農業土木学会論文集
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1989 巻, 143 号
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  • 二段階推定法導入の試み
    紙井 泰典, 近森 邦英, 丸山 利輔
    1989 年 1989 巻 143 号 p. 1-9,a1
    発行日: 1989/10/25
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
    時間ごとの水平面全天日射量(TH)を水平面直達(DH)・散乱日射量(SH)に分離するのに際し,宇田川・木村,渡辺・浦野・林はTH,DH,SHを大気外水平面日射量I0sinhで除したKT,KD,KS,KDS=KD/(1-KS)を用いた。これにKDT=DH/TH,KST=SH/TH,KD/10KS=DH/(10×SH)を加え,任意の独立・従属変数を選び,独立変数を区間分けして直交多項式3次式を求め,得た第一次推定値KD1,KS1からsin h区間ごとの重回帰係数をsin hの直交多項式で表す。得たKD2,KS2は従来より1.5-28.8%精度が向上した。
    KD2=B0+B1KD12+B2KD1,KS1=B0+B1SKS12+B2KD1
    ここに,Bi=ai0+ai1 sin h+ai2 sin h+ai3 sin (i=1, 2,3)(係数ai0等も直交多項式によって求める。)
  • ウン アーレック, 長 智男, 黒田 正治, 田中 明
    1989 年 1989 巻 143 号 p. 11-20,a1
    発行日: 1989/10/25
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
    降雨および下層土から根群層への水分上昇の有効利用を考慮した節水的な潅水スケジューリング方式に関する研究を試みた。根群層を圃場容水量に戻す場合, 節水的で降雨利用率の高い方式は完全定時最適(D. P. 法), 完全随時定量, 完全定時変量方式の順である。潅水量を節減する節減定時変量・節減随時定量方式において平均的に0.5倍まで節減することができ, その時の潅水量, 降雨利用率は完全定時最適方式のそれにかなり近いものとなる。特定の干ばつ年において, 節減定時変量および節減随時定量方式では, 潅水日に潅水量を節減すれば下層の水分が多く利田され, 土壌水分収支は完全最適方式のそれに最も近いことが明らかになった。
  • 雨滴侵食の基礎的研究 (I)
    深田 三夫, 藤原 輝男
    1989 年 1989 巻 143 号 p. 21-29,a1
    発行日: 1989/10/25
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
    湛水土壌面に水滴が衝突した場合に誘起される表面水の流れにより, 土粒子がはく離, 移動するメカ論ズムをスチール写真と高速写真を用いて解析を行った。その結果, 水滴衝突後30ms(1ms=10-3s)以内に水表面下に半球状の空気球(水中ドーム)が形成され, 拡大して落下水滴径の3~4倍の高さ, 体積的には水滴の体積の160~200倍にまで発達した後に縮小, 消減する。その間水中ドームの拡大に伴って発生した放射状の水流が土粒子を押し退けて土壌面に穿孔をつくり, さらに水中ドームの縮小に伴う逆流する流れによって穿孔の埋戻し現象, および水中への巻上げ現象が起こるが, それらのバターンには水滴径と水深との関連で三つのタイプが見られた。
  • ガラス温室の熱収支構造に関する研究 (II)
    新庄 彬
    1989 年 1989 巻 143 号 p. 31-37,a1
    発行日: 1989/10/25
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
    二つの層から成る温室床部分の地温解析を行った。その結果, 砂利層の見かけの熱伝導係数として乾燥砂質土の値を2割程度上回る値を得た。これを得るための条件として以下の三つが必要であることが明らかとなった。
    まず, ガラス室の環境が比較的単純であること。次に, 解析に当り, 砂利表面として砂利1個分程度の移動(除去)という表面位置(砂利層厚)の修正が必要である。最後に, 砂利層の熱伝導係数と温室床面の熱伝達係数とが連動して変化するので砂利層の熱伝導係数の精度を上げるためには試行計算が必要である。
  • 島田 清, 加納 利博
    1989 年 1989 巻 143 号 p. 39-45,a1
    発行日: 1989/10/25
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
    土壌の透水係数K(φ=0)からベイシックインテークレート(Ib)を予測することの可能性について検討したものである。Green-Amptモデルと有限要素法による飽和-不飽和流解析からインテーク定数c, nの特性を調べるとともに, K(φ=0)からIbを推定する式を求めた。文献調査を行うとともに, インテークレート試験と透水試験を行って検討した結果, 亀裂や小穴がない均質な土層のIbは, K(φ=0)より次式を用いて推定できることがわかった。
    Ib=1,770{K(φ=0)}0.54(mm/h)
    しかし, 亀裂や小穴が多い土層においては, 現地試験を行ってその結果を評価しなければならない。
  • コンクリート製品の凍結融解作用に対する耐久性に関する研究 (II)
    高橋 和雄
    1989 年 1989 巻 143 号 p. 47-55,a1
    発行日: 1989/10/25
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
    (1) コア採取による中性化・圧縮強度・凍結融解の各試験結果から, 現場打ちの用水路コンクリートの劣化は, 水面付近より上方で, かつ天端にかけて進行が早い。
    (2) コンクリート製品の成形に当って, 振動によって失われる空気量は, 0.7~1.0%程度であった。
    (3) 蒸気養生後, 屋外に放置したコンクリートの圧縮強度は, 1日1工程の場合, 材令14日で標準養生の82%, 材令28日で72%であった。これらが1日2工程では, それぞれ60, 54%となる。
    (4) 圧縮強度に影響を与える因子は, 前置き時間より養生工程が卓越している。
    (5) 脱型後の水中養生が圧縮強度に与える影響は大きい。しかしこの実験では材令3日と7日水中養生の間に差は示されなかった。
    (6) 蒸気養生を経た瓢ンクリートでも, 連行空気が凍結融解作用に対して大きな抵抗力をもつ。しかも, 前置き時間の短い1日2工程で成形された供試体についても認められた。
    (7) コンクリート圧縮軽度と耐久性の間には, 相関が認められない。コンクリート製品の耐久性は, 連行空気によって最も大きい影響を受ける。
    (8) 凍結融解作用を受ける積雪寒冷地帯に使用されるコンクリート製品の品質管理が, 主として圧縮強度で行われていたということに対して新たな問題を提起した。
  • コンクリート製品の凍結融解作用に対する耐久性に関する研究 (III)
    高橋 和雄
    1989 年 1989 巻 143 号 p. 57-62,a2
    発行日: 1989/10/25
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
    (1) コンクリートの圧縮強度では, 連行空気による強度低下が示された。しかも, この強度低下は, 1日2工程で成形されたコンクリートで著しい。この試験に用いた配合では, 材令14日で200kgf/cm2が得られたに過ぎない。
    (2) コンクリート製品では, 脱型時の強度が重要である。AEコンクリートの1日1工程では, 脱型時の圧縮強席が186kgf/cm2であったが, 1日2工程では87kgf/cm2しか得られなかった.
    (3) 側壁振動による気泡除去の効果は, 振動機をセットした位置付近では示されたが, その影響は他に及ばない。
    (4) 蒸気養生したコンクリート製品の表面に発生する気泡面積は, AEコンクリートがプレーンコンクリー拳より多いといえる6しかし, AEコンクリートとしても, 前置きも蒔隠1日1工程で成形すると, 気泡面積は前置き0.5時間, 1日2工程としたプレーンコンクリートよりも少なかった。
    (5) U型ドレーンの表面に発生する気泡は, 垂直方向では上・下で発生が少なく, 傾斜部分に最も多いことが明らかとなった。
    (6) コンクリート製品の表面に発生した気泡の面積は, 凍結融解の反復作帰によって成長する。しかし, 空気を連行した製品では, 300サイクル後も崩壊などの現りれ象は認められなかった。これに対して, プレーンコンクリートは90サイクルで崩壊している。
  • コンクリート製品の凍結融解作用に対する耐久性に関する研究 (IV)
    高橋 和雄
    1989 年 1989 巻 143 号 p. 63-67,a2
    発行日: 1989/10/25
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
    (1) 空気を連行したコンクリートを蒸気養生する場合, 圧縮強度に与える影響は, 前置き時間が卓越している。しかも連行する空気量が増大するほどこの影響は大きくなる。
    (2) この実験結果からは, コンクリート製品に連行される空気量は, 生コンの状態で6.0%が限度となる。
    (3) 連行空気の凍結融解作用による劣化に対する抵抗性は, この実験でも明瞭に示された。
    (4) 空気量8.5%までは, コンクリートの凍結融解作用に対する抵抗性からだけみれば, 空気量の多いほど耐久性に富んでいるといえよう。
    (5) コンクリートの空気量4.5%を日標としたAEコンクリートでも, 振動後の空気量の減少によっては, 凍結融解作用に対する抵抗性が期待できないこともある。
  • コンクリート製品の凍結融解作用に対する耐久性に関する研究 (V)
    高橋 和雄
    1989 年 1989 巻 143 号 p. 69-77,a2
    発行日: 1989/10/25
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
    (1) 製品工場の振動台による実験では, 振幅によって空気量が約半分に減少するのは, 空気量2.1%プレーンコンクリートの場合は, 振動時間1分後, 空気量4.5%のAEコンクリートでは2分後, 空気量6%の場合は3分後となる。そして振動機の振幅が小さいときには減少率が約1/4となる。
    (2) 試作したテーブル振動台による実験では, エアーメータを載せない場合, 振幅を変えるために加えたWeightが重くなるほど振幅が大きくなる。さらにモータの回転数が多くなるほど振幅も大きくなる傾向を示した。そしてコンクリートの入ったエアーメータ (21.6kg) を載荷したときは, Weightが重くなるほど振幅が大きくなることは無負荷と同じであるが, モータの回転数が多くなるほど振幅が小さくなる。
    (3) 製品工場の振動台による製品成形時の振幅をみると, 振幅の小さい構造の振動機1, 2については負荷重量が大きくなるにつれて振幅が小さくなる。振幅の大きい構造の振動機3, 4では逆に負荷重量が大きくなるほど振幅も大きくなる。また, 製品が大きくなる, つまり重量が重くなるにつ為て振動時間は一般に長くなる。
  • コンクリート製品の凍結融解作用に対する耐久性に関する研究 (VI)
    高橋 和雄
    1989 年 1989 巻 143 号 p. 79-85,a2
    発行日: 1989/10/25
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
    (1) 製品の表面に発生する気泡は, 2次振動を与えることによって減少させることができる。
    (2) この実験では, 硬化後のコンクリートの連行空気量は, 少ないもので2.5%, 多いものでは3.5%となった。
    (3) 前置き時間が長くなるほど, 硬化コンクリートの連行気量は減少している。
    (4) この実験で用いた棒状パイブレータ, 側壁バイブレータによって空気量がそれほど減少するとは考えられない。
    (5) 硬化後におけるコンクリートの自然空気量は, 0.7~1.0%と推定できる。
    (6) この実験では, 気泡の間隔係数は平均220μmであり, 最大の254μmの供試体でも十分耐凍性を示している。
    (7) 気泡の粒径分布をみると, 50~200μm程度以下の気泡が大部分を占め, これら微細な気泡が凍結の際に生ずる大きな膨張圧を緩和する働きをしてコンクリートの劣化を防いでいると思われる。したがって空気量が同じであっても, 間隔係数. 粒径分布が異なるため, 空気量だけで耐凍性をきめるのは早計といえよう。
  • 中曽根 英雄, 尾崎 益雄, 安部 征雄, 藤崎 雅之
    1989 年 1989 巻 143 号 p. 87-92,a2
    発行日: 1989/10/25
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
    段落流によって多量の空気が連行されることは, よく知られている。その時, 水中の溶存酸素に不足が生じていると, 進行された気泡から水中へ酸素の移動が行われる。この現象を汚水処理施設の曝気装置として応用する方法を研究した。河川や水路では堰や落差工があり, そこで曝気されるが, 汚水処理施設の中では何らかの手段で汚水を揚水しなければならない。そのために, 低揚程・大流量のポンプが必要になる。このような原理を応用できる汚水処理方式に, 酸化溝法があり, 実験を行ったところ, 他の酸化溝法と比べ, 処理性能に差のないことがわかった。
  • 切土法面の風化についての一考察
    宮内 定基, 中村 忠春, 橋本 静夫, 高木 方隆
    1989 年 1989 巻 143 号 p. 93-100,a2
    発行日: 1989/10/25
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
    改良山成方式による農地造成をはじめ, 傾斜地における土工ではしぼしば切土法面が形成され, それらの経時的な不安定化が問題になりつつある。そこで, そのメヵニズムを解明するための基礎資料を得る目的で, 母岩, 造成後の経過年数, 植生等を異にする9ヵ所の切土法面において, 層別の硬度分布と各層から採取した土の理工学性を調べた。その結果, 植生法面の表層5cm程度は有機物が集積し, 硬度の分布特性や土の理工学性がそれ以深や無植生法面と大きく異なり, 無植生法面においても表面の硬度分布がそれ以深と異なるとともに, 10年以上経過すると液性・塑性限界の値も低下の傾向を示すことを明らかにした。
  • 新垣 雅裕, 長田 昇
    1989 年 1989 巻 143 号 p. 101-106,a3
    発行日: 1989/10/25
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
    引張り試験で得られた土壌の粒子間結合力に及ぼす土壌水分, 密度および土壌有機物の影響を, 土性と保水性との関連で実証的考察を行った。その結果, 土壌水分(含水量, pF)の増加に伴う粒子間結合力(tb)の変化はピークをもつconvex curveで表され, tpは土壌の保水性の増加に対応して増大することを示した。また土壌密度の増加はちを増大させるが, 増加率は有機含有量あるいは保水性に応じて大きくなる傾向がある。土壌有機物の土粒子間接機能は知られており, 有機物含有量に伴ってtbが増大する結果を得た。さらに土壌密度を一定にすれば有機質土壌は他の供試土壌よりちが大きいことを示した。
  • 松下 玄
    1989 年 1989 巻 143 号 p. 107-120,a3
    発行日: 1989/10/25
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
    静止時水面が管内にあるオープン型管水路で生ずる管路内の空気塊の挙動とその影響について実験的に調べた。直線, 曲線の種々な路線で通水後管内に閉じ込められた大きな空気塊は, 通気管のない時は空気塊の流体抵抗により上流水槽水位が上昇し, これは空気塊が出口から放出後, 低下し安定化する。また, 通気管を設置すると上記現象は生ぜず, すぐ安定化することを示した。通気管の適正位置やスタンド間の見かけの損失特性等を示した。また, 直線管路の水理特性曲線が通気管の有無によって影響されること, スタンド水槽と管路接続部に生じうる不安定現象とその対策, 水槽から管路への流入損失係数を入口流況ごとに求めたもの等を示した。
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