粘土質の圃場において, 亀裂は圃場の地下排水性に重要な役割を持っている. そのため, 粘土質水田の高度利用のためには, 亀裂の制御は重要な課題である, 圃場における亀裂形成挙動は, 多くの要因により支配されている. なかでも, 作物からの蒸散の影響は, 営農的な亀裂の制御を目的とする場合, 重要な要因である. 本研究では, 作物の畦に沿った線状亀裂の発生位置の決定メカニズムを2次元弾性圧密モデルを用いた数値シミュレーションにより明らかにした. モデルの適用性は, 水稲条間 (畦間) を模した模型実験により検証した. 実験では, 条間 (畦間) に対応する試料中央部に亀裂が発生し, その位置はモデルにより予測された引張有効応力の発生に対応した・さらに, 本モデルを用いた数値実験により, 水稲からの蒸散による脱水が進んだときの条間土壌の引張有効応力は, 条間隔が狭いときには条中央部に極大点が形成されるが, 条間隔が広い時には, 中央より条に寄った位置に2つの極大点をもつ分布となることを明らかにした.
抄録全体を表示