農業土木学会論文集
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1991 巻, 155 号
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  • 開水路の変動吸収特性 (I)
    山本 徳司, 三野 徹
    1991 年 1991 巻 155 号 p. 1-10,a1
    発行日: 1991/10/25
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
    開水路はストック機能とフロー機能の両機能を有しているが,このストック機能とフロー機能とを分離し,体系的に評価を行った事例はない。
    そこで,開水路内のストック機能の評価手法の基本的な考え方とその手法について提案した。さらに,用水系の一問題にこの手法を適用し,本手法の用水計画手法としての有効性を検討した。
    その結果,変動波形をフーリェ級数展開し,時間領域での議論を周波数領域で議論することによって主要な情報を抽出し,用水路の持つ動的特性を簡略化した形で評価することが可能となり,ストック機能が水管理の円滑化に重要な役割を果たしていることが明確となった。
  • 国頭マージの理工学的性質に関する研究 (II)
    宮城 調勝, 近藤 武
    1991 年 1991 巻 155 号 p. 11-17,a1
    発行日: 1991/10/25
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
    国頭マージは,沖縄地方の高温多湿の気象条件下で風化生成された,主として残積成の赤色土である。フィルダムの築堤材料を前提として,この土に基岩の強風化層を混合した礫混合土も含めた国頭マージの締固め特性を3つのタイプに分けて検討した。礫混合土は下層の強風化層が礫材料として使用されるが,残積土層の特徴として直下層の礫材料は風化が進んでいる。したがって,礫混合土の締固め結果には礫率だけでなく礫の風化程度(強度)が大きく影響する。また,高含水比の土は締固めが乾燥の影響を受けるが,その影響は緑色岩類の風化土において最も顕著に現れる。全体としては自然含水比と締固め試験における最大乾燥密度の関係は比較的強い。
  • 水田用調整池とパイプラインによる潅漑システムの研究 (II)
    広瀬 慎一
    1991 年 1991 巻 155 号 p. 19-25,a1
    発行日: 1991/10/25
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
    砺波平野では,すでに10ヵ所で水田用調整池システムが稼働している。それらの末端圃場では,手動バルブで取水が行われている。この手動バルブによる取水と自動バルブによる取水についてその操作回数の調査を行った。
    取水能力としては,いずれも問題はない。圃場における2年間の調査の結果,自動バルブの場合は主に半自動利用で年間操作回数は20回,手動バルブの場合は36.3回であった。この結果を4農家モデルにあてはめて水口操作の年間所要時間を求めると,自動バルブの主に半自動利用で22.7時間,手動バルブの場合は41.3時間であった。
  • オランダを事例として
    佐藤 洋平
    1991 年 1991 巻 155 号 p. 27-33,a1
    発行日: 1991/10/25
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
    CBS土地利用統計を用いて,オランダにおける高速自動車道のインターチェンジの周囲の都市化を分析している。分析に用いた主要な要因は,インターチェンジから最寄りの市街地までの距離,大都市までの距離,高速自動車道路網の最寄りのジャンクションまでの距離,高速自動車道の区間交通量,そしてインターチェンジの周囲の土壌類型である。分析からは,最寄りの市街地に近いインターチェンジは遠いものよりもインターチェンジの都市化効果が高いこと,その他の要因はインターチェンジの都市化効果に差異を生み出しているとはいえないこと,などが明らかにされた。
  • 福島 晟
    1991 年 1991 巻 155 号 p. 35-42,a1
    発行日: 1991/10/25
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
    流出現象に関与する流域地形量を水文地形量と定義し,豪雨時に流路としての機能を持つ細流を地形図上で評価する手法を提示した。ついで,従来地形解析で常用されているStrahler方式の河道次数の概念を若干修正した河道分類法として,新たにN1方式を提案した。そして,河道網のトポロジー的ランダム性の仮定を基礎として,河道網にN1方式を適用した場合の次数別河道数の期待値,任意次数の河道がある特定の高次河道に流入する割合,および分岐比等についての推定式を誘導した。
  • 福島 晟
    1991 年 1991 巻 155 号 p. 43-51,a1
    発行日: 1991/10/25
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
    河川流域の地形形態的特徴を水文学的観点から検討するための基礎資料として,河道網系のトポロジー的ランダム性の仮定のもとに,河道網系の最高次数および次数別河道数分布特性を検討した。その結果,河道網系をStrahler方式で次数化した場合の河道網の最高次数の生起確率を算定し,1次河道数がN1である河道網系において,生起確率が10%以上となる最高次数はたかだか2通りと考えてよいこと,およびStrahler方式ないしN1方式を適用した場合の河道網系の最高次数の推定式を示した。次いで,両次数化方式を適用した場合の次数別河道数の生起確率を再帰的表現で定式化するとともに,その分布特性を数値シミュレーションにより明らかにした。
  • 下層からの毛管補給に関する研究 (I)
    千家 正照, 木原 康孝, 西村 直正, 西出 勤, 丸山 利輔
    1991 年 1991 巻 155 号 p. 53-59,a2
    発行日: 1991/10/25
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
    畑地における土壌水の動態と下層からの毛管補給の実態を明らかにするため,温室内で土壌カラムを用いて実験的研究を行った。供試土壌には砂質土,壌土,黒ボク土の3種を用いた。
    その結果,試験期間全体の毛管補給量は,砂質土で蒸発散量の10%,壌土では19%,黒ボク土で29%程度となった。TRAMは土性ごとに大きく変わり,しかも生育時期によっても変化した。しかし,TRAMと蒸発散量の比は変化が少なかった。以上の事実から消費水量最大期のTRAMを用水計画に使うこと,通常の潅水管理は潅水間断日数を一定にして,この間の消費水量のみ補給するのが合理的であることを示した。
  • 下層からの毛管補給に関する研究 (II)
    木原 康孝, 丸山 利輔, 千家 正照, 西出 勤
    1991 年 1991 巻 155 号 p. 61-67,a2
    発行日: 1991/10/25
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
    前報で示した土壌カラム実験結果を分析して,さらに一般的な場合の土壌水の動態と毛管補給について研究した。まず,土壌水運動の基礎式としてRichards型の式を採用し,実際の潅概条件を想定して,土壌水分移動のシミュレーションを行い,潅水後の全ポテンシャルの変化,フラックスゼロ点の変遷,毛管補給強度の経時変化を調べた後,潅水後の平均毛管補給量Sとその期間の蒸発散量ETの比について考察した。
    その結果,S/ETに対して,蒸発散量,土性,有効土層厚初期条件は大きく影響するが,地下水位はあまり顕著な影響を与えないことが分かった。また,この結果から,より節水的な潅水方法にも触れた。
  • 宮崎 毅, 中野 政詩, 塩沢 昌, 井本 博美
    1991 年 1991 巻 155 号 p. 69-76,a2
    発行日: 1991/10/25
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
    土壌中に富栄養水を長期に流すと,土壌微生物が増殖したり微生物の代謝生成物が蓄積して,土の透水係数が低下する現象は,土壌による水質浄化機能の発現に関わり,また広く自然環境と水循環の関係を知る上でも重要であると考えられる。本研究は,母材が共通していて,しかも長年にわたって異なる土地利用形態で使用されてきた圃場の土を深さ別にサンプリングし,経時的に殺菌水または富栄養水を流しておのおのの透水係数の変化を調べ,それらの結果から土壌微生物の動態を考察したものである。なお,土地利用形態としては,90年以上自然状態で保存されてきた関東ローム土壌ブナ林地,それに隣接して20年以上耕作され続けた水田および畑地を選んだ。
  • 木村 和弘, 千野 敦義, 有田 博之, 瀬戸 太郎
    1991 年 1991 巻 155 号 p. 77-84,a2
    発行日: 1991/10/25
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
    山間急傾斜地水田に形成される進入路は,長大で急勾配のものが多い。前報において,進入路の実態と農家による安全対策について検討し,現在の改良では安全の確保には限界のあることを明らかにしてきた。
    本論では,進入路の発生や急勾配化する原因について考察し,進入路と区画配置との関係を長方形区画と等高線型区画の進入路の発生形態を対比することにより,進入路を解消させる区画方式の提案を行った。
    その結果,道路を挾む区画が同一レベルにあり,畦畔が連続しているという条件を有する等高線型区画によって,進入路を解消することが可能であることを示した。
  • 松下 玄
    1991 年 1991 巻 155 号 p. 85-100,a2
    発行日: 1991/10/25
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
    越流型オープンタイプパイプラインの脈動対策について実験的に研究した。傾斜地に新設のパイプラインではスタンドでシール高S(静水時2次水槽水面から管頂までの距離)をS≦-0.75 D(D:管径)にすればよい。S≧0の既設パイプラインでは現在の分水水頭に配慮した対策は中壁を四角形オリフィス型中壁に改造することである。また,低平地のパイプラインでは堰型中壁スタンドの中間に潜りオリフィス型中壁スタンドを設けた形態にすることで達せられる。これらの各スタンドの設計法を述べた。次に,実在の脈動するパイプラインで一部のスタンドを潜りオリフィス型中壁に改造することにより脈動が解消された現地調査例を示した。
  • 3次元効果の検討
    松本 伸介, 長谷川 高士, 浅井 喜代治
    1991 年 1991 巻 155 号 p. 101-107,a2
    発行日: 1991/10/25
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
    現行のダム設計基準では,理想的な貯水池形状を仮定して動水圧を算定している。境界要素法の適用によりこの制約緩和を試みた。つまり,形状を規定する各種パラメータを変化させ,2・3次元(2・3D)解析を行い,両者を比較することで堤軸方向の3D効果,逆にいえば2D解析の適用可能性を検討した。その結果,1)両岸が平行でかつ鉛直に切り立っておれば,堤体上流面の傾斜によらず堤軸長や同方向の位置の影響は微小で,水面にきわめて近い部分を除き2D解も十分良好なこと,2)ポケットの開き角度が増加するにつれ2D解析の適用可能領域は狭まるが,堤軸長が長いほど同領域は広がること,3)谷は急峻なほど2D解の信頼性が高まること,がわかった。
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