農業土木学会論文集
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1992 巻, 158 号
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  • 宮城 調勝, 近藤 武
    1992 年 1992 巻 158 号 p. 1-7,a1
    発行日: 1992/04/25
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
    貯水用土構造物のフィルタ, ドレーンなどには多くの砂材料を必要とする。沖縄地方では自然に産する砂は, 主としてさんご虫の死骸からなる海砂しかなく, 一部では石灰岩の砕砂も使用されている。いずれの砂もCaCO3から成り, 水中に溶存するCO2と反応して徐々に溶解する。本報ではこれまで明らかではなかった, 通水材として使用する場合の石灰質砂材料の溶解の速さについて述べている。実験には普通水と炭酸水を使用しており, また溶解量は, 実測値と化学分析による計算値の双方で検討している。結果は非常に大きな溶解率を示し, 貯水用土構造物の内部には, 空洞化が起きる懸念から使用できないことが分かった。
  • 楊 朝平, 長谷川 高士, 内田 一徳
    1992 年 1992 巻 158 号 p. 9-16,a1
    発行日: 1992/04/25
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
    標題装置による豊浦標準砂の標題試験を行うことによって土の締固め機構を考察した。この結果,(1)ひずみ制御型の場合, K0除荷の主応力径路はほぼ正規圧密段階のそれを逆にたどる。このような径路は応力制御型によるものと異なる。(2)K0圧密における総(載荷+除荷)回数の増加とともに内部摩擦角φ'はいったん減少した後再び増大する傾向が見られる。(3)準K0圧密過程でのK値は変動をする。このK値はK0圧密のそれより大きい。ただし, その差は圧密の進行とともに縮まる。(4)準K0圧密における許容側方ひずみ量が大きくなると, 剪断ピーク時に生じたダイレイタンシー係数が小さくなり, φ'は減少する傾向が見られる。
  • 雨滴侵食の基礎的研究 (III)
    深田 三夫, 藤原 輝男, 日下 達朗
    1992 年 1992 巻 158 号 p. 17-28,a1
    発行日: 1992/04/25
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
    水中ドームの拡大と縮小に伴って発生した放射状の水流は水底面の土粒子を剥離して巻上げる原因となる。本論では高速度撮影や水圧変動の理論解析結果に基づいて土粒子の剥離形態を時間経過に従ってI期, II期, III期に分類した。そのうちI期の正圧の作用による剥離について考察し, 土壌面に働く正圧の時間に関する積分値(正圧力積, I+(θ), θ: 場所)が土壌の粒径比重, 粘着性などの物性値に依存する限界値I+0に達した時に土粒子の剥離が生じると考えた。そして, 水滴の衝突による総剥離量は, 正圧力積I+(θ)とこの限界剥離力積値I+0の差を土壌面全域にわたって積分した値に比例するという考えに基づき, 剥離に関する一つのモデルを提案した。
  • 水管理システム化に関する研究 (III)
    猿渡 農武也, 四方田 穆
    1992 年 1992 巻 158 号 p. 29-36,a1
    発行日: 1992/04/25
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
    水田潅概の水管理において, 当日の潅慨用水量の決定は水管理者の「経験と勘」に依存しているが, その機構は稲の生育状況気温, 天候および前日の実績用水量を要素とする“If thenアルゴリズム”のルールからなる。一方, このルールに沿わない状況に対して, 管理者は過去の管理事例を参照して判断し, 用水量を推定している。本論は, この点に注目して, 過去の用水量変化のファジィな関係を構造化し, 用水量を推論する「知識ベース型の推論システム」について検討し, このシステムの適合性を検証すると共に, システムの運用について考察した。
  • 多孔体中の熱移動に関する研究 (III)
    藤縄 克之
    1992 年 1992 巻 158 号 p. 37-46,a1
    発行日: 1992/04/25
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
    粒径の異なるガラスビーズ, 三里浜砂丘砂, あるいは豊浦標準砂を充填した多孔体槽を水で飽和させ, 側方の加熱・冷却による異なる温度勾配下での熱対流実験を行って, 実験槽内の温度分布を2次元的に実測し熱対流が等温線の形状に与える影響を明らかにした。また, トレーサを用いて熱対流の動きを初めて可視的に実測した。
    その結果, 水の密度や粘性係数などの熱物性値の不均一分布が熱対流の形状に大きな影響を与えること, さらに温度勾配が大きくなるに従い, あるいは粒径が大きくなるに従い熱対流の規模が大きくなることなどが明らかになった。
  • 多孔体中の熱移動に関する研究 (IV)
    藤縄 克之
    1992 年 1992 巻 158 号 p. 47-56,a1
    発行日: 1992/04/25
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
    熱対流と熱移動を解析するための数理モデルを構築し, 数値シミュレーションによって飽和多孔体の透水性, 温度勾配, 流体の熱的特性が熱対流に与える影響を検討した。シミュレーションでは熱対流に対しては有限要素法を, 熱移動に対しては基礎となる移流分散方程式を高い精度で解ける2次元スプライン補間を用いる特性曲線型有限要素法を適用した。シミュレーションの結果を実験結果と比較検討し, その有効性を確認した後, 境界条件やパラメータを変えてシミュレーションを行い, 飽和多孔体の透水性, 温度勾配, 粘性係数の温度変化および流体の体積膨張率の温度変化が熱対流と熱移動に与える影響を明らかにした。また, 熱分散の影響も調べた。
  • リン除去の長期的安定性と水温・流速変化の影響
    治多 伸介, 高橋 強, 西口 猛
    1992 年 1992 巻 158 号 p. 57-63,a2
    発行日: 1992/04/25
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
    本研究では接触曝気方式に鉄炉材を用いた。鉄炉材接触曝気方式の室内実験を人工汚水を用いて行い, そのリン除去の長期的安定性と水温・流速変化の影響についての検討を行った。その結果,(1)定期的に逆洗浄と余剰汚泥の引抜きを行うことのみによって, 長期的に安定した高率のリン除去を継続することができた。(2)通常の現地施設での水温変動の範囲では, 鉄炉材の腐食速度およびリン除去性能はほとんど変化しなかった。(3)通常の現地施設で観測される流速範囲では, 鉄炉材の腐食速度およびリン除去性能はほとんど変化しなかった。
  • 鉄炉材適正浸漬量の算定方法
    治多 伸介, 高橋 強
    1992 年 1992 巻 158 号 p. 65-72,a2
    発行日: 1992/04/25
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
    本研究では接触曝気方式に鉄接触材浸漬法を組合せた鉄炉材接触曝気方式の室内実験を人工汚水を用いて行った。すなわち, 鉄演材浸漬槽への流入水のT-P濃度を一定とし, それ以外の汚濁物質濃度を変化させた実験と, 逆にT-P濃度のみを変化させた実験を行った。その結果,(1)SRB(硫酸塩還元細菌)による鉄腐食を利用した場合の腐食速度は, 鉄炉材に対するBOD負荷の差異によって変化し, BOD負荷が大きいほど鉄炉材の腐食速度は速かった。(2)鉄炉材から溶出した鉄イオン量のT-P負荷量に対するモル比と, 放流水のT-P濃度, ならびにT-P除去率には, 密接な関係がみられた。また, 以上の結果を踏まえ, 適正な鉄演材浸漬量を算定するための一方法も提言した。
  • 土地利用モデルに関する研究 (II)
    松本 久司, 北村 貞太郎
    1992 年 1992 巻 158 号 p. 73-80,a2
    発行日: 1992/04/25
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
    個人の移動は, 移動目的と移動先が決定されて人口移動が発生する。この移動目的と移動先の連関性をとらえるため, 滋賀県長浜市を事例に, 対数線形モデルを用いて転出入の分析を行った。その結果, 転出と転入の異方性が明らかになった。移動の目的と移動先の関係では, 相互に関係していることを確率論的に説明でき, 重力モデルにおける集計問題を補完し, 両モデルの双方性を明らかにした。この結果を用いて現在の転出入の状況を具体的に検討し, 状況を転換させることによって, 長浜市の活性化対策に寄与することが可能となろう。
  • 木ノ瀬 紘一
    1992 年 1992 巻 158 号 p. 81-86,a2
    発行日: 1992/04/25
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
    本論では, 河床の縦・横断勾配が掃流砂に及ぼす影響を検討した。斜面上の砂粒子には, 流れに起因する掃流力に加えて, 重力の斜面方向成分が付加的な掃流力として作用する。その結果, 限界掃流力もその影響を受ける。まず, 斜面による付加的な掃流力の性状を検討し, 限界掃流力が斜面勾配や流向に規定されることを明らかにした。これらの掃流力の関係を用いて得られる平衡流砂量式は, 前報で流砂の非平衡性を表現するために提案したK.T modelと同一の式形となった。そのことから, 平衡と非平衡の形態の異なる二つの流砂運動は, 地形勾配を使って統一的に記述できることを示した。そして, 河岸を例に, 限界掃流力や平衡流砂量の計算例も示した。
  • 造成農地の排水計画に関する基礎的研究 (I)
    堀野 治彦, 陳 榮松, 早瀬 吉雄, 丸山 利輔
    1992 年 1992 巻 158 号 p. 87-94,a2
    発行日: 1992/04/25
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
    流域特性が明確と思われる造成農地の流出解析をより物理的な立場から考えるための第一歩として, 裸地ビニールマルチされた畝立地, 芝地, 草地を斜面とした人工降雨流出実験を行い, 粗度係数について検討した。
    その結果, まず流れの抵抗則を検討したところ, 斜面一様流を仮定した場合には, 実用上Manning則が成立することがわかった。次に, ハイドログラフの逓減部に着目しその逓減係数をもとに粗度係数を推定した結果, 同係数は実際に流量や傾斜度にはほとんど影響されず, 斜面状態によって決まることが示された。また, その大きさは, 畝立地, 裸地, 草地, 芝地の順に大きくなったが, 裸地と畝立地の差は非常に小さいものであった。
  • 村上 章, 長谷川 高士
    1992 年 1992 巻 158 号 p. 95-104,a2
    発行日: 1992/04/25
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
    構造工学および地盤工学の分野におけるKalmanフィルタの応用研究について概観した。まず, Kalmanフィルタならびに拡張Kalmanフィルタの構造やアルゴリズムについて述べたのち, これを応用した定式化と, 上記分野で適用されるべき3種類の問題分類を明確にした。次に, 構造工学および地盤工学のそれぞれについて, 従来までの応用研究の歴史と現状を総括し, 得られた成果を列記した。地盤工学分野における他の逆解析法との相違を論じながら, Kalmanフィルタを用いたパラメータ同定の有利な点を明らかにするとともに, 現在での問題点をいくつか指摘した。さらに, 今後の応用研究の方向や解決されるべき問題を掲げて, 将来への展望を示した。
  • 農業土木学会資料整備委員会
    1992 年 1992 巻 158 号 p. 105-130
    発行日: 1992/04/25
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
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