流出モデル定数を同定する際に使用する目的関数 (誤差評価関数) の選択とハイドログラフの適合度との関係について検討した.永源寺, 大迫, 青蓮寺ダム流域を対象とし, 7種類の誤差評価関数を用いて, 初期水深4個を含めて16個のモデル定数を持つタンクモデルをSCE-UA (shuffled complex evolution) 法で同定した.結果は以下のように要約される.1)
RMSE (Root Mean Square Error),
MAE (Mean Absolute Error),
LOG (流量を対数変換した
RMSE) を用いると, 計算総流出高は観測総流出高とほぼ一致する.一方, 他の誤差評価関数の場合では, 計算総流出高は一貫して過小推定となることから, 許容水収支誤差の制約条件は必要不可欠である.2)
RMSEは最も高水部の適合度を重視する.
LOG, x基準,
RE (Relative Error) とRR (Root Mean Square of Relative Error) は低水部を重視する.3)
RMSEの同定結果は, 最もモデル定数の一貫性が高く, 低水部重視の誤差評価関数の中では
RRの一貫性が最も高い.4) 4年程度の同定期間があれば, モデル定数は同定期間にあまり依存せず, 安定した同定結果が得られる.
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