農業土木学会論文集
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1993 巻, 166 号
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  • 原 喬
    1993 年 1993 巻 166 号 p. 1-8,a1
    発行日: 1993/08/25
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
    水田の畑作時の圃場レベルの排水構造をモデル化した。モデルはタンクモデルを基にマクロボア理論等を取り入れた排水構造とした。排水対策を施した現地圃場における降雨一流出の実測データにより,このモデルの同定を行った結果,実測値と計算値がほぼ一致し,モデルの有効性が確認できた。実測値では暗渠排水の配置等により暗渠および地表からの流出に大きな差があり,それが排水構造のパラメータの違いとなって現れることが明らかになった。したがって,基本的単位区画について土壌の種類,暗渠排水の方法等が変化した場合のいろいろなパラメータを調査しておけば,実際に圃場の諸元が変化した場合の降雨一流出の過程が予測できる。
  • 木村 晴保, 李 東日, 伴 道一
    1993 年 1993 巻 166 号 p. 9-14,a1
    発行日: 1993/08/25
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
    湖沼やダム湖などにおいて水面冷却によって生じる熱対流量を推算するための鉛直一次元熱対流モデルを提案する。本モデルは熱の移流と伝導を考慮した熱収支方程式に基づいたモデルである。水表面近傍での急激な温度低下と,これに伴って生じる密度不安定水塊の局所的・突発的な沈降を仮定したが,これらは実験でも確認できた。また,沈降水の落下速度を検討することで,精度を検討した。本モデルは比較的容易に,かつ精度よく実測できる水温鉛直分布の経時的変化を用いて,対流量と対流深度を推算することができ,水に溶存する物質,たとえば溶存酸素の鉛直輸送量を推算するのに有効であるという結論を得た。
  • 新城 俊也, 島袋 進, 宮城 調勝, 小宮 康明
    1993 年 1993 巻 166 号 p. 15-23,a1
    発行日: 1993/08/25
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
    新城俊也・島袋進・宮城調勝・小宮康明セメントを混合したさんご石灰質砂の強度・変形特性を明らかにするため等方圧密試験と圧密排水三軸圧縮試験を実施した。その結果,軟質で破砕されやすい砂にセメントを混合すると,セメント量の増加に伴い,(a)等方圧密試験による圧密降伏応力は増大する,(b)ヤング率は増加するが,ボアソン比は変化しない,(c)ピーク時の粘着力成分は著しく増加するが,内部摩擦角はわずかに減少する,(d)残留時の内部摩擦角はほぼ一定のままであることが明らかにされた。また,75μm以下の細粒分を含有する砂の方がセメント混合による改良効果が大きい。セメント安定処理砂地盤の強度評価にはコンクリートの配合に用いられるセメント空隙比説が適用可能である。
  • 施設園芸ハウスの耐風性に関する研究
    尹 龍哲, 篠 和夫, 松本 伸介, 玉井 佐一
    1993 年 1993 巻 166 号 p. 25-33,a1
    発行日: 1993/08/25
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
    施設園芸用ビニルハウスの耐風性に関する研究のうち,ハウスの基礎に広く用いられている円柱形杭に引抜き力を加え,水平加振した場合の杭の引抜き抵抗力の,加振しない場合に対する減少を実験的に考察しようと試みた。実験の結果,予め加えた引抜き力が大きいほど,加振周波数が小さいほど,同一周波数については最大加速度が大きいほど,引抜き抵抗力は減少し,変位量は増大した。これは根入れ長が長くなっても同様の傾向であった。そして,同一振動ならば,根入れ長が長いほど,締固まった地盤ほど引抜き抵抗力の減少は小さくなり,変位量の増大も小さくなった。よって,振動により杭の引抜き抵抗力が減少することは明らかであると考えられる。
  • 森林 (油日岳実験流域) からの汚濁負荷流出機構 (I)
    國松 孝男, 須戸 幹
    1993 年 1993 巻 166 号 p. 35-44,a1
    発行日: 1993/08/25
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
    琵琶湖流域の森林(23.8ha)から流出する渓流の水質と流量を1988年1月から約4年間,1回/週の頻度で測定した。水量加重平均水質と化学形態別組成は,TNが0.528g・m-3 (NO2-N 0.5, NO3-N 73, NH4-N 5.4,DON 11, PN 11%), TPが0.0121g・m-3 (PO4-P 36,DOP 21%, PP 44%)であった。その年平均値は一定ではなく,3年間でTN,TPそれぞれ1.32, 1.96倍も変動した。水質は平均のとり方によっても異なり,基底流水質に対して算術平均水質,水量加重平均水質は,TNではそれぞれ1.53,2.07倍,TPではそれぞれ1.70,2.63倍高くなった。200mmをこえるような大雨は,その後の降雨によるTN/TP比,TCOD/TP比の変動を少なくとも1年間は小さくした。
  • 鉄戸材嫌気性炉床方式の実験的研究 (I)
    治多 伸介, 高橋 強, 西口 猛
    1993 年 1993 巻 166 号 p. 45-53,a1
    発行日: 1993/08/25
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
    通常の嫌気性炉床方式に鉄製の炉材を使用し,その腐食に伴って溶出する鉄イオンによって排水中のリンを有機物と同時に簡便・安価に除去する,小規模生活排水処理施設向けの「鉄炉材嫌気性炉床方式」という処理方式を開発した。この研究では,人工汚水を用いた室内実験を行い,その処理特性を検討した。その結果,(1)汚水の停滞する部分ができるとリン除去性能が低下すること,(2)鉄製炉材によるBOD除去量の違いによって,その腐食速度やリン除去能力が変化すること,(3)溶出した鉄イオン量のリン負荷量に対するモル比によって処理水質が予測できること,等が明らかとなった。汚泥発生量,有機物処理や脱窒の進行についても言及した。
  • 飯田 俊彰, 上木 勝司
    1993 年 1993 巻 166 号 p. 55-61,a2
    発行日: 1993/08/25
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
    の動態と,その融雪に伴った流出について,野外観測を行って検討した。その結果,積雪内の陰・陽イオンは,本格的な融雪が始まる以前の融雪初期段階から迅速に積雪内を降下していることが把握され,これは色素をトレーサーにした野外実験結果とも対応していた。融雪の初期段階で,積雪内のイオンの約70%以上が流出する現象が把握されたが,それは積雪がしまり雪からざらめ雪に変態する時と一致しており,またこの時期の融雪水は積雪そのものの約7倍のイオン濃度になっていると見積られた。さらに,積雪内を流下するイオンは,積雪内に形成された氷板に一時的に蓄積されることが推察された。
  • 畑地帯集水利用システムに関する研究 (I)
    吉永 安俊, 久保 成隆, 後藤 章, 翁長 謙良
    1993 年 1993 巻 166 号 p. 63-68,a2
    発行日: 1993/08/25
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
    畑地帯集水利用システムにおける,1haを潅漑するために必要な貯水池容量(V)と集水面積(A)の関係を水収支シミュレーションで求めた。その結果,両者の関係はA=α/(Vγ-β)n式で近似されることがわかった。式中のβ の値は貯水池に流入のない期間における潅漑必要水量と等しく,その地域の最小貯水池容量となる。
    貯水池容量と集水面積の関係は降雨特性,流出特性および潅漑条件に影響される。すなわち,同一集水面積における貯水池容量は多雨高流出率,節水潅漑の採用で小規模化する。この現象は集水面積が狭いほど顕著であ
  • 畑地帯集水利用システムに関する研究 (II)
    吉永 安俊, 久保 成隆, 後藤 章, 翁長 謙良
    1993 年 1993 巻 166 号 p. 69-74,a2
    発行日: 1993/08/25
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
    畑地帯集水利用システムの貯水池特性を水収支シミュレーションで明らかにした。他水源からの用水補給は貯水池容量縮小を伴い,潰れ地および築造経費削減に有効である。用水補給による縮小効果は連続補給の場合,集水面積に,条件補給の場合,補給開始時点に大きく影響される。5,000m3の貯水池(潅漑面積1ha,集水面積6ha)の場合,流入量の平均貯留率は50%程度であり,利用率は40%程度である。貯留方式および水収支単位については,経年貯留が単年貯留方式より貯水池容量は小規模化され有利である。また,水収支単位の影響は貯水池が小規模なほど顕著で,小規模貯水池では半旬,旬,月単位は適当でなく,日単位が望ましい。
  • 森井 俊広, 長谷川 高士
    1993 年 1993 巻 166 号 p. 75-81,a2
    発行日: 1993/08/25
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
    アースダムを対象に,湛水時および貯水位低下時における浸透流動と応力挙動,堤体の力学的安定性との間の相互関係について検討した。検討手法として,飽和・不飽和浸透流解析と応力・変形解析とを重ね合わせた有限要素解析法を用いた。堤体の力学的安定性は,有限要素の応力度から求めた斜面の円弧すべり安全率によって評価した。
    湛水および貯水位低下過程における力学的安定性が主応力の変化に強い影響を受けること,そしてこの主応力の変化は浸透力や浮力などの物体力の分布に支配されることを明らかにした。また湛水時および貯水位低下時のすべり安全率の変化の特徴をまとめた。
  • 北海道における土壌侵食抑制に関する研究 (II)
    長沢 徹明, 梅田 安治, 李 里漫
    1993 年 1993 巻 166 号 p. 83-88,a2
    発行日: 1993/08/25
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
    傾斜試験枠における積雪・融雪,凍結・融解,流出・流亡などの観測を通じて,融雪・融凍期の侵食特性を検討した。その結果,融雪に伴う地盤凍結区の水土流出は不凍結区に比して著しく大きいこと,および牧草の侵食抑制効果を確認した。融雪・融凍後は.不凍結区の流出が凍結区より犬きいものの,侵食量は降雨条件に左右される。すなわち,EI値の小さい降雨では両者に差がなく,大きい場合に凍結区の流亡土量が大きく現れる。
  • イスラム モハマッドナズルル, 四方田 穆, 永井 明博
    1993 年 1993 巻 166 号 p. 89-95,a2
    発行日: 1993/08/25
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
    開発農地から洪水流出の予測に貯留関数モデルを適用し,その適合性を表面流モデルとタンクモデルによって比較した。流出データには,圃場状態が全面畦無し,畦立て,両方が混在する場合の3通りに大別される8年間の観測結果を用いた。モデル定数と有効降雨式のパラメータの最適値は,ローゼンブロック法により求めた。得られた貯留関数モデルの最適定数の値については,表面流モデルおよびタンクモデルの定数と比較する形で.図や表に示した。
    その結果,開畑農地においても計算手順が容易な貯留関数モデルが表面流モデルやタンクモデルと同じ程度に適用できることが分かった。
  • 新城 俊也, 小宮 康明, 宮城 調勝, 赤嶺 充司
    1993 年 1993 巻 166 号 p. 97-104,a2
    発行日: 1993/08/25
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
    国頭マージ地帯の野外侵食試験区(1区画2m×20m,勾配7.5%)を利用して切土および耕うん土からの赤土流出とそれに及ぼす高分子系侵食防止剤の被膜による侵食防止効果について調査した。その結果,切土のままの状態が最も侵食を受けやすく,むしろ耕うんした方が流出土量は減少する。さらに,侵食防止剤を耕うん混合処理した場合,被膜により耐水性団粒が増加するので,耕うんだけの場合よりも侵食防止効果が大きい。また,土砂流出量は侵食防止剤を表面散布した切土において最も少なく,表面被覆による侵食防止効果は顕著である。侵食防止剤による表層被覆工法は赤土流出対策として,施工段階にある切土,盛土あるいは工事中の仮置土に適用できる。
  • 1993 年 1993 巻 166 号 p. e1a
    発行日: 1993年
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
  • 1993 年 1993 巻 166 号 p. e1b
    発行日: 1993年
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
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