農業土木学会論文集
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1997 巻, 192 号
選択された号の論文の19件中1~19を表示しています
  • 北辻 政文, 藤居 宏一
    1997 年 1997 巻 192 号 p. 725-732,a1
    発行日: 1997/12/25
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
    環境保全および骨材不足の対策のひとつの方法として, ごみ焼却灰溶融スラグをコンクリート用細骨材として利用することが可能であるかどうかについて検討した. その結果, スラグは非結晶のガラス質で構成され, スラグのコンクリート用細骨材としての物理的, 化学的性質は優れていた. しかし, スラグ骨材に含有されるアルミニウムがセメントのアルカリと反応し, これを使用したコンクリートは膨張することが明らかとなった. このため, しいと考えられた. 今後の課題として, スラグコンクリートの品質を高めるためには, 膨張を抑える手だてが必要であることがわかった.
  • 山口 哲男, 山野 隆康, 辻 厚志, 青木 正雄
    1997 年 1997 巻 192 号 p. 733-744,a1
    発行日: 1997/12/25
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
    鋼製ピストンによって鉛直変位を強制された粘性土供試体の表面は, 当初のすり鉢状から間もなく貫入型に移行し, ついには盛り上がりの状態となる. これら非弾性の変形をFEM解析によって表現するため, 既製のジョイント要素を軸対称用に変換し, 弾性地盤として分割した各要素の境界を鉛直方向に並列させながら“多重隔壁型中空キャップ部”を形成させた. これにより同キャップ部一帯の変形は非弾性化し, あらかじめジョイント要素に設定した初期せん断応力による調整機能も加わって地表の形状をかなり随意に表現できる. 直径30cm, 高さ12. 5cmのモールド内に置いた関東ローム供試体に, φ=5cm, h=5mmの変位を強制して周辺の形状変化を実測し, 提案手法の適合性を確認した.
  • 中曽根 英雄, 黒田 久雄, 茂木 真司
    1997 年 1997 巻 192 号 p. 745-751,a1
    発行日: 1997/12/25
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
    湖沼等の流域管理を行う前提として, 集水域の排出負荷量の算定が必要である. 流域情報としての流出負荷量の算定は, 原単位法を使用し行っている. この原単位法は, 年間の平均値を議論するためのもので, 季節変動などを議論するには使えない. そこで, すでに提案された月別原単位法を, 潅漑の影響評価や水質変動の議論に利用することを考えた. ただし, すでに提案された月別原単位法は, 実測値との誤差が大きく修正を加えないと使えなかった. そのため, 精密水質調査結果と計算値との比較を行い, 施肥量を3カ月に分配し, リンに対する林地と畑地の流出率を修正すると, 実測値と計算値は実用に利用できる程度に一致した.
  • J. T. A. GERUNG, 加藤 治, 瀬口 昌洋
    1997 年 1997 巻 192 号 p. 753-760,a1
    発行日: 1997/12/25
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
    水路の一部および全てを硬い水草で覆われた開水路の流れを研究した. 水路全面を覆った水草を同じ高さ, 長さを持つ円柱でシミュレートした. 他方, 水路の一部 (堤防近傍) を水草が覆っている場合, 水草の間隔を3種類に変化させてシミュレートした. 模擬水草での実験室における変動流速の測定によって, 水平および鉛直方向の流れの乱れ構造を調べた. これらの実験から, 水草が乱れ特性に大いに影響することを示した. 理論的モデルにより, 水草の影響による流れ変化を予想することができた.
  • 高木 強治, 吉田 修一郎, 足立 一日出
    1997 年 1997 巻 192 号 p. 761-770,a1
    発行日: 1997/12/25
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
    大規模水路網の流況解析において, 開水路1次元流れの数値解法にPreissmamスキームを用い, 体系的なモデル作成手法と効率的な流況解析アルゴリズムを提案した. 水路網のモデル化では, 水路を分合流点で切断して樹枝状水路と見なし, 有向グラフで表された水路にトポロジカルソートを適用し, 格子点の計算順序を定めた. 解析手法は, 掃出しアルゴリズムと低次元化された連立1次方程式によって構成され, その計算効率は, 水路網全体に対し, 閉路が占める割合と水路を切断した分合流点が少なくなるほど向上する. 大規模水路網への適用では, 疎行列のための直接解法として有力な内積形式ガウス法と比較して, 計算時間を大幅に削減できた.
  • 向後 雄二, 森山 英樹
    1997 年 1997 巻 192 号 p. 771-781,a1
    発行日: 1997/12/25
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
    カムクレーモデルをもとに向後らによって改良された弾塑性モデルを用いて, 三軸応力条件下での不飽和土の挙動を定性的に解釈した. この弾塑性モデルは2つのサクション効果 (1) サクションの増加は有効応力を増加させる,(2) サクションの増加は降伏応力および塑性変形に対する土粒子骨格の剛性を増大させる, を持つ. ここでは, 締固めたDLクレーと混合土に関する圧密試験と三軸圧縮試験の結果について検討した. 圧密試験においては, サクションと等方応力の増減による供試体の挙動を解釈した. DLクレーと混合土に関するサクションー定三軸圧縮試験では, せん断挙動について検討した. その結果, この弾塑性モデルは実験を行った不飽和土の挙動をよく説明することができた.
  • Ahmed K. HUSSEIN, Toshihiro MORII, Kunio HATTORI
    1997 年 1997 巻 192 号 p. 783-793,a2
    発行日: 1997/12/25
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
    ロックフィル材は, 我々にとって最も豊富で経済的な建設材料である.洪水ピーク流量の緩和などに用いられる浸透型堤防 (throughflow dam) の設計手法の確立を目的に, その第1段階の研究として, 室内一次元透水試験により, ロックフィル材中の流れの水頭損失特性を調べた.川砂利と砕石を用いた.摩擦損失とレイノルズ数との関係から, 累乗タイプの水頭損失式を提案し, その係数を平均径深の関数として誘導した.Zinggの粒子形状分類等に基づく平均径深の算出方法も提示した.水頭損失式を, 広く使われているWilkins式と比較し, 実務的に良好な適用性を持つことを示した.
  • 石黒 覚
    1997 年 1997 巻 192 号 p. 795-802,a2
    発行日: 1997/12/25
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
    再生粗骨材および砕石を使用したコンクリートのモードI破壊特性を調べるために, くさび挿入試験法と多直線近似解析法を適用し, 破壊力学パラメータ (破壊エネルギと引張軟化曲線) の計測および解析を行った.
    再生骨材コンクリート (RC) の圧縮強度, 引張強度および静弾性係数などの力学特性は, 砕石コンクリート (NC) に比べて約20%低下した.一方, 破壊特性については, RCの破壊エネルギがNCよりも約30%低下した.また, 引張軟化曲線の推定結果から, RCの骨材のかみ合い効果による伝達応力は, NCに比べて小さくなることが明らかとなった.このことは, RCの破壊エネルギが相対的に小さくなる原因と考えられる.
  • 山中 潤一, 田中 雅史
    1997 年 1997 巻 192 号 p. 803-809,a2
    発行日: 1997/12/25
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
    真空式汚水流送方式の真空汚水管が潅漑用水路などを横断する際の真空度の消費が問題となっている. そこで, 真空度の消費を低減するために考案された真空式サイホン (気液を分離し, 汚水を自然流下のサイホンの原理を用いて障害物を上越しするシステム) の流送特性について検討し, 1) 真空サイホンは大きな真空損失もなく障害物を越えることができる. 2) 真空度の違いによる流況の変化はない. 3) 流入の周期とサイホン管固有の周期が流況に影響を及ぼすことを明らかにした. これにより, 通水管のモデル式を作成した. このモデルにより, 種々の条件下での流況のシミュレーションが可能となり, 施設の設計諸元を求めることができるようになった.
  • 1994年の北陸地域における渇水対応に基づいて
    宮本 幸一, 鎌田 新悦, 川尻 裕一郎
    1997 年 1997 巻 192 号 p. 811-818,a2
    発行日: 1997/12/25
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
    各潅漑地区においては, 一般的な利水計画基準である10年確率を上回る異常少雨時には, 渇水被害を回避したり最小化するためさまざまな対応がとられる. しかし, 各潅漑地区の地理的条件および水管理対応等は同一でないため, 同様の異常少雨の条件下でも地域や潅漑地区によって渇水被害の発生状況は異なる. 北陸地域における1994年の異常少雨をもとに, 潅漑地区の耐渇水性を示す簡便な指標として累計降雨量差を導入し, 地域別に評価した. また, 潅漑地区別の渇水被害面積および渇水対策経費について, これを支配する要因とその影響程度を明らかにした.
  • 原田 昌佳, 平松 和昭, 四ヶ所 四男美, 森 健
    1997 年 1997 巻 192 号 p. 819-828,a2
    発行日: 1997/12/25
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
    画像処理による濃度計測法を開発した. 開水路勢断流場におけるカオリン浮遊流の濃度計測を行い, 得られた濃度分布と拡散方程式から乱流拡散係数と粒子沈降速度を逆推定した. さらに, 流れ場の乱流特性との関係からこれらの水理パラメータの若干の検討を行った. この計測法は, 市販のビデオカメラによって得られた画像を処理することで, 濃度の面的分布を非接触で計測しようとするものである. 逆推定には濃度計測の局所的な誤差の影響を取除くため, 可能性線形回帰モデルを導入した. 粒子沈降速度は高周波数側の変動パワーとの関係が示唆された. 一方, 乱流拡散係数は低波数側のエネルギに影響を受けることがうかがわれた.
  • 川端 伸一郎, 神谷 光彦
    1997 年 1997 巻 192 号 p. 829-835,a2
    発行日: 1997/12/25
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
    安定処理土の耐凍上性の材料としての使用を目的とし, 石灰と微粉末高炉スラグで安定処理した3種類の試料を用いて一軸圧縮試験, 凍上試験およびCBR試験を行い, 改良材による強度や凍上性の改良効果を検討し, つぎのような結果が得られた.
    1) 初期含水比が最適含水比に近い試料では, 長期強度は微粉末高炉スラグを含む改良材に強度増加の効果が顕著に見られた.
    2) 含水比が高い試料では石灰を主体とした改良材が有効で, これは改良材添加による含水比の低下が強度増加に大きく寄与するためである.短期強度は改良後の含水比と最適含水比との差で決まるが, 長期強度はポゾラン反応の影響もあり, 改良材の性状により異なる.
    3) 改良材の添加で土の凍上量を減少させることができ, 添加量や養生日数の増加でその効果が増大する.添加材としては石灰がより有効である.
    4) 土の凍上量は, CBRを100程度まで改良することで, 凍上率を5%以下にすることが可能である.
  • 加藤 亮, 中村 良太
    1997 年 1997 巻 192 号 p. 837-846,a3
    発行日: 1997/12/25
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
    印旛沼流域において, 水質指標, T-N, T-Pに関してモデルシミュレーションによる長期分析を行った.特にモデル化の対象としたのは, 汚濁負荷量の変動の構造であり, 原単位法を適用した各汚濁源からの流出量の変動サブモデルと, システムダイナミクスを適用した汚濁源そのものの変動サブモデルとを作成した.このモデルにより, 1975~95年にわたる水質変動の長期シミュレーションを行い, 原単位法に対して補正式を与えた場合, 上記水質指標の実測値とよく適合する結果を得られた.
  • 足立 一日出, 吉田 修一郎, 増本 隆夫, 伊藤 公一
    1997 年 1997 巻 192 号 p. 847-855,a3
    発行日: 1997/12/25
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
    重粘土汎用圃場において, 暗渠排水に関与する亀裂等の粗間隙量を簡易に推定する方法を検討し, 適用事例を紹介した.
    降雨前に暗渠を閉め, 降雨時に暗渠に集まる水の水位を暗渠出口で測定し, 降雨終了後水位がほぼ一定になったことを確認し, 暗渠を開放し, 暗渠総流出水量を測定する.数回の降雨を対象に, 暗渠開放直前の暗渠出口の水位と暗渠総流出水量の関係を求める.暗渠出口め水位を亀裂等の粗間隙中の水位, 暗渠総流出水量をその粗間隙量と仮定することによって, 圃場内の粗間隙量の垂直分布が推定される.
    本方法は, 干ばつに伴う重粘土汎用圃場の亀裂等の粗間隙量の変化を評価するために適用された
  • 不耕起栽培2, 3年目の事例研究
    泉 完, 佐藤 照男, 佐々木 長市
    1997 年 1997 巻 192 号 p. 857-866,a3
    発行日: 1997/12/25
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
    八郎潟中央干拓地の水稲不耕起移植栽培における用水量の実態を把握し, 不耕起栽培の用水計画に関する基礎資料を得るため, 2年目と3年目の不耕起田と慣行田の用水量の調査を行った. 不耕起田では代かきをしないので, 田植時の移植が容易になるよう田面を軟らかくするための初期潅水が必要である. この初期潅水と土壌状態の関係を明らかにするとともに, 初期潅水期間の水管理方法を示した. 不耕起田の一筆蒸発散浸透量は13~16mm/dで慣行田より大きかったが, その要因は, おもに畦畔浸透によるものと考えられた. しかしながら, 土壌が難透水性の低湿重粘土で地下水位が高い条件のもとでは, 漏水田になる可能性は小さいものと考えられた.
  • 有田 博之, 藤井 義晴, 友正 達美, 出雲井 雄二郎, 赤司 英昭
    1997 年 1997 巻 192 号 p. 867-875,a3
    発行日: 1997/12/25
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
    近年, 畦畔除草労働の負担に対する関心が高まり, 多様な軽減策のひとつとして, グラウンドカバー植物 (GCP) が導入されている. これは,(1) 雑草の生育を抑えるほか,(2) 景観の改善機能を持つ点等が期待されているが, 成功事例は少ない. 今後の導入推進上の課題整理を目的として事例地区に,(1) 畦畔除草におけるGCPの位置,(2) 導入されているGCPの実態,(3) GCPに期待される機能と評価, について全国の農業改良普及センター管内を単位にアンケートを実施した. 畦畔におけるGCPの実態は, 導入の初期段階の特徴を多くの面で示しており, 技術開発等の条件整備に対する現場の期待は大きかった. こうした中で, 基礎的なGCPとして, シバに注目するに至った.
  • 有田 博之, 友正 達美, 藤井 義晴, 出雲井 雄二郎, 赤司 英昭
    1997 年 1997 巻 192 号 p. 877-884,a3
    発行日: 1997/12/25
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
    畦畔の維持管理の省力化手段として, グラウンドカバー植物 (以下GCP) に対する期待が高い. なかでもシバに注目し, 植栽の現状把握と導入に関する課題整理を目的として, アンケート調査を行った. 現状では, シバはあまり普及していないが, 導入地区の評価は高い. 特に, 草丈が低く, 刈込み・踏圧に強い等の特性に対する評価が高く, 基礎的なGCPとするための適性が確認できた. しかし, 一面で, シバの機能は十分発現できておらず, 植栽・維持管理等の技術向上の必要性も明らかにした. シバが畦畔のGCPとして現場の安定した評価を獲得するには, 植栽・維持管理技術の標準化, 他のGCPとの混植による景観対策等を図る必要があることを提案した.
  • 吉田 勲, 猪迫 耕二, 朱 列平, 藤田 元夫
    1997 年 1997 巻 192 号 p. 885-890,a3
    発行日: 1997/12/25
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
    現在, 都市だけでなく, 農村地帯でも水環境の悪化が問題とされている.その汚濁の原因のひとつに家庭から排出される食用廃油があげられる.そこで, 誰でも, どこでも簡単に食用廃油を処理できる方法として高温好気法に着目した.この方法は, 著者の一人が各種高濃度有機排水を完全燃焼処理する方法として採用し, 研究してきた方法である.本研究の結果, 1) 適正なBOD負荷と通気のもとで, 長時間にわたって高温発酵が継続し, 食用廃油の分解が進行すること, 2) しかし, 食用廃油のみを連続投入すると, 微生物の活性が低下して分解率が下がること, 3) その対策として, 米糠や卵白などの窒素源を加えてC/N比を調節すれば, 分解率を向上させることができることなどがわかった
  • 1997 年 1997 巻 192 号 p. e1
    発行日: 1997年
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
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