目的 : Cross-linked polyethylene (XLPE) を用いて施行した人工股関節置換術 (THA) において, 術後スポーツ参加の有無が摩耗に影響するか否かを検討したので報告する。
方法 : 2000〜2006年に当院でXLPEを用いて施行した片側の初回セメントレスTHAにおいて, アンケート調査および摩耗計測を行った101例101股を対象とした。平均年齢60.4歳, 男性19例19股, 女性82例82股, 平均body mass index 23.6kg/m2, 平均観察期間10.3年, 機種 : Kyocera AMS (cup)/Aeonian (liner) 65股, Zimmer TM (cup)/Longevity (liner) 36股, 骨頭材質 : ジルコニア101股, 骨頭径 : 26mm 64股, 22mm 37股。単純X線画像で, 術後1年時を基準とし最終調査時の線摩耗量をPolyWare (Draftware Developers) を用い計測した。また, 摩耗に対する年齢, 性別, BMI, 経過観察期間, スポーツ参加などの影響を多変量解析した。
結果 : 術後スポーツ参加率は35%であり, 内訳はlow impact 79%, high impact 17%であった。クリープ変形は平均0.15mm/年, 定常摩耗率は平均0.004mm/年であり, 術後スポーツ参加の有無で定常摩耗率に有意差を認めず, 多変量解析でもスポーツ参加の有無やその他の因子の影響を認めなかった。High impact群とlow-intermediate impact群に有意差を認めず, 最終調査時のfocal osteolysisの発生は0関節であった。
考察 : THA後のスポーツ参加がXLPEの定常摩耗率へ影響するか否かを検討した報告は少ない。本研究では, スポーツ参加の有無, impactの程度にかかわらず, 術後平均10年におけるXLPEは極めて良好な耐摩耗性を示していた。
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