筆者らは,階層構造を有する複数縮尺のベクトル地図データを一元的に管理する方式について検討を進めてきた.ベクトル地図データを本構造として管理することで,表示する地図の縮尺に応じて必要なデータのみを容易に抽出して描画できる方式である.この提案方式は縮尺に関係なく常にすべての情報を描画する方式に比べより高速な描画が可能であり,また縮尺ごとに独立したデータをあらかじめ用意する方式に比べ総データ量を削減できる特徴を備えている.また,提案方式は,縮尺の種類が多いほど総データ量削減の面で極めて有利であり,Web通信を利用したナビゲーションシステム等に有効であると考えられる.本論文では,そのデータ構造を明らかにして提案方式についてまとめるとともに,提案方式を日本列島の海岸線データに適用し現用のハードウェア環境下での評価を行い,提案方式の特徴を明確にする.
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