農業土木学会論文集
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2006 巻, 244 号
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  • Sungill KWON, 久保 成隆, Ngan Giang Hoang
    2006 年 2006 巻 244 号 p. 403-411
    発行日: 2006/08/25
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
    本研究は、メコン河下流域での塩水遡上の特性を, 現地観測と数値シミュレーションによって検討することを研究の目的とする.現地観測はメコン河の2大派川の1つであるTien Rivcrとその最下流部に位置しているTieu Riverで, ADCPとTPMを用いて河川流量と塩分濃度を観測した.観測は短期間のため, 結果は断片的であるが, 以下の幾つかの点を明らかにすることができた.塩水遡上の混合型が強混合型であること, 潮汐による流量が淡水流量と比較して桁違いに大きいこと, 約4km毎の河川の横断面形が得られたこと, これらの観測結果に基づいて行った数値解析によっては、Viam Giong地点の補正水位として一41cmを適用可能であること, 回帰曲線間では流量が水位差のほぼ1乗に比例すること, 塩分濃度ピークが水位差と流量ピークより1ヶ月以上先行していることなどが分かった.
  • ニュー・サウス・ウェールズ州を中心に
    木下 幸雄, CRASE Lin
    2006 年 2006 巻 244 号 p. 413-422
    発行日: 2006/08/25
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
    本研究の目的は, オーストラリアのニュー・サウス・ウェールズ州を中心として, 灌漑用水市場化の実態と問題点を明らかにすることにある.実態の観察を通して知見を得ていくアプローチにより, 用水市場化の背景を検討した結果, 政策的要因, 自然的要因, 制度的要因があることがわかった.分析対象地域としたマレー地域などの観察を通して, 灌漑用水取引を巡る市場構造について検討したところ, 水融通の特徴や水利権売買の停滞性など用水市場の特性が明らかにされた.また, 用水市場の成立条件, 資産としての水利権の劣化の可能性, 用水市場化政策との整合性についても考察を加え, 用水市場化を巡る新たな論点を提示した.
  • 中野 拓治
    2006 年 2006 巻 244 号 p. 423-430
    発行日: 2006/08/25
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
    連続流入間欠ばっ気活性汚泥方式の農業集落排水施設のBOD除去性能と影響要因について供用中の施設から得られた観測データを踏まえ、検討を行い, 設計・管理因子への反映手法について考察した.ばっ気槽流入水と沈殿槽流出水からの有機物の濃度分布は対数正規分布によく適合していることが判明した.連続流入間欠ばっ気活性汚泥方式の農業集落排水施設のBOD除去は, 完全混合流による1次反応に従っているとともに, BOD除去速度には, ばっ気槽内の水温とばっ気空気量が関与していることが確認された.また、BOD除去率について, ばつ気槽内のMLSS, 水理学的滞留時間, 水温, ばっ気空気量による関係式が導かれ, ばっ気槽内のMLSS・水理学的滞留時間の積を説明変数とする双曲線関数からBOD除去性能を推定できることが確認された.連続流入間欠ばっ気活性汚泥方式の農業集落排水施設においてBOD除去性能の安定を図るためには.流入水の水温と流入負荷に応じて水理学的滞留時間を確保するとともに、ばつ気槽内のMLSSとばっ気空気量を適切に管理することの重要性が示唆された.
  • Abul Hasan Md. Badiul ALAM, 竹内 潤一郎, 河地 利彦
    2006 年 2006 巻 244 号 p. 431-439
    発行日: 2006/08/25
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
    土壌水分は蒸発や浸透, 直接流出などに影響を与えるため, 水文過程において重要な構成要素である.そこで, 本研究では土壌水分量によってそれらの水文要素を動的に扱うことのできる土壌水分モデル (SMmodel) を組み込んだ分布型流出モデルを開発することを目的とする.同一の大きさに分割された各セルは土地利用や表層地質といった物理的要因に応じて特性が決まるものとし, セル間の水収支はメッシュ型タンクモデルを採用する.この流出モデルを滋賀県南部の大戸川流域に適用した.2001年の観測データを用いてパラメータを同定し, 1998年から2000年のデータで妥当性を検証した.モデルの効率性に関する指標R2に関して良好な結果を示したことから, 開発された分布型流出モデルは流出解析に有用であるといえる.
  • エジプト・ナイルデルタにおける実験的考察
    Waleed HASSAN ABOU EL, 北村 義信, 猪迫 耕二, 清水 克之, 西山 壮一
    2006 年 2006 巻 244 号 p. 441-449
    発行日: 2006/08/25
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
    本研究は, ナイルデルタの水稲生産において, 水管理と耕うん方法が収量, 水利用効率 (WUE) 等に及ぼす影響を解明する目的で実施した。実験にはGiza 177とSakha 101の2品種を用いた.耕うん方法はチゼルプラウ (2回) と湿田整地 (T-1), チゼルプラウ (1回) と乾田整地 (T-2), 撥土板プラウ, ディスクハローと乾田整地 (T-3), 不耕起 (T-4) の4種類を対象とした.その結果、灌漑間隔と耕うん方法は水利用効率, 作物収量, 土壌の物理性に大きく影響を.及ぼすことが判明し, 次の点が提案される.1) 収量, WUEの面から灌漑間隔は6日が望ましい.2) 品種は収量, WUEの面からGiza177よりもSakha 101の方が推奨される.3) 耕うん方法は, 収量, WUE, 締固めの軽減効果の面から, 同国水稲研究センター (RRTC) が奨励するT-3よりも, 稲作農家が一般に用いるT-1の方が推奨される.
  • 栃木県上三川町谷川水系の事例
    杉原 知加子, 水谷 正一
    2006 年 2006 巻 244 号 p. 451-460
    発行日: 2006/08/25
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
    人工池が魚類の生息に果たす役割を解明するために, 栃木県上三川町の人工池とそこに連結する河川である谷川, および池に隣接する水田域において2001年から2002年にかけて谷川の生息魚類と, 冬季の池における生息魚類調査・谷川-池-農業水路-水田間の魚類の遡上・降下調査を行った.その結果, 谷川では23種, 冬季の池では14種, 水域間の移動調査では21種が採捕された.結果より, 魚類の池の利用形態は1) 生活史利用, 2) 産卵・保育・成育時利用, 3) 成育・越冬時利用, 4) 移動時利用, 5) 偶発来遊の5つの型に分類された.また, 恒久的止水域としての池は, 年間を通して水域内の魚類の保全に貢献するとともに, 他水域への種の供給場所 (ソース) としての役割を果たしていると考えられた.
  • 阿部 公平, 佐藤 周之, 桑原 智之, 野中 資博
    2006 年 2006 巻 244 号 p. 461-466
    発行日: 2006/08/25
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
    本研究では, 停滞・閉鎖性水域に適用可能な新たな水環境修復技術の確立を目指し, Mg-Al-Cl型ハイドロタルサイト化合物と発泡ガラス, 専用の浮力体を複合化した浮島型リン吸着コンクリートの利用性について基礎的検討を行った.実験には停滞水域の一種である島根県松江市の堀川を選定し, 供試体を約3ヶ月設置した.その結果, 浮島型リン吸着コンクリートは水環境中に負荷を与える物質を溶出しないこと, 物理・化学的なリン除去能力を発揮することがわかった.また, 供試体上層部に植栽した植物の生長量を評価した結果, 植物の生長による生物学的な栄養塩類の除去効果も確認できた.さらに, 波浪などの外力に対して耐えられる安定した構造であることを確認した.以上の結果から, 浮島型リン吸着コンクリートは停滞・閉鎖性水域の新たな水環境修復資材として利用可能であることが明らかとなった.
  • 皆川 明子, 西田 一也, 藤井 千晴, 千賀 裕太郎
    2006 年 2006 巻 244 号 p. 467-474
    発行日: 2006/08/25
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
    本研究は, 未整備水田を対象に水管理との関わりの中で魚類がどのように水田を利用しているか明らかにすることを目的とした.調査の結果, 次のことが明らかとなった.1) ドジョウ, タモロコ, フナ属に加え, シマドジョウも水田で繁殖していると考えられた.2) ドジョウとタモロコでは水田の利用期間が異なった.3) 魚類の繁殖期に当たる灌漑初期の水田排水の流速が魚類の溯上を促す流速帯となつていた.4) 用排兼用型水路と双方向移動可能な水口・水尻の構造は, 水田において魚類が繁殖・成育できる可能性を高め, 水田水域の個体群の維持に寄与すると考えられた.
  • 近藤 雅秋, 加治佐 隆光, 石黒 覚
    2006 年 2006 巻 244 号 p. 475-482
    発行日: 2006/08/25
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
    産出された電気炉酸化スラグのリン除去能を向上させる前処理法として, スラグの高温加熱に着目し, 除去能との定量的関係や向上機構を実験的に検討した。その結果, スラグを加熱することで除去率は向上し, 特に600℃ 以上の加熱スラグによる除去率は90%以上を示した.また, スラグ粒子表面近くの集積層にはCaCO3が集積しており, CaCO3は600℃ からCaOに熱分解され始めた.そのためリン除去成分の溶出は, 600℃ 以上の条件で多くなった.600℃ 以上の加熱スラグによる溶出状況は, Ca濃度が1~1.5mmol/Lで, pHも10.5~11強と高かった.また, 本論のリン除去はpHで規定され, 高いpHのために高率除去に至った。このようにリン除去能の向上は, 除去成分の溶出過程および除去過程で説明できた.
  • 軽部 重太郎, 田村 昭典
    2006 年 2006 巻 244 号 p. 483-487
    発行日: 2006/08/25
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
    1998年頃から霞ヶ浦湖水の白濁現象が観察されている.この白濁現象と霞ヶ浦底泥との関連を見るため, 濁度測定, 懸濁物質のX線回折, 及び透過型電子顕微鏡観察を行ない, 次の結果を得た.霞ヶ浦底泥中には直径0.03~0.04μm, 長さ0.1~0.2μmの管状のハロイサイトが比較的多く含まれている.ハロイサイトは高pHでよく分散するので, pH8~9の湖水中では容易に沈降しない.水中に懸濁した底泥の他の成分は次第に沈降するため, 懸濁物中のハロイサイトの割合は時間と共に増加する傾向が認められた.また, ハロイサイトは, アロフェン, モンモリロナイトに比べて光を散乱する性質が著しく大きいことが確かめられた.これらのことから, 湖水中に分散したハロイサイトが白濁現象の原因になる可能性が高いと考えられた.
  • 治多 伸介, 櫻井 雄二
    2006 年 2006 巻 244 号 p. 489-498
    発行日: 2006/08/25
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
    愛媛県O地区の凝集剤注入方式曝気自動制御型OD法の処理水に対し, 灌漑水としての水質特性を検討し, 以下の結果を得た.多くの水質成分は, 0地区の従来の灌漑水より濃度が高かった.また, 水質成分は変動係数の小さいもの (EC・K+・Na+・Ca2+・Mg2+・Cf・SO42-) と大きいもの (水温・DO・SS・COD・T-N・各態窒素・T-P・PO4-P) に大別できた.塩類は, 塩害の危険性は低いが, 含有バランスが従来の灌漑水とは異なった.COD・T-Nは, 旧来型の集排施設の処理水より低濃度で, CODが作物に悪影響を与える可能性は低かった.T-NはNO3-N主体だが, 水田への無希釈利用には減肥が望まれる濃度であった.T-Pは計画水質より良好だが, 溜池貯留では藻類大量発生が危惧された.O-157は検出されず, 一般細菌数・大腸菌群数は, 従来の灌漑水より小さいか同程度であった.
  • 櫻井 雄二, 治多 伸介
    2006 年 2006 巻 244 号 p. 499-507
    発行日: 2006/08/25
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
    本報では, 集排処理水を送水した溜池の水質とその表層水を灌漑した水田への影響を検討するため,「凝集剤注入方式曝気自動制御型OD法」の集排処理水を, 溜池に送水してから農地に利用している愛媛県O地区を調査した.その結果, 処理水が送水された3年間, 溜池では灌漑期間のほとんどで満水位が維持された.それにより, 溜池水だけを灌漑水として利用している水田では, 溜池オーバーフロー水だけで灌漑用水がほぼ充足し, 従来は煩雑だった溜池の樋門操作がほとんど不要になった.処理水送水により, 灌漑水になる溜池表層水のEC・ SS・ COD・T-N・各態窒素・T-P・カチオン類 (K+, Na+, Ca2+, Mg2+)・アニオン類 (Cl-, SO42-) の濃度は上昇し, カチオン・アニオンバランスは処理水のバランスに近づいた.しかし, 溜池表層水の各水質成分濃度は, SS・SO42-以外は常に処理水より低く, 特に窒素・リン成分で濃度が低かった.カチオン・アニオンバランスも処理水の値に至ることはほとんどなかった.そして, 溜池表層水質が, 水稲生育に悪影響を与え始める目安のCOD8mg・L-1, T-N3mg・L-1を越えることは極めて希で, 景観や臭気の面からも住民に不快感を与えない水質が維持された.溜池の水だけを灌漑水として利用した水田では, 減肥等のない通常の管理条件のままで, 土壌化学性 (炭素・窒素・リン含有率, 交換性及び水溶性のカチオン・アニオン含有量, カチオン・アニオンバランス) に悪影響はなく, 水稲生育は良好であった.
  • 治多 伸介, 櫻井 雄二
    2006 年 2006 巻 244 号 p. 509-518
    発行日: 2006/08/25
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
    「凝集剤注入方式曝気自動制御型OD法」の処理水が送水された, 最大水深4.5mの愛媛県D池で, 主に昼間の内部水質を調査した.その結果, D池では, 流入した処理水が水深1-2m程度の深さを中心に貫入するという不均一な流動をしていたことが明らかとなった.この流動の原因は, D池表面水の水温が処理水よりも高くなりやすく, また処理水の溶存成分濃度がD池表面水よりも高く, 処理水の密度がD池表面水の密度よりも大きくなること等のためと考えられた.また, D池の1-2m深さの密度が, 流入する処理水と同じであったためと考えられた.そして, 2mよりも浅い水深では, 処理水混入量が多いと考えられるCl-濃度が高い場所ほど, EC・T-P・Ca2+・Mg2+・K+・Na+・SO42-濃度は高く, T-N・NO3-N濃度は低い傾向にあり, 処理水の水質特性が反映されていた.以上のように, D池では処理水の不均一な流動が起こり, それが内部水質分布に影響したことが顕著な特徴であった.
  • 治多 伸介, 櫻井 雄二
    2006 年 2006 巻 244 号 p. 519-526
    発行日: 2006/08/25
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
    本研究では, 溜池底泥からのリン・窒素放出に及ぼす処理水送水の影響を明らかにするため, 愛媛県D池を調査した. その結果, D池への処理水送水量の多い年は, 少ない年に比較して底層水のT-P・PO4-P・NH4-N・Org.-N濃度は低かった。また底層水では, DO濃度が高いほどTP・PO4-P・NH4-N・Org-N濃度は低く, DO濃度が0.1mg・L-1以下では, NOx-N濃度が高いほどTP・PO4-P濃度は低かった. 一方, Crを処理水の混入指標とした場合, 処理水送水量が多い年に底層水の処理水混入量は多く, 処理水混入量が多い時に, 底層水のDO・NOx-N濃度は高かった.これらの結果は, 溜池への処理水送水量が多いと, 底泥表面が嫌気状態になり難くなり, 底泥からのリン・窒素放出が抑えられることを示唆した.処理水送水により, 水温躍層の深さが顕著に深くなったり, 水温勾配が顕著に小さくなることはなかった.
  • 深水管理実施地区の農家および土地改良区へのアンケート結果に基づく検討
    有田 博之, 熊谷 和美, 三沢 眞一
    2006 年 2006 巻 244 号 p. 527-533
    発行日: 2006/08/25
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
    省力的で持続型農業を実現する農法として深水栽培法に注目し, 適用に必要な農地基盤・施設の整備課題を検討した.慣行農法より深めの湛水を行う深水栽培法は, 障害型冷害の防除手段として普及したが, 近年では省力化・増収・雑草防除等の技術として寒冷地以外でも一部農家が導入している.調査は, 深水栽培を行う東北・北海道地域の農家・土地改良区にアンケートと現地聴取りを行った、結果, 深水栽培を行う上で,(1) 湛水深を維持する畦畔の高さ・幅員の確保,(2) 畦畔の漏水防止対策,(3) 畦畔高の増大に適合するための用水路改修,(4) 地耐力増進のための排水対策, が基礎的・優先的な事項であることを明らかにし, それらの技術的課題を整理した.また, 深水栽培法がもつ新たな環境機能を指摘し, 今後の普及の可能性を示した.
  • アハメッド オールドアハメッドボーヤ, 山本 太平, 井上 光弘, 安養寺 久男
    2006 年 2006 巻 244 号 p. 535-543
    発行日: 2006/08/25
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
    乾燥地の灌漑では良質水が不足するため塩水を使用している。しかし、塩水灌漑がどの程度作物の収量に影響するかという情報は少ない。ハウス内の砂丘圃場でソルガムに対して塩水を用い, 新しい点滴灌漑の用水計画モデルを提案した。毎日灌漑と2日間断灌漑を行った。灌漑水の電気伝導度 (ECwi) は7.32dS/mで, 1勸糧は計器蒸発量に基づいて決定した。生長期間中の蒸発散量は580mmで, しきい値のECe=6.8dS/mとBCe=8.4dS/mに対して, リーチングを含めた灌漑糧は734mmと794mmであった。2日間断灌漑と比較して, 毎日灌漑ではソルガムの収量が25%から32%の範囲で増加した。水利用効率は2日間断灌漑 (0.22kg/m3) よりも毎日間断灌漑 (0.30kg/m3) の方が高かった。本研究では塩水灌漑を行う場合の適切な灌漑計画に関する新しい知見を得た。
  • 森谷 慈宙, 山本 太平, Henintsoa Andry, 村木 広和
    2006 年 2006 巻 244 号 p. 545-551
    発行日: 2006/08/25
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
    写真測量の原理に基づいた水食解析システムによって, 土壌侵食が進行している状態での侵食深と侵食土量の検討を行い, その適用性について検証した.まず土壌面から土壌を一定量ずつ採取し, 精度を求めた.その結果, 侵食土量における絶対 (相対) 誤差は0.0946kg/m2 (859%) であった.乾燥密度が異なる風乾細土のマサ土に60mm/hの降雨を与えた結果, 絶対誤差は1.30g/cm3の場合6.62kg/m2, 1.20g/cm3の場合0.675kg/m2, 相対誤差は両者で86.0%以上の低い精度を示した.次に同じ土壌で乾燥密度を1.38g/cm3に増加させ, 40, 80, 120mm/hの降雨を1時間ずつ連続的に与えた結果, 絶対 (相対) 誤差はそれぞれ0.0412kg/m2 (36.1%), 0.0406kg/m2 (26.4%), 0.0599kg/m2 (29.8%) を示し, 精度が改善された.以上の結果, 降雨条件下においてリル等の規模の小さい土壌侵食のモニタリングの可能性が提案された.
  • 東京都日野市の向島用水・国立市の府中用水を事例として
    西田 一也, 藤井 千晴, 皆川 明子, 千賀 裕太郎
    2006 年 2006 巻 244 号 p. 553-565
    発行日: 2006/08/25
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
    ドジョウ等の一時的水域で繁殖する魚類の生息空間として最低限保全すべき恒久的水域の範囲として, 繁殖のための一時的水域への移動 (進入) 範囲と成育後の一時的水域からの分散 (脱出) 範囲を明らかにすることを目的として, 一時的水域へ繁殖のため移動する魚類および一時的水域から分散する魚類にマーキングを施し放流した後, 再採捕調査を行った.その結果, 1) ドジョウの移動・分散範囲は一時的水域との接続点から上流100mから下流300m, タモロコは上流200mから下流500m以内の範囲であった.2) ギンブナ, シマドジョウは再採捕個体数が少なく移動・分散範囲を明らかにできなかったが, シマドジョウは上流から一時的水域に移動して繁殖し, 再び上流へと分散しており, ギンブナは一時酌水域から脱出後堰上部の深みへと分散していた. 3) ドジョウ, タモロコは前述の範囲外から移動して一時的水域へ進入する移動的な個体が少数存在していた.
  • 石井 敦
    2006 年 2006 巻 244 号 p. 567-572
    発行日: 2006/08/25
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
    我が国において, 1枚数ha以上の巨大区画水田の創出を図るためには, 担い手農家に農地を利用集積し, さらにこれを集団化する必要がある.本稿では集落営農方式で巨大区画水田を創出した福井県河合地区において, 巨大区画水田創出の特性と問題点を検討した.その結果, 集落営農方式は, 個人相対の場合と比べて利用集積や耕作地調整による利用集積地の集団化が容易になり, 巨大区画水田も創出しやすいことが明らかになった.一方, この方式では地主化に消極的な農家を含む集落のほぼ全員から農地を利用集積する必要があるため, 小作料は個人相対の場合よりも高額になり, 専従オペレーターの所得が圧迫される問題がある. この問題に対し, 巨大区画化による専従オペレーター当たりの耕作規模拡大と, 農業機械購入等への公的補助が有効だったこと等を示した.
  • 泉 完, 矢田谷 健一, 東 信行, 工藤 明
    2006 年 2006 巻 244 号 p. 573-580
    発行日: 2006/08/25
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
    現地河川の魚道中にスタミナトンネル (円筒パイプ) を設置した野生のウグイ (体長: 5cm~22cm) の遊泳実験を行い, 1~5秒間遊泳した個体の突進速度と50cmの距離を最大で泳いだ個体の瞬間的突進速度について検討した.その結果,(1) 体長の10倍以上の速さで1~5秒間遊泳した突進速度は, 体長の平均19.5倍の速さであったこと,(2) 突進速度と瞬間的突進速度ともウグイは管内流速に応じて遊泳する傾向を示し, ある高流速の条件範囲では突進速度に上限値が見られたこと, また, 瞬間的突進速度は, 突進速度に比較して1.17倍速いこと,(3) 175cm・s-1の条件で遊泳した体長5cm~19cmまでの個体の突進速度と瞬間的突進速度を推定したところ.平均突進速度246cm・s-1 (σ=±30cm・s-1)・平均遊泳時間2.89s (σ=±1.07s), 瞬間的突進速度291cm・s-1 (σ=±59cm・s-1)・平均遊泳時間0.66s (σ=±0.46s) となったこと,(4) これらの突進速度は既往の現地魚道での遊泳速度の調査結果に類似することがわかり, 魚道内の流れが速いほど瞬間的突進速度に相当する遊泳速度でごく短時聞に遊泳すると推察された.
  • 河端 俊典, 澤田 豊, 毛利 栄征, 内田 一徳
    2006 年 2006 巻 244 号 p. 581-587
    発行日: 2006/08/25
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
    農業用パイプラインなどの圧力管曲部に作用するスラストカに抵抗するために, 曲管の曲率内側にジオグリッドを籠状に連結した軽量スラスト対策工法を考案し, その有効性を検討するため, 口径90mmの模型管を用いて乾燥砂中での水平載荷実験を実施した. その結果, 提案したスラスト防護工法の模型は, 矩形ブロックを模擬した揚合より大きな水平抵抗力を有していることが明らかになった. さらに, 当工法の抵抗力発現機構を明らかにするため, 模型地盤表面の画像解析ならびに二次元でモデル化したDEM解析を行った. その結果, 防護部で囲まれた土塊だけでなく, その上部の土塊も抵抗力の発現に寄与しているほか, 防護部底面近傍で下部の地盤との間にせん断面が発達していることが明らかとなった.
  • 大串 和紀, 姫野 靖彦, 柚山 義人, 中野 芳輔
    2006 年 2006 巻 244 号 p. 589-597
    発行日: 2006/08/25
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
    佐賀県西部に位置する白石平野は干拓によって形成された低平な水田地帯で, クリークが縦横に張り巡らされている. クリークの水質は, 1960年頃までは清浄に保たれていたが, 近年になって悪化が進んでいる. そこで, 白石平野の窒素循環モデルを作成し, 1960年頃と2000年頃におけるクリークへの窒素負荷量を解析した. その結果, クリークの水質変化要因として, 生活雑排水の増加と処理方法の変化, クリークの維持管理方法の変化及び営農の変化に伴う農地からの窒素負荷の増加の影響が大きいことが分かった. 特に, 乾田化や水田転作により水稲作付面積が減少する一方, 肥料を多投する畑作物の作付けが増加し, これがクリークへの窒素負荷量を増大させている大きな要因であることが明らかになった.
  • 山林小流域からの溶存イオン流出負荷量推定を例として
    多田 明夫, 田中丸 治哉, 畑 武志
    2006 年 2006 巻 244 号 p. 599-608
    発行日: 2006/08/25
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
    本論文では, 面積12.82haの山林小流域において, 10分値の流量・水質データを用い, 約7.7ヶ月の期間中の流域からの総流出負荷量の推定値とその95%信頼区間について議論を行った. 負荷量算出には直線型LQ式, べき乗型LQ式, 非線形LQ式の三種類の算定方法を用いた. 対象とした水質項目は溶存イオンのCl-, K+, Na+, およカリウム水質時系列より生成した, 非線形性を強めた仮想水質項目である. 具体的には, 等間隔サンプリングにより全データ集団から抽出されたデータセットより算出される95%推定区間内に, 総流出負荷量の真値が期待される確率通り含まれるかについて検討を行った. この結果・直線型LQ式を負荷量算定に用いた場合, 適切な信頼区間を与えることのできるLQ式を決定するために必要なデータ数は, 本調査流域においては, 237個~947個 (6時間~1日間隔サンプリングに相当) と非常に多量であること, 特定期間にわたる総流出負荷量を算定する目的からはべき乗型LQ式を用いてはならず, 直線型LQ式を用いるべきであることが明らかとなった. また, 限られた観測データから期間中の総流出負荷量の期待値と信頼区間を提示するためのLQ式に必要とされる条件として, L-Q (流量-負荷量) プロット上での非線形なデータ分布を表現し, かつ総流出負荷量の計算値がより真値に近い式が望まれるが, 一般に利用される直線型LQ式, べき乗型LQ式ともにこの点では短所を有していることを指摘した.
  • 李 宏宇, 永井 明博, 近森 秀高
    2006 年 2006 巻 244 号 p. 609-616
    発行日: 2006/08/25
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
    本研究では, 上流部に全流域面積の約4割を占める大佐ダム流域を含んだ小阪部川ダム流域における洪水を対象に, 上流ダム放流量を無視して全流域に流出モデルを適用する場合と上流ダム放流量は河道追跡しかっ残流域には流出モデルを適用する場合について流出解析を行つた. その結果, 流出モデルに採用した改良VICモデルはこの流域においても洪水を良好に再現していること, 上流ダムからの放流量をdiffusion wave法によって河道追跡することにより, 下流の小阪部川ダム貯水池流入量の再現性が改善されることがわかった. さらに, 上流ダムからの放流量はdiffusion wave法で追跡し, 残流域には改良VICモデルを用いて実時間予測を行う方法を提示して, この方法により4時間先までの実時間洪水流量予測を行った. その結果, この方法はほぼ3時間先までの実時間予測に利用できることがわかった.
  • Andry Henintsoa RAVOLONANTENAINA, Jean Herivelo RAKOTONDRAINIBE, 山本 太平 ...
    2006 年 2006 巻 244 号 p. 617-627
    発行日: 2006/08/25
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
    マダガスカルのエネルギー・鉱山省は、ユニセフと共同して1999年にマハジャンガ地域で飲料水プロジェクトを開始した。本研究では、気候学的パラメータを地下水源の涵養を判断するのに適用するとともに、揚水試験データを用いて水文地質パラメータを評価してみた。また、このプロジェクトの農村開発に対する可能な寄与も論じた。結果としては、38ヶ所の試験揚水井のうちの24%は無効であったが、76%は有効であった。しかし、有効な試験揚水井のうち、十分な比湧出量を有していたのは80%だけであった。いくつかの試験揚水井が無効であったことから、この種のプロジェクトにおける水文地質情報の必要性が強く指摘されるものであった。そのような情報の利用は対象地における操業可能な揚水井数を増加させるとともに、揚水井の比湧出量の安定性も高めるといえる。現在は、少なくとも人口の35%が良質の飲料水を得ることができ、そのため水に起因する疾病を免れている。このような良質の飲用水の取得は行政府の社会責任を軽減し、農民の農業生産性を向上させるといえよう。
  • 柴田 卓弥, 高橋 健, 田中 恒夫, 尾崎 益雄
    2006 年 2006 巻 244 号 p. 629-637
    発行日: 2006/08/25
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
    炭素繊維は生物親和性に優れ, 従来のろ材材料より比表面積が大きい. 炭素繊維の物性に着目したろ材の開発が行われた結果, 揺動するろ材形状として房型が優れていると判断されている. 本研究は房型ろ材を実用規模の生物膜処理プラントへ導入し, 炭素繊維ろ材の有効性の検討を行った. 検討項目は, 既設の合併浄化槽に対するろ材充填量の増加の可能性, 硝化が不十分な二次処理装置の付加的硝化装置への応用, 乾燥地における生物膜法への応用の3項目とした. 炭素繊維ろ材は, 反応槽に従来のろ材の3倍程度となる150~200m2/m3の比表面積を充填することが可能であり, 装置の規模縮小化が可能であることが示唆された. また, 反応槽内により多くの微生物を保持できるため, 低負荷運転や乾燥地のような生物多様性の少ない地域においても, 効率的な処理が行えることが明らかになった.
  • Muhammad Munir AFIMAD, 軽部 重太郎
    2006 年 2006 巻 244 号 p. 639-643
    発行日: 2006/08/25
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
    乾燥地・半乾燥地における再利用水を用いた灌漑が土壌構造に及ぼす影響を予測するため, 塩分濃度とナトリウム吸着比 (SAR) がモンモリロナイトの保水性に及ぼす影響を調べた. 塩分濃度を電気伝導度 (EC) で表示し, NaCl2, 20, 50mol m-3とSAR5, 10, 20を組み合わせた溶液を用いて実験を行った. NaCl2mol m-3のときはECが低いためすべてのSARで高い保水性を示した. NaCl20molm-3のとき, SAR5は, ECが高くなることによりSAR10と比べて大幅に低い保水性を示した. 系が凝集条件下にあるとき, 保水性はSARと共に増大し, 分散条件下では保水性に変化が見られなかった. 凝集状態ではECが高いほど, またSARが低いほど保水性が低下した. モンモリロナイトは低い保水性を示すときに凝集構造になると考えられる. その物理性をコントロールするには塩分濃度とSARの組み合わせが重要と考えられた.
  • 高知県ごめん・なはり線の事例研究
    Xiaoqing SHAO, 松本 伸介, 篠 和夫
    2006 年 2006 巻 244 号 p. 645-651
    発行日: 2006/08/25
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
    高知県中東部を走行する鉄道, ごめん・なはり線から発せられる騒音を対象に調査研究した. 土地利用形態の異なる3地点における現地観測および周辺住民を対象としたアンケート調査を実施したところ, 次のような結果が得られた. 平均騒音レベルは基準値に比し10dB程度低いにもかかわらず, 回答者の約半数が不快感を覚えていること. 騒音源の周波数分析より, 一般に人間が不快感を感じると言われている範囲に近い400-3000Hzに卓越領域があること.
    こうした研究結果から, 小都市において土地利用計画を立案するに際して騒音の観点から見ると, 単に騒音レベルだけで検討するのでは不十分であり, 暗騒音レベルや騒音源の周波数特性についても注意する必要があることが分かった。
  • 新潟県塚山地区を事例として
    中村 俊信, 矢野 佳代子, 渡辺 一哉, 松野 肇
    2006 年 2006 巻 244 号 p. 653-658
    発行日: 2006/08/25
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
    2001年度から2003年度にかけて実施された生態系配慮型水路の効果検証において, 粗朶柵工の耐用年数と維持管理方法及び課題について調査研究を行った. 護岸として導入された粗朶柵工の耐用年数は2.5年から3.0年程度であり, 維持管理として粗朶柵工の補修が必要であることが, また, 補修方法は専門的な技術を必要とせず人力で行える簡単なものであることが確認された. 維持管理の課題は高齢化と人手不足であり, その解決方法としては若い世代の維持管理作業への参加が必要であること, そのためには広報や自然に関する情報の提供等の工夫が必要であることが調査により明らかになった.
  • 加藤 亮, 鹿崎 隆広, 黒田 久雄, 中曽根 英雄
    2006 年 2006 巻 244 号 p. 659-664
    発行日: 2006/08/25
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
    近年, 流域水質管理の観点から, 水田の窒素除去機能に高い関心が寄せられている. そこで水田の窒素除去の定量化のため, 2003年の6月から12月まで自然流下型の実験圃場の水口と水尻で流量と窒素濃度を週1回の頻度で測定した. その結果, 用水の滞留時間は平均約9時間, 実験圃場の月別の窒素除去量は0.025~0.116gm-2d-1と推定された. なお, この窒素除去量の最大値は7月に観測され, その時の流入水の硝酸態濃度は3.7mgL-1, 水温は25.4℃, 最小値は12月に観測され, 流入水の硝酸態濃度は5.4mgL -1, 水温は9.6℃ であった. また, これまで提案されてきた窒素除去式に結果を適用し, 除去係数などのパラメータについて検討した. 自然流下型の実験圃場における窒素除去量は, これまでに湛水型の実験圃場で報告されてきた値と大きくは変わらないことが確認された.
  • 塚田 和史, 杉山 博信, Andrew C WHITAKER, 張 玉
    2006 年 2006 巻 244 号 p. 665-672
    発行日: 2006/08/25
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
    地温, 降水量さらには積雪融雪水等の水文特性が, 土壌気相中におけるCO2ガス濃度の年変化や鉛直分布特性に与える影響を検討するために, 本研究では, 積雪森林山地域のスギ林内に研究対象地点を設定して, 2003年12月から2005年12. 月までの2年間にわたり土壌気相中におけるCO2ガス濃度を測定した. その結果, 積雪融雪期間では融雪水の浸透がCO2ガス濃度の鉛直分布特性の主影響要因であること, 暖候期では降雨が一時的に大気へのCO2ガス拡散を抽制していること等が明らかになった. また, 土壌中CO2ガス濃度の年変化は, 地温の年変化に対応して夏季に高濃度, 冬季に低濃度を呈する周期的変動成分からなっており, CO2ガス濃度の経時変動は地温に依存していることが分かった. さらにまた, 土壌中CO2ガス濃度と地温の関係を見てみると, CO2ガス濃度が高い周辺の深度に限り, 地温が5~20℃ 程の範囲内でCO2ガス濃度は地温の対数関数式で近似できること, 約5℃ 以下の地温の範囲では, CO2ガス濃度と地温の関係は1次関数で近似できる可能性があること等が分かった.
  • 鹿児島県南薩地区の事例
    門松 經久, 籾井 和朗, 肥山 浩樹, 小路 順一
    2006 年 2006 巻 244 号 p. 673-681
    発行日: 2006/08/25
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
    本研究では, 鹿児島県畑地かんがい事業南薩地区を対象として, 行政が合意形成に対応する基礎的知見を得るために, 受益者である農業者および市町村等の事業推進者 (行政) の畑地かんがい事業に対する評価や期待の差異について検討を加えた. アンケート調査結果によれば, 両者とも事業に対して生産性の向上を最も強く意識しているが, 投資効率に対する農業者の重視度は事業推進者に比べて低いことがわかった. この傾向は, 年齢別農業者に対しても同様の結果となった. また, 畑地かんがい事業に伴う作物の集団化や担い手への農地の集積等の将来発現が必要な組織的効果に対する認識は, 事業推進者では強いが, 農業者では低いといえる. このため, 畑地かんがい事業の合意形成に向けて, 畑地かんがいの組織的効果に対する農業者の理解を深めることが重要である.
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