本報告は, 農業土木分野で行なわれた, 20挺紀における水文学研究の流れを概観したものである.農業土木学会は, 1929年に設立され, それ以降, 学会誌, 論文集の形で, 農業土木関係の研究成果を公表している.本報告は, これらの成果を主な資料として, 水文学を, 浸透・蒸発散・流出・地下水・水温・水質の6分鐸に分け, 各分野の研究の流れを研究者の名前をつけて整理したものである.とくに, 各分野の研究の消長を, その時代の政治経済的・農政の動向とその時代の他分野の科学技衛進展との関係において整理した.その結果, これら水文学の各分野は, その時代背景、科学技衛の発展に強く影響されながら発展してきたことがわかる.また, 水文学の各分野とも, 主な研究については簡単な説明をつけると共に, その相互の関係についても説明を加え, 今後の研究について展望した.
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