北部九州地方のよく熟成した異なるぬか床から分離された乳酸菌,Chizuka ,Yasaka 5B ,7B ,8B ,9Bについて,バクテリオシン生産能を検討し,その精製を行った。その結果,これら5株はバクテリオシン様の抗菌物質を生産することが明らかとなった。さらに,それらの物質の諸性質は,福岡市の家庭から分離された
Lactococcus lactis IO-1が生産するナイシンZと極めてよく一致していた。すなわち,これらのバクテリオシンは,同じ抗菌スペクトルを示し,互いの菌の生育を阻害せず,種々のタンパク質分解酵素に対する感受性および生育阻害様式が同じであり,また,逆相クロマトグラフィーでの活性ピークの保持時間と紫外吸収スペクトルも同じであった。以上の結果から,これらの菌株が
Lc.lactisIO-1と同じ生化学的,遺伝学的性質を示すことも考え合わせると,Chizuka,Yasaka 5B,7B,8B,9BはナイシンZ生産菌であり,事実上,
Lc. lactisIO-1と同一の菌株であると考えられた。
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