日本図書館情報学会誌
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論文
  • 福永 智子
    原稿種別: 論文
    2026 年72 巻1 号 p. 1-18
    発行日: 2026年
    公開日: 2026/02/28
    ジャーナル オープンアクセス

     日本の公共図書館は小説を多数所蔵するが,その主題組織化は十分でなく,典拠資料による回答原則のレファレンスサービスでは対応が難しい。一方,図書館法では,資料の利用の相談に応ずることが求められている。図書館は,人々が読書材として小説を探す行為をどのように媒介できるのか。本稿の目的は,(1)人々が小説を探す質問の構成要素を列挙し,質問の種類を記述すること,(2)小説を探す質問に図書館のレファレンスサービスで回答できる範囲を明らかにすることの2点である。研究方法は,『WEB本の雑誌』の読書相談室に寄せられた小説を探す質問約1,500件の分析による。結果として,質問の構成要素には作品側・読者側合わせて5種類が認められた。また小説を探す質問の特徴は3点あった。小説を探す質問の多くは,レファレンス質問の4類型のうち文献紹介に相当するが,その特徴から,いずれも客観的な原則による回答が難しいと考えられる。

  • 高橋 菜奈子, 藤村 聡, 真家 美咲, 名倉 早都季, 山崎 裕子, 浅石 卓真
    原稿種別: 論文
    2026 年72 巻1 号 p. 19-36
    発行日: 2026年
    公開日: 2026/02/28
    ジャーナル オープンアクセス

     本研究は,VR図書館内のブラウジング行動を視線データに基づいて探索的に分析したものである。被験者25名に対し,構成の異なる5種の3D書架環境を用い,注視位置や注視時間を計測し,質問紙調査を行った。結果,現実と同様に上段への注視が長い傾向がある一方,VR環境では下段にも比較的注視が向けられやすく,特に面陳表示によって注視が誘導される効果が確認された。超高書架・円柱型のVR特有の書架では,満遍なく書架が注視されるとは限らず,評価が分かれた。読みたい図書の選択には,書架上の位置のほか,背表紙の視認性の高さや主題への興味関心の強さが影響していること,VR環境では身体的負荷が軽減される一方で視覚的負荷やVR酔いの課題があることが指摘された。本研究は,身体的行動を伴わない「背表紙や表紙を眺める」行為に限定されているが,セレンディピティを誘発するVR図書館設計に向けた基礎的知見となる。

  • 村上 陽菜
    原稿種別: 論文
    2026 年72 巻1 号 p. 37-54
    発行日: 2026年
    公開日: 2026/02/28
    ジャーナル オープンアクセス

     副作用報告制度における情報源として学術文献が指定されているものの,実際に学術文献から安全性情報が収集されているかについては明らかにされていない。本研究では副作用報告制度における企業報告と安全性情報を含む学術文献の連動性に着目し,学術文献が副作用報告制度における情報源として一定の役割を果たしている可能性を検討することを目的に,経年変化の比較及び相関係数の算出や重回帰分析による定量的分析を行った。さらに,安全性情報の報告数に影響するとされる安全性速報の発出並びに医薬品の承認後の期間について,安全性情報を含む学術文献への影響を観察した。その結果,企業報告数と安全性情報を含む学術文献数には有意な正の相関が認められ,重回帰分析においても連動性が認められた。また,安全性速報の発出や承認後の期間についても報告数と同様の影響がみられ,本結果により副作用報告制度において学術文献が情報源として一定の役割を果たしている可能性が示唆された。

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