農業土木学会論文集
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1993 巻, 167 号
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  • 富田 平四郎, 中野 政詩
    1993 年 1993 巻 167 号 p. 1-10,a1
    発行日: 1993/10/25
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
    赤城山に由来する粗粒火山灰土である鹿沼土(鹿沼軽石層)は, 直径2~20mmの風化軽石を主体に軽石粒, イモゴライト, 岩片の4要素からできている。風化軽石は軟質かつ多孔質で含水比が高いため強度が小さく, また, 大きな圧縮性を示す特殊土である。この圧縮量の多さは主として風化軽石の圧縮によるものであるが, 4要素間には大きな間隙が存在するため間隙の構造は複雑で, 間隙の圧縮も含まれる圧縮挙動は複雑である。本研究は, 圧密試験と三軸圧縮試験による圧縮量を測定すると同時に, 各要素の圧縮率およびゴム膜貫入率を実験により求め, これらの結果を利用して鹿沼土の圧縮機構の解明を行ったものである。
  • 井上 宗治
    1993 年 1993 巻 167 号 p. 11-17,a1
    発行日: 1993/10/25
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
    体下基礎の浸透流性状はその流線網を描くことによって把握される、流線網の作成に関して, 本論文ではラプラス方程式の解とその解をもとにした階差法による解を併用した解析法を提案している。矢板の周りの流れおよび堤体下基礎の流れの場合については, その境界での水頭分布を仮定することによって適切な解析解が得られること, 最も実用的なケースである堤体下基礎の止水壁周りの流線網は「矢板の周りの流れ」と「堤体下基礎の流れ」との基本解を重ね合わせた解に階差法の計算を加えることによって作成されることなどを示した。この方法は止水壁の位置や本数が異なるケース, より複雑な堤底面形状に対しても有効に適用され得るものである。
  • 現場埋設実験と施工過程を考慮した非線形弾性解析
    河端 俊典, 毛利 栄征, 近藤 武
    1993 年 1993 巻 167 号 p. 19-27,a1
    発行日: 1993/10/25
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
    外圧剛性2.56kN/m2のφ1500mmFRPパイプを用いた現場埋設実験ならびに施工過程を考慮した有限要素解析から, 低外圧剛性パイプの埋設拳動について検討した。
    パイプは管頂までの埋戻しに際して縦長のたわみとなり, 長期的にも安定することが実験的に確かめられた。さらに、埋戻し層の転圧過程を考慮した有限要素解析では, 定性的に低外圧剛性パイプの変形特性を表現できることがわかった。
    また, このような低外圧剛性パイプの拳動は施工過程の影響を大きく受けるとともに, 施工管理において埋戻し材料の締固めが重要であることがわかった。
  • 西村 拓, 中野 政詩, 宮崎 毅
    1993 年 1993 巻 167 号 p. 29-35,a1
    発行日: 1993/10/25
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
    室内実験で, 直径8.4cmの円筒カラムに土 (CL) を詰め, 人工降雨, 滴下給水の黛通りの方法で給水を行い, 土層中のマトリックポテンシャル分布を測定し, 降雨前後の地表面の土の水分特性, 飽和透水係数の測定を行った。
    滴下給水時のマトリックポテンシャル分布は, ダルシー式の積分結果とよく一致した。降雨によって地表面にクラストが形成している状態のマトリックポテンシャル分布からクラスト形成土層は, クラスト層, 目詰まり層, 不変化の層の3層から構成されることがわかった、水分特性, 透水係数の測定から, クラスト層, 目詰まり層では, 大きな間隙が閉塞していることが推察された。
  • Shigeyasu AOYAMA, Sylvester OKWACH, Takatoyo TAKEUCHI
    1993 年 1993 巻 167 号 p. 37-46,a1
    発行日: 1993/10/25
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
    モミの貯蔵施設であるカントリーエレベータの塔体の拳動についてはすでに報告した (農土論集No156)。本報は, この基礎に用いられるコンクリートスラブの設計断面力評価について検討した。この基礎は弾性床上の板として解析されるべきであり, 有限要素法によりこれを実現した。2×5列の塔体基礎をとりあげ, いくつかの部分モデルや全体モデルの解析を行った。その結果,(1) 極端に地盤反力係数が小さいと, 基礎は不安定となる,(2) 部分解析においても全体解析とほぼ等しい結果が得られる,(3) 直交はり近似による在来設計法によると, 現実に対して極めて安全側の値の得られること等が判明した。
  • 溝口 勝, 増田 順
    1993 年 1993 巻 167 号 p. 47-53,a1
    発行日: 1993/10/25
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
    吸着水の内部圧を土粒子表面からの距離(x)の関数として考察した。吸着水に対する吸着ポテンシャルがx-bに比例すると仮定すると, 内部圧は吸着力を相殺し, 表面に近づくにつれて高くなる。吸着力と重力を考え仮想的な土粒子に対して内部圧の二次元的な分布を計算したところ, 計算値は毛管現象に代表されるような土粒子周りの圧力分布状態をよくシミュレートすることがわかった。また, 吸着ポテンシャル式から推定されるテンションメータ圧が, マトリックポテンシャルと体積含水率の関係を示す実験定数b値に関連づけられた。加えて載荷重が内部庄に与える影響を導き, 不凍水の固体的応力を理解するための理論的な根拠を提供した。
  • 國武 昌人, 緒方 英彦, 中沢 隆雄, 田口 憲三, 児玉 忠, 山下 博, 桐山 和人, 田口 義明, 菊村 忠由
    1993 年 1993 巻 167 号 p. 55-64,a1
    発行日: 1993/10/25
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
    國武昌人・緒方英彦・中沢隆雄・田口憲三・児玉忠・山下博・桐山和人・田口義明・菊村忠由コンクリートにおける温度ひびわれを防止する方法としては, 各種クーリングやコンクリートの配合変更という内部温度自体を低減させる方法が採られている。しかし, 温度ひびわれは最高温度に達した後の一定期間内の温度降下量の影響を強く受けている。そこで, 内部温度が最高値に達した後に外部から熱を加えるという, 保温養生を行って温度降下量を小さくしようと考えた、本論では, 保温養生の有効性を三次元非定常熱伝導有限要素解析法を用いて検討した結果, 保温養生により温度降下量を小さくすることができるという結果を得た。また, 実際のボックスカルバート施工に保温養生を適用した結果, 温度ひびわれは入らなかった。
  • 高橋 強, 鈴木 真理子, 治多 伸介
    1993 年 1993 巻 167 号 p. 65-72,a2
    発行日: 1993/10/25
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
    農業集落排水のような小規模なオキシデーションディッチにおける流入負荷変動に対する処理特性について, 槽列モデルを用いたシミュレーションによる動力学的解析を行い, とくに高率窒素除去の観点からその運転管理方法について検討を加えた。
    その結果, 流量調整槽をもたない本施設では汚水流入と連動した時間制御による間欠曝気運転を行えば, 水温の変化に応じて曝気強度を適切に調節するだけで経済的かつ高率の窒素除去が可能であり, また将来の供用人口の増加による汚水流入量の増加に対しても十分対応できることが推察された。
  • ベントナイト系遮水マットの貯水池への適用に関する研究 (I)
    長束 勇, 毛利 栄征, 浅野 勇, 大和 真一, 三浦 信隆, 福元 信一
    1993 年 1993 巻 167 号 p. 73-80,a2
    発行日: 1993/10/25
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
    粘土と繊維の複合体であるベントナイト系遮水マット(GCL)の貯水槽底盤部への適用に際し, 設計施工法を踏まえた遮水性能を確認するため, 大型圧力容器を用いた実際の施工規模のモデル試験により, 耐水圧性, 透水性に関する基礎的な遮水性能実験を行った。実験は, GCLそのものの遮水性能やGCL相互およびコンクリート構造物との接合部の遮水性能について行った。その結果, GCLは, 高水圧負荷(最大700kPa)時においても透水係数kが, 1×10-7cm/s以下の遮水性能を有していることを確認した。また, GCL相互の接合やコンクリート構造物との接合の方法についても, 遮水性を実用上支障なく確保できる遮水工法を検討した。
  • 緒方 英彦, 國武 昌人, 中沢 隆雄
    1993 年 1993 巻 167 号 p. 81-88,a2
    発行日: 1993/10/25
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
    マスコンクリートの温度解析を行う場合, 解析結果に影響を及ぼす要因の中に断熱温度上昇特性がある。断熱温度上昇特性にはK(終局断熱温度上昇量)とα(温度上昇速度に関する定数)の2つの定数があるが, マスコンクリートのひびわれ制御(日本コンクリート工学協会)に掲載されている値を用いて, 有限要素法により解析すると, 解析値は実測値を2~3割下回る傾向がある。本論では, マッシブなコンクリート橋脚の温度を実測し, その結果からKとα を逆解析した。その結果, マスコンクリートのひびわれ制御の値を1.3倍すれば, 実測値と合うことが解った。また, 初期内部温度の状況をシミュレートして, 時間一温度曲線, 等温度線図を描いた。
  • 永井 明博
    1993 年 1993 巻 167 号 p. 89-95,a2
    発行日: 1993/10/25
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
    岡山県北部の黒木ダム流域の約13年間の資料を対象として, 直列4列型タンクモデルでも長短期流出の解析が行えることを実証した。また, 未知定数を少なくして定数探索を容易にするため, 最上段タンクの貯留・流出関係をベキ関数近似したモデルを考察するとともに, このべキ関数型モデルが通常タイプのタンクモデルに容易に変換できることを例示し, ベキ関数型モデルでもそれから変換された通常タイプのモデルでも長短期流出解析が十分可能であることを示した。さらに, 長短期流出の一つの応用として, 直列4段モデルによる洪水流量予測を試みて, 好結果を得た。また, 最上段タンクのみでも洪水流量予測がある程度うまく行えることも述べた。
  • 北海道における土壌侵食抑制に関する研究 (III)
    長沢 徹明, 梅田 安治, 大西 峰隆
    1993 年 1993 巻 167 号 p. 97-102,a2
    発行日: 1993/10/25
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
    札幌, および北海道南西部の寿都における枠試験を通じて, USLEの降雨係数を検討した。その結果, 10分雨量によるEI値は, 流亡土量や時間雨量によるEI値との間にきわめて高い相関性があることなどを確認した。降雨係数の構成要素である融雪水係数は地域によって異なり, 冬期間降水量からの換算係数(USLEでは1.0)は, 寿都で0.160, 札幌で0.014となり, また凍結区ではこの値が6倍大きく評価された。
  • マレーシア・ムダ地区における均平試験による検討
    藤井 秀人, 笹野 伸治
    1993 年 1993 巻 167 号 p. 103-108,a2
    発行日: 1993/10/25
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
    直播栽培においては雑草の抑制と良好な苗立確保が重要な課題であるが, その解決のためには圃場均平度の改善が必要である。マレーシア・ムダ地区で圃場均平試験を実施し, 機械の種類による改善度の違い, 良好な苗立確保に必要な圃場均平度を調査した。その結果極めて一般に普及しているトラクタでレーザーシステムなしで標準偏差は2.5cm程度にまで達成できることが確認された。また均平度と苗立の関係の調査から, 潤田直播栽培では, 標準偏差を1cm改善することにより不苗立面積を約2.4%削減できることが示された。
  • 凝灰岩と砂礫での事例
    鳥山 晄司
    1993 年 1993 巻 167 号 p. 109-115,a2
    発行日: 1993/10/25
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
    締固めた砂礫材と疑灰岩の供試体をσ3=19.6~588kPaで三軸圧縮試験を行い, 3つの剪断強度式の適合性について検討した。この結果, モール・クローン式, 非線形式(τ-Aσb), 内部摩擦角を垂直応力の関数とした式(φ0m-αlog (σ/σ01))のいずれも適用の下限応力がある。これはσ=70~90kPa(σ3≅49kPa)であり, これ以下ではτ=σtanφMとするとよい。
    ついで, 各剪断強度式の係数を求めるに必要な供試体本数を検討し, 4本1組でよいこと, 下限応力での内部摩擦角φmを求める方法を示した。また, 剪断強度は乾燥密度に大きく影響されるため, 各係数と乾燥密度の関係および各係数相互の相関性についてまとめた。
  • 1993 年 1993 巻 167 号 p. e1
    発行日: 1993年
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
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