日本図書館情報学会誌
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67 巻, 2 号
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論文
  • 辻 慶太, 遠藤 諭, 水沼 友宏
    原稿種別: 論  文
    2021 年 67 巻 2 号 p. 69-86
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/06/30
    ジャーナル フリー

     本研究では,カーリルの検索記録,国立国会図書館オンライン,公立図書館のOPAC, CiNii Books 等を用いて,以下の4 種類の図書が存在することを示した。即ち,(1)国立国会図書館(及び大学図書館)が所蔵しておらず,公立図書館が所蔵している図書,(2)それらのうち公立図書館が除籍してしまった図書,(3)その結果,国立国会図書館(以下, NDL)も大学図書館も公立図書館も所蔵しなくなってしまった図書,(4)そうした状態に陥る危機にある,NDL も大学図書館も所蔵しておらず,公立図書館1 館だけが所蔵している図書,の4 種類である。さらに,つくば市立図書館の除籍図書リストを用いて,同館も NDL が所蔵していない図書を除籍したことを示した。本研究では,公立図書館による共同・ 分担保存の例は少ないことを示した上で,NDL が所蔵していない図書を公立図書館が除籍する時は,NDL に寄贈することを提案した。

  • 土屋 深優
    原稿種別: 論  文
    2021 年 67 巻 2 号 p. 87-103
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/06/30
    ジャーナル フリー

     本研究の目的は,社会的包摂の視点からコミュニティ図書館の意義と取り組みを明らかにすることである。研究方法として文献調査とロンドンのコミュニティ図書館6 館の運営責任者へのインタビュー調査を用い,社会的包摂の視点から考察を行った。調査の結果,コミュニティ図書館には社会的包摂概念が十分に浸透していることが明らかとなった。コミュニティ図書館は地域の閉館した図書館を維持することで,住民の情報,娯楽,文化へのアクセスを保障しており,具体的な取り組みとして,図書館を「場」とした人々の交流を促進し,孤立感の緩和に取り組んでいる。更に,従来は主に「包摂に取り組む側」として捉えられていたボランティア職員を,運営責任者は「包摂する側であり,される側である」と位置付けていた。それゆえコミュニティ図書館ではボランティア職員のスキルやコミュニケーション能力の向上,就労支援に意識的に取り組んでいることが明らかとなった。

研究ノート
  • 谷口 祥一
    原稿種別: 研究ノート
    2021 年 67 巻 2 号 p. 104-115
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/06/30
    ジャーナル フリー

     日本目録規則2018 年版(NCR2018)における語彙をRDF による定義とするために,4 つのレイアから構成されるフレームワークを提示し,それぞれに沿った語彙定義を示した。 4 つのレイアとは,1)実体関連モデルによって表現された概念モデルをそのままRDF 定義に移行し表現したもの,2)属性および関連のエレメント等に対するNCR による「記録の方法」の指示に依拠したときのRDF 定義,3)関連指示子をNCR による「記録の方法」の指示に依拠して構成し記録するとしたときのRDF 定義,そして4)先のレイアに属さないメタデータの構成およびエレメント値の記録において,値を構造化して表現し,より豊かな情報として記録できるようにした定義からなる。個々のレイアに沿ったそれぞれの NCR2018 語彙定義を検討し示した。こうしたフレームワークによって,利用目的の選択に従い,適切に語彙定義を導くことができる点を明らかにした。

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