本研究は,日本の大学図書館による学習支援の向上を図る情報源としてのシラバスの可能性と改善点を明らかにすることを目的とし,2022年度にシラバス調査を実施した.選定した調査対象の大学130校の内,作業途中である19大学を除く111大学に対する調査結果を報告する. シラバスシステムで「図書館」でヒットした16,462件の記述内容を確認し,図書館利用,図書館資料,利用教育等のトピックでは大体2~3割程度の記述が見られるが,パスファインダーなど授業支援ツール等への言及は1割に満たないことが判明した.シラバスは現状,大学図書館の学習支援のための情報源としては不十分であるが,項目によっては大学種別・規模別,学年別,学問領域別の傾向が見られ,利用者ニーズの把握に有益な情報源となり得るため,今後大学教育のDXを進める中で,大学図書館の視点からも改善案を提案していくべきものだと指摘できる.
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