1997年と1999年に鳥取大学乾燥地研究センターの大型ガラス室内の斜面実験区を用い, 7~8月に毛鳥素砂漠の降雨条件を想定して, 斜面区の植生実験を行った.砂斜面には方位 (南, 北), 勾配 (20°, 30°), 位置 (上, 中, 下) の地形的要因を設定した.(1) ~ (4) の結果が得られた.(1) 斜面方位に関しては, 南斜面は受ける日射が多く, 蒸発散量が増え, 土壌水分が減少し, 水ストレスを高め, 植物生育が劣勢になった.逆に北斜面に対しては, 受ける日射量が少なく, 水分条件が良く, 水ストレスが低く, 植物生育が優勢になった.(2) 斜面位置に関しては, 灌水後斜面下方への水移動により, 下部の水分条件がよくなり, 植物生育が良好になった.(3) 斜面勾配に関しては, 勾配が増えてくると, 斜面上において重力の影響で常に植物体が斜面下方に引っ張られる.つまり, この重カストレスが植物生育に負の影響を及ぼすと推定された.(4) 本研究結果の毛烏素砂漠への適用課題について, 気象, 土壌, フィールドサイズ, 植物種に関し概説した.
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