情報知識学会誌
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12 巻, 4 号
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巻頭言
論文
  • 五島 敏芳
    2003 年 12 巻 4 号 p. 3-21
    発行日: 2003/01/28
    公開日: 2016/12/10
    ジャーナル フリー
     記録史料記述の国際標準の一つ「国際標準:記録史料記述の一般原則;ISAD(G)」を,日本の記録史料記述,具体的には記録史料目録へ適用する試みは多く存在する.しかし,その記述構造を反映した電子化例はけっして多くない.筆者は,ISAD(G)準拠の記録史料記述XML化の経験と先行のEAD化実践例をふまえ,記録史料記述電子化の事実上の国際規格EAD,Encoded Archival Description(符号化記録史料記述;SGMLサブセット)を採用し適用実験をおこなった.その結果,適用可能であることが確認でき,一定程度の困難が残るものの実用上の問題を克服しうることが判明した.この論文では,記録史料管理のいくつかの場面で発生する記録史料(記述)情報と,EAD化に必要な情報とを,なるべく調和させる形で記録史料記述(記録史料目録)をEAD化するための考え方や手順を紹介したい.これにより,記録史料管理過程におけるEADの位置を明らかにする.
  • 水口 弘紀, 上條 憲一, 次田 晧
    2003 年 12 巻 4 号 p. 22-31
    発行日: 2003/01/28
    公開日: 2016/12/10
    ジャーナル フリー
     プロテオーム解析におけるデータ共有のためのXML記述方式を提案する.さらに,本XML記述を使ったプロトタイプを開発した.プロテオーム解析は,細胞内で発現しているタンパク質の網羅的同定やタンパク質の機能解明を目的とする.プロテオーム解析では,解析対象となる試料情報,タンパク質の分離手法,解析結果である分離されたタンパク質名称,機能情報などを扱う.特に,解析データを共有,交換し,実験の再現や比較を行うには,実験結果だけでなくタンパク質の分離手法などの実験手順情報も重要となる.我々は,バイオ研究者間のデータ共有をより簡単に行うことを目指し,プロテオーム解析結果だけでなく,実験手順情報も記述できるXMLを用いたデータ記述方法を提案する.さらに,実験手順に応じて情報を入力し容易にXMLデータを作成できるエディタと,このXMLデータを登録検索できるデータベースサーバシステムを開発した.
  • 原 正一郎, 杉森 裕樹, 古海 勝彦, 東福寺 幾夫, 窪寺 健, 河合 正樹, 吉田 勝美
    2003 年 12 巻 4 号 p. 32-52
    発行日: 2003/01/28
    公開日: 2016/12/10
    ジャーナル フリー
     健康審査(健診)には多数の施設が関わっており,これらの施設の健診情報システム間でデータを交換する必要がある.ところが健診に関わるデータ構造は多様であり,健診依頼元へ検査結果を電子的に還元することすら容易ではない.そこで平成8年より,日本総合健診医学会情報委員会は,健診データの有効利用を図るために日本保健福祉医療情報システム工業会と合同委員会を組織し,標準健診データ交換規約(HDML:Health Data Markup Language)とツールの開発に着手した.HDMLはSGML/XMLを基礎とし,既存の医療情報交換規約との互換性を考慮しつつ,健診に特化したデータ交換規約である.本稿ではHDMLの構造と,HDMLツールを用いた評価試験の結果について述べる.HDMLの導入によりデータ交換にかかわるコストの削減が可能となる.さらにデータ交換の段階でデータ構造が標準化されるため,複数の医療施設で発生した健診データを生涯健康管理データベースとして集積・管理できるようになり,生活習慣病などの予防医学にも大きく貢献することが期待される.
  • 李 穎, 石塚 英弘
    2003 年 12 巻 4 号 p. 53-68
    発行日: 2003/01/28
    公開日: 2016/12/10
    ジャーナル フリー
     膨大な学術情報を如何に表現し,提供し,また如何なる検索機能を提供すれば良いか.これは古くかつ新しい課題である.これまで種々の手法が開発されてきたが,それぞれに欠点があり,研究者,すなわち,特定の情報源に限定されることなく,広く情報を調査し,よりノイズの少ない状態で有用な情報を得て,得られた結果を自らの観点から再構成しようとする利用者にとって,満足できる状況とは言いがたい.これを解決するためには,新たな概念に基づく方法論が必要であると考える.本研究では,「XMLに基づくコンピュータ処理可能な構造化ディジタルオブジェクト」,すなわち,情報の最小単位を構成要素とし,XMLを用いて表現する構造化情報表現を考え,その概念に基づいて,Webリソースの検索システムのモデルを考案した.そして,典型的なファクトデータベースであるMerck Indexのデータを例として,プロトタイプを開発した.そのデータ構造はXML schemaを用いて表現し,ASP.NET上に実現した.
論談
  • 西村 健
    2003 年 12 巻 4 号 p. 69-76
    発行日: 2003/01/28
    公開日: 2016/12/10
    ジャーナル フリー
     分権型の「知識創発型社会」への移行にあたり,地域が自立的な活動を生産的に展開するための情報・知識プラットフォームとして,電子文書システムの構築をどのように進めるか,が課題である.ところが,これまで自治体は,国⇒県⇒市町村とタテに繋がった官僚制原理による請負執行の体質が根強く,地域をヨコにネットワーク化し,主体的に情報・知識を生産,発信する情報政策を展開できないでいる.地域における営みは,さまざまな複合課題を発生し,これに対処するには,地域を構成する各主体が,いかにして知識資源を共有化し,活用しつつ協働を実質化できるか,が問われる.e-デモクラシー概念に実体を与えるためにも,多角関係の協働が成立するよう情報・知識の動態を制御するXMLに基づく「ドキュメント・マネジメント」のプラットフォーム構築が重要である.
解説
追悼
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