胃癌における光線力学的治療 (PDT) の抗腫瘍効果に及ぼすH
2受容体拮抗剤の影響について検討した。
in vitroにおいては, 株化ラット肝細胞癌 (JTC-16) を用いた。Cimetidine, Ranitidine, Famotidineを各々35μg/
mlづつJTC-16細胞4×10
4/wellに添加し, 24時間後にHematop orphyrin derivative 10μg/
ml( HpD) と金蒸気レーザー (GVL, 5mw/cm
2, 3min) によるPDTを行った。効果判定における細胞数の測定はMTT法を用いて検討した。
対照群に比べ, Clmetidine, Ranitidine, 及びFamotidine投与群では, 腫瘍細胞生存率が有意に高く, PDTの抗腫瘍効果の抑制がみられた。
in vivoにおいて, ヒト胃癌を背部中央に移植したヌードマウスの腹腔内に, Ranitidine 1mg/kg, Famotidine 0.4mg/kgを投与し, HpD 10mg/kgを腹腔内に注入して, 48時間後にGold Vapor Laser; 以下GVL (280mw/cm
2, 3min)によってPDTを行った。H
2受容体拮抗剤非投与の対照群では, 腫瘍容積は著しく減少したが, Ranitidine, Famotidineの投与群では, むしろ腫瘍容積の僅かな増大がみられた。
以上より, H
2受容体拮抗剤には, 胃癌に対するPDTの抗腫瘍効果を減弱させる作用があると推測された。
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