植物由来乳酸菌の胃酸耐性機構を明らかにすることを目的に、植物由来胃酸耐性乳酸菌
Lactobacillus plantarum FSCM2-12、 NBRC 109604、 NBRC 101975、及び胃酸感受性乳酸菌
Lactobacillus brevis FSCT-2 を用いて、その胃酸耐性と形態学的特徴との関係を調べた。
L. plantarum FSCM2-12 の人工胃液耐性試験において、炭素源としてグルコース、フルクトースまたはスクロースを添加した培地では、平均生残率が 70% 以上であったが、グリセロールを添加した培地や炭素源を加えない培地では、著しく生残率が低下した。
L. plantarum FSCM2-12 のバイオフィルム形成は観察されなかったが、 Hiss 染色により莢膜陽性で、透過型電子顕微鏡観察でも明瞭な莢膜が観察できた。さらに、莢膜の厚さと胃酸耐性との間には顕著な正の相関が見られ、グルコース、フルクトース、スクロースを炭素源とした場合において、厚い莢膜を形成し、 70% 以上の平均生残率を示した。
L. plantarum NBRC 109604 と
L. plantarum NBRC 101975 においても、
L. plantarum FSCM2-12 と同様に高い胃酸耐性と厚い莢膜が観察されたことから、厚い莢膜を形成したことが、高い生残率の要因と考えられた。
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