本論文では,『中国分類主題詞表』の成立過程とその特徴を文献的に調査することによって,中国における分類件名一体化研究の理論的・実際的背景や現存する問題点,今後の方向を明らかにすることを目的とした。調査の結果,中国における分類件名一体化研究の理論的背景には,西洋の分類理論,特に,AitchisonのThesaurofacetの影響が大きいことが明らかとなった。また,『中国図書館分類法』と『漢語主題詞表』が存在し,広く中国で使用されていること,両者の語彙の対応比率が良いことなどの理由で,あらたな分類件名一体化ツールを作成するのではなく,両者を結合する道を選択したことが実際的背景として明らかとなった。『中国図書館分類法』と『漢語主題詞表』を結合することによって,それぞれの欠点を補うことができた。しかし,その一方で,両者の性質の違いから来る問題点や,ネットワーク情報資源への対応の問題などの課題が残されている。
抄録全体を表示