本論文では,1950年代から60年代にかけて,日本の公立学校に専任司書教諭を配置した4つの地方自治体,すなわち愛知県,高知県,東京都,沖縄県(占領期)の学校図書館施策を考察した。研究方法としては,文献調査のみならず,当時の学校図書館関係者に対するインタビュー調査も実施しながら,検討した。当時の各地方自治体の専任司書教諭の配置施策は,その特徴において多様性が見られた。同時に,高知県の公立小学校・中学校を除いて,専任司書教諭と学校司書の二職種併置という共通点があった。東京都の事例が示したように,当時の文部省は,地方自治体独自の専任司書教諭の配置施策に対して積極的な評価をしなかった。また,同施策は校内の教員集団における「同僚性」の形成を阻害するという一面もみられた。
抄録全体を表示