Reproductive Immunology and Biology
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23 巻, 1 号
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  • 若山 友彦, 井関 尚一
    2009 年 23 巻 1 号 p. 1-10
    発行日: 2009年
    公開日: 2009/11/20
    ジャーナル フリー
    精子形成の調節において、内分泌因子や局所因子の役割はよく知られているが、造精細胞とセルトリ細胞間の直接の相互作用に関わる細胞接着分子も必須であることが明らかになってきた。造精細胞とセルトリ細胞間には複数種の細胞接着分子が発現し、異種分子間結合だけでなく同種分子間結合もする。マウス精巣の造精細胞に発現する新規の細胞接着分子として、CADM1/IGSF4A/SgIGSFをクローニングした。CADM1/IGSF4A/SgIGSFは、細胞外に3つの免疫グロブリン様ループ構造をもち、細胞膜を1回貫通する免疫グロブリンスーパーファミリーに属する細胞接着分子である。精巣において、CADM1/IGSF4A/SgIGSFは、造精細胞に発現するが、セルトリ細胞等の体細胞には発現しない。造精細胞の中で、CADM1/IGSF4A/SgIGSFは、精祖細胞から精母細胞と伸長精子細胞の細胞膜に発現するが、円形精子細胞や成熟精子には発現しない。セルトリ細胞の膜に存在するPVRは、造精細胞のCADM1/IGSF4A/SgIGSFと異種分子間結合を行う。CADM1/IGSF4A/SgIGSFのノックアウトマウスは、精子形成障害により雄性不妊を生じる。これらの結果は、造精細胞とセルトリ細胞間においてCADM1/IGSF4A/SgIGSFをはじめとする接着分子を介した特異的な細胞認識機構が存在し、精子形成の調節に必須の役割を果たしていることを示唆する。
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