日本関節病学会誌
Online ISSN : 1884-9067
Print ISSN : 1883-2873
ISSN-L : 1883-2873
40 巻, 2 号
選択された号の論文の14件中1~14を表示しています
Editorial
原著
  • 中村 卓司, 青木 秀之, 関口 昌之, 窪田 綾子, 高松 諒, 辻 健太郎, 葛原 絢花, 高橋 寛
    2021 年 40 巻 2 号 p. 67-73
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/07/31
    ジャーナル フリー

    目的 : 後十字靱帯温存型人工膝関節置換術 (cruciate retaining total knee arthroplasty: CR TKA) において, 脛骨後方傾斜角度 (tibial posterior slope angle: TPSA) に関するコンセンサスはない。今回われわれは, femoral posterior condylar offset (PCO) に応じてTPSAを選択的に調整する術式を考案したので, 術後臨床成績を調査し, 当術式の有用性につき検討した。

    対象および方法 : 対象は内反型変形性膝関節症81関節, 平均年齢は73.2歳, 機種はストライカー社製トライアスロンであった。Measured resection法に準じanterior referenceで大腿骨々切りの後, 脛骨々切りは骨軸に垂直に行い伸展gapを作成した。大腿骨トライアル設置下で伸展, 屈曲gapを計測し, gap差を高さ, 脛骨トライアル前後径の70%の長さを底辺長とし, 逆三角関数を用いて斜辺角を算出しTPSAを決定した。算出されたTPSAは専用のデバイスで追加骨切りを行い, 屈曲gapを完成させた。検討項目として術前後のPCOおよびTPSAの変化, 術後可動域, PCL部分解離の有無などを調査した。

    結果 : PCOは0.8mm, TPSAは5.6°, 術後は術前に比しともに減少していた。またTPSAの術前後での関連性は認めなかった。術後平均屈曲角度は124.2°と良好であり, PCL解離を要した症例は1例もなかった。

    考察 : PCOに応じてTPSAを選択的に調整することでPCLのマネジメントが不要であり, 安定した臨床成績が得られていた。CR TKAを行う場合, 本術式は極めて有用な方法と思われた。

  • 青山 真吾, 赤木 將男, 墳本 一郎, 井上 紳司, 山岸 孝太郎, 森 成志, 戸川 大輔
    2021 年 40 巻 2 号 p. 74-81
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/07/31
    ジャーナル フリー

    目的 : 膝単純X線前後像の正面性評価に, 大腿骨遠位顆部における膝蓋骨の中央性が用いられている。しかし, その根拠は明らかでない。一方で, 膝正面を指示する様々な解剖学的参照軸が人工膝関節全置換術 (TKA) で用いられているが, 膝単純X線像の正面性との関係は不明である。本研究では, 解剖学的参照軸により膝関節を正面化した場合の膝CTデータデジタル再構成による擬似的膝単純X線像 (DRR) 上での膝蓋骨位置を評価した。これにより, 膝単純X線前後像の正面性に根拠を与えることができると考えた。

    方法 : 内側膝単顆置換術 (内側UKA) を施行した25膝 (OA Grade: 1〜2) のCTデータを術前計画ソフト (3Dテンプレート, 京セラ) に読み込み, 大腿骨側はWhiteside line, 臨床的上顆軸 (CEA), 外科的上顆軸 (SEA), 後顆軸 (PCA), 脛骨側はAkagi's line, PCL脛骨付着部中央と膝蓋腱付着部内縁1/3または1/2を結ぶラインを用いて膝を正面化した上で膝DRR前後像を得た。そして, 大腿骨遠位顆部中央線に対する膝蓋骨中央点の偏位距離 (patellar center offset: PCO) を計測した。また, 大腿骨遠位顆部の幅でPCOを除したcorrected PCO (cPCO), および, Ademolaらのpatellar centering ratio (PCR) を算出した。

    結果 : Whiteside line, CEA, SEA, PCAおよびAkagi lineを参照した場合には, 膝蓋骨は大腿骨遠位顆部中央線に対して外側に偏位し, 膝蓋腱付着部内縁1/3と1/2を参照した場合には内側に偏位した。PCOは, Whiteside line, CEAおよびAkagi lineで小さく, それぞれ−0.5mm±1.5, −1.2mm±2.2および−2.7mm±2.7であった。cPCOは, Whiteside line, CEAおよびAkagi's lineで小さく, それぞれ−0.7%±3.0, −1.6%±4.2, −2.4%±4.6であった。PCRは, Whiteside line, CEA, およびAkagi's lineで小さく, それぞれ−2.1%±3.5, −1.6%±7.9, −4.2%±4.8であった。

    考察および結論 : 大腿骨側ではWhiteside lineまたはCEAを参照軸とした場合, 概ね膝蓋骨は大腿骨顆部の中央に位置した。脛骨側ではAkagi's lineがWhiteside lineやCEAと似た傾向を示す参照軸であった。我々が通常正面性が良好であると考える膝単純X線前後像は, これらの解剖学的参照軸に対して並行または垂直に撮影されたものであり, 機能解剖学的な根拠があるものと考えられた。また, 膝X線写真撮影時にはCEAを皮膚上から触知して参照軸とすれば, 正面性の良い膝X線写真が得られるであろう。

  • 〜肘関節鏡視下滑膜切除術・手指関節手術〜
    中川 夏子, 上藤 淳郎, 岸本 健太, 青木 謙二, 高山 博行, 原田 俊彦
    2021 年 40 巻 2 号 p. 82-88
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/07/31
    ジャーナル フリー

    はじめに : 近年の関節リウマチ (RA) 薬物治療の進歩により, RAに伴う関節破壊も抑制され修復される可能性もあり, 整形外科手術治療戦略も変化してきている。RAタイトコントロール下での手術で, 特に上肢関節鏡視下滑膜切除術や手指関節などの手術について考察する。

    RA肘関節鏡視下滑膜切除術 : 疾患活動性が良好でも一部の関節に炎症が残存することがあり, その結果関節破壊や変形進行が生じる。肘関節滑膜炎の保存的治療無効例では, 関節鏡視下滑膜切除術を考慮する。これは関節温存や機能の観点からも重要であり, タイミングがポイントであるが, 症例によっては, ある程度関節破壊が進行しても治療オプションとなり得る。

    RA手指関節手術 : 肘関節同様, 残存手指関節炎は, 関節破壊や変形の原因になり得るため, 保存的治療抵抗例では滑膜切除術を考慮する。また炎症は沈静化していても, 関節破壊が進むこともあり, 手術的治療の適応を見極める。RA手指変形においては, 外観の問題も含め状況により手術方法を考慮し, 関節温存手術が可能であれば施行する。比較的若年者で関節破壊が進行しておらず, 変形も軽度である場合は特に関節温存手術が適応可能かを判断する。

    まとめ : 今後, タイトコントロール下のRA上肢手術の重要性が高まり, 手術内容の進化が期待される中, より積極的に行っていきたいと考える。

  • 西村 愛世, 加畑 多文, 吉谷 純哉, 楫野 良知, 井上 大輔, 大森 隆昭, 上岡 顕, 山室 裕紀, 谷中 惇, 土屋 弘行, 徳海 ...
    2021 年 40 巻 2 号 p. 89-93
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/07/31
    ジャーナル フリー

    目的 : 大腿骨転子部骨折においてshort femoral nail (SFN) の理想的な挿入位置は明らかでない。そこで3Dテンプレーティングソフトを使用しSFNの理想的な挿入位置を検討した。

    方法 : 人工股関節全置換術を施行された患者のうち, 健側が正常大腿骨である47例を対象とした。術前CTデータから大腿骨の3D骨モデルを作成し, SFNの挿入シミュレーションを施行した。SFNを近位髄腔中心に挿入する群 (中心群) と可能な限り前方から挿入する群 (前方群) でSFNの大転子での挿入位置, 頚部でのラグスクリュー (LS) の通過位置, 頚部後方からLSの距離, LSの逸脱の有無を比較した。

    結果 : SFNの大転子での挿入位置は中心群, 前方群でそれぞれ後方から平均33.2%, 47.7%であり, LSの頚部での通過位置は後方から平均31.2%, 49.2%と中心群で有意に後方であった (P<0.001)。頚部後方からLSまでの最近接距離は平均3.5mm, 6.1mmで前方群で有意に大きかった。LSが頚部皮質骨と干渉する症例が中心群で4例存在した。

    考察 : 髄腔中心にSFNを挿入した場合LSは頚部後方を通過する。そのため大転子前方からSFNを挿入した方が良いが, 髄腔形状から前方挿入には限界がある。

    結語 : LSを可能な限り頚部と骨頭の中心を通るように挿入するための理想的なSFNの挿入位置はほぼ大転子中央である。

  • 加茂 健太, 城戸 秀彦, 城戸 聡, 森本 辰紀, 竹内 龍平, 河野 通仁
    2021 年 40 巻 2 号 p. 94-98
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/07/31
    ジャーナル フリー

    はじめに : 人工骨頭置換術の手術のアプローチ法は, 前方, 上方と後方に分けられる。肩関節においても, 筋温存する試みがされ, 上方アプローチ (Anterosuperior Approach, Superior approach: SAとPosterosuperior approach) などが報告されている。

    目的 : 当院では, SAを用いて, 上腕人工骨頭置換術 (HHR) を施行しており, SA-HHRの特徴を明らかにすることを目的とした。

    方法 : 2018年6月から2019年12月の間に施行されたHHRを対象とした。関節リウマチ (RA) 患者3例, 上腕骨頭脆弱性骨折 (SIF) 2例 (1名), 変形性肩関節症 (OA) 1例の6例を関節症群とした。上腕骨筋位端骨折5例を骨折群とし, 合計11例を後ろ向きに調査した。関節症群は座位での術後肩関節自動屈曲・外転角度を調査した。

    結果 : 関節症群の手術時平均年齢64.5歳, 女性6名だった。SIFの1例は棘上筋が温存された。OAの1例は, 棘上筋が菲薄化し, 筋間が不明瞭であったため, 棘上筋を縦切開した。RAの2例は, 棘上筋が断裂しており, CTA headを使用した。RAとSIFの2例は, 棘上筋を一部切離し, 非吸収性人工靱帯で縫合した。平均手術時間は73.2分 (64〜86分), 平均術中出血は163g (0〜285g) だった。最終フォロー時 (平均術後22週) の平均屈曲角度122.5度, 外転角度は116度だった。骨折群の手術時平均年齢75.4歳, 女性4名だった。平均手術時間は85.8分 (63〜101分), 平均術中出血は169g (115〜210g) だった。

    結論 : 棘上筋断裂例, 大結節骨折転位例では, 棘上筋が切離されている状態なので, SA-HHRは, 特に有用と考えられる。棘上筋が断裂していない症例では, 棘上筋の部分切離を要す場合がある。

  • 軽辺 朋子, 秋山 唯, 三井 寛之, 平野 貴章, 仁木 久照
    2021 年 40 巻 2 号 p. 99-103
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/07/31
    ジャーナル フリー

    目的 : 外反母趾 (HV) 手術を行った症例の術前後の趾節間外反母趾角 (HVI角), 外反母趾角 (HV角) を計測して後ろ向きに研究し, Lapidus変法にAkin法の追加が必要か否かを術前HVI角から判断できるか検討した。

    方法 : 対象は2013年4月から2019年5月までにLapidus変法を施行された女性患者50例62足。術前と術後1年の荷重時単純X線でHVI角とHV角を計測した。HVI角の正常は13.8°と報告されており術後HVI角が13.8°以下をNormal (N群), 13.9°以上をValgus群 (V群) とし, 2群間を比較した。統計学的手法はt検定 (P<0.05) を用いた。

    結果 : 手術時平均年齢は64.5±7.4歳, N群は55例, V群は7例。2群ともHV角は有意に改善していた。術後平均HVI角は, N群が8.3°, V群が16.3°であった。後ろ向きに術前のHVI角を計測すると, N群は平均10.2°, V群は9.0°であり, 両群の術前HVI角に有意差はなかった (P=0.70)。

    考察 : HV手術において, 外見の問題や術後再発の予防のためAkin法が有用との報告が散見される。V群は術後に趾節間外反母趾を呈しておりAkin法を追加しておく必要があったと考えられる。しかしV群の術前HVI角はN群と有意差を認めなかったことから, 重度HVでは基節骨が過度に回内している症例もあるため術前のHVI角を単純X線足部荷重時背底像で正確に評価することは困難であり, これのみではAkin法を追加する必要性は予測できないと考えた。

  • 長嶺 隆二, 川崎 展, 勝呂 徹
    2021 年 40 巻 2 号 p. 104-109
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/07/31
    ジャーナル フリー

    目的 : 大腿骨の矢状面において, 遠位骨幹・骨幹端・骨端の矢状面アライメントを計測し, その意義を検討した。

    対象と方法 : TKA前182膝の膝側面像において, 骨端の矢状面角度を示す指標として, Blumensaat線 (Line B) と, 骨端最前方点と最後方点を結んだ線 (Line E) の2つの線を設定した。遠位骨幹前方皮質 (Line D) に対する骨幹端前方皮質 (Line M) のなす角度Angle M, Line Mに対するLine Bのなす角Angle B, Line Mに対するLine Eのなす角Angle Eを計測した。

    結果 : Ange M, Angle B, Angle Eの平均は, それぞれ, 3.2度, 32.5度, 94.8度であり, Angle Mに対するAngle BとAngle Eの相関係数は, 0.33と0.26であった。Angle Mは年齢と正の, 身長・体重と負の相関を示した。高齢になるほど, 遠位骨幹に対して骨幹端は屈曲し, 逆に骨端は骨幹端に対して伸展した。

    考察 : 加齢とともに骨幹に対して骨幹端は屈曲していくが, 骨端関節面は脛骨関節面と適合を保つために伸展し, 矢状面アライメントを保っていると考えられた。

    結論 : 大腿骨矢状面において, 遠位骨幹・骨幹端・骨端の矢状面アライメントは年齢とともに変化する。

  • 大澤 郁介, 関 泰輔, 竹上 靖彦, 牧田 和也, 落合 聡史
    2021 年 40 巻 2 号 p. 110-115
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/07/31
    ジャーナル フリー

    目的 : 偏心性寛骨臼回転骨切り術 (以下ERAO) 後のスポーツ復帰率と復帰に影響を与える因子を調査した。

    対象及び方法 : 1990年から2010年にERAO施行した503例の中, 術前から継続的にスポーツ参加していた124例 (術後平均13.2年) を対象とした。ERAO後に術前と同等のスポーツに参加したと答えたS群と術後参加できていないと答えたN群で評価した。調査項目は性別 (男性or女性), 年齢 (<30歳or 30歳≧), body mass index (BMI) (<25kg/m2 or≧25kg/m2), 片側or両側手術例, 術前のKellgren and Lawrence (以下KL) 分類, 関節適合性 (excellent & good or fair & poor), 小児期発育性股関節形成不全の治療歴の有無, 術前のcenter edge (以下CE) 角 (≧0度or 0度>), 術後のCE角 (≧25度or 25度>), スポーツ種目, スポーツ強度, 日本整形外科学会股関節機能判定基準 (以下JOAスコア) (術前, 術後2年, 最終調査時), 術後合併症, KL分類のgrade進行をエンドポイントとした生存率を2群で比較した。P<0.05の変数をlogistic regression analysisにより復帰阻害因子を同定した。

    結果 : S群72例 (58%), N群は52例 (42%) で全体のスポーツ復帰率は64%であった。術後に多く参加していたスポーツは水泳14例 (11%), ゴルフ8例 (6%), ジョギング8例 (6%) であった。患者因子は術前CE角0度未満のみ両群で有意差を認めた。術前, 術後2年, 最終調査時のJOAスコア及び合併症は両群で有意差を認めなかった。KL分類のGrade進行をendpointとした10年及び20年の関節生存率はS群が98.3%, 75.6%に対してN群は96.8%, 67.1%で有意差は認めなかった。Logistic regression analysisによるスポーツ復帰に影響する因子の評価では術前CE角0度未満のみ有意な因子 (オッズ比3.42, 95%IC 1.58〜7.42, P<0.01) として抽出された。

    結論 : ERAO後のスポーツ復帰率は69%でスポーツ継続はその後の股関節症の進行には影響しなかった。術後のスポーツ復帰に影響を与える因子は術前CE角が0度未満であった。

  • Hirotsugu OHASHI, Koichi KINOSHITA, Katsufumi UCHIYAMA, Hironori KANEK ...
    2021 年 40 巻 2 号 p. 116-126
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/07/31
    ジャーナル フリー

    Introduction: To reduce the risk of oxidation without sacrificing the strength or wear properties of the polymer, vitamin E-diffused highly cross-linked polyethylene (HXLPE) was introduced. For the countersurface of the articulation couple, zirconia toughened alumina (ZTA) was invented to overcome the brittleness of alumina ceramic. The aim of this study was to compare the wear properties and the clinical outcomes of ZTA ceramic femoral head (Delta) on vitamin E diffused HXLPE liner with those of cobalt-chrome (CoCr) head for the Japanese female patients with a diagnosis of unilateral dysplastic coxarthritis.

    Patients and methods: A total of 144 patients consented to participate in this blinded randomized controlled study in four Japanese hospitals. Finally, 65 patients in the CoCr group and 63 patients in the Delta group were included in the analysis. The center of the femoral head in the acetabular shell was measured within six weeks after the operation, at 1, 2 and 3 years using the Martell Hip Analysis Suite. Clinical outcomes were evaluated using Harris Hip Score (HHS), Western Ontario and McMaster University Osteoarthritis Index (WOMAC), UCLA Activity Score.

    Results: The total femoral head penetration at three years was −0.02mm (IQR: −0.32, 0.29) in CoCr group, and 0.12mm (IQR: −0.32, 0.64) in Delta group. There was no difference between the two groups in terms of HHS, WOMAC, UCLA Activity Score.

    Conclusions: The short-term wear of vitamin E diffused HXLPE with ZTA ceramic ball was similar to that with CoCr ball. Following the results of clinical outcomes, an advantage of ZTA ceramic ball on vitamin E diffused HXLPE was not recognized at three years postoperatively.

  • 加茂 健太, 城戸 秀彦, 城戸 聡, 森本 辰紀, 竹内 龍平, 河野 通仁
    2021 年 40 巻 2 号 p. 127-133
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/07/31
    ジャーナル フリー

    Introduction: A superior approach (SA) for the hip joint differs from other approaches on not taking over the range leg position. We investigated the rate of preservation of the short rotator muscles, intraoperative fractures (IOFs), and postoperative dislocations among patients who underwent hip arthroplasty using the SA. Additionally, we investigated factors associated with muscle-preserving total hip arthroplasty (THA).

    Methods: The study included patients who underwent hip hemi-arthroplasty and THA using the SA between January 2016 and December 2019. We analyzed patient records to confirm IOFs and preservation vs. resection of the short rotator muscles. We recorded the postoperative dislocation rates until February 2020. We evaluated preoperative plain radiographs to measure the distance between the lesser trochanter and the ischium. Logistic regression analysis was used to analyze the factors associated with short rotator muscle preservation.

    Results: Hip hemi-arthroplasty for femoral neck fractures was performed in 138 patients. The mean operation time was 64min. The mean intraoperative blood loss was 143g. IOFs occurred in 2 (1.4%) patients, and no dislocation occurred during follow-up. Primary THA was performed in 70 patients. The mean operation time was 108min. The mean intraoperative blood loss was 406g. The rate of short rotator muscle preservation was 65.7%. No IOFs were observed, and 2 (2.9%) patients developed dislocation during follow-up. Both patients with dislocations reported a history of rheumatoid arthritis, and dislocations were attributed to falls. Female sex (odds ratio [OR] 5.73, 95% confidence interval [CI] 1.26-26.0, p<0.05) and greater distance between the lesser trochanter and the ischium (OR 1.14, 95%CI 1.04-1.25, p<0.01) were associated with short rotator muscle preservation.

    Conclusion: In all of the HAs and forty-six (65.7%) THAs, the piriformis and conjoint tendons were preserved. SA-HA would lead to lower rate of IOFs and postoperative dislocations.

総説
  • 〜寛解後も残存する痛みを修飾する因子と愁訴の関係性を中心に〜
    島原 範芳, 中野 正規, 内山 裕貴, 上甲 雄太郎, 西岡 直哉, 西岡 沙央理, 祖川 稔史, 赤松 和紀, 佐藤 信治, 田中 由紀 ...
    2021 年 40 巻 2 号 p. 134-140
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/07/31
    ジャーナル フリー

     生物学的製剤 (biological DMARDs: b-DMARDs) により関節リウマチ (rheumatoid arthritis: RA) は寛解が現実的な治療目標となったが, 痛みに対する愁訴が残る患者は存在する。

     そのような症例については破局的思考などの心理情動的問題の影響が報告されており, 当院を含めた多施設研究データの解析でも, 愁訴に影響を及ぼす心理情動的問題は, 主症状である疾患活動性や疼痛強度との関連性が低いことがわかっている。さらに, 罹病期間や年齢といった要因とも関連が低い傾向を示した。一見, 理解しがたいこの病状こそがRA患者の痛みに対する愁訴に対する理解や解釈を難しくしている要因である。

     b-DMARDs主流時代, 痛み自体が日常生活機能を制限することは少なくなってきているが, 何らかの身体機能障害や身体活動量の低下といった身体機能因子による問題は存在し, そこには寛解, 低疾患活動性下にも僅かに残存する痛みが介在している。本稿では, 残存する痛みと機能障害, 精神心理的因子, そして生活の質との関連性を論じつつ, b-DMARDs主流時代のRA患者の痛みに対するリハビリテーション医学・医療の在り方について理学療法士の立場から論述する。

症例報告
feedback
Top