本研究では,公共図書館における利用者の情報探索行動を説明できるような概念と理論を導くことを目的とした。そこで公共図書館5館において,利用者への半構造化インタビューを行い,得られたデータを修正版グラウンデッド・セオリー・アプローチにより分析した。その結果,35の概念が導かれ,それらの概念は7つのカテゴリに整理された。7つのカテゴリとは,"知りたい/読みたい気持ちの蓄積","図書館での探索に対する認識","探索にあたっての気分","物理的な条件","探索の実行","情報/資料の入手","探索結果に対して抱くもの"である。さらに,"知りたい/読みたい気持ちの蓄積"が"探索の実行"の直接の要因になり,"図書館での探索に対する認識"が個人の"探索の実行"のあり方に影響を与え,探索の結果,"情報/資料の入手"が起こり,"探索結果に対して抱くもの"が表れるといった,カテゴリ間の関係も明らかになった。
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