日本乳酸菌学会誌
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24 巻, 1 号
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総説
  • 清水(肖) 金忠*, 小田巻 俊孝, 米澤 寿美子, 堀米 綾子
    2013 年 24 巻 1 号 p. 3-9
    発行日: 2013/03/15
    公開日: 2015/05/21
    ジャーナル フリー
    発酵乳製品におけるビフィズス菌の利用にはまだ多くの課題が残されている。本研究では、ビフィズス菌をLactococcus lactis 菌株と混合発酵することにより、ビフィズス菌の増殖が著しく促進され、冷蔵保存中での生残性も大幅に改善することを見出し、高菌数・高生残性を有するビフィズス菌含有発酵乳の製造技術を確立させた。その作用機序として、L.lactis 菌株は、保有する細胞壁結合性タンパク質分解酵素(PrtP)により産生されたペプチドやアミノ酸をビフィズス菌に提供していること、ならびに冷蔵保存中に溶存酸素を効率よく消去しビフィズス菌を酸化反応から守っていることを明らかにした。Bifidobacterium longum BB536 を中心に取組んだ結果として確立された高生残性BB536 を含有する発酵乳の製造技術およびその作用機序を紹介する。
  • 牧野 聖也*, 池上 秀二
    2013 年 24 巻 1 号 p. 10-17
    発行日: 2013/03/15
    公開日: 2015/05/21
    ジャーナル フリー
    ヨーグルトはメチニコフ博士の「ヨーグルト不老長寿説」から約100 年たった現在、日本においても健康に良い食品として定着している。よく知られている効果は整腸効果であるが、近年免疫力に与える効果についても注目を集めている。これまで我々は免疫力を高めるヨーグルトの開発を目指し、乳酸菌が産生する菌体外多糖の免疫賦活作用に着目して研究を進めてきた。本稿では、Lactobacillus delbrueckii ssp. bulgaricus OLL1073R-1(1073R-1 乳酸菌)が産生する菌体外多糖や1073R-1 乳酸菌で発酵したヨーグルトの免疫賦活作用、感染防御効果について概説するとともに、ヨーグルト中での1073R-1 乳酸菌の菌体外多糖産生量に培養条件が与える影響についても紹介する。
  • ―腸内ポリアミン濃度コントロールによる寿命伸長効果―
    松本 光晴
    2013 年 24 巻 1 号 p. 18-25
    発行日: 2013/03/15
    公開日: 2015/05/21
    ジャーナル フリー
    腸内常在菌の代謝産物の研究は少ない。我々は、数多く存在する腸内常在菌の代謝産物の中から、細胞の増殖や分化に関与し、非常に多岐に渡る機能を有するポリアミン(PA)に着目してきた。特に、PA の有する①抗炎症作用、②核酸安定化作用、③腸管バリア機能の充実化作用、④オートファジー促進作用、は健康と疾病に密接に関与している。腸管内PA 濃度を上昇させるBifidobacterium animalis subsp. lactis LKM512 を10 ヶ月齢マウスに週3 回、約1 年間LKM512 を投与した結果、腸内PA 濃度の上昇と共に寿命伸長効果が得られた。演者らが知る限り、カロリー制限無しでの哺乳類に対する寿命伸長効果が得られた食品成分は、レスベラトロールに次ぐ報告であり重要な知見である。本稿では、この効果の詳細を解説すると共に、今後の腸内常在菌の代謝産物の研究にとって強力なツールとなると考えられるキャピラリー電気泳動と飛行時間型質量分析装置(CE-TOF MS)によるメタボロミクス解析について紹介する。
  • 玉木 秀幸
    2013 年 24 巻 1 号 p. 26-33
    発行日: 2013/03/15
    公開日: 2015/05/21
    ジャーナル フリー
    「遺伝子の配列を読む」…その技術は今世紀に入り革命的な進化を遂げている。今や、1台のシークエンサーを使用して、わずか1日で、ヒトゲノムの10-100 倍以上の塩基配列を決定できるようになっている。今世紀に入り、こうした次世代シークエンサーを活用して環境中の培養の困難な微生物の機能を明らかにしようとする環境ゲノム情報解析研究が、欧米を中心に盛んに行われてきている。一方で、コッホ、パスツールの時代から100 年以上にわたって行われてきた、「未知なる微生物を分離培養してその深遠な生物機能を探る」…という未知微生物探索研究はどのような進展を遂げてきたのであろうか。本稿では、この大量シークエンス情報解析の時代の中で、古典的、時代遅れと見なされがちな未知微生物探索研究の現状と課題を概観しつつ、今後の展望とその可能性について論じたい。
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