日本図書館情報学会誌
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最新号
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論文
  • 津田 佳歩
    2025 年 71 巻 1 号 p. 1-17
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/03/02
    ジャーナル オープンアクセス

     本論文の目的は,1970年代から80年代における少年院の読書指導の思想と実践に焦点を当て,指導の担い手である法務教官によって期待された読書の目的や機能を明らかにすることである。少年院の在院少年は図書へのアクセスに制限があり,少年院は読書への規範が明確に現れる特殊な読書空間である。法務教官が執筆した読書指導に関する実践報告によると,在院少年の改善すべき問題は主に読書能力,読書習慣,人格であると認識されていた。また読書指導に最も期待された効果は,図書のストーリーを代理的に体験することを通した人格形成であった。実際に久里浜少年院で使用されていた課題図書リストを分析すると,名作ものや伝記ものが多く選定されていた。こうした少年院における読書の相対的な位置づけを考えると,カリキュラムの中で人格の陶冶を目指すという点に大きな特徴があり,これが少年院という場において期待された読書の形であった。

  • 志村 瑠璃
    2025 年 71 巻 1 号 p. 18-35
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/03/02
    ジャーナル オープンアクセス

     読者に本を媒介する装置のひとつとして図書館を捉えるために,出版流通との関係に着目して図書館が所蔵している本を実証的に示す。8つの文庫本レーベルによって2000年1月から2021年2月までに出版された本を対象に,出版社における在庫状況および6つの市町村の公立図書館における所蔵状況を調査した。本論文では在庫状況および所蔵状況の数量を分析し,書店を介した流通が可能な本と図書館が所蔵している本の重複と乖離を記述した。調査対象の図書館が所蔵している調査対象の本の約67%は,書店を介した流通が可能な本であることがわかった。一方で,調査対象の本のうち出版社に在庫が無く書店を介した流通が見込めない本の約67%が,調査対象の図書館によって所蔵されていることがわかった。ただし,レーベルごとに見ると,図書館が所蔵している本と書店を介した新品の流通が可能な本の重複と乖離は,レーベルによって異なることが確認された。

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