農業土木学会論文集
Online ISSN : 1884-7234
Print ISSN : 0387-2335
ISSN-L : 0387-2335
1998 巻, 198 号
選択された号の論文の21件中1~21を表示しています
  • 流域水循環モデルによる農業用水利用の分析 (I)
    中桐 貴生, 渡辺 紹裕, 堀野 治彦, 丸山 利輔
    1998 年 1998 巻 198 号 p. 899-909,a1
    発行日: 1998/12/25
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
    農業用水利用と河川流況の関係, とくに用水の需給や反復利用構造を明確にするために, 紀の川流域を対象として流域水循環モデルを開発し, 流域への適用性を検討した.ベースモデルとして従来型の複合タンクモデルを改良・適用した.また, 新たな試みとして, 本川下流頭首工や大迫ダムの操作のモデル化も行った.資料に制約のある中で, 多数のモデル定数決定に際し, 農地や市街地では水収支や用水需給が算定できるように物理的根拠に基づいた定数決定を行い, また農地及び市街地の定数を固定した上で, 河川流量算定誤差が最小になるように山地タンク定数を決定した.モデルの河川流量推定誤差 (日相対誤差の8力年平均) は, 上流~下流地点でそれぞれ21.9~34.3%という良好な値を示し, モデルが本流域に適用可能であることが示された.大迫ダム操作モデルの再現性は良好で, 規程に沿ったダム管理操作実態が示された.頭首工取水モデルの再現性は良くなかったが, 誤差分析により人為的影響が誤差の主要因であることを示唆した.
  • 傾斜ライシメータからの汚濁負荷流出に関する研究 (I)
    成松 克彦, 武田 育郎, 福島 晟, 森 也寸志
    1998 年 1998 巻 198 号 p. 911-919,a1
    発行日: 1998/12/25
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
    緩効性の被覆肥料を用いて施肥量を減量した場合の, 畑地からの窒素負荷流出の削減効果について考察した.調査は, 4基の5m2の傾斜ライシメータを用いて行ない, トウモロコシとハクサイを栽培したときの窒素の流出負荷を, 1年半にわたって降雨時の汚濁負荷流出を含めて計測した。被覆肥料を標準施肥量よりも20%減量したライシメータからの窒素流出負荷量は, 従来型の速効性肥料を標準量施用したライシメータからの負荷流出よりも13%少なくなっていた.また, 作物の窒素吸収量は, 被覆肥料を20%減量したライシメータのものが, 速効性肥料を施用したものよりも5%少なかったが, 窒素の肥料効率では, 約10%多くなっていた.したがって, 被覆肥料の施肥量を減少させることは, 作物の収穫を維持しながら窒素の汚濁負荷流出の削減に寄与しうると考えられた.
  • 傾斜ライシメータからの汚濁負荷流出に関する研究 (II)
    成松 克彦, 武田 育郎, 福島 晟, 森 也寸志
    1998 年 1998 巻 198 号 p. 921-927,a1
    発行日: 1998/12/25
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
    ライシメータを用いてリンとCOD成分の流出負荷量を計測し, 傾斜畑地からの汚濁負荷流出について考察した.調査は, 5m2の傾斜ライシメータを4基用いて行ない, トウモロコシとハクサイを栽培したときの汚濁負荷流出を, 1年半にわたって降雨時の汚濁負荷流出を含めて計測した.その結果, リンとCODの水質濃度は, 地表流出水で高くなった.リンの負荷流出量は3.67~3.85kg・ha-1・yr-1で, 既往の研究結果よりもかなり多かった.また, CODの流出負荷量は, 32~37kg・ha-1・yr-1程度であった.こうした負荷流出の多くは, 堆肥中に含まれる汚濁物質の地表流出であると考えられた.これらのことより, 粗放な管理下にある傾斜地を畑地にした場合, リンとCOD成分の地表流出負荷量が大きくなる可能性が考えられた.
  • 非排水および部分排水条件下の地盤支持力
    東 孝寛, 高山 昌照
    1998 年 1998 巻 198 号 p. 929-937,a1
    発行日: 1998/12/25
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
    筆者らが提案している弾塑性有限要素法による圧密変形 (土/水連成) 解析手法を用いた支持力解析法を, 帯状分布荷重の作用する異方正規圧密状態にある飽和地盤の非排水, および部分排水条件下の支持力解析に適用した, その結果, 深さ方向に均質な地盤に帯状等分布荷重の作用する場合の非排水支持力は, これまで報告されている特性曲線法や仮想粘性法を用いた有限要素法による計算結果とよく一致した.また, 深さ方向に非排水強度が直線的に増加する地盤に帯状台形分布荷重が作用する場合の部分排水支持力は, 地盤の透水性が大きくなるにつれて部分排水効果のため増加するが, 支持力の増加する割合は, 逆に小さくなることが判明した.さらに, 載荷圧増分と盛土法尻部に当たる地表面の側方変位増分の比として定義される側方変形係数は, 地盤が破壊時に近づくと急激に減少することが明らかとなった.
  • 望月 秀俊, 宮崎 毅, 中野 政詩
    1998 年 1998 巻 198 号 p. 939-944,a1
    発行日: 1998/12/25
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
    豊浦砂 (ρd=1.609/cm3) の熱伝導率λの塩類依存性を調べるために, 最初に塩類を含まない豊浦砂のλを種々の水分・圧力・温度条件のもとプローブ法で測定し, λの圧力・水分・温度依存性を明らかにした.また, 気圧の逆数とλの関係から, 気圧が無限大の時の見かけの熱伝導率を外挿し, 見かけの熱伝導率λを顕熱輸送の熱伝導率λcと潜熱輸送の熱伝導率へに分離した.
    次に, 塩類 (NaCl, CaCl2, Na2SO4) を加えたλを測定し, λ, λc, λv, への変化を調べた.λはNaCl, CaCl2を加えると塩類濃度3mol/lのとき最大約10%低下し, Na2SO4では0.5mol/lで最大約15%低下した.また, Noborio and Mclnnes (1993) の式は, λの変化の傾向を概ね表現できた.λvは塩類濃度が高まるにつれて急激に低下し, 1.0mol/l以上では確認されなくなったが, λcはほとんど変化がなかった.この結果, 塩類を加えることでλが低下するのは, 塩類が土壌の水蒸気圧を低下させ, λvが低下するためであることがわかった.
  • 末継 淳, 井本 博美, 宮崎 毅, 中野 政詩
    1998 年 1998 巻 198 号 p. 945-950
    発行日: 1998/12/25
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
    下水鰍溶液のゾル・ゲル転移的挙動を明らかにするため, その化学組成, 表面張力およびNMRスペクトル測定を行った化学組成は, 窒素置換したメチレン鎖を多く含み, 脂肪族性成分とカルボキシル基を同程度含み芳香族性成分は僅かであった表面張力は, 濃度の増加とともに減少し, 1.0%(w/w) でほぼ一定値 (34mN/m) に収束した1.0%および3.4%水溶液のNMRスペクトルの比較により, 3.4%では下水汚泥の水和作用が強まり, 凝集作用が弱まることが示された.これは窒素置換基およびカルボキシル基どうしの斥力によって凝集作用が阻害されこれらの親水基の水和作用とつりあってゲル化することを示すものと考えられた
  • 島田 正志
    1998 年 1998 巻 198 号 p. 951-959,a2
    発行日: 1998/12/25
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
    時間補間特性直線法による高周波, 低周波などパイプライン流れの統一的解析を可能にする適切な計算格子の設計にあたり, 補間誤差と摩擦抵抗の時間積分項である離散化誤差の適切な評価が不可欠である.そこで, 単一管路システムの弁閉鎖問題で離散化誤差の実態を解明し, 水撃圧力の無次元誤差表示の半理論式として整理した.誤差は対象とする波動の時間スケール (周期), 管路の長さと圧力伝播速度の比, および, 管水路の格子分割数, 抵抗に依存する.離散化誤差表示と数値振幅減衰 (補間誤差) の理論式から許容誤差基準を満足する適切な時間格子幅と適切な格子システムを形成する方法を示し, パイプラインモデルの計算例から, その有効性について検証した.
  • 事業完了地区の経営規模拡大と労働生産性向上効果を中心に
    國光 洋二
    1998 年 1998 巻 198 号 p. 961-968,a2
    発行日: 1998/12/25
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
    本研究では, 圃場整備事業による経営規模の拡大とそれを通じた労働生産性の向上が, 規模階層ごとに発現形態を異にしながら, 大部分の農家, 営農組織において効果として現れていることを明らかにした。すなわち, 3ha以上の大規模層では, 事業後の経営規模拡大率が大きく, 規模の経済性によって労働時間低減の度合いも高いが, Iha未満の小規模層は, 事業を契機に規模を縮小しながら, なおかつ程度は大規模層に劣るものの, 労働生産性向上を図っている。したがって, 事後的事業効果の検証には, 経営規模別の調査が不可欠といえる。
    また, 経営規模以外に, いくつかの効果影響要因が明らかになった。その要因とは, 事業実施地域による差, 専業農家であること, 大規模農家にあっては65歳未満であること, 地形傾斜1/100未満の平坦部における事業地区であること, さらには水路のパイプライン化を図っていることである。
  • 軽部 重太郎
    1998 年 1998 巻 198 号 p. 969-974,a2
    発行日: 1998/12/25
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
    八郎潟ヘドロと霞ヶ浦ヘドロにヒドロキシアルミニウムを添加した場合のコンシステンシーの変化からアルミニウムの構造形成効果を考察した. その結果, 粘性土にアルミニウムを添加すると次のような効果があることが分った.(1) 凝集沈降が速やかに進行して最終沈降体積が増大する.(2) 沈降体積状態で逆ずり速度チキソトロピーが見られるような凝集的な構造になる.(3) 塑性図上のプロットが下向きに移動し, 骨格構造が形成したことを示す.(4) 風乾土に対してアルミニウムを添加するよりも, アルミニウムを添加してから風乾した方が効果がやや高い.(5) 収縮過程ではより高い含水比から間隙内に空気が入り始め, 空気間隙率が大きい状態で収縮が進む.(6) 有機物を含む自然の土にアルミニウムを添加した場合に構造形成効果が高い.(7) 八郎潟ヘドロに対する方が霞ヶ浦ヘドロよりも効果が高い.
  • 猪迫 耕二, 中野 芳輔, 黒田 正治, 吉田 勲
    1998 年 1998 巻 198 号 p. 975-983,a2
    発行日: 1998/12/25
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
    本研究では, 土壌水分が2次元的挙動を示すラインソース潅漑において, 合理的な潅漑計画を立案するためのツールとして. 実用的な潅漑スケジューリングモデルを開発した. 本モデルは, 土壌を有効根群域と畝間領域とに分割し, その相互作用を考慮して, 各領域の土壌水分欠損量 (LSMD) の日変化を推定する経験的水収支モデルである. 各領域の水収支項は, LSMDのを独立変数とする推定式で決定した. モデルパラメータは, LSMDの実測値とモデルによる推定値との差が最小になるように決定された. 本モデルを雨除けハウスにおける大豆栽培の実験データに適用した結果, 遺伝的アルゴリズムを用いたパラメータの最適化によって, 良好な推定精度が得られることが明らかとなった. また, 感度解析で示唆されたパラメータ数の削減を実施しても, 実用上問題ない程度の精度で推定できることが示された.
  • 佐藤 政良, 坂田 裕昭, Doan Doan Tuan, 藤城 公久
    1998 年 1998 巻 198 号 p. 985-991
    発行日: 1998/12/25
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
    水田からの還元水流出のしかたとその量が, 水の有効利用の視点から問題である。本研究は, 茨城県小貝川を水源とする農業用水岡堰が, 灌漑期を通じて間断取水しているという特殊条件を利用し, 現地における観測に基づいて, 水田地帯からの還元水流出の特性を検討した。その結果, 対象地区では, 取水停止後ほぼ1日半程度で還元水流出の大半が終了すること, およそ蒸発散量に相当する水量以外はこの間にすべて流出することを明らかにした。また, タンクモデルによる流出解析を試みた結果, 取水開始後の流出量増加段階に水田に特有と見られる性質があること, および中干しの前後で流出機構が変化していると思われる現象があることを見いだした。
  • オープン型パイプラインの水理特性 (I)
    宋 徳全, 前川 勝朗, 大久保 博
    1998 年 1998 巻 198 号 p. 993-1003,a2
    発行日: 1998/12/25
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
    オープン型パイプラインのスタンド間に急勾配に敷設された単一管路においては, 流量, 管路敷設勾配, 下流スタンド水深, 管流入口形状等によって種々の流況を呈する.本研究は, 管内流況と管路底圧の様相を実験的に調べたものである.
    最初に, 管流入口で円形堰の流れを呈する場合の流量係数を示し, またオリフィスの流れでの流量係数の実験式を示した.次に, 実験流況を基に, 無通気状態と通気状態にわけて管内流況を模式的に分類した.そして, 下流スタンド水深の設定の仕方による管内流況の差異について示した.また, 管路底圧の顕著な変動を伴う移動跳水等の流れを対象に, 管路底圧の特徴を示し, 管流入口上流部に隔壁を有する場合の管路底の減圧上 (負圧の絶対値) の効果等について示した。
  • 中園 健文, 近藤 文義, 中澤 隆雄
    1998 年 1998 巻 198 号 p. 1005-1012
    発行日: 1998/12/25
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
    コンクリートの温度ひびわれを予測するには, まず温度解析によって構造物内部の温度分布を正確に把握しなければならない.本論では, 実験室内においてコンクリート供試体のさまざまな位置の温度の経時変化を測定する実験を行い, 3次元有限要素法を用いた非定常熱伝導解析で的確に推定できるコンクリートの発熱モデルの検討を行った.その結果, 従来の温度解析に用いられている断熱温度上昇実験式では, これらの測定温度を的確に推定できなかった.一方で, コンクリートの新たな発熱モデルとして提案した温度上昇実験式を用いた推定温度は, 測定温度にかなり近似できた.特に, 外部への放熱のある表面近傍については測定温度と推定温度がほぼ一致した.
  • 中村 公人, 堀野 治彦, 三野 徹, 丸山 利輔
    1998 年 1998 巻 198 号 p. 1013-1023,a3
    発行日: 1998/12/25
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
    帯水層熱エネルギー貯留 (ATES) 技術の構築のためには, 温度勾配下にある飽和一不飽和土壌中の熱・水分同時移動の定量化が不可欠である.本研究では, 熱・水分同時移動実験に対する数値解析を行い, 実験値と計算値の比較検討を行った。解析では, 液状水・水蒸気移動とそれに伴う熱移動, 土壌カラム側方での熱の出入りを考慮した.カラム内土壌は, ATESを想定し, 粒径の比較的大きな2種類の砂土 (細砂と粗砂) で成層化させた.
    その結果, 解析は土壌特性値が適切に定式化されれば有効であることが確認された.特に, カラム上端が高温, 下端が低温の場合に, 不飽和透水係数や温度勾配による水蒸気拡散係数の補正係数は注意して決定されなければならず, 圧力水頭勾配による水蒸気移動, 圧力水頭の温度依存性, 顕熱輸送成分も厳密に考慮する必要があることがわかった.温度勾配が逆の場合はこれらの因子の単純化が可能であった.さらに, 間隙内の水蒸気を含んだ空気の移動の影響を温度勾配による水蒸気拡散係数に含めることが可能であるが, このとき温度勾配の重力勾配に対する向きの違いによってその大きさを変化させる必要があることも示された.
  • 石田 昇一郎, 青山 咸康
    1998 年 1998 巻 198 号 p. 1025-1031,a3
    発行日: 1998/12/25
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
    独立基礎を持つRC型取水塔は, 断面形が不規則に変化する水中構造物である. 我々は, これまでの研究により, 観測と動的解析の両面から, 長柄ダム取水塔の地震時振動特性を調べてきた. 塔操作室に設置した地震計による, 約20ケ月間の観測によって, 加速度波形の卓越振動数は貯水位の増加により低下する傾向があることが解った. この傾向は明らかに塔の固有振動と水位変動との相関を示すものである. このような取水塔の水中振動の理論的解明を, 桜井によって与えられた柱状構造に対する解を応用しておこなった.
  • 軽部 重太郎, 阿部 幸浩
    1998 年 1998 巻 198 号 p. 1033-1038,a3
    発行日: 1998/12/25
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
    アロフェンとイモゴライトの単位粒子内部間隙の水が脱着・吸着する条件を, 粒子密度, 加熱による質量測定, BET水分吸着法比表面積などから考察した. 脱鉄処理をしたアロフェンおよびイモゴライト粒子の密度はそれぞれ2.67Mgm-3, 269Mgm-3で, 粘土鉱物の固相部分の密度と一致することから, 各粒子内部間隙の水は105℃ の炉乾で脱着すると判断された. また炉乾後の粒子の内部間隙に水はほとんど自由に入り込むと考えられた. 炉乾すると粒子密度は少し低下するが, それが残存空気によるという証拠は得られず, もし残存空気によるとしてもその体積は内部間隙の5~6%と考えられた. 40℃から200℃への昇温過程および水分吸着の測定で, 特定の温度または蒸気圧で内部間隙の水が脱着・吸着した形跡が認められないことから, 水は粒子内外の間隙の区別なく連続的に脱着・吸着すると考えられた.
  • 東 孝寛, 高山 昌照
    1998 年 1998 巻 198 号 p. 1039-1050
    発行日: 1998/12/25
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
    本文では, 最初にupdated Lagrange流の定式化手法に基づいて, 有限変形弾塑性FEMによる圧密変形解析手法の定式化を行った.次に, 構成関係が関口・太田の弾塑性モデルで与えられる等方均質な正規圧密地盤に帯状等分布荷重が作用する場合について, 有限変形解析と微小変形解析による圧密変形解析を行った.解析では, 要素サイズが異なる二つの有限要素モデルを用い, 地盤の圧縮性, 透水性, および載荷幅の違いが, 載荷面中央地表面の沈下挙動と載荷面端部の側方変形挙動へ及ぼす影響について検討した.また, 同時に解析に使用する要素タイプ, 要素サイズの違いが解析結果へ及ぼす影響を明らかにした.
  • 古賀 潔, 佐藤 靖行
    1998 年 1998 巻 198 号 p. 1051-1057,a3
    発行日: 1998/12/25
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
    粗間隙が発達した傾斜地の休耕田で, 現場透水試験におけるサンプルスケールの影響を調査した.試験は鉄板を用いて造成した1.8m×1.8m, 深さ45cmの大型枠で開始し, 次にこれらを1/2, 1/4, 1/8, 1/16に分割して測定を行った.その結果, 試験区の分割により透水係数は減少傾向を示すと共に, 変動が大きくなった.次に, 白色ペイントにより粗間隙を観察した結果, 粗間隙の占める面積割合と透水係数の間には弱い相関が見られた.画像処理の結果から, 試験区の枠から12cmまでの範囲にはペイントが入りにくいことが分かった.この原因は横方向への浸透が鉄板により抑制されるためと考察した.これらの結果から, 調査した圃場での最適なサンプルスケールとして, 1/4~1/8区画 (90cm×90cm, 90cm×45cm) が妥当と判断した.
  • 楊 建英, 翁長 謙良, 宜保 清一, 渡嘉敷 義浩
    1998 年 1998 巻 198 号 p. 1059-1066,a4
    発行日: 1998/12/25
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
    沖縄の海域を汚濁している国頭マージの有機質資材混入による理化学性改善および侵食抑制への効果について検討し, 以下の結果を得た.沖縄県名護市で採取した国頭マージは主にハロイサイト, ゲータイト, 雲母様鉱物, 石英を含有する.鉱物の不活性は土壌の団粒構造の形成に影響し, 国頭マージの高受食性の一要囚になっている.有機質資材は, 土壌の浸透能に関わる間隙率を大幅に高め, 土壌の理化学性改善に寄与した.人工降雨侵食実験により, 流出土砂量は, 原土, チップ土, 有機肥料土, 木炭土の順に低くなり, 木炭土10%では原土の3割程度であった.Kinematic wave流出モデルに基づいた無次元掃流力および無次元流出土砂量の解析によって, 有機質資材混入の侵食抑制効果が認められた.
  • 足立 一日出, 吉田 修一郎, 高木 強治, 伊藤 公一
    1998 年 1998 巻 198 号 p. 1067-1072,a4
    発行日: 1998/12/25
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
    重粘土汎用圃場の暗渠排水は, 亀裂などの粗間隙量分布とその連続性に左右される.しかし, これまで圃場レベルでの粗間隙量の変化などの調査事例は殆ど無い.本研究では, 稲・麦・大豆作を中心とした汎用圃場の粗間隙量の変化と暗渠流出水量の変化を調査した.その結果, 粗間隙量は干ばつによって大きく増加し, 積雪・融雪によって減少すること, 水稲作付け時の代かきによって減少し, 中干しや落水によって回復するなど, 降水量や作付け作物によって大きく影響されることを示した.また, 暗渠開放後の暗渠流出水量は当初大きく, 時間の経過とともに線形的に低下し, その後, 指数関数的に減少した.暗渠流出水量の線形的低下は, 粗間隙量の分布を考慮した流出モデルによって, 比較的良く再現できることを示した.
  • Frederick K. AMUMENSAH, 山本 太平, 井上 光弘
    1998 年 1998 巻 198 号 p. 1073-1082
    発行日: 1998/12/25
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
    降雨が少なく蒸発量が大きい地域におけるタンク潅漑システムの適用性の検討のために、農業生態系の異なるガーナ国の3地区を研究対象地に選んだ。3地区の自然環境の概要を説明し、降雨、土壌、作物について検討を行った。日気象データからPenmanの日蒸発散量を求め、作物の用水量決定について検討した。降雨量、Penman値、降雨不足量、無降雨日数について統計計算を行い、不規則な降雨が生ずる各対象地において、潅漑農業の導入を検討する予備的な基準とした。またこれらの結果から (今後の研究となる) タンク灌漑システムの導入が提案され, そのシステムには土壌面蒸発ロスが少なく水利用効率の高い点滴潅漑の適用が勧告される.
feedback
Top