日本ロービジョン学会学術総会プログラム・抄録集
第7回日本ロービジョン学会学術総会・第15回視覚障害リハビリテーション研究発表大会合同会議 プログラム・抄録集
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9月16日(土)
教育講演
村上琢磨(NPO法人しろがめ)「目の不自由な方を誘導するガイドヘルプの基本」
福田暁子(DPI Asia-Pacific)「視覚障害のある人のコミュニティにおける生活モデル」
吉野由美子(高知女子大学)「視覚障害に関する福祉・教育の施設・制度の過去と現状」
山中幸宏(アサクラメガネ)「ロービジョンエイド入門」
指定講義 I
一般口演 I
  • 国際観光都市、京都から
    日野 あすか
    セッションID: OI-1
    発行日: 2006年
    公開日: 2007/05/09
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    日本にはたくさんの外国人視覚障害者が住んでいる。それは留学、仕事、他いろいろだが、彼らがどこかに観光に行くとしても、触って楽しめるものは限られているし、単独で行くことは難しい。そのようなことから、国際観光都市「京都」は障害にあるなしかかわらず外国人のみならず日本人も行って見たい観光場所である。そこで日本在住の外国人視覚障害者を対象とした京都観光を行い、触って、聞いて、体感して楽しめる観光場所を調べ、現在まで3回、京都観光を行った。参加した外国人視覚障害者だけでなく手引き者も大変満足していただけた。それら参加者の様子や、どのようなものが視覚障害者にも楽しめるかなどを報告したい。
  • 浅野 紀美江, 山本 哲也, 中村 政年, 佐藤 鈴子, 大橋 恵美子, 泉 義明, 池谷 尚剛
    セッションID: OI-2
    発行日: 2006年
    公開日: 2007/05/09
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    はじめに:1982年に始まる岐阜盲学校の教育相談活動は、特別支援教育のセンター的機能の充実に向けて関係機関との連携を模索している。本報告では、眼科医療との連携の経緯を中心に、今後の活性化に向けた方策を検討する。 1.経緯:1982年から年1回の学校関係中心の教育相談を実施。1991年から視能訓練士、歩行訓練士、眼鏡士、保育士、大学教員等との連携を広げ、1995年からの週2回の定期教育相談会では眼科医療への窓口としての連携を深めることにより、早期療育体制が定着した。2002年からは、眼科医・視能訓練士を含めた諸関係機関の専門職をスタッフとする県下6か所での巡回相談会を実施している。相談会参加者数は2002年の114名から年々増加し2005年には255名であった。 2.現況と課題:定期教育相談、視覚障害幼児の「あいアイ教室」、県下6ヶ所の巡回相談「目の不自由な子のための相談会」(眼科医、視能訓練士、歩行訓練士、眼鏡士、盲導犬協会等)、訪問教育相談、ホームページの設置や電話相談の活動に、地域の眼科医療機関の眼科医・視能訓練士が参加することで、視機能評価、視覚障害の評価、視覚補助具の選定等の柔軟なロービジョンケアと繋がった。 結語:眼科医会と一層の連携を強化、教育関係者と地域の医療関係者の相互学習を定例化しスキルアップに努める。現在は視能訓練士の参加も限られ、その力量が問われるが早期支援教育活動に参画できるよう学習を深め、盲学校と積極的に協力し、幼少児・児童生徒のQOLの向上に寄与したい。
  • 水上 志保, 森田 茂樹, 黒川 歳雄, 高橋 政代, 吉村 長久
    セッションID: OI-3
    発行日: 2006年
    公開日: 2007/05/09
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    【目的】視覚障害により当科のロービジョン外来を受診した患者の受診時状況について検討した。 【対象と方法】平成15年9月から平成18年4月までの期間に当科ロービジョン外来を受診した105名について、原因となった疾患、受診時の矯正視力、紹介した補装具を集計した。 【結果】患者の内訳は男性52例(49.5%)、女性53例(50.5%)、年齢別では10_から_39歳は12.5%、40_から_59歳31.3%、60_から_79歳40.0%、80_から_99歳16.3%であった。疾患は網膜色素変性症45例(42.4%)、黄斑変性症28例(26.4%)、緑内障14例(13.2%)が多く、次いで錐体ジストロフィー6例(5.6%)、網膜剥離4例(3.8%)、糖尿病網膜症2例(1.9%)が続いた。 受診時、良い方の眼の矯正視力は1.0_から_0.4;3.4%、0.3_から_0.1;40.0%、0.09_から_0.04;16.0%、0.03以下;9.0%で、以下のように道具の紹介を行った。拡大読書器33例(20.6%)、ルーペ46例(28.7%)、遮光眼鏡24例(15.0%)、矯正眼鏡5例(3.1%)、単眼鏡3例(1.8%)、その他、音声パソコン12例(7.5%)や強力ライト8例(5.0%)。固視訓練は13例(8.1%)に、生活相談は11例(6.8%)に行った。 【結論】年齢別では中高齢者層での需要が高かった。疾患では網膜色素変性症の割合が高いこと、視力値では0.3_から_0.1の患者が多かったが、0.03以下の患者が比較的多いことも当科のロービジョン外来の特徴であった。
ランチョンセッション I
  • 金田 博
    セッションID: LSI-1
    発行日: 2006年
    公開日: 2007/05/09
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     視覚障害者を対象とした教育環境で使用している拡大読書器について、教育環境に適した情報保障機器として製品化を目標にデザイン研究開発を行った。現状機器の使用状況や機能、学生の意見などの調査を行い、使用性や操作性などのユ-ザビィリティデザインを視点とした新しいデザイン提案、試作機による使用実験を行った。その後、量産化に対応した設計と製品化を行った。
     また、ロービジョン者用の携帯型照明付拡大鏡を新しくデザイン開発するなかで、試作機による使用性と機能性について、学生からの使用評価を行い開発に反映させている。
  • 川嶋 常多
    セッションID: LSI-2
    発行日: 2006年
    公開日: 2007/05/09
    会議録・要旨集 フリー
     エッシェンバッハ光学では、「眼疾患等によって低下したものの患者さんに残っている視機能」を説明する用語として「ロービジョン」を用いている。 したがってエッシェンバッハの「ロービジョンエイド」には、視覚障害をもつ患者さんが自己の視力を(最大限に)活かして、より快適な生活を送れるようにするために用いる用具すべてが含まれている。
     眼疾患が治療によって改善したとしても、患者さんにとっては何らかの不満が残った結果「かつてのような見え方ではない」とか「視力が弱って困難を感じる」などと、つぶやくのを耳にすることがある。 そのような場合、エッシェンバッハが用意している350種類以上の光学的補助具の中から、その患者さんの視機能や視環境にあわせた「ロービジョンエイド」を提供することが非常に有効な解決方法となる。 それによって彼らが独力でしかも質の高い生活を楽しめるようになっていることは、既に世界中の市場で実証されている。
     エッシェンバッハ光学では、非球面レンズと回折構造を一体化させた「ハイブリッドレンズ」や照明むらが無く均一で高い照度を持つ「LED照明付ルーペ」など、より使い易い「ロービジョンエイド」の開発を行っている。
     今セミナーでは、そういったエッシェンバッハならではのテクノロジーに関して説明する。
ポスター発表 I (指定ポスター)
  • 小田島 明
    セッションID: PI-0
    発行日: 2006年
    公開日: 2007/05/09
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     昨年の大会の指定講義で障害者支援の今後の方向について報告し、公的サービスのみに頼らない、市町村単位の支援体制作りが必要であることを説明している。
     今回は障害者全般の地域支援活動も含め、地域で活動している方々から、その活動の発足経緯や活動状況、実績等の情報発信をしていただき、視覚障害者支援体制構築のヒントを得たいと考えている。

    1. 視覚障害関係
    (1)阿部直子氏(仙台市中途視覚障害者支援センター)
    視覚障害者の生活相談やリハビリテーションに関する先駆的な活動拠点である。

    (2)吉野由美子氏
    高知県における教育・医療・福祉の連携による視覚障害者の自立支援や地域リハ体制構築に向けた活動。

    (3)前川賢一氏(特定非営利活動法人アイパートナー)
    歩行訓練から発し、地域にNPOを設立して7年の実績。視覚障害者の地域支援のために、ソーシャルアクションを展開している。

    (4)園順一氏(京都福祉情報ネットワーク)
    視覚障害者とって重要なニーズであるパソコンについて、その有用性や使用技術等を普及する活動を実践。

    (5)浅野紳氏(島根ライトハウス「ふれあいサロン」)
    公的福祉資源である点字図書館の試み。地域の視覚障害者のニーズを基本に活動。特に盲ろう者や重度視覚障害者等への支援を行っている。

    2. 障害者全般の地域支援関係
    (1)谷口明広氏(生活支援センター「きらリンク」)
    企業との協働により設立された経緯を持つ相談支援事業者。現在は社福法人の経営に移っているが、わが国でも代表的な相談支援事業者。

    (2)宮下三起子氏(特定非営利活動法人あいえるの会)
    障害者の当事者運動から障害者相談支援拠点へ発展した組織。この会の活動が地域内の他の障害者関係団体へも影響し、複数の生活支援ネットワークが立ち上がっている。行政とはバランスの良い関係である。
  • 園 順一
    セッションID: PI-1
    発行日: 2006年
    公開日: 2007/05/09
    会議録・要旨集 フリー
     現代の社会において、インターネットによる情報化の波は、非常に早いスピードでおそってきました。視覚障害者(児)や高齢者・単独外出の困難なかたなど、情報弱者と言われる人たちにとって、 パソコンの利用は、情報の入手手段、職域の開拓、ひいては自立と社会参加等の意味からも非常に重要なものになってきています。ところが、視覚障害者がいつでも学べる場がありませんでした。「京都福祉情報ネットワーク」は、晴眼者とほぼ同様に学べる場の提供を目指して、 1999年1月から活動をはじめています。
    ■事業内容
    ●初心者対象基礎講座
    ・windowsの起動と終了 ・文字入力・文書作成 ・電子メールの送受信 ・ホームページ閲覧
    ●ワード、エクセル講座
    ・ワードの基礎~表の作成・他 ・エクセルの基礎~計算~マクロ・他
    ●パソコンを持っておられない障害者のための出張入門講座
    ・視覚障害等で外出が困難なため教室に行けず、パソコンも所有していない方に対しての出張講座
    ●京都障害者職業センター職域訓練校からの委託  (2006年度は休止中)
    ・会社にお勤めの方や、自営の方でパソコンを自分の仕事に生かしたいと思っておられる視覚障害者向けの講座
    ●音声パソコン・IT体験相談会
    ・パソコンショップでは体験できない、音声パソコン ・画面拡大 ・ロービジョン者向けの設定 ・その他視覚障害に関わるパソコン相談
    ★京都福祉情報ネットワーク(Win-Kyoto)
    「Welfare Information Network Kyoto」 URL: http://www.win-kyoto.org/
  • ~特定非営利活動法人あいえるの会の実践を通して~
    宮下 三起子
    セッションID: PI-2
    発行日: 2006年
    公開日: 2007/05/09
    会議録・要旨集 フリー
     わが国における障がい者の地域生活支援の発展は、アメリカのCIL運動(Center for Independent Living )に共感した障がい当事者による自立生活運動が大きく寄与している。 郡山市においては、1989年にそれまで日本各地で障がい者運動を実践してきた障がい当事者である白石(しらいし)氏が郷里である郡山市に戻り、養護学校同窓生等8人と「グループらせん」」を結成したことに始まる。その後、1993、「ワークIL」を立ち上げ、郡山市在住の障がい者に対する地域生活支援を本格化させることとなった。
     現在は特定非営利活動法人あいえるの会として、郡山市から委託を受けた相談支援事業や介護派遣事業、独自のインフォーマルな介護サービス、障がい当事者のエンパワメントを図る目的で実施するILP(Independent Living Program)活動等を展開している。また、宮下自身も郡山市の障がい者ケアマネジメントや市町村審査会の委員を担う等、市当局とは協働関係にある。
     地域生活支援体制構築には、当法人のような運動的側面を持った団体と行政機関が対立関係にあるのではなく、協働関係を構築することが肝要である。このような協働関係を築くには、行政に対して「交渉」ではなく、「政策の提案方式」をとり続けることが効果的であった。
     また郡山市においては、我々の活動に呼応するかのように知的障害や障害児の父母、精神障害者等の当事者や支援者らといくつかの支援ネットワークが形成され、そこには健常者も同じ地域で暮らす仲間として参画している。
     以上のことを踏まえ、今回の発表では当法人のこれまでの実践と郡山市の地域支援体制についてその概要説明と地域支援体制つくりのポイント等を提案することとしたい。
  • 谷口 明広
    セッションID: PI-3
    発行日: 2006年
    公開日: 2007/05/09
    会議録・要旨集 フリー
     地域社会で自立生活を営む障害のある人たちが増加し、生活のニーズに対して即座に相談に乗り、迅速に対応する機関が必要になってきた。そこで、1997年に京都新聞社会福祉事業団が開設したのが「ピアリンク」という相談窓口であった。相談者から「地域社会での自立生活について学べるような講座を開催して欲しい」という声があがり、以前の95年から「障害をもつ人たちの自立生活教室」、更に二年後には「自立生活技術教室」と名付けた個人別自立プログラムを展開するに至った。しかし、月に二回という対応では「即効性」の問題をクリアすることが出来ず、常時応対してくれる機関の存在が熱望された。
     「障害者プラン」によって定められた自立生活支援センターの整備に関して、京都市の対応は遅く、2000年度の予算にようやく計上された。障害者生活支援センター『きらリンク』は、京都市内では初めての市町村障害者生活(身体障害者相談)支援事業の委託を受け、民間企業が運営主体となる珍しいケースとして、2000年10月1日に誕生した。当初は『きらリンク』の存在を知っていただくことに時間を必要としたが、数ヶ月も経たない間に月間400件を超える相談が寄せられるようになった。2003年には、先駆的事業をやり遂げたという理由で『きらリンク』の運営主体が、社会福祉法人西陣会へと移された。
     現在は、障害者自立支援法の下で、障害程度区分の認定調査等を担当している。また、地域自立支援協議会を設立し、誰もが安心して生活できる地域社会を築いていかなければなりません。これからの支援センターは、障害をもつ人たちの地域自立を可能にしていく重要な資源になってくる。
  • 浅野 紳, 塩澤 浩司, 川次 啓一郎
    セッションID: PI-4
    発行日: 2006年
    公開日: 2007/05/09
    会議録・要旨集 フリー
    はじめに
     視覚障害者情報提供施設であるライトハウスライブラリーは、平成5年から点字図書館業務と並行して、視覚障害者リハビリテーション事業を実施。開始から10年を経過したが、重度視覚障害者の無就労者、盲ろうの在宅者も多く、何とかその方々が集える場が持てないかという思いから、新たな試みとして、平成16年6月より、盲ろうの方(弱視ろう、弱視難聴、全盲難聴、全盲ろう)及び視覚・内部の重複障害の方等を対象にしたコミュニケーション講習会「ふれあいサロン」を開始することとなる。
      実施計画
     当館のリハビリテーション担当職員3名、点訳ボランティア、パソコンボランティア、要約筆記者、手話通訳者が連携を図り、利用者に対しマンツーマン対応。
     当初は、独立行政法人福祉医療機構(高齢者・障害者福祉基金)助成事業として、水曜日の13:30~15:30の年40回を計画。助成金により、講師謝金、パソコン・ピンディスプレイの購入なども行った。
    事業内容
     参加者の方の障害状況を把握し、点字、拡大文字、接近手話、指点字、触手話、手書き文字等を用いたコミュニケーション訓練を実施。基本的には、コミュニケーションの手段の獲得が目的ではあったが、多くの人々と接する中で、訓練以外の部分での“ふれあい”があり、陶芸、タンデム自転車体験等の人とのかかわりが増えた。
    成果・課題
     平成17年度の年間参加者は、延べ303人を数えた。年齢層も30代~70代と幅広い層に亘った。この事業がきっかけになったのかは分からないが、昨年暮れに「しまね盲ろう者友の会」が設立され、今年度からは、その会が「盲ろう者通訳養成事業」の委託を受けた。
     当館では、昨年、今年と「盲ろう者」支援を大きな目標として掲げているが、資金面を含めて更なる充実を図るべく新たな試みを展開していきたい。
  • 吉野 由美子
    セッションID: PI-5
    発行日: 2006年
    公開日: 2007/05/09
    会議録・要旨集 フリー
     1 目的 第10回と第11回の視覚障害リハビリテーション研究発表大会において、「県職員提案事業」を利用して、視覚障害者用常設機器展示室「ルミエールサロン」を盲学校に設け、福祉と教育の連携を図りながら視覚障害者の自立支援システムを確立して行く課程について報告したが、当発表においては、それ以後の多分野との連携の構築過程を報告し、現在のシステムの運営状況、今後の課題を明らかにすることを目的とする。
     2 経過報告 視覚障害者に対する機器の紹介・日常生活訓練などの効果が行政や一般にも徐々に浸透し、視覚障害者生活訓練指導員の活動の基盤が確立されて来たのを契機として、高知眼科医会などへの啓発を行った。その結果、高知赤十字病院での訓練指導員の出張相談・眼科単科病院である町田病院でのロービジョン外来の開始などの成果があった。2003年には、高知福祉機器展という総合福祉機器展に「ルミエールサロン」を出展、翌年からは、視覚・聴覚ブースを主催して、PT・OT・介護支援専門員などの中間ユーザーへの啓発活動に重点をおいた活動を行って来た。
     3 成果と課題 成果 (1)眼科病院から、直接に視覚障害者生活訓練指導員への相談ルートが造られつつある。(2)PT・OTなどの医療専門職との交流が深まり、高齢で視覚障害以外の様々な障害をもつケースに対して総合的なアプローチや情報交換が出来るようになって来た。など課題としては、訓練指導員の存在を認知していない中間ユーザーに対するな啓発活動など、必要な所にどのように情報を届けて行くかなどが上げられる。
  • 阿部 直子
    セッションID: PI-6
    発行日: 2006年
    公開日: 2007/05/09
    会議録・要旨集 フリー
     仙台市中途視覚障害者支援センター(以下「支援センター」)は、2005(平成 17)年10月に業務を開始した(市の独自事業)。
     仙台市内には障害者の地域生活を支援する相談機関が市町村障害者生活支援事 業等にもとづいて複数箇所設けられている。しかしながら視覚障害者の相談、と りわけ人生の中途で視覚障害になった人やその家族等からのリハビリテーション 等に関する相談には、障害の種別を越えて相談支援活動をしている既存の機関で は対応が困難な場合が多くみられるようであった。そこで視覚障害リハビリテー ションに関する知識や技術、最新の情報を有する相談支援の地域拠点として当セ ンターが設置された。
     相談員2名(視覚障害リハビリテーションワーカー1名、社会福祉士1名)が電 話・来所・訪問等により相談を受け付け、情報提供や支援計画の作成、経過のモ ニタリング等をおこなうとともに視覚障害者支援の理解啓発を図ってきた。
     今回の発表では、当センターが開設以来これまでに対応してきた相談支援の内 容はどのようなものであるかを報告し、地域における支援システムの現状と課題 について考えたい。
     地域により特色の異なる気候・社会的環境や社会資源の状況等を勘案しながら その地域に応じたシステムを模索していくことが求められる地域支援では、他地 域の先進的取り組みの成果を参考にしつつもその地域独自の資源を活用してその 地域にあったシステムを構築・展開していかなければならない。そのためにも今 回のセッションでは、必ずしも順調には進展していない相談支援にも着目してそ の解決のための方略をディスカッションしていきたいと考えている。
  • ~個々の課題の解決策を探求する中からでてくる視覚リハ全体の課題~
    前川 賢一
    セッションID: PI-7
    発行日: 2006年
    公開日: 2007/05/09
    会議録・要旨集 フリー
     歩行訓練士が、歩行訓練士として養成課程で学んだ本分での活動の実施を可能 とすることと、視覚障害者関係の諸団体の実質的な連携と連絡を重視した結果、 自活自営のリスクを背負いつつNPO法人になる道を選択し、今年で7年目を迎え ている。スタッフの増員や減員も体験しつつ、毎年7~800の訪問訓練回数 (のべ人数)をこなし、様々な形態と内容での訓練現場の事例も蓄えつつあるが、 その一人一人の、あるいは1回1回の各種訓練の中で、実に多様な課題に対する解 決策を探求していく中で、それを突き詰めた時に「本人が練習して努力して獲得 できる自立」の部分と、「周囲の理解、社会の改善の中で支援をする部分」が浮 き彫りにされてくる。今回は、この後者に関して、具体的に現場から抽出し、そ のことを遅々とさせずに社会の枠組みの中で理解や改善を実現していくために、 まさに今、歩行訓練士がなにをすべきかを提言したいと考えている。
     発表の方法は、訪問による各種訓練の中でケース個々にでてきた問題から統一 的なものを探り出し、本人の努力だけでは解決困難な内容を抽出する作業を経て、 それを解決させるための活動をも紹介しつつ、しかし歩行訓練士全体で、あるい は視覚障害者リハ関係全体で活動すべきではないかと思われる内容と、その活動 方法に言及し、それがなされるための歩行訓練士の全体的な組織のあり方につい て提言してみたい。
シンポジウム I
  • 中村 透
    セッションID: SI-0
    発行日: 2006年
    公開日: 2007/05/09
    会議録・要旨集 フリー
     視覚障害者の雇用問題を全体的な課題として取り上げるのはどれぐらいぶりであろうか?視覚障害者を支援することを仕事の対象としている関係者の中で、直接、間接に「視覚障害者の雇用」あるいは「経済的な自立」に関心をよせている人間がどの程度いるだろうか? 徐々に困難さが増している状況は判ってはいるけど、見て見ぬふりをしているのは、私だけではないように感じる。
     ここ20年余りで、視覚障害者の雇用環境はどの程度改善されたのか?確かに支援機器や交通アクセスの面では劇的に進化したように見える。そのことが雇用環境にどの程度反映されたのだろう?旧厚生省と旧労働省が一緒になって厚生労働省ができた。縦割りが批判されていた障害者対策の中での障害者の雇用促進については、行政側からすれば良い環境が整ったはずである。では、視覚障害者の雇用環境は改善されたのだろうか?
     今回、合同会議でこのテーマを取り上げたいと考えた。障害者自立支援法が成立する中、既存のサービス提供組織の弱体化が懸念されている。「就労」に一生懸命取り組んできた組織、団体が喘いでいる。そのあおりを当事者が受けている、といった悪循環が現実のものとして始まっている。「経済的な自立」は視覚障害リハビリテーションの最終目的ではないが、社会的自立の重要なファクターであることは間違いない。
     このセッションでは、当事者自身、当事者団体、サービス提供者などからまず現場の声聞く。視覚障害者の雇用を進める上で、会議に参加した関係者の間で課題を共有し、どのような支援が求められているのかを探り、解決策を模索することを目指す。
  • 吉江 和夫
    セッションID: SI-1
    発行日: 2006年
    公開日: 2007/05/09
    会議録・要旨集 フリー
     1993年に全盲の青年と出会い、彼のサポートを始めてからはや13年が過ぎた。その間に、二人は社内異動も経験し(広報部→お客様相談室)、彼の仕事範囲は大きく拡大した。広報部では視覚障害者への情報提供だけを担当していたが、異動によりお客様への電話対応が主業務となり、更に2003年からはe-mailへの対応を主に担当して忙しい日々を過ごしている。
     しかし正直なところ、彼の入社当時に、彼の今日の仕事ぶりを予測できた人はいなかった。この順調なキャリア形成には、会社の事業内容、社風、仕事内容、個人的特性(性格、特技、目指す方向、能力・技能等)など、多くの要因が関与していると思われるが、部内のみならず他部署にも多くの協力者を得て、様々な工夫を積み重ねることができたことが大きいと私は考えている。今回は、彼と13年間共に働いた者の立場から、これまでに行った事例の一部及び課題を紹介させていただく。
    1.通勤の安全について
     本人の意思を尊重しながら専門機関と相談し、安全な経路を優先して選択した。会社近辺の横断歩道の音声化を警察署に依頼したこともある(一部導入)。
    2.部所、社内でのサポート体制
    (1)サポートの責任者は常に配置し、私が担当した。最初の1年はサポートに3割程度の時間を割き、その間に、部所の全員が分担してサポートできる(せざるを得ない)体制を作った(食事、行事、情報伝達等)。現在、サポートに費やす時間はゼロに近い。
    (2)仕事で関係する部所に積極的に出かけた。これは、彼への理解者を増やし、仕事での連携、通勤での主体的な誘導など、大きな成果につながった。
    (3)IT技術を積極的に取り入れてサポートに活用した。
    3.課題
     データの集計や解析、表やグラフを活用した資料作成用のソフトウェアが見当たらず、これらに関わる業務(報告書の作成、他部署との情報交換会など)には参画できない。これは、今後解決したい大きな課題である。
  • 工藤 正一
    セッションID: SI-2
    発行日: 2006年
    公開日: 2007/05/09
    会議録・要旨集 フリー
     障害者実態調査などで視覚障害者の就労状況をみると、視覚障害者にとって伝統的な「あん摩・鍼・灸」(三療)関連従事者が他を圧倒している。その三療にしても、晴眼者の増加などにより、年々厳しくなっている。一方、三療以外でも、種々の職域開発に取り組まれた歴史があるが、画期的な成果は少ない。しかし、近年、ITの進展により、視覚障害者の職域にも広がりがみられ、中でも、中途視覚障害者の就労継続、再就職では、事務的職域に広がりをみせている。これは、視覚障害者を対象とする職業リハビリテーション施設の献身的な努力があったからこそである。
     視覚障害となり、いったん退職すると、再就職は容易ではない。ましてや、それまで培った経験や知識を生かせば職域はゼロではないことを考えると、失業の果ては福祉でというのは、本人の意に反するだけでなく、二重三重の社会的損失である。それ故に、第一義的には、中途視覚障害者の失業を防止し、雇用継続のための支援を強化すべきである。
     近年、障害者雇用対策は、確実に進展をみせている。身体障害から知的障害、さらには精神障害へと施策の重点が拡大した。ハード、ソフト面でも様々な支援ツールが開発された。事業主の理解も広がり、就職状況も伸びている。しかし、それらの前進面があるにもかかわらず、視覚障害者はその恩恵に浴することもなく、制度・政策面でも、取り残されている感が否めない。
     中途視覚障害者の立場からは、視覚障害者の雇用対策として、今こそ中途視覚障害者の雇用継続を訴えたい。中途視覚障害者の雇用継続が広がることは、視覚障害者の雇用全体を引き上げることにも繋がる。そのためにクリアしなければならない課題も多く、例えば、在職中に支援が開始され、事業主の理解と協力が不可欠となる。また、ロービジョンケアの必要性、相談窓口としてのハローワークの役割の重要性、視覚障害者に特化した支援など、制度の充実が求められる。
     タートルの会は、現役で働く視覚障害者を対象に就労アンケートを実施し、『視覚障害者の就労手引書=レインボー』としてまとめるとともに、雇用継続のための提言を行い、今後の課題を明らかにした。そして、それらの提言に基づいて、関係行政、関係団体と懇談し、雇用継続への理解を深める活動に取り組んでいる。
  • 津田 諭
    セッションID: SI-3
    発行日: 2006年
    公開日: 2007/05/09
    会議録・要旨集 フリー
    【現状】
     一般就労の分野では長年にわたり取り組みが続けられてきたが、問題解決の手がかりは見えてきていない。一方で自立支援法に変わり、福祉施設の運営は極めて厳しい事態を迎えているが、同法ではまた、利用者を就労へ移行させることも唱えられている。視覚障害を専門とする福祉施設では、今後、就労に向けたサービスが重要な柱になると思われるが、貧弱なサービスしか提供できていない現状では、視覚障害者がサービスを選択する余地は少ない。
     視覚障害者の復職や新規就労に向けて現状で提供できるサービスは、歩行など生活基礎力をつける訓練、パソコンの基本的スキルを高める訓練、そして求職活動の支援などである。企業の人員削減、雇用情勢の悪化は障害者雇用の枠組みを変化させ、これまでの電話交換手やプログラマーのケースのように、この技術を身に付けたら企業が雇用するというような技術訓練を提供することが困難になってきているように思われる。パソコンの基本的スキルを提供するといっても、実際に仕事でExcelを活用するスキルや、就労の現場でグループウェアを使いこなすサービスが充分に提供されているかというとそうではないし、そもそも仕事をする上での基礎力であるパソコンのスキルの獲得に、電話交換技術がそうだったような就労に直接結びつくといった問題解決の枠組みを求めるのは筋違いかもしれない。
    【結論】
     障害特性を超えてあらゆる障害者を対象とするサービス提供を法は求めているが、視覚障害に対する基礎知識に欠けるサービスは、視覚障害者にとって魅力をもたないと思われる。視覚障害リハビリテーションのスキルの上に、今後は個人のもつ能力を引き出すような就労サービスが求められると思われるが、そのためには福祉や労働サイドからだけのアプローチだけでは限界がある。実務に役立つ高等教育を視覚障害者が受けられるような枠組みを作り、それを核に必要な生活訓練や職業スキルが獲得できるような態勢を構築することが望まれる。それが、高度産業社会の進展の中で、新たな視覚障害者の就労促進の方策を探る鍵になると思われる。
  • 北林 裕
    セッションID: SI-4
    発行日: 2006年
    公開日: 2007/05/09
    会議録・要旨集 フリー
     私の所属している施設では、今年3月までと現在とでは運営そのものが大幅に変わっている。自助努力の範疇を大きく超え、利用者サービスは低下した。その中で、利用者の数は2割強膨れ上がろうとしている。すると当然一人ひとりに対してのサービスは著しく減退していくであろう。
     授産施設では、テープ起こしを中心とした仕事を提供している。1990年から利用者の中の若手を中心に、そのテープ起こし技術を核に、一般就労に向けた訓練(事務処理スキルの向上)を始め、10人余の新規採用者及び現職復帰者を送り出した。成果が認められ、4年後と7年後には「事務処理科」「OA実務科」という2つの独立した施設が立ち上がった。そこでは、2人の指導員を配置したが、うち1人は授産施設の職員を専属で指導にあたらせた。
     この意味では、自立支援法が成立する前から、国の指導であるところの「就労移行支援と就労継続支援との分離」を、私の所属している小さな施設の中で、すでに先駆的に行っていたと自負している。そして、毎年10人程度ではあるが、新規採用、継続雇用を果たしてきた。
     しかしながら今年4月の法改正により、「事務処理科」「OA実務科」への授産施設職員の配置は、経営上不可能となった。「もともと授産施設の職員が一般就労支援施設の指導にあたるのこと自体がおかしい」との意見が施設内にも根強くあるが、私は「一般就労をゴールに見据えた授産施設でなければならない」という立場である。その部分においては、10月から施行される自立支援法の目指すところは賛成の立場と言える。しかし実態は、職員の数が減りサービスの低下を余儀なくされた現状の中で、国の考える理想型は机上の空論にすぎないのではないかと思わざるを得ない。現状、欠けた1人分の穴は、休日と時間外で埋めざるを得ない。しかし、それにも限界がある。
     私は、就職率を上げることよりも定着率を上げることの方が、大切だと思っている。そのためには、就職後のフォローアップが一番大切ではないだろうか。当事者も受け入れ側も安心できる態勢とは、就職後に情報機器等も含めた環境の変化があってもすぐに相談出来るという、施設との信頼関係も大きな要素であると思っている。そうした考えをも、この自立支援法によって否定されるのであれば、私は授産施設職員ではなくボランティアとして、一般就労に関わっていきたいと考えている。
  • 大橋 由昌
    セッションID: SI-5
    発行日: 2006年
    公開日: 2007/05/09
    会議録・要旨集 フリー
     あはき(あん摩・はり・きゅう)盲業界は、無免許者の横行と晴眼者の激増により、厳しい経営を強いられています。駅前を歩いて見れば、「エステ」や「あし裏マッサージ」など、いわゆる「癒し系」店舗のカンバンをたくさん目にすることができるでしょう。それらの業者は、ほとんど無免許者なのです。晴眼者の増加については、あはき国家試験における受験者数の推移を見れば一目瞭然です。第9回あはき師国家試験(01/02)のはり師には、視覚障害者が579人、晴眼者が2081人でしたが、第14回(06/02)では、視覚障害者が580人、晴眼者が4127人となっています。
     こうした状況にあってもなお、いな、厳しい状況にあるからこそ、あはき資格を生かした雇用の拡大を、私は強く求めます。開業をしても、簡単に生活の糧を獲られません。だからといって、あはき以外の職種、いわゆる「新職業」への進路も、期待されているほどの成果を上げていないからです。自立支援法施行により、かえって新職業開拓が、なおいっそう難しくなっているようにさえ感じます。授産施設やリハ施設の運営が、行き詰まるのではないか、とまでささやかれているくらいです。視覚障害者を雇用する場合、雇用主もあはきをベースにした仕事のほうが、事務系職種より受け入れやすいのではないでしょうか。
     一方、視覚障害あはき師の雇用状況も、決して明るいものではありません。たとえば、介護保険法改正にともない、機能訓練指導員の道が閉ざされようとしています。厚生労働省の対応が、もっと厳しく指弾されてしかるべきではないでしょうか。また、ヘルスキーパーの雇用状況を見ても、従来の業務内容にプラスアルファを求める企業が増加しています。二極分化の傾向にある、といえましょう。あはき師養成のあり方も、あはきを取り入れた職業リハの試みもまた、検討する時期にきているように感じます。
一般口演 II
  • 下堂薗 保, 工藤 正一, 吉泉 豊晴
    セッションID: OII-1
    発行日: 2006年
    公開日: 2007/05/09
    会議録・要旨集 フリー
    目的: 視覚障害者の雇用については、「見えない人がどうして働けるの?」 「目の見えない人に対する対処法が分らないため、雇用を躊躇している」など の声が未だに聞かれる。このような現状を改善し、視覚障害者の雇用の促進と 安定を図る必要がある。
    方法: 調査は、タートルの会の会員を中心に現役の就業者144人に対し16項目 を設問し、うち1項目については自由記述として、電子メールを媒体として行っ た。
    結果: 22都道府県104人から回答があった。中でも自由記述のメッセージで は、(1)個人的努力(2)職場との関係(3)行政への要望(4)医療関係(5)訓練関係 (6)その他--のそれぞれについて、当事者の体験に基づく具体的な助言、要望が 寄せられた。それらを提言として取りまとめ、『設立10周年記念誌・100人 アンケート 視覚障害者の就労の手引書=レインボー』として発刊した。
    結論: 以上の結果から当事者や関係者に積極的に情報を提供し、提言を活用 する示唆を得た。具体的には仕事の内容、工夫して働く就労事例をデータベー ス化し、web上の公開を目指し内容の充実を図っている。併せて、就労手引書に ある眼科医療、職業リハビリテーション、情報アクセスの面などからの提言を もとに、行政、医療、事業主団体など関係機関と懇談し、これら成果の有効活 用を図っている。
  • 吉泉 豊晴, 下堂薗 保, 工藤 正一
    セッションID: OII-2
    発行日: 2006年
    公開日: 2007/05/09
    会議録・要旨集 フリー
    目的: 今回のアンケート調査は、職場復帰をめざす中途視覚障害者、これから就職しようとする視覚障害者、職に就いているが問題解決のヒントを得ようとする視覚障害者、あるいは、その支援者や家族等々の参考となるような材料を得るため実施した。また、啓発資料の一部として活用することとした。
    対象: タートルの会の会員を中心に、現役の就業者144人に対し、電子メールを媒体として調査を行った。
    結果:
     主な質問項目には?属性、?現職に至るまでの経過、?現職の内容や雇用形態等に関する事項、?勤務先の障害者雇用への取組み状況、?家族の支援がある。
     回答者(104人)の輪郭としては、40歳代?50歳代の働き盛りの中高年が多く、現職の官民の別では民間が3分の2、公務員が3分の1。職種別では事務職が5割強、技術職が2割強など。視覚障害の程度ではいわゆる重度(1級及び2級)が9割強を占める。白杖使用の有無については使用しているが8割弱、使用していないが2割程度。復職等にあたり重要な情報提供をしてくれた機関等としては、障害者団体を挙げる人が多いが、そのほか社会福祉施設20%、医療機関18%などであった。
  • 高橋 広, 久保 恵子, 志鶴 紀子, 吉里 聡, 斉藤 良子, 山田 信也
    セッションID: OII-3
    発行日: 2006年
    公開日: 2007/05/09
    会議録・要旨集 フリー
    【目的】視覚障害者の就労環境は非常に厳しく,一旦退職するとほとんどが再就職できな状況にある. 職業リハビリテーションの導入時期を明らかにするため,ロービジョンケアを求め受診した視覚障害者の就労状況を調べ,その結果を報告する. 【対象】2000年1月より2005年12月までに柳川リハビリテーション病院眼科にてロービジョンケアを行った18歳_から_64歳の332例(男性192例,女性140例)を対象とした.その原因疾患は網膜色素変性153例,半盲・半側失認30例,網脈絡膜萎縮17例, 視神経萎縮6 例,糖尿病網膜症15例,緑内障11例などであった.これらの就労状況を検討した. 【結果】対象者を職種別にみると三療は17名,農・林・漁業8名,生産工程・労務20名,専門・技術25名,サービス13名,販売16名,事務50名,管理7名,学生14名,主婦44名,その他4名で,無職の者は114名であった.そのうち実際に仕事に従事している者は172名(52%)で,休職中の者が46名(14%)であった.18歳_から_39歳の休職率は19%で,とくに男性では25%強と高く,40歳_から_54歳の休職率は14%、55歳以上では9%と低下していた.また無職の割合は年齢とともに増加する傾向があった. 【結論】視覚障害者は年齢とともに眼疾患が増悪するためか就労がむずかしくなっている.一方,若い働き盛りである者も休職に追い込まれており,適切なロービジョンケアが早期に必要で,それが職業リハビリテーションの導入となり仕事の継続につながっていくと思われる.
  • 社会福祉国家デンマークの実際
    清水 里美
    セッションID: OII-4
    発行日: 2006年
    公開日: 2007/05/09
    会議録・要旨集 フリー
    清水基金海外研修にてデンマークでの視覚障害者の就業支援の実際を知る機会を得た。 Danish Institute for the Blind and Partially Sightedは、国内最大規模の視覚障害者のための更生施設で、病院、カウンセリング、生活訓練、職能訓練、就職活動を支援部門から、教育部門まで、中途障害者だけではなく先天障害児への対応もなされている。職能訓練には、音楽家、オルガン奏者養成、ピアノ調音、織物、電話交換、マッサージ師、等があり、訓練後は80%が実際に職につき、60%が定着している。就業率は一見高率のようにも見えるが、実際にはデンマークでの視覚障害者の就業の機会は非常に低いといわれている。国内の訓練施設が他にないため、遠方に在住している視覚障害者は移動を余儀なくされたり、全てを行政にゆだねる障害者支援では、政策の変化や障害者団体の発言力の強さによって支援の内容が変化したり、障害者個人の意志を反映しにくい等の問題はらんでおり、社会進出よりも年金生活を送る視覚障害者が潜在している可能性は否定できない。 たとえ、社会保障によって経済的基盤が保障されたとしても、障害者が疎外された社会は、望ましいとは言えない。しかし、日本では、いくつかの身体障害者実態調査において、障害者の経済的にも社会的にも自立が困難な状態が示唆されている。これらの現状をふまえ、日本と社会福祉国家といわれるデンマークの違いを報告する。
指定講義 II
  • 小林 章
    セッションID: LII
    発行日: 2006年
    公開日: 2007/05/09
    会議録・要旨集 フリー
     過去20年ほどの間に、社会福祉サービスとしての生活訓練を受ける人の層が大きく変わって来たという印象を持つ。国立更生援護施設の生活訓練課程では、かつては利用者の70_%_から80_%_が視覚をほとんど活用できない人たちであったが、今日ではその割合が逆転しているように感じられる。この傾向は視覚障害リハビリテーション(以下、視覚リハ)サービスを提供する様々な現場で共通に見られることではないだろうか。
     各現場のスタッフはその現実に遭遇し、ロービジョン特有の課題を改善するためのサービス提供の必要性を認識していると思われるが、十分なサービスが提供されているとは言いがたいのが現状であろう。このことは、国内の視覚リハ専門職養成の現場でロービジョン・サービスに関する教育が十分に行われてこなかったことに起因しているともいえる。しかし、サービスを必要とする多くの人がロービジョンであるという現実を踏まえるならば、すでに現場で従事しているサービス提供者がロービジョン者の持つ多様なニーズに応えられるようになる必要がある。そのためには、現場にいる訓練士が積極的にロービジョン者とのコミュニケーションを通して想像力を高め、科学的な視点から課題解決のための多くの試みをし、それによって得られた知見を学会等で互いに公開し、多くの学ぶ機会を持つことが必要だと考える。
     本講演では、演者が視覚リハ現場で考察してきたロービジョン者の歩行訓練上の課題をもとに、現在の職場である学院において取り組んできたロービジョン歩行の困難課題の分析と対処法に関する研究内容を報告し、ロービジョン歩行について議論するための話題提供を行いたい。
一般口演 III
  • 氏間 和仁, 小田 浩一
    セッションID: OIII-1
    発行日: 2006年
    公開日: 2007/05/09
    会議録・要旨集 フリー
    【目的】ロービジョン者の読書の特性を明らかにするために,低視力シミュレーション下で文字の大きさを変化させ,音読潜時と読書速度を測定し,関係を確かめた.文字提示から音読に要する時間を音読潜時とした.
    【方法】晴眼被験者3名.視力(通常条件、フィルタ条件)を要因とした,要因計画法を用いた.通常条件は透明ガラスを装用,フィルタ条件は眼鏡箔を貼付したガラスを用い0.1から0.2程度に統制された.被験者は30cm先の17inch TFTディスプレイ中央に表示される平仮名5文字の非単語刺激中,2,4文字目を表示直後に音読した.文字サイズは70point(視角:1.40logMAR)から0.05log UNITで縮小した.同等の条件で読書速度も測定した.刺激提示の前1.5秒で注視点が1秒間先行刺激が提示され,前0.5秒で440kHzのサイン波が0.3秒鳴った.音読潜時はデジタル録音された音を波形処理ソフトに取り込み,1msecオーダーで計測された.
    【結果】全被験者で臨界文字サイズ以上の文字サイズにおける読書速度と音読潜時を比較したが,要因の効果は無かった.グラフ化すると,ある文字サイズ以下で音読潜時の延長が確認できた.これを読書速度のグラフと重ねると,読書速度の低下と音読潜時の延長がほぼ同時期に起こっていた.そこで音読潜時と読書速度の相関係数を求めるとr=_-_0.85(説明率75%)であった(F(1, 39)=103.43, p < .01).
    【考察】低視力シミュレーションは臨界文字サイズ以上の文字サイズにおいては,音読潜時や最大読書速度に有意差を持った影響を及ぼさないことが確認できた.音読潜時は臨界文字サイズ近辺から延長し,読書速度との間に強い相関を示したことから,読書速度と音読潜時には強い関連があることが示唆された.音読潜時の測定により,読書速度をある程度予測できる可能性が示された.
  • 麻野井 千尋, 長田 佳久
    セッションID: OIII-2
    発行日: 2006年
    公開日: 2007/05/09
    会議録・要旨集 フリー
    目的  歩行する人物の身体各部位に装着した光点のみから構成した動画像をPoint-Lights Walker(PLW)と呼ぶ。麻野井・長田(2006)はPLWの四肢の振り子型運動から「人らしさ」や「性別」などの心理的属性が知覚される条件を検討した。その結果,性別判断が可能となる振り子型運動の振幅は「人らしさ」に比べ小さかった。この結果は,性別判断には四肢とは異なる部位の動きが関与している可能性を示唆する。本研究では,複雑で不規則な動きを示す肩と腰に着目し,周波数解析によりこれらの動きの主要成分を抽出し男性と女性の相違点を検討した。

    方法  異なる周波数と振幅が合成された波形から,その構成成分を抽出する方法に周波数解析がある。本研究では,男女のPLWにおける水平方向の運動成分をMatlabにより作成したプログラムを用いて解析した。肩と腰の運動軌跡をそれぞれ30Hzでサンプリングした。これらの時系列データから平均トレンドを除去後,最大エントロピー法(次数50)を用いて周波数成分を抽出した。

    結果  PLWの肩と腰の主要成分は男女で異なっていた。男性PLWの肩の動きには低周波数成分が多く含まれていたが,腰の動きは速く小さかった。一方,女性PLWの肩と腰の動きにはともに低周波数成分が多く含まれていた。

    結論  本研究では,周波数解析を用いることにより歩行する人物から知覚される心理的属性を物理的次元で定量的に記述することに成功した。この解析法により,歩行する人物の肩と腰の相対的な動きの違いが性別判断の手がかりとして重要であることが示唆された。本研究の成果は,限られた生体情報から効率よく対象の特性を識別する機構を解明し,視覚障害者の対象識別能力の向上に寄与すると考えられる。
  • ロービジョン者の色の類似性領域
    伊藤 納奈, 佐川 賢, 岡本 明, 三谷 誠二, 吉田 敏昭
    セッションID: OIII-3
    発行日: 2006年
    公開日: 2007/05/09
    会議録・要旨集 フリー
    本研究は、ロービジョン者を対象として視認性に大きく関わる基本特性である1.コントラスト感度、2.色の類似性領域を計測し、実験的な検討から見やすい視覚表事物の設計に関する規格作成および視覚機能のデータベースの確立を目的としている。今回は色の類似性領域について報告する。
    実験はJIS準拠の管理色票13×9cmのもの16色を基本色として用いた。それぞれの基本色に対し「似ている(類似)」または「同じ」であるかを同じ大きさ・仕様の103色のテスト色票を用いて記録した。また「類似」の判断の手がかりを掴むために各テスト色票のカラーネーミングも行った。照明は昼白色の調光可能な蛍光灯を使用し、明所視条件:500 lx、薄明視条件:3 lxとした。両眼で計測を行った。
    晴眼者(若年者)のデータと比較すると、ロービジョン者は基本色に対する類似性領域はより広くなる傾向にある。特に5G5/8(緑)は薄明視条件で領域の拡大が顕著であり、基本色と同じ明度5の平面上が最も広くなっている。またテスト色票が基本色と同じでも「類似」と答える場合が多く、色弁別の機能が低下している様子が見られる。一方カラーネーミングによる同色名の領域は、5R,5B,5G,5Yなどの各色軸を中心に、明度の上下にわたって広がっているが、類似性領域に比べて色差の広がりは少なく、全体として色の知覚が大きく混乱しているような様子は見られない。また類似性領域と比べると、明所視と薄明視での領域の差も少ない。
    今後は被験者数を増やし、視野や視力・混濁の程度等などの被験者の眼の状況と色の類似性の判断との関連について検討したいと考える。
  • ロービジョン者のコントラスト感度特性
    伊藤 納奈, 佐川 賢, 岡本 明, 三谷 誠二, 吉田 敏明
    セッションID: OIII-4
    発行日: 2006年
    公開日: 2007/05/09
    会議録・要旨集 フリー
    本研究は、ロービジョン者を対象として視認性に大きく関わる基本特性である1.コントラスト感度、2.色の類似性領域を計測し、実験的な検討から見やすい視覚表事物の設計に関する規格作成および視覚機能のデータベースの確立を目的としている。今回はコントラスト特性について報告する。
    実験ではPCにより周波数と輝度コントラストを調整した円状の縞模様を提示した。画像提示用に21インチCRTフラットパネルモニター、被験者の反応 (縞模様の方向判断) 用にキーボードを用いた。視距離は50cmとした。空間周波数は、0.01, 0.02, 0.06, 0.1, 0.2, 1, 2, 6, 10 (cycle/degree: CPD)の9種類とした。縞の方向は0, 45°,90 °, 135 °の4方向をランダムに提示した。提示時間は、1000msec 及び60msecとし、明所視条件として輝度40cd/m2、薄明視条件として輝度4cd/m2の2条件で行った。右眼、左眼、両眼で計測をした。
    ロービジョン者は個人のばらつきが大きいが、全体的に高周波領域におけるコントラスト感度の低下が見られ、晴眼者(若年者)との差が大きい。また晴眼者の明所視では、3~5°cpd付近で感度の最大値となるが、ロービジョン者は、0.2_から_0.6cpd付近が最大値となる場合が多く、最大感度の低周波方向への移動が見られた。
    今後は被験者数を増やし、視野や視力・混濁の程度等などの被験者の眼の状況とコントラスト感度特性との関連について検討したいと考える。
  • 歩行街路の光環境に関するアンケート調査
    岩田 三千子, 奥田 紫乃, 岩井 彌, 小田 浩一, 岡嶋 克典, 千葉 茂, 原 利明, 田中 直人
    セッションID: OIII-5
    発行日: 2006年
    公開日: 2007/05/09
    会議録・要旨集 フリー
    1.目的
    近年、視覚障害をもつ人々が夜間外出する際、街路照明など光環境上の問題点が挙げられている。本研究は、ロービジョンの人々が公共空間を歩行する際に問題となる点を抽出し、安全且つ安心して外出できる公共空間の視環境計画の指針を得ることを目的とする。
    2.調査概要
    ロービジョンに関する情報交換を目的としたメーリングリスト参加者、及び各種福祉団体に所属する人の中で、視覚を利用して夜間に外出する人を対象として、web及びインタビューによるアンケート調査を行った。
    3.調査結果
    本調査より計77件の回答が得られ、網膜色素変性症(25名)、白内障(23名)などが疾患として挙げられた。昼間、屋外を歩行する際には、歩道・自転車道・車道が分離されていないことや、放置自転車や駐車車両に対する不快が多いことから、不特定の箇所に放置された障害物が歩行を困難にすることが明らかとなった。夜間では、昼間と同様の項目のほか、「照明が暗い」「暗がりがある」の回答が多く、光環境に対する不快が多かった。
    夜間、屋外を歩行する際に、全回答者の約80_%_がコンビニなど商店からの光を、約半数の回答者が、街路灯、住宅施設等の門灯、自動販売機、交通信号機などの光を、視覚的手がかりにしており、歩行する道路に光が存在することが重要であることが示された。また、ガードレールや道路・横断歩道の白線を手がかりにする回答者も多く、反射率が高く直線状のものを、進行方向を知る手がかりとして利用していることがうかがえた。
    街路における改善すべき光・視環境要素として、「街路灯を明るくする」「暗がりを生じさせない」「曲がり角を明るくする」「光を連続的に配置する」が多く挙げられ、連続的に明るい光環境を望んでいることがわかった。一方、「眩しいものを排除する」との回答もあり、単に路面照度を上げるだけでなく、グレア等にも配慮した照明計画が求められていることが示された。
  • 歩行街路におけるランドマークの実態調査・東京編
    原 利明, 千葉 茂, 小田 浩一, 岩井 弥, 岩田 三千子, 田中 直人
    セッションID: OIII-6
    発行日: 2006年
    公開日: 2007/05/09
    会議録・要旨集 フリー
    1. はじめに 本研究は、ロービジョン者に対するアンケート調査に続いて、その方々が街を歩行する際に問題となる点を抽出し、近年広まっているユニバーサルデザインの中で、すべての人が安全に安心して歩行できる環境整備の知見を得ることを目的とする。 本調査では、夜間歩行時の不安要素とランドマークについて、東京と大阪でロービジョン者8名を対象に実態把握に努めた。そのうち、東京で行った3名の調査結果について報告をする。 2. 調査概要  現地同行調査により、ロービジョン者が普段よく利用する駅から勤務先等までの経路の夜間歩行時におけるランドマークとなるもの、障害物、歩く際に気をつけていること等の内容のインタビューとその位置を記録した。また、ランドマークや障害物等の現地状況をビデオ、写真撮影すると供に、対象物及び対象地点の輝度、照度の物理量を測定記録した。  被験者の属性は、都内在住の網膜色素変性症の40歳前半男性2名。網膜はく離の40歳後半男性1名である。 3.調査結果  1)道路の白線:路上の白線は全員から街灯等の光の反射が大きく、発見しやすいとの評価を得たが、白線を発見するには適切な照度が必要なこともわかった。 2)街灯・看板等の照明:庭園灯や店舗の置き型看板(照明内臓)店舗等からの木漏れ灯等目線より低い位置にある照明が認識しやすく、反対に国道等の高規格道路に設置されるような高い位置にある輝度の高い照明は、低い位置にある照明との位置関係が取りにくくなるためランドマークにしにくいことがわかった。 3)触覚的に確認できる事物:光を放っているものだけでなく、グレーチング、縁石、壁面等、触覚を利用するものもある。 3.おわりに  ロービジョン者は足元付近にある様々な事物を歩行の手がかりにしていることがわかった。特に低い位置の光は、有効と考えられる。このことからユニバーサルデザインの考え方を踏まえた街路照明及び街路環境の新たな提案が期待できると考えている。
  • ―歩行街路におけるランドマークの実態調査・関西編―
    千葉 茂, 原 利明, 小田 浩一, 岩井 彌, 岩田 三千子, 田中 直人
    セッションID: OIII-7
    発行日: 2006年
    公開日: 2007/05/09
    会議録・要旨集 フリー
    【目 的】
    近年、高齢者や障害者など社会的弱者に対応した視環境計画が求められているが、ロービジョンと光環境との関係性のうち、特に、夜間における視覚障害者の歩行に関する研究は、未だ十分とはいえない。本研究は、前報のアンケート調査に基づき、その内容に関連付けた現地歩行調査を実施して、夜間歩行における障害物や有用な対象事物と、光環境との関係性を明らかにする。
    【対象ならびに方法】
    大阪府下の比較的高齢なロービジョン者5名を被験者として、普段よく利用する経路を同行し、夜間歩行時におけるランドマークとなるもの、障害物、歩く際に気をつけていること等のインタビューとその位置を記録した。また、ランドマークや障害物等の現地状況をビデオ、写真撮影すると供に、対象物及び対象地点の輝度、照度の物理量を測定記録した。
    【結 果】
    1)有用な対象事物:「商店・看板」「自動販売機」「信号機」など、同じ場所で常に光を発するものを視覚的な手がかりにしている。加えて「白線」「縁石」「壁」など、周囲との輝度対比が大きいものは、役立つことが分かった。2)障害となる対象事物:自動車からの安全を守るために設置された車止めや、柵が歩行の妨げになっている。昼間とは異なる夜間の光環境において、視覚的に確認できない個所があることが分かった。3)対象物の照度と輝度の関係:視標としている対象物と、その周辺の照度と輝度を測定した結果、路面照度10 lux以下、対象物輝度1 cd/_m2_以下で、視環境および、対象物評価が悪くなる傾向を示した。
    【結 論】
    アンケート調査で指摘された「自転車」「車止め」などの放置障害物の状況と、歩行上の手がかりとなる事物について、その内容を確認した。また、光環境として路面照度10 lux以下、対象物輝度1 cd/_m2_以下で、視環境・対象物評価が悪くなることを明らかにした。
9月17日(日)
指定講義 III
  • 加藤 俊和
    セッションID: LIII
    発行日: 2006年
    公開日: 2007/05/09
    会議録・要旨集 フリー
     障害者自立支援法は、10月からは地域支援事業を含めて本格的に実施される。ロービジョン者にとっても、日常生活用具について拡大読書器や遮光レンズはどうなるのか、拡大ソフトは含まれるのか、などについては関心が高い。しかしながら、実際の社会生活の中では視覚障害は重い障害とされていたはずであるが、今回の「介護」ばかりが強調されてきた障害者福祉の中で、新しい「障害の程度」では「視覚障害の重要な特性」が無視されてきた。だから、全盲であっても「障害」が相当に低く扱われ、ロービジョン者に到ってはほとんど「自立」と見られて「支援の必要なし」の区分の中にある。今回の自立支援法の中で一つの目玉ともされている就労支援策にしても、その主たる対象は知的障害者であって、視覚障害者、特にロービジョン者は支援対象として考えられていない面すらある。
     障害者施策の中心となる地域生活支援事業については、国としては大筋のみ示して関与せず、様々な対策の決定についても各市町村に委ねようとしている。その中で、視覚障害者は住居に地域的な偏りが顕著であり、さらに、中途でのロービジョン者が増加しつつあっても全盲者中心の諸活動からは大きく隔たっているため、要求をまとめることすら困難な状況にあり、視覚障害者をさらに不利な状況に置きかねない。
     一方、今回の支援法の制定は、もっと大きい障害者施策の変換の流れの一つでもある。だからこそ、戦後の視覚障害者運動の大きなうねりによって1948年に制定され翌年施行された身体障害者法以来、多少は手厚かった視覚障害者への支援については、今回大幅に後退し、制度改革がさらに加速していこうとしている。
一般口演 IV
  • 全国の施設・サービス、関係情報が簡単、的確に探せます
    竹下 亘
    セッションID: OIV-1
    発行日: 2006年
    公開日: 2007/05/09
    会議録・要旨集 フリー
    【目的】 視覚障害者の自立を支援するため、地域生活を送る上で役立つさまざまな情報をインターネットの活用により提供すること。 【対象者】 全国の視覚障害者ご本人とご家族、市町村の窓口担当者、視覚障害者関係施設  【事業の経緯】  2005年度、独立行政法人福祉医療機構の助成により本事業を開始。国内の視覚障害者関係施設・団体等600ヶ所を対象に福祉資源調査を行い、当法人発行の「世界盲人百科事典」など関係資料を加えて、データベースを構築。2006年3月からインターネットで試験公開し、改善意見・要望を集めるとともに、新たなデータ600件の追加収集を行い、より使いやすい検索システムへの改善を図っている。検索方式は、自由な検索語を思いつくままに入れられる「とことん検索」と、あらかじめ用意した選択肢を選ぶ「らくらく検索」の2方式。音声で聞いてわかりやすく、探している情報を簡単、的確に見つけられるデータベースを構築した。 【URL】 http://203.179.91.145/lightsearch/Top.aspx また「日本ライトハウス盲人情報文化センター」のホームページ(http://www.iccb.jp/)からも入ることができる。 【おわりに】 新規情報の収集、データベースの周知と利用の促進など、関係者各位にご支援、ご協力をお願いし、全国の視覚障害者の方が、より豊かで楽しい生活を送るため、役立てていただきたいと願っている。
  • -町田病院がロービジョンケアに取り組むまでの経過を中心にー
    吉野 由美子, 野口 恵理, 上田 希
    セッションID: OIV-2
    発行日: 2006年
    公開日: 2007/05/09
    会議録・要旨集 フリー
    1 目的 当発表の目的は、下記の二つである  (1) 7年前に二人の専門家が活動を始めるまでは、視覚障害リハビリテーションのことも、ロービジョンケアーのことも、一般にほとんど知られていなかった高知県で、どのような経過をたどって、眼科単科病院(町田病院)が「ロービジョンケア」を始め、視覚障害者生活訓練指導員などが、そこにどう関わっているのかの経過を明らかにすること。  (2) 来年度以降、この合同学会において、より発展した発表をするためにの基礎をつくり、学会員の中に共通の理解をもっていただくこと。  2 経過報告  眼科・福祉行政に携わる人たち・視覚障害児教育の関係者などへの啓発活動経過報告と、町田病院で、ロービジョンケアに取り組みはじれてからの、1年2ヶ月の状況についてデータを中心に報告を行う。  3 見えて来たこと 上記経過の中で、見えてきたことについて、福祉の専門家の視点から若干のコメントを行う。
  • 古橋 友則, 石光 和雅
    セッションID: OIV-3
    発行日: 2006年
    公開日: 2007/05/09
    会議録・要旨集 フリー
    平成16年度より静岡県の事業として、(社)静岡県視覚障害者協会が委託を受けてスタートした「視覚障害者訪問自立支援事業」は県内在住の視覚障害者にとって在宅で迅速に訓練を受けることを可能にし、自立と社会参加を支援する上でも大きな成果を出し始めている。  また本事業は、県内在職の歩行訓練士にとっても新たな方法での活動の場をもたらすとともに、行政、当事者団体、障害者生活支援センターなどとの連携により、新たなニーズの掘り起しにもつながっている。  諸諸の課題もあるが、それらの課題を明確にし、今まではそれぞれの職場(病院・生活訓練施設・療護施設・授産所など)での活動に留まり、なかなか在宅での訓練に関わることのできなかった歩行訓練士にとって、ひとつの組織に登録して派遣されるという新しい形での関わりができるようになった。
  • その現状と課題
    宮原 良明, 石光 和雅
    セッションID: OIV-4
    発行日: 2006年
    公開日: 2007/05/09
    会議録・要旨集 フリー
     静岡中途視覚障害の会(以下、かがやきの会)は、1996年(平成8年)3月に結成され、10年が経過しました。高齢化や 生活習慣病、不慮の事故など、社会環境の悪化により、ますます深刻化する中途視覚障害者問題の解決こそ、当事者が、自ら取組まなければならないことと実感しておりました。
     設立当初の活動は、(1)会員相互の交流と親睦、情報の提供、(2)電話相談、ピアカウンセリング等相談事業、(3)県東部地区でのリハビリ教室の設置、(4)医療機関へのPR文の作成と配付、(5)歩行訓練士の専門職化、といったものでした。これらを遂行していくために、視覚障害者だけでなく、歩行訓練士、ソーシャルワーカー、ボランティアの方々が参加されたことは非常に心強いことでした。
     最初の事業として、平成11年10月、東部地区に県の委託事業として中途視覚障害者生活訓練教室が沼津聖隷病院の協力により開設できたことは特筆すべきことです。(1)心のケアと相談、(2)点字、パソコン、その他情報提供、(3)歩行訓練を中心とした日常動作訓練、といったことを重点に、指導員、ソーシャルワーカー、ボランティア、東部地区眼科医、行政関係者、近隣のリハビリテーション施設のご協力もいただき、心豊かな教室になるよう努力しています。「かがやきの会」の行事は春の定期総会・学習会・交流会及び講演会、秋のバス旅行等で落語鑑賞に行きます。会員50名程度と、まだまだ小さな団体ですが、会員同志の親睦は強く、仲間同士の触れ合いを特に重要と考えております。
     今後の課題は、(1)会員数の増加、(2)中途視覚障害者リハビリテーション施設の確立、(3)各地区に歩行訓練士を配置していく、といったことです。まだまだ中途視覚障害者にとっては、安心して生活できるような環境ではありません。私たちが、住みやすい社会は、子供、高齢者、一般住民等々、誰もが安心して生活できる世の中になると考えます。みんなが『生きていてよかった』と思う社会になるよう積極的に活動していきたいと考えています。
  • ― アンケート調査による現状把握と関連要因の検討 ―
    高田 明子
    セッションID: OIV-5
    発行日: 2006年
    公開日: 2007/05/09
    会議録・要旨集 フリー
    視覚障害者の外出状況を把握する目的で、ある地方都市(4.5万人)の視覚障害による身体障害者手帳取得者全数(201名)に郵送アンケート調査を実施した。(回収率54.7%) 外出頻度が週1回以下の「閉じこもり」42.2%、衝突・転倒の経験がある「危険な外出」 70.4%だった。「閉じこもり」は外出形態、移動能力、障害等級等の影響を受けていたが、「危険な外出」は障害の程度によらず全ての視覚障害者において起こりえる状況にあった。 A市の視覚障害者を外出状況別に5類型に分類すると、「閉じこもり(外出意向あり)」15.2%「閉じこもり(外出意向なし)」18.1%「危険な外出」37.1%「それなりに外出」17.1%「他疾患・障害により移動不可能」12.4%であった。 ICF概念図を援用したモデルを用いた重回帰分析の結果、「外出頻度」の67.0%を「移動能力」が決定し、「移動能力」の42.3%を「障害等級」が決定していて、他に有意な要因はなかった。つまり,地域在住の視覚障害者の外出は,障害程度に応じた外出が現状であり,外出意向がそのまま外出頻度になっている訳ではなく,福祉サービスの影響を受けている訳でもなかった.地域で生活している視覚障害者の外出ニーズは潜在化しているといえた。
  • 加茂 純子
    セッションID: OIV-6
    発行日: 2006年
    公開日: 2007/05/09
    会議録・要旨集 フリー
    【目的】視覚が主たる理由で仕事が継続できなくなったにもかかわらず、身体障害者手帳の級も低く、障害者年金もとれなかった事例を紹介した。【対象と方法】 平成14年9月から平成18年6月の間に甲府共立病院眼科に訪れた患者のうち、身障者手帳で視野5級しかとれないが、仕事が継続できない症例が2例あった。【症例1】10年間DMあり、治療を中断していた。H15.6.7脳幹出血が起こり左外転神経麻痺、両)眼振(右外旋、左上下)あり、両眼視ができない。【症例2】平成16年3月24日交通事故、軸索損傷で、下方視時に上下の複視が起こる。プリズムでも矯正不能。【結論】現行の身体障害者手帳、および、障害者年金の視覚の基準では、眼振や複視のある患者にケアが行き渡らないことがある。
ポスター発表 II
  • ロービジョン・マップの製作
    鈴木 克彦, 山縣 祥隆, 三村  治
    セッションID: PII-8
    発行日: 2006年
    公開日: 2007/05/09
    会議録・要旨集 フリー
    【目的】兵庫県在住の視覚障害者(児)ができるだけ居住地の近くでロービジョンケアを受けることができるように、兵庫県下の病院眼科で行われているロービジョンケアの内容を調査し、結果を小冊子にまとめて兵庫県ロービジョン・マップとして県下で配布したので紹介する。 【対象と方法】兵庫県下の全病院眼科80施設に対して、ロービジョンケアを行っているかどうか、その内容および受診方法についてアンケート調査を行った。これらの結果を兵庫県眼科医会公衆衛生活動の一環として小冊子にまとめ、会報に掲載して全会員に紹介するとともに、別冊を各市町村の障害福祉課、保健所、盲学校などに配布した。 【結果】調査した80病院中、ロービジョンケアを施行しているのは30病院で、平成13年の調査に比べて12病院増えていた。制作、配布した兵庫県ロービジョン・マップはその後、いくつかの施設よりコピーして配布しても良いかという問い合わせがあり、また盲学校からは点訳しても良いかと問い合わせがあった。発表当日にはその後の各施設での利用状況について報告する。 【結論】以前に日本眼科医会から発表されたロービジョンケアができる病院リストは、各地域で利用するには内容が不十分であり、情報の正確性にも問題がある。この種の情報はその性質上、地域限定で調査されるべきであり、正確な情報であれば利用価値が高いと考えられた。
  • ホームページ閲覧に関するリモートによるサポートの試み
    菊池 智明
    セッションID: PII-11
    発行日: 2006年
    公開日: 2007/05/09
    会議録・要旨集 フリー
    1.目的
    各種の文字情報の入手に制約がある視覚障害者にとっては、インターネットを活用することで、情報の収集が容易になる。しかしながら、パソコン初心者の視覚障害者にとっては、一般のホームページはその構造が比較的複雑で、そこからいろいろな情報を得るのはかなり難しい作業となっている。
    そこで、
    a.文書構造をできるだけ分かりやすくして、リンクやフレームといった概念を理解しやすくする。
    b.リンク間の移動やリンクによるページ移動、フレームの切り替えおよびフォーム入力などといった操作の練習を集中的に行なえるようにする。
    ということを考慮して、ホームページ閲覧の練習用ホームページを開設した(http://homepage2.nifty.com/cosmosvision/)。
    2.ホームページ作成にあたって留意した点
    フレームの概念の理解とその切り替えの練習のために、随所に故意にフレームを使ってページを作成した。また、実際のホームページの中には、リンクを開くと勝手に別ウィンドウで開くものがある。そこで、そういう状況に遭遇した場合でも冷静に対処できるように、別ウィンドウで開くようにしたリンクも随所に設けた。
    また、インタラクティブなサイトでは、掲示板をはじめ、フォーム入力が必要になる場合が多い。そこで、フォーム入力練習用として、メールフォームや掲示板なども用意した。
    3.フィードバックとサポート
    必要に応じて、定例の勉強会の機会を利用するほか、メール等により寄せられる質問に対して随時回答し、回答の結果をホームページ上に掲載してメンバー間で情報の共有化を図っている。
    4.経過
    フォーム入力に対して抵抗感が少なくなったメンバーの中には自身のブログを開設して記事投稿を定期的に行ったり、他のメンバーが開設しているブログにコメントするなど、徐々にではあるが、ネットの世界が広がりつつあるメンバーも現れてきている。
  • 石川 充英, 山田 幸男, 大石 正夫, 清水 美知子, 小島 紀代子, 羽賀 雅世, 本田 芳香
    セッションID: PII-14
    発行日: 2006年
    公開日: 2007/05/09
    会議録・要旨集 フリー
    【はじめに】障害者自立支援法の施行にともない、障害者の自立とは何かが改めて問われている。今回、中途視覚障害者の自立支援の援助過程を明らかにすることを目的として、利用者主体のストレングスに視点にあてたB.Fastのストレングスモデルを枠組みとして分析したので報告する。
    【研究対象者】甲信越地方の病院に開設されている視覚障害リハビリテーション外来に通院している中途視覚障害者1名。
    【研究方法】対象者が外来通院した時の会話内容、および経過内容について、半構成的面接法で得られた会話の中から、自立支援に向けた内容を抽出し、内容分析をした。
    【結果】B.Fastのストレングスモデルは、自立支援のプロセスとして5段階に分類されている。その中の第3段階「協同活動」から第5段階「自己_-_主導的ケア」に着目し内容分析した。その結果、利用者自身の自立に向けた支援をするためには、タイミング、期間、組み合わせを選ぶ必要性があることが明らかとなった。
  • 小林 巌, 並木 悠造, 神尾 裕治
    セッションID: PII-17
    発行日: 2006年
    公開日: 2007/05/09
    会議録・要旨集 フリー
    【目的】視覚に障害のある重複障害児の教育は、一人一人の状況やニーズを踏まえた対応が求められる。本稿では神経疾患と視覚障害を併せ持つ児童を対象とした教育的対応について報告する。
    【対象】対応開始時に中学1年の男児。眼疾は視神経萎縮、乱視、近視、斜視、眼振。視力は両眼0.02で視野は正常範囲。運動麻痺や感覚障害があり、多発性硬化症の疑いと診断されている。小学生時代は、点字、墨字ともに十分な活用が難しいとされ、主に音声テープやパソコンの音声出力を使って学習が行われた。中学に進み、中学レベルの学習内容に十分対応可能な学習環境の検討が求められた。
    【経過】従来、補助的に墨字を活用していたが、適切な読み環境に関する詳細な検討は行われていなかった。そこでPC版ひらがな読書チャート(pcMNREAD-JK)および大型ディスプレイ(23インチ)を用いて読み環境の評価を行った。その結果、従来は白黒反転の環境にしていたが、実際には白黒反転なしの方が読書効率は高かった。また、従来用いていた文字サイズよりはるかに大きい条件で読書速度が高くなった。以上をもとに、大型ディスプレイによる読みに配慮した学習環境を構築したところ、国語や英語での文字の確認や、数学での数式や記号の理解等が容易になり、特に漢字学習や数学のイメージ化に進展が見られた。しかしその後、1年の3学期に視力が低下し、視覚による文字の確認が難しくなったため、国語や英語ではパソコンの音声出力の利用に全面的に切り替えた。漢字学習は六点漢字入力を用い継続している。一方、数式はまだ視覚で確認できるため、数学のみ必要な時に視覚を活用しながら学習を進めている。
    【結論】視覚に障害のある重複障害児の教育においては、活用できる教育手段に制限が生じがちである。個々の状況、残された機能等を総合的・組織的に把握し、様々な工夫を行って学習を進めていく必要がある。
  • 小林 幸一郎
    セッションID: PII-20
    発行日: 2006年
    公開日: 2007/05/09
    会議録・要旨集 フリー
    フリークライミングとは、安全確保のためにロープなどの道具は使用するが、前進手段としては人間が本来持つ能力だけを使うスポーツである。
    欧米などでは障害者のリハビリテーションの一環として取り入れられているが、残念ながら日本では未だ周知に至っていない。
    その中でも、特に視覚障害者に適している理由は次のように考えられる。
    1 対戦相手や飛んでくるボールやチームなどもなく、自ら動けるスピードで楽しむことができる。
    2 クライミングロープで安全確保がなされており、周囲の危険を考えることなく思い切り体を使うことが出来る。
    3 障害者のためにデザインされたものではなく、晴眼者と同じルールで同じ課題を楽しむことができ、交流と理解促進にも貢献。
    4 成長の実感を得ることが比較的容易にできる。前に出来なかったことが出来る感覚は、その生活観とは逆行する。
    5 自らの力だけで課題を解決し、ゴールに至る」クライミングにおける成長過程が、日常生活力の向上にも貢献できる。
    6 外出する機会となるだけでなく、自然の中で過ごす時間を持つ機会ともなりえる。心と身体の健康増進にも寄与する。

    クライミングが障害者にもたらすもの、選択肢と可能性の拡大の先にあるものは
    ・「あんなことも、こんなこともできる」という発見と自信。
    ・「それならばこれは?」という次への展望や夢の広がり。
    ・障害者のより積極的な社会参加へ。
    これらの仮説が定説になる日が近付いている事に間違いない。
  • 高田 篤
    セッションID: PII-23
    発行日: 2006年
    公開日: 2007/05/09
    会議録・要旨集 フリー
    拡大読書器の利用状況 ○高田 篤、越後谷 法義、豊田 久、永倉 利美、白神 章  (株)高田眼鏡店  加藤 聡、国松 志保、田村 めぐみ、落合眞紀子、柳澤美依子 (東京大学眼科) 【目的】 拡大読書器は日常生活用具として広く使用されている。今回我々は、拡大読書器の利用状況を追跡調査することによって、社会資源として有効に利用されているか否かを検討した。 【対象と方法】 平成14年4月から平成18年4月までに拡大読書器を購入した97名を対象としたところ、対象の平均年齢は68.0±17.0歳であった。視機能障害となった原因疾患は糖尿病網膜症:11例、緑内障:30例、黄斑変性:26例、その他:17例、不明:13例で障害者等級の内訳は1,2級:46例、3,4級:24例、5,6級:16例、不明:7例、該当なし:4例であった。購入後調査時期までの期間は15.9±10.8ヶ月であった。拡大読書器の内訳はTimes社製AV-100:48台、AV-100ネオ:14台、AV-300:2台、ナイツ社製VS-1500AF:22台、VS-2000AF:5台、VS-_III_:6台であった。アンケート調査は電話にて行なった。 【結果】 電話アンケートの結果、連絡が取れなかった7名を除く、90名中拡大読書器を現在も使用しているが79名(87.8%)、使用していないが11名(12.2%)であった。使用していない理由は視力低下の進行:4名、使用時の眼精疲労や頭痛:5名、高齢の為寝たきりの状態になった:2名であった。使用しなくなった時期は購入後18.0±10.9ヶ月であった。 【結論】 拡大読書器は日常生活用具の一つとして多くの視覚障害者にとって長期にわたり有用に使用されていることが判明したが、使用できなくなる例もあることから販売後1.5年に使用状況を調査し、非使用例での拡大読書器の有効活用が行われることが望ましいと考えられた。
  • 川嶋 英嗣, 渡辺 あゆみ, 伊藤 夢美, 川瀬 芳克, 高橋 啓介
    セッションID: PII-26
    発行日: 2006年
    公開日: 2007/05/09
    会議録・要旨集 フリー
    【目的】遮光レンズの装用が色相弁別能力に及ぼす影響について検討する。
    【方法】色覚に異常の無い晴眼者10名が実験に参加した。遮光レンズは東海光学社製CCP及びCCP400シリーズのLY, UG, RO, FR, TSの5種類であり、高田巳之助商店製シミュレーションゴーグルに装着して実験を行った。白濁条件として白濁フィルタ無し・有りの2条件を設定して、有り条件では白濁フィルタの上に遮光レンズを重ねてゴーグルに装着した。色相弁別能力は人工太陽照明灯(セリック社製)の照明下でFarnthworth-Munsell 100 hue test (ルノー社製)によって測定した。
    【結果】総偏差点は遮光レンズ非装用時と比べて、透過光の波長カットの程度が小さい遮光レンズTS装用時ではほとんど変わらなかったが、LY, UG, RO, FR装用時で上昇していた。色相混同は青-黄軸あるいは全色相で認められた。また、白濁フィルタ有り条件では無し条件に比べて総偏差点が高くなる傾向が認められた。
    【結論】色相弁別の成績は装用する遮光レンズの波長カットの程度によって異なることが示唆された。
  • 三田 知直, 津野 幸江, 松原 正男
    セッションID: PII-29
    発行日: 2006年
    公開日: 2007/05/09
    会議録・要旨集 フリー
    [目的]当院ロービジョン外来の受診状況を検討する。 [対象と方法]平成16年4月から平成18年5月まで当院、ロービジョン外来を受診した47人(男性33例、女性14例、年齢は34歳から92歳、平均66.8歳)について、QOL評価表を用いて問診、生活状況、希望ニーズを聴取し、補装具の選定などを行った。 [結果]原因疾患の内訳は糖尿病網膜症9例19%、緑内障9例19%、ぶどう膜炎8例17%、網膜色素変性症8例17%、脈絡膜萎縮5例10%、黄斑変性症4例8%、角膜混濁2例4%、裂孔原性網膜剥離1例2%、先天白内障1例2%であった。32例は受診以前から身体障害手帳を取得または申請しており、7例は受診後申請した。受診後の対応は拡大読書器購入10人、ルーペ購入12人、遮光眼鏡処方8人、眼鏡処方5人等であった。受診時の主なニーズは新聞、読書希望が最も多く、羞明感が続いた。数名は区の障害者施設に、歩行やパソコン訓練のため紹介した。 [結論]ロービジョンの原因疾患も様々であり、その残存視力の程度も個々の症例によるが、日々の生活に不自由を感じて当外来を受診している。その対応も症例ごとに異なり満足な解決ができないこともある。当外来は開始したばかりで、充分な症例の蓄積は無いが、これまでのデータを分析し、今後の診療に役に立てて行きたい。
  • _-_その1 学生の意見_-_
    佐渡 一成
    セッションID: PII-32
    発行日: 2006年
    公開日: 2007/05/09
    会議録・要旨集 フリー
    【目的】眼科医や盲学校の教員、盲導犬訓練士など視覚障害者の支援を行うものには、支援の方法だけでなく、視覚障害者を深く理解することも求められる。一方で、眼科医によって網膜色素変性症の患者に3点セット(治療法がない、遺伝性、進行性で失明の可能性がある)と揶揄されている安易な告知がなされる例が未だに後を絶たないことは大きな問題である。しかし、「どのように伝えたら良いか」の方法論もこれまで確立されていない。そこで、昨年からさまざまな立場の方の意見を集め始めた。今回は学生の意見をもとに考察を加えたい。
    【対象と方法】宮城教育大学盲教育専攻の大学生および日本盲導犬協会盲導犬訓練士学校の学生に自覚症状のない時点で偶然網膜色素変性症が見つかった場合、眼科医は「どのように伝えるべきか、あるいは伝えないほうが良いか」、自分がその立場だったら「どのように伝えられたいか、伝えて欲しくないか」について考察するというレポートを課し、その結果を分析した。
    【結果】13名中10名が「告知すべき」、3名が「告知すべきでない場合もありうる」と答えた。また、10名は告知の際には、「改めて機会を設ける」「性格を把握した上で」「十分な時間をとった上で」「落ち着いて話のできる環境で」「家族の同席や支援」「精神面のサポートの準備」など十分な準備・配慮が必要と考えていた。
    【考察】仮想の視覚障害者を設定して「いかに告知すべきか」を考えたり、自分なら「どのように伝えられたいか」を考える機会は、学生にとって視覚障害者を理解し支援のあり方を考える第一歩として効果的であった。
    特に「治療不可能な疾患」を持った患者に対しては、時間をかけて個々の患者に応じた対応を行わなければならないが、未だに安易な告知が行われることがあるという現実は極めて遺憾である。安易な告知は許されないという至極当然のことについて啓発を進めるためにも、早急に「望ましい告知のありかた」の確立が望まれる。今後、視能訓練士、眼科医、患者さんにも同様の調査を予定しており、多くの意見を集約する形で、「望ましい告知のありかた」を模索していきたい。
  • 角田 亮子, 仲泊 聡, 斎藤 奈緒子, 渡辺 文治, 末田 靖則, 中村 泰三
    セッションID: PII-35
    発行日: 2006年
    公開日: 2007/05/09
    会議録・要旨集 フリー
    【目的】当院では平成15年より、ロービジョン患者に対して2泊3日という短期入院で集中的に訓練を行っており、昨年渡辺らが報告した。患者からは、「色々な経験を積むことが出来た」「出来ないと諦めていた事が出来るとわかった」などポジティブな感想を得た。今回、これを定量的に評価する必要性があると考え、NEI VFQ_-_25(日本語版、以下VFQ-25)を用いて視覚関連QOLの観点からその訓練効果を評価した。
    【対象と方法】対象は、平成17年に短期入院をした女性患者3名(視神経萎縮1名、網膜色素変性2名)である。訓練は、患者のニ_-_ズをもとにプログラムを組み、補助具の選定、拡大読書器の練習、歩行訓練、日常生活訓練等を行った。QOL評価はVFQ-25を使用し、入院当日と退院2ヵ月後に行った。スコアリングは12の下位尺度のうち、「一般的見え方」「近見視力による行動」「遠見視力による行動」「社会生活機能」「心の健康」「役割機能」「自立」の7つを用いてその得点の平均値を求め、入院前後で比較した。
    【結果】総合得点は、視神経萎縮患者で、入院前の21.6から退院2ヵ月後では19.2となり、網膜色素変性患者の一方では、32.1から38.4となり、他方では23.6から41.6となった。7つの下位尺度のうち「遠見視力の行動」の得点は全員上昇した。「心の健康」は訓練前後で大きく差が見られたが、3名の傾向は一致しなかった。
    【結論】今回行った3名では、短期入院中の訓練が、特に「遠見視力の行動」と「心の健康」に影響を与えている可能性が示唆された。
  • 尾形 真樹, 小田 浩一, 西脇 友紀, 田中 恵津子, 新井 千賀子, 平形 明人, 樋田 哲夫
    セッションID: PII-38
    発行日: 2006年
    公開日: 2007/05/09
    会議録・要旨集 フリー
    目的:ロービジョン(以下LV)外来受診患者の中には移動(Orientation & Mobility,以下O&M)困難を訴えるものの,院外のリハビリテーション施設での訓練を望まない症例がある.今回,歩行訓練士の指導下で病院内・近隣環境においてO&M訓練を試み,QOL評価(西脇ら, 2001)の結果,訓練効果が得られた症例を経験したので報告する.

    症例:43歳,男性.2005年7月11日,LVケア目的で受診した.右眼失明,左眼は緑内障により視力0.1,視野は上下が各10度で中心部から左約60度にかけ横長に残存していた.

    訓練方法:初診時のQOL評価のO&M項目から本症例のO&M困難度を分析した.その結果,特に段差への対処と夜間移動に困難を訴えたため,これらの改善に必要な訓練を行った.訓練は2005年7月11日から2006年2月23日の間に9回実施した.段差への対処は白杖基本操作と階段昇降技術の2項目,夜間移動は伝い歩きや車音を利用した方向維持方法,曲がり角の発見方法,移動用ライトの使い方,夜間の視覚的手がかり利用方法の5項目,合計7項目を訓練した.前者は院内の廊下や階段,後者は近隣の歩道で行った.訓練の効果を訓練期間内の中期(前者終了時),終期(後者終了時)にQOL評価のO&M項目の得点で判断し,訓練終了の基準とした.

    結果と考察:本症例のO&Mに関するQOL総得点が初診時-12点,中期+4点,終期+11点と変化した(O&M項目総得点では最小-16?最大+16点).院内で訓練した技術が他のO&M項目に学習移転したか,あるいは訓練が症例自身のO&Mの自己評価を肯定的なものに変化させたためと考えられる.
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