この研究はフィルム被覆栽培条件下における造成農地の土壌水分消費機構を解明するために行われた. トンネル栽培やマルチ栽培のフィルムにより作物や土壌が被覆されたとき, 降雨は被覆のない表面に集められる, そして浸潤は主に被覆の無い外側やウネ間から生じることになる. そこで, 土壌水分動態と水分消費の実態をフィルム被覆下とその外側やウネ間において, 土壌の物理性, 水分状況から検討した. 調査期間は1991年と1992年の2年間であり, 作物と耕種概要はトンネル・マルチ栽培メロン, スイカ, マルチ栽培カンショである. 結果は以下に示す.
ほとんどの地点・土層において, 土性は砂質土であるが一部では壌土と判定され, 生長有効水分は0-80cmの土層に対して, 35-75mm程度であった. 一方, 土壌水分状況は明らかに降雨浸透と土壌面蒸発両方に対するフィルムの遮蔽効果により影響を受けていた。さらに, 水分消費はフィルム被覆下が小さくなる傾向であり, 水分消費割合には浅い土層で違いが見られた. 全般にフィルム被覆の効果により土壌水分消費は抑制され, フイルム被覆下にある根群への降雨による水分補給は水平や斜め方向の水分再分配機構に依存していることがわかった.
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