農業土木学会論文集
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1993 巻, 163 号
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  • 豊地土壌による水質浄化に関する研究 (I)
    金木 亮一
    1993 年 1993 巻 163 号 p. 1-9,a1
    発行日: 1993/02/25
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
    土壌カラムを用いて,室内実験を行った。脱窒に影響を及ぼす要因として,土壌の種類(粘質土,黒ボク土,砂,礫),流入窒素濃度(2,10,20,100mg/l),土壌水分状態(飽和と不飽和)の3つを取上げ,3元配置法による実験(カラム32本)を行い,分散分析により解析した。また,純粋流入カラム8本を用い,有機物の分解による影響を補正した。
    脱窒率に最も影響を及ぼしたのは土壌の種類で,脱窒率の平均値は黒ボク土(45%)>砂(38%),粘質土(37%)>礫(28%)であった。次に流入窒素濃度の効果が大きく,濃度が高くなるほど脱窒率は低下した。一方,土壌水分状態の影響は少なかった。
  • 土地利用秩序形成を目的とした圃場整備の提案 (II)
    有田 博之
    1993 年 1993 巻 163 号 p. 11-17,a1
    発行日: 1993/02/25
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
    都市化が進行する地域の農振白地で土地利用を秩序化するには,当面は農業生産を維持することを前提としながら,同時に都市化を制御することを目的とした圃場整備が不可欠である。しかし,現在の圃場整備事業は農業生産の効率化だけを目的とし,都市化への対応を考慮していないため,良好な都市環境の形成にはつながらない。
    本論では圃場整備事例をもとに以下の5点を検討し,これらについて都市化地域の農振白地での圃場整備が具備すべき技術的条件を提案した。
    (1)耕区の区画形態,(2)道路の形態・配置,(3)水路の形態・配置,(4)非農用地換地による都市施設用地の捻出,(3)宅地化を考慮した換地手法。
  • 渡辺 正平, 岸 武保
    1993 年 1993 巻 163 号 p. 19-27,a1
    発行日: 1993/02/25
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
    JISA1106に定められたコンクリートの曲げ試験は,梁に3等分点対称荷重を作用させるものである。そして,曲げ引張強度はNavierの曲げ公式で計算されている。ところが,この公式は厳密には弾性解析解と一致しないことはよく知られている。そこで,JISに定められた梁をAiryの応力関数法による解析を行って,Navierの曲げ公式の誤差を評価した。そして,光弾性実験や有限要素法それに鋼体ばねモデルによる解析を行って解析解を検証すると共に,荷重の非対称性の影響と亀裂の伝播経路を解析した。なお、モルタルとセメント安定処理土を用いた曲げ試験を行って,自重と引張強度が亀裂の発生位置に及ぼす影響を考察した。
  • 浸透量なしのケースについて (I)
    北村 邦彦
    1993 年 1993 巻 163 号 p. 29-33,a1
    発行日: 1993/02/25
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
    5種類の濃度(全塩濃度で0.00~0.08%)に調整した海水(全塩濃度:2.70%)を潅漑用水として利用し,水稲の生育について浸透量なしの条件でポット試験を行った。その結果,中干し開始まで濃度による差は認められない。しかし,最も用水を必要とする穂ばらみ期以降になると,濃度0.04%を境として生育に大きな差が生じた。つまり,0.06~0.08%は蒸散量の減少,黄化現象による茎の枯死,穂ぞろい期の遅れ、そして登熟歩合の低下等が挙げられる。これらの原因は根の発育と密接な関係にあり、本ポット試験により得られた許容塩分濃度は0.04%であることが判明した。
  • 西村 伸一, 長谷川 高士, 藤井 弘章
    1993 年 1993 巻 163 号 p. 35-43,a1
    発行日: 1993/02/25
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
    軟弱地盤において圧密の計算を行う場合,圧縮指数Cc,透水係数kが用いられるが,これらの土質定数は大きなばらつきをもっていることが知られている。本研究ではこのようなパラメータの変動性を考慮した一次元圧密解析を行っている。とくにここでは,完全な正規圧密土を対象とし,圧密に関する土質定数の変動性のそれぞれが個々に,解析結果である沈下量,間隙水圧の変動性に与える影響を明らかにすることを目的とした。土質定数としては,Cce-logk(e:間隙比)の直線関係を用いた。圧密解析手法としては,地盤の不均質性とパラメータの非線形性を考慮できるように有限要素法を用い,これにモンテカルロシミュレーション法を導入した。
  • 融雪流出の基礎的研究 (IV)
    倉島 栄一, 佐藤 晃三
    1993 年 1993 巻 163 号 p. 45-52,a1
    発行日: 1993/02/25
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
    熱収支積雪・融雪モデルを釜渕試験流域,高坂ダム流域,刀利ダム流域の気象観測地点で適用して,良好な結果が得られ,モデルの汎用性が確認された。また,地域差はあるものの,いずれにおいても融雪要因として放射収支量が最も大きいことが示された。
    さらに,これらの3流域を対象として,流域の気象要素に関する2~3の仮定のもとで流域融雪量を推算し,タンクモデル法による融雪流出解析を試みた。
    検討の結果,比較的簡単な解析手続きで熱収支積雪・融雪モデルを融雪流出解析に適用できることが分かった。また,菅原雪モデルとの推算流量の精度比較から,熱収支積雪・融雪モデルの有用性が示された。
  • アルカリ骨材反応に関する研究 (I)
    北條 弘生
    1993 年 1993 巻 163 号 p. 53-59,a2
    発行日: 1993/02/25
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
    骨材が反応性を有するか否かの判定には化学法,モルタルバー法が広く用いられているが,化学法による判定とモルタルバー法による判定が必ずしも一致しないことが多い。モルタルバー法は実際に即した試験方法で信頼性が高いが,試験に長期間かかるのが欠点である。
    オートクレープ反応促進法は短期間で判定できる方法である。本論は,化学法,モルタルバー法およびオートクレープを使用した反応促進法について比較検討した。
    その結果,オートクレープ反応促進法による試験結果はモルタルバー法による試験結果とよく一致し,しかも短期間にその結果が得られた。オートクレープ反応促進法は有効な試験方法であることを確かめたので報告する。
  • 渡辺 正平
    1993 年 1993 巻 163 号 p. 61-69,a2
    発行日: 1993/02/25
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
    セメント安定処理土層を最上層とする舗装モデルに平板載荷試験を行い,使用材料を異にすることによって弾性定数を変えると,この層に2種類の亀裂の発生がみられた。その理由は,最大引張り主ひずみが存在する場所の違いによることを,半無限軸対称多層弾性体に関する応力関数法による詳細な計算を行って解明していた。しかし,その方法では最初の亀裂の発生場所しか説明できないことから,本論では,有限要素法によって亀裂の発生と伝播の解析を行った。その方法は,ステップごとに引張り主ひずみが最も大きな要素を1個ずつ破壊させ,その要素を直交異方性化させるものである。なお,2種類の応力関数法によって,解析領域の妥当性を検討した。
  • 藤井 克己
    1993 年 1993 巻 163 号 p. 71-78,a2
    発行日: 1993/02/25
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
    初期固相率を1.3~2.6%に設定したモンモリロナイト懸濁液にイオン交換水を湛水させて,水の浸潤と粒子の拡散移動を60日間にわたって観察した.一方,水中において微細粒子に働く力を整理し,固相分布の経時的な変化が移流拡散方程式で表せることを導いた。
    さらに,これを先の測定結果に適用して,粒子の拡散係数と移流係数を実験的に求めた。これより,懸濁液中の粒子移動はブラウン運動による「拡散」よりも,粒子間力の勾配による「移流」の効果がはるかに大きいことが示された。ここでモンモリロナイト粒子問の反発力は高い固相率依存性を有し,これを整理すると,移流項は見かけの拡散項として振舞うことが明らかになった。
  • 近藤 雅秋, 平松 和昭, 戸原 義男, 四ヶ所 四男美, 森 健
    1993 年 1993 巻 163 号 p. 79-86,a2
    発行日: 1993/02/25
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
    円形回流水槽を用いて,流れによる底泥の巻き上げ特性を実験的に検討した。底泥は懸濁液を沈降させて設置した。そのため底泥表層の含水比は極めて高かった。まず流水中のSS測定を行うことで流れによる底泥の巻き上げ特性を明らかにした.次いで巻き上げと密接な関係にある底泥表層の物性(密度と降伏値)の経時変化を求めた。その結果,巻き上げ発生の有無およびその持続時間は底面勢断応力と底泥表層の降伏値との相対的関係で規定され,底面勢断応力が降伏値を上回る時に巻き上げが発生することが明らかとなった。さらに,巻き上げが発生しない程度の底面勢断応力であっても,底泥表層は,密度や降伏値が増加し,硬化することを確認した。
  • 畦畔除草に適した圃場整備技術の開発 (I)
    有田 博之, 木村 和弘
    1993 年 1993 巻 163 号 p. 87-94,a2
    発行日: 1993/02/25
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
    近年,畦畔の除草が水田の維持管理上の障害として濃家に強く意識されているが,従来,圃場整備技術の観点からこの課題が検討されたことはなかった。本論の目的は,畦畔の除草労働の実態を明らかにするとともに,除草労働の軽減化にとって圃場整備が規定的意味を持つことを示し,その技術的提案をすることである。
    本報では,以下の諸点-(1)今日,畦畔の除草が課題となる背景,(2)除草の対象と労働の実態,(3)現場で行われている除草労働の軽減対策の実態,(4)除草からみた現在の圃場整備技術の特徴-を検討し,農業技術の近代化の中での畦畔の除草の位置づけと,除草労働の実態を概括し,圃場整備技衛の課題を明らかにした。
  • 新城 俊也, 宮城 調勝, 小宮 康明
    1993 年 1993 巻 163 号 p. 95-101,a2
    発行日: 1993/02/25
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
    沖縄地方のさんご礁に堆積する8種類の石灰質砂について排水三軸圧縮試験を実施し,勢断特性を調べた。その結果,(1)石灰質砂はさんご,貝,有孔虫などの石灰質生物の遺骸からできたものであり,破砕性を示す材料である。(2)ピーク強度時の内部摩擦角は側圧の増加とともに減少し,その影響は破砕されやすい砂ほど顕著である.(3)内部摩擦角の減少は粒子破砕に伴うダイレイタンシー成分の低減に起因している。(4)ピーク強度からダイレイタンシー成分を分離した体積一定の摩擦角はさんご石灰質砂の種類に関係なくφcv=40~42°である。(5)弾性パラメータは応力依存性であり,側圧の増加に伴ってヤング率は増加するが,ボアソン比は減少する。
  • 石渡 輝夫
    1993 年 1993 巻 163 号 p. 103-110,a3
    発行日: 1993/02/25
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
    国営草地開発事業(公共草地の造成)対象地の土地条件(傾斜,有効土層,土性,礫含量),土地改良(暗渠,心土破砕,除礫,客土),土壌改良資材,造成法および整備水準を考察した。造成面積の広い北海道の東部や北部で平坦地の割合が高く,造成面積の少ない北海道南部で傾斜地の割合が高い。国営農地開発事業(農家の畑造成)対象地に比べ,傾斜地の割合が高く,湿性土壌の割合と各種土地改良の割合は低い。収益性の低い公共草地では農家の畑地と異なり,土地改良のなるべく不要な条件の土地が造成対象に選定され,より低い整備水準で造成されたと考えられる。このため,各種の課題が認められ,再整備の必要性が高い。
  • 高橋 強, 治多 伸介, 鈴木 真理子
    1993 年 1993 巻 163 号 p. 111-118,a3
    発行日: 1993/02/25
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
    オキシデーションディッチ法を用いた集落排水施設において,流入負荷変動に対する処理特性,とくに窒素除去を中心として現地調査を行った。
    その結果,流入負荷の変動が著しく,ディッチ槽内に好気ゾーンと嫌気ゾーンを安定して形成させることは困難であること,流入負荷の少ない時間帯を中心にして間欠曝気運転を行えば,硝化脱窒がバランスよく行われ高率の窒素除去が可能であり、また維持管理費も節減できることが確かめられた。
    また,その際の運転管理指標としては,pHが6.8~6.9となるように曝気時間と曝気強度を調節すればよいことがわかった。
  • 篠 和夫, 中村 智, 松本 伸介
    1993 年 1993 巻 163 号 p. 119-125,a3
    発行日: 1993/02/25
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
    環境条件がEPSの材料特性に及ぼす影響を実験的に検討した。すなわち,道路盛土などにEPSを利用した場合を想定し,EPS供試体を,(1)オイルあるいは軽油塗布の後屋外ばくろ,(2)紫外線照射促進,(3)屋内でオイルあるいは軽油塗布,(4)恒温,(5)水浸,の各状態下においた。数種類の保持期間の後,圧縮および曲げ試験を行い無処理の供試体と比較し,強度と弾性率の経時変化を検討した。その結果,次のような結論が得られた。(1)土木材料として使用に耐えぬほどの悪条件を来したのは,軽油塗布後にばくろしたケースであった。(2)強度に最も影響を与えた因子は,紫外線照射であり,次に軽油塗布であった。他の条件下ではさほど強度低下は見られなかった。
  • 木ノ瀬 紘一
    1993 年 1993 巻 163 号 p. 127-128,a3
    発行日: 1993/02/25
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
    流れの圧力が空間的に変化する場における掃流砂量を推定するとき,圧力変化が流砂運動に与える影響を無視することができない。前報において,その圧力変化を考慮した流砂量式を提案した。本論では,圧力の空間的変化を比較的明確に把握できる管水路を対象にし,そこに存在する河床波上の流砂量分布を三種類(前報で提案した抗力モデル,power model,揚力モデル)の流砂量式を用いて推定した。
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