沖縄本島南部, 米須地下ダム流域のボーリング柱状図の記載から読み取った琉球石灰岩中の洞くつは海岸からの距離500m以内, 標高10m--50mの範囲に分布している.洞くっレベルから推定された古地下水面勾配は下位から, 1/20→1/40→1/60→1/70と上位ほど緩傾斜になる.推定された勾配は, 現在の海岸付近の地下水面勾配1/300-1/500に比較すると急傾斜すぎる.この原因は, 地形の傾動が継続して生じたことによると考えられる.傾動を補正した古海水面と海面変化曲線から推定した洞くつの形成時代は, 最下位レベルー45m, 9800年-8300年B.C.;-31m, 7600年B.C.;-15m, 5800年B.C.;-2m, 4300年B.C.;+4m, 2800年B.C.と推定された.海岸からの距離と地下水位振幅関係に適合する透水係数は0.0006m/sで, 潮位との位相遅れ時間に適合する透水係数は0.008m/sである.位相遅れ時間から求めた透水係数がおおきい理由は, 位相差は実際の地下水が流動しているのではなく, 圧力の伝播によっているため, 見掛けの透水係数が大きくなると考えられる.
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