本研究では耕起, 代かき作業の異なる慣行農法, 不耕起農法, 無代かき農法の水田に生息するアカネ属の幼虫個体数, 羽化種と羽化発生の特徴を明ら魁こし, それぞれの農法の栽培管理とそれにともなう農地条件の変化がアカネ属の生慰状況に与える影響について考察した.研究の結果から, 1)アカネ属幼虫の個体数は実験田問で異なり, 不耕起田, 無代かき田の個体数洲貫行田に比べ高し値を示したこと, 2) 5年間の総羽化個体数は50m
2当たり慣行田が751個体, 不耕起田が4422個体, 無代かき田が4272個体となり, 不耕起田, 無代かき田で羽化個体数が増加し, アキアカネの羽化個体数は, 無代かき田において多レ頼向にあったこと, 3) 羽化個体の種構成は, 慣行田と無代かき田では類似していたが, 不耕起田では, 初年度はアキアカネの構成割合が高かったが, その後, ノシメトンボが優占種となったこと, を示した. 以上のことから, 代かきによる撹乱作用がアカネ属幼虫の生息に影響を与えていると推察された.また, 不耕起田ではアキアカネの生農個体数が著しく減少した. その原因として, 不耕起農淘よ土壌の彰燥化が起きやすい農地条件であることが推測された.
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