日本の公共図書館は小説を多数所蔵するが,その主題組織化は十分でなく,典拠資料による回答原則のレファレンスサービスでは対応が難しい。一方,図書館法では,資料の利用の相談に応ずることが求められている。図書館は,人々が読書材として小説を探す行為をどのように媒介できるのか。本稿の目的は,(1)人々が小説を探す質問の構成要素を列挙し,質問の種類を記述すること,(2)小説を探す質問に図書館のレファレンスサービスで回答できる範囲を明らかにすることの2点である。研究方法は,『WEB本の雑誌』の読書相談室に寄せられた小説を探す質問約1,500件の分析による。結果として,質問の構成要素には作品側・読者側合わせて5種類が認められた。また小説を探す質問の特徴は3点あった。小説を探す質問の多くは,レファレンス質問の4類型のうち文献紹介に相当するが,その特徴から,いずれも客観的な原則による回答が難しいと考えられる。
抄録全体を表示