日本レーザー医学会誌
Online ISSN : 1881-1639
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16 巻, 1 号
選択された号の論文の6件中1~6を表示しています
  • 橋本 康男, 平野 達, 山口 登
    1995 年 16 巻 1 号 p. 1-10
    発行日: 1995年
    公開日: 2012/09/24
    ジャーナル フリー
    犬移植肉腫に対してフォトブリン1とエキシマ色素レーザーを併用した新しい型の腫瘤内照射型光力学的治療 (Photodynamic therapy: PDT) を行った。担癌犬0にフォトフリンを5mg/kg投与し, 32時間後耐レーザープラスチックチューブを腫瘤に刺し, そのチューブに光ファイバーを挿入し, 腫瘤内より腫瘤全体をスキャンする形で光照射を行った。腫瘤断面の壊死巣の直径と照射エネルギーの関係は, 低エネルギー領域で照射エネルギーの増加とともに壊死巣直径は急激に増加し, チューブ1cm当たり120joule (最大: 8410ule/cm2) の場合, 壊死巣直径17mm, 240joule (最大: 168joule/cm2) の場合20mmであり, それ以上では照射エネルギーの増加とともに, 直径は徐々に増加し, 1200jiule/cm (最大: 840joule/cm2) で24mmに達した。副作用は240joule/cm (最大: 168joule/cm2) で潰瘍形成, 120joule/cm (最大: 84joule/cm2) で瘢痕形成がみられた。レーザー光の温熱効果は低エネルギー領域では無視できる程軽度であった。腫瘤内照射型PDTの照射エネルギーは腫瘤の存在する臓器やその副作用に対する臓器の感受性を考慮して決められるのが望ましい。
  • 西坂 剛, 深海 隆明, 大倉 一郎
    1995 年 16 巻 1 号 p. 11-15
    発行日: 1995年
    公開日: 2012/09/24
    ジャーナル フリー
    C3H/HeN系マウスにMH134腫瘍細胞を移植し, 腫瘍組織中の蛍光化合物を蛍光光度計および高速液体クロマトグラフィーを用いて分析した。その結果, 腫瘍組織にはプロトポルフィリン双および亜鉛プロトポルフィリン双が蓄積していることがわかった。
  • 金田 明, 猪 吉輝
    1995 年 16 巻 1 号 p. 17-21
    発行日: 1995年
    公開日: 2012/09/24
    ジャーナル フリー
    光化学療法 (Photodynamic Therapy: 以下PDTと称す) 用のレーザ光源として、半導体レーザ治療装置を開発した。PDTは患者に対する体力的負担や副作用が少ないことからこれから迎える高齢化社会に適応した療法であるといわれている。しかしレーザ条件 (波長, 出力) の問題から普及のための手ごろなレーザ装置が無く, その開発が待ち望まれていた。今回我々が開発したレーザ装置は, 小型・軽量であり操作が簡単等, これらの婪望を満たしたものでありPDTの普及の一助となるものと期待する。
  • 本田 和生, 木原 且裕, 内田 史朗
    1995 年 16 巻 1 号 p. 23-28
    発行日: 1995年
    公開日: 2012/09/24
    ジャーナル フリー
    半導体レーザは他のレーザに比較して多くの利点を有している。それらの利点を生かした用途を拡大すべく高出力化技術が研究開発された結果, 10Wを超える超高出力レーザが実用化された。その成果は医療分野へも応用され始め, 今後もさらに発展することが期待されている。その基本的な技術内容と応用上重要な特性について述べる。
  • 平野 達, 鈴木 健司
    1995 年 16 巻 1 号 p. 29-35
    発行日: 1995年
    公開日: 2012/09/24
    ジャーナル フリー
    光増感剤PHEとエキシマダイレーザー (EDL) の組合せにより, 光線力学的治療法 (PDT) が早期の肺癌 (0期及び1期), 食道癌, 胃癌, 子宮頚及び異形成に対して承認された。本文では医療用具として認められたEDLの構成, レーザー光の照射プローブ, 治療用のコルポスコープについて説明した。臨床試験 (治験) では, 0期肺癌, 食道癌, 胃癌, 子宮頚癌及び異形成でほぼ良好な治療成績が得られたが, 1期肺癌と膀胱癌では成績は良くなかった。この原因として照射光量の不足が考えられた。EDLにより組織の深く迄効果が及ぶことは明かと思われるが, この理由について推察した。
  • 荒井 恒憲
    1995 年 16 巻 1 号 p. 37-45
    発行日: 1995年
    公開日: 2012/09/24
    ジャーナル フリー
    ArFエキシマーレーザーを用いる屈折矯正を目的とした角膜切除術 (Photorefractive keratectomy: PRK) に関して, レーザー装置およびレーザー蒸散の観点から解説した。主要なPRK装置に関してその形式を説明した。開発時期が早い装置では, 大口径均一強度ビームを用いている。これに対して最近開発された装置では小さい不均一ビームを走査して用いている。現状ではどちらの装置形式が副作用の小さいPRKに適しているかは判断できない。さらに, ArFエキシマーレーザーを用いる角膜蒸散の蒸散パラメーターに関して解説した。全ての蒸散パラメーターが, 副作用を最小に抑制するように最適化できているわけではない。例えば, 蒸散中の角膜表面の保湿や蒸散煙霧の除去に関しては, 最適化は行なわれていない。また大口径蒸散や, これに伴う多段階蒸散の効果も十分調査されていない。今後, 最適な蒸散に関する検討とこれを実現可能な装置の開発を継続して行う必要がある。
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