レダクレイ泥水の沈降様式は, 含水比を500~6000%, 塩濃度を0.5~30g/Lの広範囲で変化させた場合, 鉱物学的および化学的要因の影響を受ける。最小の凝集状態から最大の凝集状態に移行するにつれて, 沈降様式は単粒子自由沈降, 凝集性自由沈降, 界面沈降, 圧密沈降へと変化する。一般に, 泥水の粒子濃度が高く, また塩濃度が高いほど凝集の程度がより強い沈降の様式へと変化する。照査対象となる試料 (Na飽和, 2μm以下の粒度59%, 主に低活性鉱物から構成されるレダクレイ試料で実験を行った含水比と塩濃度の範囲内で全ての沈降様式が観察されるもの) については, 粘土分含有量の増加, 高膨潤性スメクタイトの添加, Na以外のイオンの存在, 酸化に伴う1%以下の含有有機物の除去により, 沈降様式の違いを示す含水比と塩濃度の境界線は低塩濃度かつ高含水比 (凝集の強い側) へ移行した。一方, その境界線は, 粒状酸化鉄の添加, 粘土分含有量の減少, ピートソイルから抽出したフルポ酸とフミン酸からなる有機物の添加により高塩濃度かつ低含水比 (凝集の弱い側) へと移行した。特に, この有機物の添加による影響が最も顕著であった。
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