農業土木学会論文集
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2001 巻, 216 号
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  • ボロマタ灌概プロジェクトにおける水利用の分析
    藤城 公久, 佐藤 政良, Pongsatorn SOPAPHUN, Varawoot VUDHIVANICH
    2001 年 2001 巻 216 号 p. 707-713,a1
    発行日: 2001/12/25
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
    本研究では, チャオプラヤデルタ上流域における圃場レベルでの水管理を詳細な現地調査に基づいて明らかにし, 農民水利組織の発展を含んだ水管理の問題点を検討する.水管理において重要な役割を期待されている農民水利組織は, タイ政府が体系的な水管理計画を作成しているにもかかわらず十分に機能していない.農民に公平な取水機会を与えるために, タイ政府は乾期稲作付け可能地区 (ターゲット地区) 政策を実施しているが, 農民の取水活動を管理することが難しく, 十分に成功しているとはいえない.調査によると, 支線用水路, 末端用水路の両方において, その上流農民は有利に取水を行っており, 支線用水路上流地区では乾期稲の作付けを3調査地区のなかで最も短い40日程度で終えた.末端用水路下流農民は, 用水路に水が十分にないため, 支線排水路から排水を揚水したり, 圃場排水路を堰上げしたりして排水を反復利用している.徹底した排水の反復利用が乾期稲作付面積の増加に寄与していることは明らかであるが, 一方では, 作付け時期および水源の多様性が末端用水路受益農民同士の協力を難しくしている.
  • 滋賀県湖北地域を事例とした地域用水のCVM評価
    野口 寧代, 堀野 治彦, 石田 憲治, 三野 徹
    2001 年 2001 巻 216 号 p. 715-722,a1
    発行日: 2001/12/25
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
    x滋賀県湖北地域において, 地域用水の多面的な機能を住民がどのように捉えているか定量的に表すため, 経済評価を行った. 手法にはCVM (仮想評価法) を用い, 評価額に対して2段階2肢選択方式で質問した回答にプロビットモデルを適用した. その結果, WTP (支払意志額) は湖北地区と長浜市の間で大差なく, 1世帯1年間当たり, WTP中央値が順に2,350円, 2,073円, WTP平均値が4,571円, 4,302円であった. また, それらの推定値に相関のある因子には「維持管理」に関する項目が挙げられた.「性別」,「年齢」,「農家か非農家か」といった個人の属性はWTP推定値との問に相関が認められなかった. 本論の推定値は他地区の類似調査結果と同様な値であったことから, 地域の水環境に対する意識には極端な差がないものと考えられた.
  • 滋賀県湖北地域を事例とした地域用水のCVM評価
    野口 寧代, 堀野 治彦, 石田 憲治, 三野 徹
    2001 年 2001 巻 216 号 p. 723-730,a1
    発行日: 2001/12/25
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
    滋賀県湖北地域において, 地域用水の多面的な機能に対する住民の捉え方が, 住民の属性・特性や住んでいる集落の違いによってどのように異なるかを検討した. 手法にはCVM (仮想評価法) を用い, 評価額に対して2段階2肢選択方式で質問した回答にターンブル法を適用した. その結果,「性別」,「年齢」,「農家か非農家か」によるWTP推定値の差は小さかった. 湖北地域では, 水路の維持管理の費用面・作業面での農家と非農家の分担が課題として挙げられるが, 少なくとも湖北用水の多面的な機能に対する意識については, 農家と非農家の間で相違は小さかった. また, ある特徴に基づいて集落をグループ化してWTPを推定したところ, 上流集落と下流集落とで有意な差がみられ, 農業水利事業を経た現在に至っても解消されない上流優先意識の影響が示唆された.
  • Mahbub Hasan, 松井 宏之, 水谷 正一, 後藤 章
    2001 年 2001 巻 216 号 p. 731-738,a1
    発行日: 2001/12/25
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
    農業用水の元圦れ取水量を制御する操作モデルを開発した. このモデルは, 数量化理論II類を用いて取水量操作の必要性を判断するサブモデル1と, ファジィ推論を用いて取水量の操作量 (変化量) を決定するサブモデル2から構成される. ファジィ推論の適用にあたり重要なファクターとなるルールテーブルの同定に際しては, 著者らが開発したパラメータ手法を用いた. このモデルを過去の事例に対して適用した結果, モデルが有効であることが確認された. したがって, 開発されたモデルは取水量制御の際の意志決定過程に資する総合的な操作モデルであるということができる.
  • 濱野 裕之, 田原 聖隆, 小島 紀徳, 山田 興一
    2001 年 2001 巻 216 号 p. 739-746,a1
    発行日: 2001/12/25
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
    原位置飽和透水係数測定には現在多くの方法が提案されているが, 乾燥地における測定報告は少なく, また土壌構造を考慮した測定法の検討はなされてこなかった. そこで本研究では半乾燥地である西オーストラリア州, レオノラ地域を対象に, 変水位法, ゲルフパーミアメーター法, シリンダーインテークレート試験を用いた測定を行い, 各測定方法の特徴を明らかにするとともに, 土壌構造解析を行った. その結果, 裸地土壌における変水位法の変動係数は306~589%と小さく, 垂直方向の幾何平均の測定値はゲルフパーミアメーター法の結果に近い値を示した. 3つの原理, 測定部位の異なる飽和透水係数測定の適用により, 飽和透水係数の複合的判断および土層構造解析が可能であることを示した.
  • 吉田 修一郎, 足立 一日出
    2001 年 2001 巻 216 号 p. 747-759,a1
    発行日: 2001/12/25
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
    粘土質の圃場において, 亀裂は圃場の地下排水性に重要な役割を持っている. そのため, 粘土質水田の高度利用のためには, 亀裂の制御は重要な課題である, 圃場における亀裂形成挙動は, 多くの要因により支配されている. なかでも, 作物からの蒸散の影響は, 営農的な亀裂の制御を目的とする場合, 重要な要因である. 本研究では, 作物の畦に沿った線状亀裂の発生位置の決定メカニズムを2次元弾性圧密モデルを用いた数値シミュレーションにより明らかにした. モデルの適用性は, 水稲条間 (畦間) を模した模型実験により検証した. 実験では, 条間 (畦間) に対応する試料中央部に亀裂が発生し, その位置はモデルにより予測された引張有効応力の発生に対応した・さらに, 本モデルを用いた数値実験により, 水稲からの蒸散による脱水が進んだときの条間土壌の引張有効応力は, 条間隔が狭いときには条中央部に極大点が形成されるが, 条間隔が広い時には, 中央より条に寄った位置に2つの極大点をもつ分布となることを明らかにした.
  • 田中 恒夫, 中曽根 英雄, 東根 孝憲, 黒田 正和
    2001 年 2001 巻 216 号 p. 761-769,a2
    発行日: 2001/12/25
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
    循環式嫌気好気ろ床プロセスの好気ろ床槽の1槽を活性汚泥槽へ変更し, 嫌気好気ろ床・活性汚泥プロセスとすることを提案し, その有機物および窒素の処理特性について室内実験および屋外実験を行い検討した. 好気ろ床槽から活性汚泥槽へ変更する際, 汚泥が流出しないような構造とする必要があるが, ここでは仕切板と傾斜板を設置することとした. 室内実験の結果, 傾斜板の勾配は約70°および仕切板一傾斜板の間隔は約2cmで汚泥の沈殿は安定することがわかった. 屋外実験に先立ち, 好気ろ床法と活性汚泥法の処理特性の比較をベンチスケールの装置を用いて室内で行ったが, 活性汚泥法の有機物除去能および硝化能は好気ろ床法のそれより優れていることが確認できた. 室内実験で得られた知見をもとに, 循環式嫌気好気ろ床プロセスをモデル化した, 嫌気ろ床槽の3槽, 好気ろ床槽の2槽および沈殿槽からなるパイロットスケールの装置と実排水を用いて屋外実験を行った. ろ材充填の有無により, 実験装置の好気第1槽を好気ろ床槽あるいは活性汚泥槽とした. 好気第1槽を好気ろ床槽から活性汚泥槽へ変更することにより, 実験の進行に伴いMLSS濃度は減少したものの, 室内実験の結果と同様に装置全体の硝化能は向上した.
  • 石黒 宗秀, 岩元 亮一, 石田 智之, 赤江 剛夫
    2001 年 2001 巻 216 号 p. 771-776,a2
    発行日: 2001/12/25
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
    栄養塩類の供給源となる湖沼底土は, 湖沼過栄養化の一因となるため, その処理対策が検討されている. 底土を利用するためには, その利用目的に合った透水性が要求される. 一方, 土壌の透水性は, 種々の粘土鉱物や有機物の影響を受けるため, 未解明の部分が多い. 本研究では, 非膨潤性の層状粘土鉱物を含む児島湖底土を用いて, その飽和透水係数を測定し, 飽和透水特性を実験的に明らかにした. Caを吸着した土壌試料では, 浸透溶液濃度が低下しても透水係数は小さな低下に留まった. 特に, pH11のCa吸着試料では, 最も小さな変化であった. これは, 土粒子とCaの化学反応により構造が安定化したためと考えられる. 一方, Naを吸着した試料では, pH5では透水係数は小さな低下であったが, pHが上昇するに従い著しい低下を示した. この結果は, 粘土鉱物の荷電特性と拡散二重層理論により説明できた.
  • 西村 伸一, 藤井 弘章
    2001 年 2001 巻 216 号 p. 777-785,a2
    発行日: 2001/12/25
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
    軟弱地盤の沈下実測値から将来の沈下予測を行う方法は, もっとも頻繁に使用され精度が良いとされる双曲線法を代表に様々な手法が存在する. また, 長期の二次圧密に対する沈下予測にはlogt法が用いられる. しかしながら, 進行する圧密過程の中のどの時点で, logt法が適用可能となるかの判断は難しい場合も多い. そこで, 本研究では, 逆解析手法を利用した最適化のアルゴリズムを用いて, 一次圧密, 二次圧密に関連するパラーメータを同時に同定し, 将来の沈下予測を行う方法を提案している. 今回は, 手法の精度を検討するため, 既存の長期圧密試験結果, カオリン粘土を用いた室内圧密試験結果, 不撹乱沖積粘土の圧密試験結果を用いた解析を実施している. 最終的に, 現場実測値を用いた解析を行い・提案法の実問題への適用性を検討している.
  • 西山 竜朗, 長谷川 高士
    2001 年 2001 巻 216 号 p. 787-797,a2
    発行日: 2001/12/25
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
    岩盤せん断試験による岩盤の破壊強度評価を理論的に明らかなものとすることを目的とし, 同試験の力学的機構を解明するための検討を行った. 検討においては特に試験過程における局所の材料破壊に注目し, 破壊機構についてMohrの破壊規準を用いて考察した. 破壊機構を知るために岩盤せん断試験を想定した石膏模型試験を行い, さらにその試験過程において模型に作用する応力を知るために有限要素法による応力解析を行った. これらの検討から, 材料の一軸圧縮強度と比較して小さい垂直応力を与えた岩盤せん断試験における, 破壊機構の特性およびせん断抵抗の発現に関する知見を得た. なお, 本研究においては試験法自体の基本的な力学的特性を検討対象とし, 原位置岩盤の内部に存在するマクロな不連続を除外して考えた.
  • 北村 邦彦, 喜多 威知郎, 一恩 英二, 桶 敏
    2001 年 2001 巻 216 号 p. 799-805,a2
    発行日: 2001/12/25
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
    石川県と富山県にまたがる棚田地域において圃場整備が実施され, 生産基盤が大きく改善された. 本報告は, 整備後における水管理状況について調査し, 検討を加えたものである. 調査の結果, 整備前から利水に不便な受益者は, 整備後も整備前と同様の田面の水管理を行っており, 利水状況が改善されたと判断するまで3年近く要している. 水源である溜池の管理労力は, 整備前と変わらず一日中時間が拘束される過酷な状況にあり, 貯水率が中干し開始時 (6月中旬) までに50%以下になると危機的状況になる. 梅雨期に満水を確保するには, 灌漑開始から梅雨期までに約700mmの降雨が必要であり, これは, 4年確率に相当している. 以上のように, 圃場整備が実施されたとはいえ, 溜池管理労力, 水資源の確保等に多大の労力を払っていることが明らかとなった.
  • 村上 章
    2001 年 2001 巻 216 号 p. 807-808
    発行日: 2001/12/25
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
  • Erizal, 酒井 俊典
    2001 年 2001 巻 216 号 p. 809-812
    発行日: 2001/12/25
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
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