犬移植肉腫に対してフォトブリン1とエキシマ色素レーザーを併用した新しい型の腫瘤内照射型光力学的治療 (Photodynamic therapy: PDT) を行った。担癌犬0にフォトフリンを5mg/kg投与し, 32時間後耐レーザープラスチックチューブを腫瘤に刺し, そのチューブに光ファイバーを挿入し, 腫瘤内より腫瘤全体をスキャンする形で光照射を行った。腫瘤断面の壊死巣の直径と照射エネルギーの関係は, 低エネルギー領域で照射エネルギーの増加とともに壊死巣直径は急激に増加し, チューブ1cm当たり120joule (最大: 8410ule/cm
2) の場合, 壊死巣直径17mm, 240joule (最大: 168joule/cm
2) の場合20mmであり, それ以上では照射エネルギーの増加とともに, 直径は徐々に増加し, 1200jiule/cm (最大: 840joule/cm
2) で24mmに達した。副作用は240joule/cm (最大: 168joule/cm
2) で潰瘍形成, 120joule/cm (最大: 84joule/cm
2) で瘢痕形成がみられた。レーザー光の温熱効果は低エネルギー領域では無視できる程軽度であった。腫瘤内照射型PDTの照射エネルギーは腫瘤の存在する臓器やその副作用に対する臓器の感受性を考慮して決められるのが望ましい。
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