腸内菌叢の形成過程とその異常は、乳幼児期だけでなく成長後の健康や疾病リスクに影響を及ぼす。腸内菌叢は様々な代謝産物を産生しているが、有機酸は、菌叢と宿主の関係を媒介する重要な代謝物として注目されている。本総説では、乳幼児期の腸内菌叢形成と有機酸プロファイルを詳細に調べた我々の研究を紹介し、有機酸産生に中心的な役割を果たす系統群とその代謝経路、およびそれに影響を与える環境因子について述べる。
我々はよく、「同じ目的のプログラムが多く存在し、どれを使えばいいのかよくわからない。」という感想を聞く。考えられる理由としては、多様な評価基準が挙げられる。例えば、同程度以下の性能であっても、従来法よりも高速であれば存在意義が認められる。また、同一群内の反復数が多い(または少ない)といった特定の条件下で効果的な発現変動解析手法もおそらく存在する。しかしながら、本当の意味で存在意義が疑われる手法も現実には存在する。おそらくこれは、比較対象が代表的な手法に偏っているためである。本稿では、なぜ疑わしい手法が存在しうるのかについて、RNA-seq 発現変動解析分野を例として筆者らの経験を交えて解説する。
2020 年より続くコロナ禍の影響により、我々のバイオインフォマティクス(以下、バイオインフォ)教育の枠組みも大きな変革を強いられた。2020 年以降はオンライン講義が当たり前となり、2019 年まで売りにしていた「1人1台のノートPC を用いた講義」という特徴が消滅しただけでなく、多様なPC 環境に起因する様々な困難に直面した。2021 年は、チームコミュニケーションツールである Slack の併用によって「過去になされた質問とその顛末」の共有が可能となり、一定の省力化がなされた。また、コロナ禍とは無関係に、Python プログラミングに特化した講義の実施や、実験技術の進展に合わせた内容の更新にも取り組んでいる。本稿では、アグリバイオインフォマティクス教育研究プログラム(以下、アグリバイオ)のこれまでの取り組み、オンライン講義のメリット、そしてバイオインフォ教育の今後について述べる。
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