農業土木学会論文集
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1990 巻, 150 号
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  • 東 孝寛, 高山 昌照
    1990 年 1990 巻 150 号 p. 1-8,a1
    発行日: 1990/12/25
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
    練返し有明粘土の圧密・膨張・再圧密過程における非排水剪断強度の変化について, 強度特性の規準化の点から検討したものである。圧密・膨張・再圧密過程の練返し有明粘土の強度特性は, 一般化したHvorslevの破壊規準とHvorslevの定義した過圧密比OCRを用いて規準化することができる。この強度特性の規準化の手法は, 過圧密比OCRを用いる従来からの強度特性の規準化の手法を包含するものであり, 正規圧密過程における剪断強度と破壊時の有効直応力の関係が線形とならないような粘土に対しても適用可能である。
  • 暖地向き大型肥育用牛舎の結露対策に関する事例研究
    新庄 彬
    1990 年 1990 巻 150 号 p. 9-17,a1
    発行日: 1990/12/25
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
    低コスト化を目的とした大型で屋根裏利用の暖地向き牛舎の, とくに屋根構造について, 結露回避の条件を探るため, 環境設計論的側面から検討した。まず, 室内実験により, 事例牛舎の屋根材料の自然対流熱伝達率として2.3W(m2・K)-1を推定し, これを援用して, 事例牛舎の結露回避のための低コスト屋根構造を提案した。
    次に, 結露が生成, 発達中の事例牛舎の環境調査から得たデータを用いて, 牛舎の定常状態で成立つ熱・水分収支式および建築学上の手法三者による換気量を求めた。その結果, 三つの推定値はオーダ的に一致した。
    結露対策を確立するための条件として, 上記提案屋根の導入, 換気口の取付け位置の見直しなどを指摘した。
  • 河地 利彦, 藤村 一平, 南 勲
    1990 年 1990 巻 150 号 p. 19-25,a1
    発行日: 1990/12/25
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
    微分形の漸変流方程式を基礎として, 複雑な内部連結型ネットワーク問題をも容易に取扱い得る汎用的で効率的な定常背水解析モデルを提示する。モデルは, 有限要素法とニュートン・ラフソン法を援用した反復演算型モデルである。反復過程での初期推定値問題にも言及し, 数学的特異性を回避するために, 計算は緩和した流体力学的静止状態から開始すべきことを強調する。単一流路問題と複雑なネットワーク問題を取上げ, 他の解との比較を行って, モデルの精度的有効性を検証する。解はきわめて良好な収束性状を呈し, 5~6回の反復で正値に収束することを確認する。結局, 収束性, 汎用性の両面で階差モデルよりも優れたモデルであるとの結論を得る。
  • 原口 暢朗
    1990 年 1990 巻 150 号 p. 27-35,a1
    発行日: 1990/12/25
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
    農地土壌の物理性は,“人為的管理作業”の影響を受けで時期的, 空間的に大きく変動する。ここでは, 土壌管理作業が, 二毛作水田の土壌水分, 乾燥密度の空間変動性に与える影響を, 香川県内の2壌場で採取した試料をもとに検討した。その結果,(1)土壌水分.乾燥密度の空間分布は, 代かき作業の前後で大きく変化すること,(2)これらの物理性の空間的相関構造は, 麦収穫後の耕運状態, 水稲収穫後の代かき状態とともに, 1mのオーダでは存在しないことが明らかになり, 二毛作水田において耕運・代かき作業は作土を空間的に均一化し, この均一化された空間構造は, 時間的にそのまま維持されているものと考えられた。
  • カンキツ園におけるスプリンクラ防除に関する実証的研究 (I)
    山下 重良
    1990 年 1990 巻 150 号 p. 37-43,a1
    発行日: 1990/12/25
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
    スプリンクラによる防除は, 薬液を多く要していることから, 散布施設の改良や利用法について, 実際の園地において体系的に検討することが重要であるとし, スプリンクラの散液特性と樹冠に対する散液付着に関して幾多の実験を行い, その問題点について考察した。とくに, 液滴の大きさや, 樹冠に対する液滴の投入角度が樹冠内部の付着に影響することを明らかにするとともに, 他の散布法に比べて散液の付着比率が低いことを指摘したうえで, スプリンクラの器種選定や改良, 効果的な配置法はもとより, 樹形の改善や散布方法など, 散液付着の向上に関して, なお一連の検討を要するとした。
  • カンキツ園におけるスプリンクラ防除に関する実証的研究 (II)
    山下 重良
    1990 年 1990 巻 150 号 p. 45-50,a1
    発行日: 1990/12/25
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
    防除用スプリンクラ施設の設計や利用に当っては, 散液付着効果の高いスプリンクラの選定が重要であるとし, 各種の器種を選んで散液の付着効果を検討するとともに, ノズル仰角の改良を行ってその効果を実証した。その結果, ノズル仰角, 噴射圧が重要であるとしたほか, スプリンクラヘッドの回転速度についても言及した。また, 農薬の安全使用と散液付着向上の観点から, スプリンクラに, ワイヤネットの装着を試み, 園地周縁部における散液の射程を調節できることを実証し, 区域外への飛散防止に有効なことを示した。
  • 甲本 達也
    1990 年 1990 巻 150 号 p. 51-55,a2
    発行日: 1990/12/25
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
    粘土地盤における深い円形基礎の極限支持力について, 理論的, 実験的に研究したものである。まず, 粘土中の深い基礎周辺の滑り線場は基礎側部とこれに接する地盤との間に土塊が動き得るスペースが存在しない場合には, 従来, Meyerhofが仮定したものとは異なり, 滑り線は依然地表面にまで達するものであることをモデル実験により明らかにした。次に, 円形基礎周辺の滑り線場を観察結果およびSokolovskyの滑り線場を参考にして軸対称条件に三次元的に解析した。さらに, このような基礎の極限支持力算定のための支持力係数を求めた。本解析結果と既存の実験結果との対比は大変よく, 本解析の妥当性が確かめられた。
  • 谷 茂, 長谷川 高士
    1990 年 1990 巻 150 号 p. 57-65,a2
    発行日: 1990/12/25
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
    日本には多くの溜池がある。溜池を改修する場合, 数が多いため十分な土質調査を行うことが難しい。しかし, 地震時の安全性の評価を行うためには, 溜池の土質工学的性質を知る必要がある。
    このため, 日本海中部地震で被害を受けた青森・秋田県の溜池34ヵ所で, 原位置試験(PS検層, 標準貫入試験), 室内試験(締固め試験, 三軸圧縮試験, 繰返し三軸試験)を行った。この試験から, 土質分類, 締固め度, N値から, 透水特性, 勢断強度(c', φ'), 動力学的性質(変形特性, 液状化強度)を推定する関係を求めた。
  • 丹治 肇
    1990 年 1990 巻 150 号 p. 67-73,a2
    発行日: 1990/12/25
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
    実用的な流出解析では, データ精度の良否にかかわらずモデルが同定できることが要求される。このように悪いデータに対して頑強なモデルをロパストであるというが, ここでは, ロバスト重回帰モデルを流出解析に用いる方法を提案した。
    ロパスト推定法の中のM推定法のBiweight法を導入し, 白石らのFMD法に準じたRFMD法を用いて, 山形県の蔵王ダム流域21km2でモデル同定をし, 良好な結果を得た。さらにFMD法との比較では, RFMD法は精度面では同等で, ロバスト性において優る。また, 線形流出成分の分離においては, 線形成分はRFMDに対して独立性が高く, FMD法よりすぐれている。
  • 西村 伸一, 長谷川 高士, 藤井 弘章
    1990 年 1990 巻 150 号 p. 75-84,a2
    発行日: 1990/12/25
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
    軟弱地盤の安定解析を行う場合, 一般には一軸圧縮強度に基づき, φu=0円弧滑り解析法が用いられる。この一軸圧縮強度が大きな変動性を有しているのはよく知られている。この変動性を考慮した軟弱地盤の信頼性解析に関して, とくに, 正規圧密aged粘土からなる地盤の圧密に伴う強度増加について重点的に考察を行った。第一に, 不撹乱試料の一軸圧縮試験結果, 標準圧密試験結果から非排水強度, 圧密降伏応力の統計モデルを決定した。次いで, モンテカルロシミュレーションを利用して非排水強度の分布の圧密に伴う遷移を推定し, 最終的に安定解析によって, 強度増加の地盤の安定性に対する効を果信頼性指標βで評価した。
  • 尾崎 益雄, 中曽根 英雄, 藤崎 雅之, 安部 征雄
    1990 年 1990 巻 150 号 p. 85-92,a2
    発行日: 1990/12/25
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
    酸化溝方式による汚水処理は, 窒素の除去に適しているといわれている。段階張をエアーレータとした酸化溝方式の汚水処理装置を用いて実験を行い, 窒素の除去を検討した。脱窒運転は間欠曝気を用いた。本エアーレータはポンプを用いて揚水し, 落下水脈を発生させるので, 間欠曝気はポンプの断続運転で実施される。この装置で, 低温期においてもBOD除去率95%以上を保ちながら, 常に80%を越える窒素の除去率を得る処理が可能となった。最適な脱窒運転方法として, 曝気時間30分, 非曝気時間60分を1サイクルとする間欠曝気運転が求められた。この時, 酸化溝内では30~60分の嫌気状態が生じている。
  • 坂西 研二, 早瀬 吉雄
    1990 年 1990 巻 150 号 p. 93-94,a2
    発行日: 1990/12/25
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
    クラストを含む数mmの厚さの土を採取し, その微細な構造を観察し, 併せてクラストの物理性を測定した。クラストは5度のマサ土斜面に人工降雨装置で散水した結果形成されたものである。接写により撮影されたクラストの表面は滑らかであった。軟X線と造影剤を使い, 浸透の様子を表し, 対照土(深さ5cm以下の土)と比較した結果, クラストの難浸透性がはっきり見られた。側面からの透過影像からクラストと見られる1mmほどの緊密な層を確認した。粒径分布を比較すると, クラストでは0.1mm以下の粒子が対照土と比較して15%と多く, その分0.5mm以上の粒子が少なくなっている。pF1.5以下の粗間隙率は, 対照土で17.5%, クラストでは0であった。
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