農業土木学会論文集
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1990 巻, 146 号
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  • 点滴潅漑の用水計画に関する基礎的研究 (II)
    駒村 正治, 山本 太平
    1990 年 1990 巻 146 号 p. 1-7,a1
    発行日: 1990/04/25
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
    露地における点滴潅漑による潅水分布および消費水量のパターンについての測定例からTRAMおよび1回の潅水量を求めるためのモデルとその適用例である。その結果, 消費水量は, 湿潤域でやや大きいものの非湿潤域において小さいため, 全面積換算では従来法と比べて若干小さく, 点滴潅漑が部分潅水による節水効果が期待できることになる。点滴潅漑では, 潅水によっても土壌水分が増加しない非湿潤域の存在やTRAMが小さいため, 間断日数が短く, 少量頻繁潅漑となる。
    また, 潅水分からみて滴下管近くにおいて, 潅水の有効土層以下への浸潤が認められ, この浸潤を防ぐために潅水分布と水分消費割合を考慮する検討が必要である。
  • 島田 清, 加納 利博
    1990 年 1990 巻 146 号 p. 9-14,a1
    発行日: 1990/04/25
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
    高さ5.1cmの100ccサンプラ内の未撹乱土壌の飽和に要する時間について論じたものである。ここでいう飽和とは, 土がそれ以上吸水しなくなった状態を示す。未撹乱土壌を用いた吸水飽和試験および透水試験を行い, さらに有限要素法を用いた飽和過程の解析を行った。実験結果および解析結果についての考察から次のことが明らかになった。1)たとえサンプラ内土壌の上部表面に水がしみ出てきても, 土壌の吸水が終了したわけではない。2)飽和に要する時間の目安は, 単粒土壌の場合, 砂質土で約0.5日, その他の土壌で約5日, また団粒土壌の場合は約10日である。
  • 森 保文
    1990 年 1990 巻 146 号 p. 15-25,a1
    発行日: 1990/04/25
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
    潅漑水量, 水質および施肥方法から, 水田からの窒素排出量を推定するモデルを構築した。モデルは収支式と硝化, 脱窒, 撹乱などの反応速度式から構成されている。また, モデルを構築および検証するために広範囲の水田条件を設定した六つのライシメータ実験を行った。モデルは多様な条件下の表面水窒素濃度を, 経年変化, 施肥の影響を含めて十分な精度で推定した。モデルの安定性は感度解析によって確認された。モデルは実験水田内での現象をよく再現した。今後は対象を実水田へ拡張する必要がある。
  • 加治佐 隆光
    1990 年 1990 巻 146 号 p. 27-33,a1
    発行日: 1990/04/25
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
    管路システムの敷設工費を削減する分岐点位置探索のために, 計画最大流量から各分岐点位置を求めるためのモデルが提案された。このモデルには管路敷設工費を極小とするのに最適の直径指数が適用されており, 本論中, とくに張力類似モデルと名付けられている。
    このモデルによる分岐点位置の探索は, 最小仕事の原理に基づいているので, 各分岐点位置は最適の位置に収束することが期待される。
    この張力類似モデルを用いる場合, 各時間ステップでの分岐点位置の移動方向と移動距離は容易に求まる。したがって, 最適直径指数を指標として用いるのであれば, 具体例の提示に際して有利である。
  • 高木 強治, 島田 正志
    1990 年 1990 巻 146 号 p. 35-42,a1
    発行日: 1990/04/25
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
    開水路系過渡現象解析で境界条件を固定し, 仮の初期条件に対する疑似的過渡現象を収束させて初期定常流を設定する手法(動的緩和法)で, 数値計算に最適な差分スキームおよび収束速度を最大にする条件を理論的に検討した。動的緩和法の収束性は差分スキームの増幅行列の固有値の絶対値田が小さいほど良好であることを示し, 数値実験によってこれを実証した。とくに, Preissmannスキームは, パラメータの操作で|λ|を0に近づけることができるため非常に有効で, 計算精度も良好であることが明らかとなった。また, Preissmannスキ-ムから導かれる非線形連立差分方程式は, 線形化してdouble-sweep法を適用することにより計算の効率化を計っている。
  • 雨滴侵食の基礎的研究 (II)
    深田 三夫, 藤原 輝男
    1990 年 1990 巻 146 号 p. 43-56,a1
    発行日: 1990/04/25
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
    湛水面に水滴が衝突すると水表面下に半球状の空気球(水中ドーム)が形成されて拡大, 縮小する。この水中ドームの挙動は水圧変動を引起し土粒子移動の原因となる。そこで, 水圧変動と湛水深, 衝突エネルギなどの因子との関係を理論的な考察によって求めた。まず高速撮影結果を参考にし水面下に形成される水中ドームの運動を記述する微分方程式を導き, それをもとに水圧変動の経時変化を表す理論式を求めた。その結果, 水滴衝突時に最大値を取った水圧は水中ドームの拡大途中で正圧から負圧(静水圧を基準として)に転じ, 最も拡大した時に最小圧力をとる。また水圧変動の測定波形の最大ピーク値はとくに湛水深によって系統的に整理できる。
  • 石黒 覚, 桑原 孝雄
    1990 年 1990 巻 146 号 p. 57-64,a2
    発行日: 1990/04/25
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
    ICCG法は, 不完全コレスキー分解と共役傾斜法を組合せた反復法の一種であり, 大規模な方程式の解法に適している。本法をマイクロコンピュータによる三次元FEM解析へ適用し, 応力解析問題に対する数値実験を行った。総自由度が4000程度の三次元モデルの解析では, 30回程度の反復回数で収束し実用上十分な精度の結果が得られること, 方程式解法に要する時間はバンドマトリックス法より短くなること, 使用するメモリが少なくてすむこと等の特長を解析例により示した。さらに, フィルダム底部に設置されるカルバート型監査廊の三次元応力解析を行い, 実際問題への適用性を検証した。
  • 宮内 定基, 中村 忠春, 橋本 静夫
    1990 年 1990 巻 146 号 p. 65-70,a2
    発行日: 1990/04/25
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
    切土法面の不安定化機構の解明および崩落防止策の確立のための基礎的研究の一つとして,乾燥(110℃)-水浸-凍結(-20℃)の繰返し処理が,土壌の理化学性および粘土鉱物の性質に及ぼす影響を調べた。供試した土壌は花こう岩,砂けつ岩および結晶片岩に由来するもの,および水田表土の4種で,土性の分類名はシルト質砂もしくは粘質土である。結果はおよそ次のように要約される。
    (1)いずれの土壌試料も,繰返し処理により,粒径組成はほとんど影響を受けないが,強熱減量,コンシステンシー限界,およびpF0.5-3.2における保持水量はいずれも低下した。この低下の主な理由は,乾燥と水浸・凍結の繰返しによる土壌粒子の水分吸着能の低下やaggregateの構造変化にあると考えられる
    (2)主要粘土鉱物のうち,ハロイサイトは処理によってヒドラジンの層間侵入が困難になり,バーミキュライトおよびこれとク鷲ライトの中間体は収縮し,または収縮しやすくなった。これらのことは,乾燥と水浸・凍結の繰返しによって粘土鉱物の層間結合が強固になり,層間水が不可逆的に排除されるか,または侵入しにくくなることを示している。このような粘土鉱物の挙動の変化は少なくとも一部,上述の水分吸着の可逆性の低下に寄与していると考えられる。
  • 宮内 定基, 中村 忠春, 橋本 静夫
    1990 年 1990 巻 146 号 p. 71-78,a2
    発行日: 1990/04/25
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
    母岩を異にする3種類の粘性土に, 乾燥(110℃)・水浸(蒸留水)・凍結(-20℃)の物理的な風化処理を繰返して施し, それが土の充填・強度・透水性に及ぼす影響を調べ, 以下の点を明らかにした。
    1)堆積岩と結晶片岩由来土では処理回数の増加に伴って, 最適含水比は低下, 最大乾燥密度は増加するが, 花こう岩由来土では統一的な傾向を示さない。
    2)最適含水比と最大一軸圧縮強度発生時の含水比との差は, 3試料とも0から5回処理にかけて急増する。その後は, 花こう岩由来土を除けば, 単調に低下する。
    3)最小透水係数は, 花こう岩由来土の0~5回処理の間を除けば, ほぼ密度依存性を示しながら変化する。
  • 野中 資博, 森 忠洋, 服部 九二雄
    1990 年 1990 巻 146 号 p. 79-84,a2
    発行日: 1990/04/25
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
    コンクリート下水管路は二段階の反応で, 微生物により腐食される。それは硫酸塩還元菌と硫黄酸化細菌による硫化水素と硫酸の生成である。このメカニズムを検証するためにモルタル供試体を用いて, 腐食現場試験と室内での腐食再現試験を行った。また, コンクリート下水管路の腐食性の一要因としての耐硫酸塩性を膨張モルタルを用いて試験した。その結果, 栄養と温度が微生物腐食速度に大きく影響する。pH0~2の腐食生成物は石こうであるが, エトリンガイトもそれ以上のpHでは見つかっている。コンクリート下水管路は膨張セメントで作られており, これらは硫酸と硫酸塩によって, 激しく腐食されること等が判明した。
  • 等流上を流下する送水波の基礎的研究 (IV)
    久保 成隆
    1990 年 1990 巻 146 号 p. 85-94,a2
    発行日: 1990/04/25
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
    フルード数の大きな送水波の典型例として, 流量遮断によって形成される流れを対象とし, この流れの変形過程を数値シミュレーションと動的な理論解析により追跡した。その結果, 静的な一様進行波の理論から得られる単調な水理量の変化を伴う流れとは異なり, 最終的には転波列が必然的に誘発される機構が内蔵された流れであることが判明した。その際, 静的な理論解析により得られた一様進行負段波が流れの主要な構成要素となり, また, 静的な解析からは存在し得ないと思われた単斜下降波も, 遮断条件によっては流れの構成要素となり得ることが確認された。
  • 甲本 達也
    1990 年 1990 巻 146 号 p. 95-100,a2
    発行日: 1990/04/25
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
    粘土の液性・塑性両限界決定のためのフォールコーンテストの適用性について検討した。テストは種々の粘土について, 60°, 0.6Nコーンおよび直径100mm, 深さ50mmの容器を用いて行った。テストによれば, いずれの粘土の場合も貫入量~含水比関係は幅広い含水比の範囲においては両対数紙上で直線で表されることがわかった。この貫入量~含水比直線関係を用い, 貫入量が12.0mmおよび1.3mmに対する含水比を読取ると, それらはカサグランデ法による液性限界および塑性限界に相当することが明らかとなった。
  • 西村 拓, 中野 政詩, 宮崎 毅
    1990 年 1990 巻 146 号 p. 101-107,a3
    発行日: 1990/04/25
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
    降雨時に地表面に形成されるクラストについて, 人工降雨装置を用いた室内斜面モデル実験を行い, 降雨中のクラスト形成過程, 形成したクラストの物理性, クラスト形成による侵食量変化の様子を調べた。
    実験の結果, クラスト形成による地表面の土の構造の変化, それに伴う密度の増大, 透水性の低下が明らかになった。また侵食量の変化等について考察を行い, クラスト形成による侵食量増大の要因と, 侵食量減少の要因を斜面の傾斜の違いから分離した。
  • 水田用調整池とパイプラインによる潅概システムの研究 (I)
    広瀬 慎一
    1990 年 1990 巻 146 号 p. 109-119,a3
    発行日: 1990/04/25
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
    開水路により潅漑を行っている1地区と富山県下全域の調査の結果, 圃場整備が進み, 用排水路が完備しても, 潅漑時間帯が他の人と重なる等の理由により, 用水状況に不満をもっている人が多く, 多くの人が新しい潅漑方式に興味を示していることがわかった。また水田用調整池とパイプラインによる潅漑を行っている3地区の調査によれば, 希望通りの時間帯で潅漑ができ, 大幅な省力化もできるとして, この調整池システムを高く評価している。この場合の調整池の設計容量としては, 普通期最大用水量の3時間分の地区では不足気味であり, 6時間分の地区では不満なく供用されている。このシステムにより, 地域用水としての新たな利用も図られつつある。
  • 1990 年 1990 巻 146 号 p. e1
    発行日: 1990年
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
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