鉄製炉材接触曝気法は, 簡便・安価に高率のリン除去ができるが, 除去率が徐々に低下するという欠点がある。
本研究ではその欠点を改善することを目的として, 曝気槽内のDO濃度と鉄イオン溶出特性, および鉄の腐食原因を明らかにするための実験を行った。その結果,(1)DO濃度が高い場合は, 酸素拡散による電気化学的腐食が起こり, 初期には高率のリン除去が行われるが, その後は徐々に低下すること,(2)DO濃度が低い場合は, 生物膜中の硫酸塩還元菌によるバクテリア腐食が起こり, 安定したリン除去が行われること, 等が明らかになり, 鉄製炉材接触曝気法には, DO濃度を低くしてバクテリア腐食を利用するのが有利であるという知見が得られた。
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