日本図書館情報学会誌
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55 巻, 3 号
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論文
  • 海野 敏, 影浦 峡, 戸田 愼一
    原稿種別: 論文
    2009 年 55 巻 3 号 p. 119-140
    発行日: 2009/09/30
    公開日: 2017/05/04
    ジャーナル オープンアクセス
    コミュニケーションメディア(以下「メディア」)を通念的なメディアイメージに囚われることなく情報伝達性能の観点から体系的に比較するために,伝達方法の形式に関して14項目,伝達内容の形式に関して4項目,計18項目からなる「メディア比較汎用項目リスト」を創出した。次に,現代日本のメディア環境を分析するために,汎用項目リストの18項目について21種類のメディアを比較してカテゴリカルデータを作成し,これを用いてクラスター分析によるメディアの階層分類と,非計量多次元尺度構成法によるメディア配置の視覚化を行った。その結果,現代日本におけるメディア相互の関係と配置を系統的に把握することができ,作成した汎用項目リストが有用であることがわかった。
  • 松林 麻実子, 歳森 敦, 永田 治樹
    原稿種別: 論文
    2009 年 55 巻 3 号 p. 141-154
    発行日: 2009/09/30
    公開日: 2017/05/04
    ジャーナル オープンアクセス
    本稿では,これまで研究対象とされてこなかった大学以外の研究機関に所属する研究者に焦点を当てて実施したメディア利用実態調査の結果を報告する。調査の目的は,1)大学以外の研究機関に所属する研究者の情報行動様式や意識を明らかにすることで,大学所属研究者のそれと同一であるかどうかを検証すること,2)利用者の利用実態や意識という観点から情報提供機関に対する評価を試みること,である。ライフサイエンス領域の研究者で国公立研究所もしくは企業に所属する者を対象とし,2005年3〜4月に郵送調査,2008年3月にインターネット調査を実施した。結果として,大学以外の研究機関に所属する研究者は大学所属研究者と比較して,研究活動において必要とするメディアが分散する傾向にあるが,学術雑誌の利用が最も多いという意味では変わらなかった。加えて,研究者の情報入手に対する評価は勤務先の資料提供環境(特に職員の有無)によって変化することが示された。
  • 前田 知子
    原稿種別: 論文
    2009 年 55 巻 3 号 p. 155-171
    発行日: 2009/09/30
    公開日: 2017/05/04
    ジャーナル オープンアクセス
    日本におけるこれまでの科学技術情報政策の実施状況等を現在の視点から捉え直し,今後の政策のあり方を見出すことを目指した研究の第一段階として,本論文は,科学技術振興に関する政府の基本的な政策文書に記載された科学技術情報に対する課題認識の変遷を明らかにすることを目的とする。取り上げた政策文書は,1960〜2006年に公開された,科学技術会議の総合答申及び科学技術情報をテーマとした答申,第1期〜3期の科学技術基本計画の計12である。これらの検討には,科学技術情報の伝達モデルを踏まえて新たに作成した分析視点「科学技術情報流通の構成要素」を一貫して適用する方法を採用し,各文書の中で,どの「構成要素」が課題として認識されているかを特定した。課題認識の変遷は文書の答申時期により3グループに分けることができ,情報へのアクセス手段と情報メディアが電子化されて行く時代区分によって説明できることが明らかになった。
  • 安藤 友張
    原稿種別: 論文
    2009 年 55 巻 3 号 p. 172-194
    発行日: 2009/09/30
    公開日: 2017/05/04
    ジャーナル オープンアクセス
    本論文では,1950年代から60年代にかけて,日本の公立学校に専任司書教諭を配置した4つの地方自治体,すなわち愛知県,高知県,東京都,沖縄県(占領期)の学校図書館施策を考察した。研究方法としては,文献調査のみならず,当時の学校図書館関係者に対するインタビュー調査も実施しながら,検討した。当時の各地方自治体の専任司書教諭の配置施策は,その特徴において多様性が見られた。同時に,高知県の公立小学校・中学校を除いて,専任司書教諭と学校司書の二職種併置という共通点があった。東京都の事例が示したように,当時の文部省は,地方自治体独自の専任司書教諭の配置施策に対して積極的な評価をしなかった。また,同施策は校内の教員集団における「同僚性」の形成を阻害するという一面もみられた。
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