JSL漢字学習研究会誌
Online ISSN : 2432-1974
Print ISSN : 1883-7964
16 巻
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論文
要旨
  • 栗原 由加, 関 かおる, 尾崎 久美子
    2024 年16 巻 p. 44
    発行日: 2024年
    公開日: 2025/08/04
    ジャーナル フリー
    本発表では,文字教育研究会がこれまでに行った調査結果,ワークショップ実施内容,制作したサンプル教材等を適宜紹介しながら,日本語学習者が漢字を楽しく,自律的に学ぶための工夫と仕組みを提案する。提案の特徴は,漢字学習を語彙学習に位置づけ,「教材の個別化」と「漢字学習システムのグローバル化」の二つを構想の要とする点にある。この構想では,誰もが漢字教材を作ることと使うことの両方に参加でき,さらに日本語学習者どうしは,ネット環境さえあれば,居住地を問わずグローバルネットワークでつながることができる。 (2021年度科学研究費助成事業基盤研究C(21K00640))
  • 非漢字圏の社会で育つ子供たちへの漢字教育の観点から
    朴 正恩
    2024 年16 巻 p. 45
    発行日: 2024年
    公開日: 2025/08/04
    ジャーナル フリー
    日本の子供たちは日常生活で漢字に接する環境で育ちながら絵本では漢字が制限されている。ひらがな,カタカナ,漢字の三つの文字の使い方が明らかであるのにも関わらず子供たちに漢字かな交じりの絵本が提供されておらず,学校教育でひらがなを学習したあと漢字学習が始まるのだが,その教え方に多様性をもたらすことはできないだろうか。ひらがなは単純に覚えるだけでよいが,漢字は数が多く,学びに時間がかかる。したがって,幼少時から絵本を通して日本語の三つの文字に接することが必要ではないかと考える。特に非漢字圏の社会で子供たちは絵本でさえ漢字に触れることがなく,継承日本語学校で提供される教科書を手にした時,初めて<漢字>という文字に接する。そして教師は教え方に悩み,日本語学習者は漢字学習が苦になってモチベーションをなくす。このような問題を改善するためには日本国内の漢字学習の多様性が求められると考えるが,そのためには何が必要なのか考えてみたい。
  • Dilshani Jayathilake
    2024 年16 巻 p. 46
    発行日: 2024年
    公開日: 2025/08/04
    ジャーナル フリー
     非漢字圏であるスリランカの日本語学習者にとって,漢字学習が最大の負担であると考えられる。特に,高校日本語学習者から漢字学習に対する不満の声がよく聞かれる。また,スリランカの大学入学試験でもある,高校卒業試験の日本語ペーパーの得点を見てみると,漢字問題の点数が最も低いことがわかる。では,高校日本語学習者は漢字学習に対してどのような意識を持っているのだろうか。本発表では,まず,スリランカ人高校日本語学習者の漢字学習状況を調べ,それから漢字学習に対する意識を検討する。
  • Galina VOROBEVA
    2024 年16 巻 p. 47
    発行日: 2024年
    公開日: 2025/08/04
    ジャーナル フリー
     片仮名は基本的に漢字の一部を取って作られた文字であり,当然のことながら,漢字と共通のストロークを含んでいる。たいていの場合は片仮名を指導する際にそれぞれの片仮名文字がどの漢字からどのようにできたかということを紹介するが,その後漢字を指導しはじめる際には,もうその共通性に注意を促さない。むしろ,日本語教育では片仮名とひらがなの音の同一性を重視し,そこに学習者の注目を促している。しかし,漢字指導においては,そ の形の類似点をぜひとも利用すべきだと考える。  漢字指導では,階層的な漢字学習アプローチ「ストローク→片仮名→漢字」を導入する意義があると思われる。そのような考え方に基づく指導法は3つの段階を含んでいる。それは①ストローク②片仮名③漢字の指導の段階である。  ①ストロークの書き方を教えるために練習シート及び片仮名文字の構造,筆順をわかりやすく示す表を作成して実際に使った。  ②片仮名を「アイウエオ」の順番ではなく,学習者に達成感を与えるために興味のある片仮名語彙,同級生の名前,国と町の名前に入っている仮名方文字を教えた。  ③片仮名学習が終ってから漢字を導入する際に漢字は怖くないという考えも導入するため先に片仮名と同じ形をしている漢字を教えることにする(例えば エ,カ,タ,ニ,口)。 さらに片仮名を組み合わせた漢字(例えば 左,江,外,加,多,名,伝)を紹介すると学生は努力せずにいくつかの漢字の形と書き方を既に知っていることに喜んで,漢字に対する恐れが少し減る。最後に連想記憶法に基づいた自作の初級Ⅰ,Ⅱ用の漢字教材『漢字物語』を導入する。 「ストローク→片仮名→漢字」という指導法は効率的であると思われる。
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