我々の身の回りの環境からは多くの変異原物質が発見され、我々は日々遺伝子変異の危険性に曝されている。このことから抗変異原性を持つものの重要性が高まり、乳酸菌にもその可能性が期待されている。乳酸菌の保健機能の一つである抗変異原性のメカニズム解明を目指して、本研究では乳酸菌の変異原物質吸着部位を検証した。供試菌株は植物質発酵食品から分離された
Lactobacillus plantarum SNJ81,
Lb. fermentum SNA41,
Lb. parabuchneri SNC91,
Lb. delbrueckii subsp.
delbrueckii SNK64,
Leuconostoc mesenteroides subsp.
mesenteroides 10D-2 を用いた。使用した変異原物質はヘテロサイクリックアミンの中からPhIP, MeIQx, MeIQ, Trp-P-1 を用いた。PhIP, MeIQx, MeIQ においては細胞壁画分が最も高い吸着活性を示した。このことからこれらの変異原物質の吸着には細胞壁が重要であることが明らかとなった。Trp-P-1 においてはペプチドグリカン画分でも高い吸着活性を示し、リゾチームによってペプチドグリカンを破壊すると吸着活性はほとんど無くなった。このことからTrp-P-1 の吸着には細胞壁中のペプチドグリカンが重要であることが明らかとなった。乳酸菌の細胞壁成分のうち、吸着に関与する成分は変異原物質の種類によって異なることを明らかにした。
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