農業土木学会論文集
Online ISSN : 1884-7234
Print ISSN : 0387-2335
ISSN-L : 0387-2335
1989 巻, 140 号
選択された号の論文の9件中1~9を表示しています
  • 土壌の団粒に関する研究 (VI)
    山田 宣良
    1989 年 1989 巻 140 号 p. 1-6,a1
    発行日: 1989/04/25
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
    粘土分,CaCO3および油粕の量を制御した5種類の処理区を,ラテン方格法によって配分した砂質土壌の畑地において,1982~87年度にソバ,大豆,ハダカ麦,ジャガイモ,トウモロコシを栽培した。
    主として土壌の団粒が作物の出芽率と収量に及ぼす影響,および作物の栽培に伴う団粒率の変化について検討を加えた結果,(1)団粒率の増加は,出芽率の安定と収量の相対的増加とをもたらすと,(2)大豆およびジャガイモの栽培に伴って団粒率が増加することが判明し,土壌物理学的にみて,大豆とジャガイモとを導入した輸作が望ましい作付体系であることを示した。
  • 湿潤地域における畑地潅概用水計画の研究 (II)
    江崎 要, 駒村 正治
    1989 年 1989 巻 140 号 p. 7-18,a1
    発行日: 1989/04/25
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
    日本の畑作先進地帯であるM地区のF.P.(C)工区,H地区のS工区を対象に,畑作用水の利用実態を精査し,とくに一日内における用水利用の時間的変動特性を明らかにした。「時間~ 用水使用量」の関係は,M地区では多用水利用日10傑の検討から三角形状ないし台形状,H地区は長方形状の,比較的簡単な図形に模式化できた。
    この模式化図形を農業水利施設システムの流況解析,たとえば,F.P.容量の検討に利用できないか研究を進めた。F.P.への流入は定量,流出は模式化図形と実使用量ペース,流入・流出は等量とし,F.P.の水収支から必要バッファー容量を算出した。模式化図形は十分利用できるが,安全率を考慮し1.5倍にすべきことを明らかにした。
  • 輪換田の水移動に関する研究
    足立 一日出, 井上 久義
    1989 年 1989 巻 140 号 p. 19-26,a1
    発行日: 1989/04/25
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
    土壌の異なる三種類の輪換田を用いて,代かきによる浸透抑制効果と,その浸透を支配する要因について検討した。
    土壌の種類によって,代かきによる浸透抑制効果と代かき後の暗渠流出量の減少傾向が異なった。これらの現象は,代かきによる団粒の破壊の程度と水中沈定容積の変化から検討が試みられた。
    一方,圧力水頭分布から検討した浸透抑制層の位置は,土壌によって異なるが,代かき層下部とその直下に存在することが明らかとなった。これらの事実は,代かき層下部の土壌の密な締まりと,その直下の亀裂の目詰まりによるものと推定された。
  • 有機質土のポリエチレングリコール吸着特性 (I)
    石田 智之, 三野 徹, 丸山 利輔
    1989 年 1989 巻 140 号 p. 27-32,a1
    発行日: 1989/04/25
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
    有機質土の表面構造に関する情報を得るために,さまざまな吸着媒(有機物含有量の異なる土壌)・吸着質(分子量の異なるポリエチレングリコール)・溶媒(ベンゼンおよび水)を用いて,吸着実験を行った。三者の組合わせの相違に伴う吸着量の多寡を検討した。溶媒が吸着量の主なる規定要因であった。ベンゼン系においては,分子サイズの効果が顕著になり,分子量の増大に伴って吸着量は減少した。分子サイズの効果は表面の幾何学的構造性と密接に関連していると推定された。他方,水系におりては,水と高分子の競合吸着の効果が顕著であった。競合吸着の効果を解析することによつて,表面の化学的親和性に関する情報を抽出できることが示唆された。
  • 有機質土のポリエチレングリコール吸着特性 (II)
    石田 智之, 三野 徹, 丸山 利輔
    1989 年 1989 巻 140 号 p. 33-39,a1
    発行日: 1989/04/25
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
    有機質土の乾燥効果を明らかにするために,乾燥土と湿潤土それぞれについて,吸着量を測定し,吸着等温線を作成した。その結果,有機物含有量の相違に伴って,その吸着挙動は大きく変化することが明らかになった。さらに,乾燥履歴の有無によっても,大きく変動することが明らかになった。また,統計熱力学的考察に基づく吸着平衡モデルを構築し,このモデルにより,実験結果を解析した。その結果,有機物含有量の相違に伴う吸着挙動の相違は,有機質土,高分子間の界面張力と有機質土・水間の界面張力の相互関係によって規定されることが示唆された。その示唆に基づき,有機質土の乾燥効果について,考察を加えた。
  • マトリック・フラックス・ポテンシャルを用いた土壌水分移動の解析 (IV)
    清沢 秀樹
    1989 年 1989 巻 140 号 p. 41-49,a1
    発行日: 1989/04/25
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
    前報で導いた蒸発時の土壌水分変化を表す近似解をもとに,水分拡散係数Dを算定する3種類の方法を提案した。それらは,(1)蒸発速度eと水分分布θ(x)からマトリック・フラックス・ポテンシャルφとθの関係を求める方法,(2)土層の平均水分量θと不透層の深さでのθlとの差を表す近似式による方法,(3)減率期についてD(∂)∞d(Ine)/dtがほぼ成り立つことを利用する方法,から成る。土壌カラムの実測値を用いてD(θ)を求めると,各方法によるDはほぼ一致した。また,このDを用いた差分解が元の実測値とよく一致することから,これらのDの算定法が妥当であり,低水分領域の透水性を測定する有効な手段となり得ることを示した。
  • 甲本 達也, 加来 研
    1989 年 1989 巻 140 号 p. 51-56,a2
    発行日: 1989/04/25
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
    砂地盤におけるコーン支持力をコーン表面の粗度を考慮して解析するために,まずコーン表面の粗度特性を明らかにした。直接勢断試験磯を用いて風乾した豊浦砂の定体積摩擦試験および定体積勢断試験を行った結果によると,通常用いられるコーンの場合,コーン表面の粗度μ(=δ/φ:δはコーン表面と砂との摩擦角,φは砂の勢断抵抗角)は砂の密度によらずμ=0.27とほぼ一定であった。つぎに,コーン支持力解析を三次元軸対称条件下にすべり線解法を用いて行い,コーン表面粗度を考慮に入れたコーン支持を求めた。さらに,μ=0.27に対するコーン支持力の理論値は既存のコーン貫入試験結果と非常によぐ一致することを明らかにした。
  • 農業用水の送水過程におけるアオコ (藻類) と水質の変化に関する研究 (I)
    田淵 俊雄, 青山 和夫, 久保田 治夫, 上田 晃一
    1989 年 1989 巻 140 号 p. 57-63,a2
    発行日: 1989/04/25
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
    藻類が大量発生した湖水を送水する過程でアオコと水質がどのように変化するかを調べた。湖水の取水点ではSS,Chl-a,DO,Org-Nの値は非常に高かったが,21km離れた送水先ではこれらはいずれも著しく減少した。しかし,無機態窒素とリン酸態リンは逆に増大した。
    これはアオコ(藻類)を含んだ水がパイプラインの中を流動する過程で,アオコが分解したり沈澱するために起こるものと思われる。アオコが分解すると水中の溶存酸素が消費されてDOが低下し,SS,CM-a,CODが減少する。また,アオコの体内に含まれていた窒素・リンが放出されて,無機態窒素やPO4-Pが増大する。
  • 農業用水の送水過程におけるアオコ (藻類) と水質の変化に関する研究 (II)
    田淵 俊雄, 青山 和夫, 高杉 丈之, 渡辺 邦夫
    1989 年 1989 巻 140 号 p. 65-70,a2
    発行日: 1989/04/25
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
    富栄養化した湖水を送水している農業揚水機場吸水槽における水質の時刻変動を,送水過程にある第1,第2,第3の3事所の機場で調査した。湖本取水点の第1機場での水温,pH,DO,SS,Chl-a,COD,Org-Nはいずれも大きな時刻変動を示した。これは気象条件の変化とそれに伴う植物プランクトンのアオコの生理的活動によるものである。一方,送水先の第3機場では各水質成分の時刻変動は少なく,かつその値は取水点よりも減少した。しかしNO3-NとPO4-Pの値は逆塔増大した。このことは,アオコが送水過程で沈澱や分解によって減少し,それとともに窒素やリンを放出していることを示している。
feedback
Top