農業土木学会論文集
Online ISSN : 1884-7234
Print ISSN : 0387-2335
ISSN-L : 0387-2335
1994 巻, 171 号
選択された号の論文の21件中1~21を表示しています
  • 細粒土の比表面積, 細孔容積と物理性に関する研究 (I)
    馬場 秀和
    1994 年 1994 巻 171 号 p. 1-6,a1
    発行日: 1994/06/25
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
    H2Oガスによる吸湿・脱湿過程の吸着実験とN2ガス吸着実験を行い, 得られたBET比表面積からそれぞれの比表面積値の発現機構について考察した。その結果, 次の点が明らかとなった。(1) 吸湿・脱湿過程のヒステリシスは大きく, 土の微細間隙は複雑な構造をもつことがうかがわれた。(2) 有機物を多く含むほどH2O比表面積とN2比表面積の差が大きい。(3) 有機物処理の効果は有機物含量の多少によってH2O比表面積を減少あるいは増大させる。(4) 土の比表面積と物理性の相関を見る場合には, 特にアロフェンや有機物の有無を考慮する必要がある。
  • 細粒土の比表面積, 細孔容積と物理性に関する研究 (II)
    馬場 秀和
    1994 年 1994 巻 171 号 p. 7-12,a1
    発行日: 1994/06/25
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
    0.42mm以下の土粒子のN2ガス吸着によるBET比表面積の測定を行った結果,(1)試料を1g程度に採る場合, 比表面積値が35m2/g程度以上の試料では相対誤差が5%以下の測定値を採用すべきものと判断された。(2)超音波処理土, 無処理土の比表面積値は近似し, 音波処理による微小粒子の破壊は生じないものと推察された。(3) 岩手県内各地から採取した鉱質土の比表面積は大半が10~50 (m2/g) の範囲の値となったが, 火山砕屑物において70 (m2/g) を超すものが多く見られた。(4) 自然土と, これをNaで飽和させた試料の比表面積値はほぼ一致し, 吸着イオンの相違はN2比表面積の測定結果に影響しないものと推察された。
  • 森 也寸志, 渡辺 紹裕, 丸山 利輔
    1994 年 1994 巻 171 号 p. 13-20,a1
    発行日: 1994/06/25
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
    水稲根が水田土壌の水・物質移動に及ぼす影響を調べると, 根の通気組織がそのまま通水組織となり得るため, 不完全な腐朽分解でも, 水稲根は土壌中の粗孔隙として水・物質移動に寄与することがわかった。また, ポット栽培により, 水田作土では1年の内に水稲根によって粗孔隙が形成されると結論できた。このようにして形成された根成孔隙は, 水稲根組織や粘土集積物によってその内壁を補強されており, 粗孔隙からマトリックス方向への水移動には抵抗となることが予想された。すなわち,この根成孔隙は, 側方への連絡が少なく, 鉛直方向に卓越した水・物質移動の場を与えることが考えられた。
  • 山岡 賢, 端 憲二, 藤野 欣一
    1994 年 1994 巻 171 号 p. 21-28,a1
    発行日: 1994/06/25
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
    農業集落排水処理施設における高度処理対策の課題の一つであるリン除去対策について鉄脱リン法を取上げ, 回分槽内への鉄接触材の浸漬により低コストな窒素・リン同時除去技術の開発を進めている。
    実施設規模の実験プラントで約8カ月にわたって窒素・リン高処理性能を維持した調査結果を得て, その結果を基に, リン収支, リン除去メカニズムを検討し, 鉄接触材によるリン除去能力の定量評価を試みた。
  • 若杉 和彦, 鈴木 光剛
    1994 年 1994 巻 171 号 p. 29-37,a1
    発行日: 1994/06/25
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
    複合タンクモデル法の構造的側面から, ブロック分割の持つ具体的意義とブロック分割数と精度との関連性について検討した。ブロック分割による水田モデルの流出機構と河川流量の変化について理論的に検討し, 水田タンクモデルの貯留量とブロック間反復利用回数の点から, ブロック分割による河川流量の変化の影響を明らかにした。また, Strahlerの河川次数2~3次の河川に対する流域の範囲を基本ブロックとする概念を導入し, 箒川流域に適用した。さらに, 基本ブロック内を数個の単位ブロックに分割し, 各ケースについてハイドログラフの計算結果を比較検討し, 水収支解析におけるハイドログラフの再現性のよいブロック分割の方法を明らかにした。
  • 金 鎮洙, 久保 成隆, 志村 博康
    1994 年 1994 巻 171 号 p. 39-50,a1
    発行日: 1994/06/25
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
    非線形効果を表すために, まず疑似等流的なアプローチにより, kinematic waveの平均伝播速度という新しい概念を導入し, 流量-kinematic wave平均伝播速度の関係図 (Q-C曲線) を得る。このQ-C曲線を用いることにより, 2つの定常流の間のkinematic waveの平均伝播速度の差が放流波に及ぼす非線形効果の傾向を表す常数であるという仮説を立てることにする。この仮説は非定常流シミュレーションの結果とよく一致する。変断面水路でのkinematic waveの平均伝播速度は一様水路でのそれより小さく, 流量増加の場合, 非線形効果は小さくなり, 場合によっては負の非線形効果が起こりうる。
  • 三原 真智人, 安富 六郎, 加藤 誠
    1994 年 1994 巻 171 号 p. 51-56,a2
    発行日: 1994/06/25
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
    土壌分散性の評価と浸透水による土壌構造の変化を定量的に調べるため, 締固めた花崗岩風化土にマクロボアを作って土壌中の内部浸食による間隙構造の変化を調べた。供試体を浸透する流量の計算についてはBuckingham-Reiner式とDarcy式に基づき, マクロボア直径の変化を示す構造係数によって間隙構造の変化を推定した。さらに供試体から土壌薄片を作成し, 浸透後のマクロボア直径を実測して計算結果と比較した。その結果, 構造係数から算出したマクロボア直径は土壌薄片から求めた実測値に近い値を示し, Buckingham-Reiner式とDarcy式に基づく構造係数の算出は適切であると判断した。
  • 姜 華英, 西山 壮一, 河野 広, 南 信弘
    1994 年 1994 巻 171 号 p. 57-66,a2
    発行日: 1994/06/25
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
    木槲池サイホンは, 通常の溜池のサイホンに比べ, 管径および長さがきわめて大きい。このような大規模のサイホンの空気逸出量を予測する過去のデータはない。そこで, 模型実験を行い, その実験結果から空気逸出について予測を行った。そして, サイホンの低圧部における空気逸出特性も明らかにした。また, 傾斜管において, 空気移動に関する理論的解析を行い, 傾斜と空気を排除する流速との関係を明らかにし, 実験によって, 下り傾斜管での空気を移動させる流速を明らかにした。
    これらの実験結果を使い, 木棚池のサイホンの空気排除装置の容量が設計された。
  • 小島 信彦, 山本 光男
    1994 年 1994 巻 171 号 p. 67-73,a2
    発行日: 1994/06/25
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
    渓流取水工群と貯水池とからなる利水システムへの適応を目指して開発した, バースクリーン複合型渓流取水工について水理模型実験を行い, その水理諸元, 水理特性の究明を行った。バースクリーンの開度, 集水路幅が一定の場合には, バーの取付け角度が大きくなるほど取水量は増加する。また, バースクリーンの下流側にデフレクターを設置すると, 設置しない場合に比べて取水量は増大する。さらに, 集水路末端の角落とし堰によって,取水量が調整できると共に, 浮遊流下物によるバースクリーンの目詰まりを防止することができる。以上の結果から, 本渓流取水工が汎用性を有するとの知見を得た。
  • 施設園芸ハウスの耐風性に関する研究
    篠 和夫, 尹 龍詰, 松本 伸介, 玉井 佐一
    1994 年 1994 巻 171 号 p. 75-82,a2
    発行日: 1994/06/25
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
    前報で, 水平加振した杭の引抜き抵抗力が加振しない杭に比べてどの程度減少するかを目的として実験を行ったが, 本報では, 杭の直径を変化させた場合の引抜き抵抗力について実験を行った。その結果, 水平加振した杭の引抜き抵抗力が, 加振しない杭に比べて大きく減少する場合があること, 杭径を大にしてもスケール効果により杭径に比例した抵抗力が発揮されないこと, 特に根入れ長が短い場合にそれが顕著であること, 等が分かった。
  • 乾燥地条件下での土壌中の水・塩の動態と作物の要素吸収について (I)
    李 品芳, 山本 太平, 長井 武雄, 藤山 英保
    1994 年 1994 巻 171 号 p. 83-88,a2
    発行日: 1994/06/25
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
    裸地あるいはオオムギを栽培した鳥取砂丘土壌カラムにおける水・塩の動態と作物の要素吸収に及ぼす気温と地下水位の影響を調査した。気温と地下水位が高くなるにつれて土壌水分量と蒸発散量が増加し, 塩類集積量も増大した。土壌水分量, 蒸発散量と塩類集積量は概して, 栽培区が裸地区より多かった。また, 土壌カラム表層3cm以内の塩分濃度が著しく高く, 深さが増すに伴い急減する傾向がみられた。各カチオンの根群域の集積はオオムギによる吸収に影響を及ぼした。そのうち, Na含有率と根群域におけるNa集積量との間の相関が最も高かった。しかし, 生育に影響を及ぼしたのはNであった。
  • 吉武 美孝, 松本 伸介, 篠 和夫
    1994 年 1994 巻 171 号 p. 89-97,a2
    発行日: 1994/06/25
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
    透水係数の異方性と非等質性を同時に考慮したフィルダムコアの浸透流解析を行った。まず, フィルダムの透水係数の異方性と非等質性の両特性に関する従来の実験的研究内容について記し, 本解析的研究の必要性について述べた。次に, これらを考慮したコア内浸透の二次元有限要素法による解析方法を示した。そして, 中心コアと傾斜コアに対して上下流法面勾配, 異方性を表すパラメータρと非等質性を表すパラメータ7を種々変化させて, ここで提案した解析法を適用した。そして, これらの要因が水頭分布と浸出点の位置および浸透流量に与える影響について考察した。また, ここで解析したモデルに対しては浸透流量が求まるように回帰式と表を示した。
  • 岩間 憲治, 丸山 利輔, 渡辺 紹裕
    1994 年 1994 巻 171 号 p. 99-105,a3
    発行日: 1994/06/25
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
    軟X線による土壌孔隙のフィルム画像から孔隙の三次元座標を読取るための画像処理システムを改良した。最初に軟X線撮影や陰影(ネガフィルム上)のデジタル入力の際に生じる誤差を検討し, 供試土壌の移動や孔隙の陰影の識別精度が孔隙の座標計算に最も影響することを示し, 移動精度0.02mmの移動ユニットで供試土壌の移動を制御した。次に, 左右のフィルム画像から, 同一孔隙による陰影を識別し, 三次元座標を計算するシステムを試作した。針金を孔隙に代用した疑似孔隙のステレオ映像に上述の成果を適用し, システムの有用性を確認した。また, 実際の土壌孔隙に適用する場合の問題点を指摘して, 今後の発展の方向を示した。
  • 農業用溜池の漏水に関する研究 (I)
    西村 眞一, 仲野 良紀, 清水 英良
    1994 年 1994 巻 171 号 p. 107-113,a3
    発行日: 1994/06/25
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
    農業用ダムはフィルタイプを主としているが, 内部浸食による漏水の問題を抱えているものが少なくない。この原因はハイドロリック・フラクチャリングによることが定性的には明らかにされつつあるが, 室内実験では現実の条件を再現しにくいなど定量的には不明確な点が多い。
    そこで, 実際のフィルダムにおいてハイドロリック・フラクチャリングを人工的に発生させるための装置を作成し現場実験を行った。そして, ハイドロリック・フラクチャリングによる亀裂の発生と水圧の関係について調べると共に実験後の亀裂の発達状況を観察した。その結果, 亀裂の生じる水圧および閉じる水圧の存在を確認するとともに, 亀裂が引張りにより発生していることが分かった。
  • 酒井 俊典
    1994 年 1994 巻 171 号 p. 115-120,a3
    発行日: 1994/06/25
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
    密詰め砂地盤において, 積上げ高さ(h)とアンカー直径(B)との比 (h/B) が異なる浅いアンカーのスケール効果の違いを, 1g重力場実験および勢断帯・ひずみ軟化を考慮した弾塑性有限要素解析により検討を行った。その結果h/Bの大小により, 地盤の破壊の進行性の程度が大きく異なり, 破壊がより進行的であるh/Bが大きいほど, 進行性破壊に起因するスケール効果が顕著であった。また, 本実験結果と従来の遠心場実験とのスケール効果の比較を行ったところ, h/B=1では両者のスケール効果に大きな差は見られなかったが, h/Bが大きくなると進行性破壊を示すことによる粒子径効果によって, 両者のスケール効果に著しい差が見られた。
  • 木ノ瀬 紘一
    1994 年 1994 巻 171 号 p. 121-129,a3
    発行日: 1994/06/25
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
    この自動ゲートシステムは, 平常時流量が少ない排水路などに停留しやすい水質の悪い水や沈殿物をフラッシュすることを目的に考案されたものである。このシステムは, ゲート板と重錘をリンクした一種の自動転倒ゲートである。このゲートシステムによって流れが堰止められ, 貯留水位が所定の値になったとき, 水圧でゲート板は転倒する。そして, その板は, 貯留水位が低下すると重錘の重量で復起する。本論では, まず, ゲート板の転倒, 復起のタイミングを予測する方法を示す。そして, ゲート板が転倒したとき発生する急変不定流の解析とその流れのもつ掃砂能力を検討した結果を示す。
  • 水稲の生育と許容塩分濃度とに関する研究 (II)
    北村 邦彦, 喜多 威知郎
    1994 年 1994 巻 171 号 p. 131-135,a3
    発行日: 1994/06/25
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
    海水に地下水を加え, 電気伝導度で種類に調整した塩水を潅概用水として使用し, 浸透条件下で水稲の生育試験を行った。その結果, 導電率が2, 500μS/cmの塩水を供給した場合, 浸透量は17mm/日と生育に最適条件にもかかわらず移植直後に生育障害を受けた。導電率が1, 900μS/cmの時, 中干し後の浸透量が62mmと残留塩類が除塩されやすい状況にあったが黄化現象が発生し出穂前に6割強が障害をうけた。しかし, 乳熟期においてこの現象は消失した。一方, 1, 400μS/cm以下では障害の発生は認められなかった。また, 浸透水と表面水との導電率の差は浸透量によって相違はあるが, 平均で浸透水が250μS/cm前後高く除塩されていること等が明らかとなった。
  • 新庄 彬, 新垣 雅裕, 加治佐 隆光
    1994 年 1994 巻 171 号 p. 137-144,a3
    発行日: 1994/06/25
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
    抑制トマトの追肥作業での培養液成分の経日変化の特徴について考察した。施設栽培トマトの蒸散量は付設のタンク内培養液水位の計測により求まる。追肥作業は電気伝導度計を頼りに行われている。また, 養分吸収度合については, イオン成分分析によって明確になる。そこで, 電気伝導度の変動に影響を及ぼす主たる要因に蒸散強度と養分吸収度合両者があると仮定して, 三者間に成立つ関係式を求めた。その場合, 養分吸収については陽イオン成分に注目した。その結果, ふたつの要因は電気伝導度変化に対して相反的作用を及ぼし, 養分吸収に伴う電気伝導度の変化分に占めるイオン成分が分析結果とほぼ一致することがわかった。
  • 汎用水田の耕盤管理に関する研究 (I)
    原口 暢朗
    1994 年 1994 巻 171 号 p. 145-151,a4
    発行日: 1994/06/25
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
    耕盤以下の土層が緻密な田畑一年輪換体系下の汎用水田において, 輪換畑利用前に40cm深さの耕盤破砕を行い, それが土壌物理性等に与える影響について調査した。
    破砕により, 耕盤の透水性は破砕前の約100倍の10-3~10-4cm/sのオーダーに増加した。このことにより, 麦わらを被覆した播種方式による大豆播種後の多量の降雨時においてうね間湛水が回避され, 80%以上の高い出芽率が確保された。
    これら一連の結果から, 低いうねのため地表排水能力の劣る麦わら被覆大豆播種体系において, 地下排水強化としての耕盤破砕は輪換畑大豆の初期生育の安定に顕著な効果のあることを実証した。
  • 渋谷 勤治郎
    1994 年 1994 巻 171 号 p. 153-160,a4
    発行日: 1994/06/25
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
    転換畑排水における最大地表残留水量を許容できる範囲に抑える排水方式を採用するための確率雨量解析法を検討した。まず, 雨量データを用いて時間ごとの単純水収支により最大地表残留水量と排水能力との関係を求め, その確率評価法を示し, 次いで, 流出率または浸入強度を導入する方法を提案した。
  • 1994 年 1994 巻 171 号 p. e1
    発行日: 1994年
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
feedback
Top