    発行日: 1988/06/25
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
    透水性地盤上に築造された2列の止水壁のある取水ダム下の浸透流量について論じた。取水ダムの上・下流端に止水壁を設けた場合の2列の止水壁の深さおよび透水性地盤の深さが浸透流量に与える影響を調べた。解析は等象写縁法によった。その結果, 一方の止水壁の深さが浅い場合には他方の止水壁の浸透流量抑制に対する効果が大きく現れるが, 一方の止水壁が深くなるに従い, 他方の止水壁の効果が減少してくること, 2列の止水壁の深さの和が一定であるような場合には, 同じ深さの止水壁とするより, 一方の深さを深くする方が浸透流量抑制には効果が大きいこと, 等がわかった。
  • 新垣 雅裕
    1988 年 1988 巻 135 号 p. 83-89,a2
    発行日: 1988/06/25
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
    排水不良の階段畑において削孔速度を変えて弾丸暗渠の施工を実施し, 暗渠断面の閉塞化の問題を検討した。施工後の削孔断面の形状を実測し, 土壌の粘弾性挙動に関する実験的考察を加え, 削孔断面をなるべく維持するための施工法についていくつかの知見を得た。これらを削孔方法と土層条件に分けてまとめた。
    削孔方法に関するもの:断面維持の面から施工(削孔)速度は遅い方がよく, また削孔体は長いものが有利である。
    土層条件に関するもの:土層は乱さない状態がよく, 土層の緊密化は一般に不利となることが推定された。土壌水分量は一般に少ない方が有利であると判断された。
  • 自励振動現象とその発生機構
    長 勝史, 黒田 正治, 長 智男
    1988 年 1988 巻 135 号 p. 91-98,a2
    発行日: 1988/06/25
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
    管路内の圧力制御に用いられる減圧弁は, 管路の流況変更に対する応答感度を任意に設定できる。減圧弁の設定感度によって過渡現象時に管内に通じる圧力変動が大きく異なる。減圧弁の動きを境界条件にして過渡現象時の減圧弁の応答と, 圧力の変動状況および自励振動とその発生機構についてシミュレーションによる検討を行った。管内に最も大きな圧力振動を誘起するのは, 減圧弁の応答に幾分かの遅れがある場合である。その減圧弁の応答によって付加されるエネルギが, 系内で消失されるエネルギを上回る場合には, 自励振動現象が発生する。減圧弁に自励振動を誘起する関係要素は, 減圧弁の装置位置と流況変更後の流速および減圧弁の設定感度である。
  • 跳水型落差工に関する実験的研究 (I)
    泉 完
    1988 年 1988 巻 135 号 p. 99-106,a3
    発行日: 1988/06/25
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
    農業用水路に築造される跳水型落差工の静水池に減勢ブロックを設置したときの水理設計を行うとき, 減勢ブロックの抗力係数は, 重要な要因となっている。本報告は, このタイプの落差工の水理設計を行うための基礎資料を得るため, 減勢ブロックの抗力係数を抗力測定から直接求め, ブロックの設置位置と抗力係数, 越流形態, エネルギ損失量および下流水深の関係について実験的に検討したものである。本実験の結果, 低フルード数領域(Fr1=3.0~4.5)の範囲でブロックの配置方法を1個1列, 3個1列にしたときの抗力係数とエネルギ損失係数の実験式を得ることができた。
  • 松下 玄
    1988 年 1988 巻 135 号 p. 107-117,a3
    発行日: 1988/06/25
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
    急勾配水路上の人工大型粗度 (桟粗度ブロック粗度) の水理特性を実験的に追求した。急勾配水路大型粗度の流れは擬似階段工流, 撹乱流, 擬似滑面流 (仮称) に分類される。擬似階段工流について, まず生起条件すなわち, 粗度, 寸法, 配置と水理量の関係を各粗度の場合について求め, 次にこれらの流れの流量関係式を示した。擬似滑面流について, まず各粗度の場合の撹乱流との境界を実験式で示した。次に, 抵抗則は緩勾配桟粗度水路でのKnight-Macdonaldの整理法にならって整理したが, 桟粗度では粗度状態と水深によって2群に分類される。しかし, ブロック粗度では1群である。そしていずれも一つの抵抗法則で表されることを示した。
  • 赤江 剛夫
    1988 年 1988 巻 135 号 p. 119a-121
    発行日: 1988/06/25
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
  • 取出 伸夫
    1988 年 1988 巻 135 号 p. 119
    発行日: 1988/06/25
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
  • 1988 年 1988 巻 135 号 p. e1
    発行日: 1988年
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
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