ヨーグルト発酵のスターターとして長い歴史を持つ
Lactobacillus bulgaricus と
Streptococcus thermophilus は、代謝物質の交換をすることで単菌よりも著しく発酵が速くなる共生関係にある。ミルクという栄養豊富な培地で長期間共生してきたために、乳糖資化に特化し、アミノ酸合成遺伝子の不活化や代謝経路の共有等が生じた結果、ゲノムが縮小するという進化を起こしている。ここでは、ゲノム解読やポストゲノム研究から明らかになった共生に関する知見について紹介する。両菌は「あたかも1つの菌」のように振る舞うことでより速い発酵を可能にしてきたが、その共生因子として「ミルク中の溶存酸素消費」はこれまで注目されてこなかった。我々は
S. thermophilus のNADH oxidase が主に溶存酸素消費を担っており、ヨーグルト発酵に普遍的で重要な共生因子であることを見出したので、それについても紹介する。
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